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召喚被害者の日常は常識なんかじゃ語れない  作者: 狐のボタン
第五章

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ギルドのシステム



アキナさんに大切なことを教えてもらい、気持ちも軽くなった翌日。

みんな揃ってギルドへ行った。

当然両親も一緒。

スピネルとユウキはなんかもう新婚みたいで、見てるこっちが恥ずかしい。 (ユウキの服も…)

それはもういい。諦めたから。 (闇精霊のせい?)

イヤあれは自前だよ。相乗効果で更に酷くなるかと心配したけど、いつも通りで安心…してていいのか? (さぁ?)


「見せつけてくれるわね…。何よアレ。朝から甘ったるくて砂糖でも噛み潰してる気分よ!」

「アスカー私とラブラブしないー?」

「あんなふうになりたいの?」

「…それは嫌かな」

ティアねえ様に常識があってよかった。 (それじゃーユウキに常識がないみたい…)

人目を憚らずにあんな事してるんだから…。 (それはそう)

あれさ、精霊が見えない人にはどう見えてるんだろうね? (イタタタタ…)

まぁそうだよな。本人達が気にしてない以上、あまり口を出すことではないけど…。

一応、後でさり気なく伝えておこうかな。


両親も細かいことを言うのはやめて、信じる事にしたらしい。

「私達の新婚の時ですらあそこまでではなかったよね?」

「お、おぅ…」

父さんのリアクションを見る限り似たようなものだったのでは?と思ってしまう。

それにしても、両親の間ではもう新婚ってことでいいの!? (あれはバカップル!)

それだ!





ギルドでは、パーティ単位でAランク専用の部屋へ入り、手続きを済ませ報酬を受け取った。

みんなかなりの額を受け取ってびっくりしてたけど、内訳を見る限りおかしなところもなく…。

私達は早急にお金を使わなければいけない事態になった。

今は特に買うものもないし、どうしようかと思ってたらギルドの人がアドバイスをくれた。


ドラゴライナ王国は、貯金と投資というものがあると。これは予想外だった…

ギルド経由で預けておけばいいだけみたい。

元々はお金をもらったらすぐに使ってしまう冒険者向けのシステムで、怪我をした時や引退後に備えて預ける人も今は増えてきていると。

それでも駆け出しみたいなギリギリの生活をしている冒険者は当然いるし、すぐに使ってしまう人も。

新人が最初の2年だけは無利子で借りれたりするのもこのシステムのおかげらしい。


私は現金が死蔵されるような事にならなくてホッとして、手持ちの8割ほどを渡した。

ギルドの人が金額を見て真っ青になって、上の人が来るくらいには多かったみたい。

アキナさん、どれだけくれたの…? (王族やべー!)

それだけ魔道具を評価して貰えたと思えば嬉しくもあるけど…。 (ママの魔道具だからね!)


年単位で預ければ利息も増えるらしいし、それでお願いした。

お金は動いてこそ。

投資で増える割合は少ないけど、元金割れはしない様にしてくれるそうだから安心だ。



ただ、色々と話を聞いて素敵だなと思ったのは、怪我をしたり、冒険者の家族を亡くした人達への保証にも使われるっていうところ。

冒険者は誰でも死と隣り合わせの仕事をしてるから、不満もなく上手く回っているようで、助かっている人も多いみたい。

始まりの資金はすべてアキナさんが用意したからこそ回っているシステムなんだろうけど、やっぱりすごいな…。


寄付も受け付けているって言ったから、大きな額を渡そうとしたら止められた。

一気に多額の寄付が入るとギルドとしても色々大変らしい。

なので、毎月の利子全部と、投資で元金以上に増えた分を定期的に寄付するようにしておいた。

それでけでもかなりの額になるそう。 (新人が一年食べれるくらい)


そうなんだ…。私は未だに異世界の金銭感覚がイマイチわからないからなぁ。 (そうなの?)

どうしても日本での感覚がぬけないってのも原因なんだろうけど…


例えば小麦だったとしてさ、日本なら個人だとスーパーで小麦粉としてしか買わないし、一年中買える上にせいぜい一袋数百円じゃない。 (うん)

でも、異世界だと…まんまモミ付きの小麦で売ってるのが殆どで、産地から近ければ安く、遠いと高い。その差額もすごい事になる。

それに季節外れだと小麦でさえ売られてなかったりもするのよ。 (小麦の基本価値がわかんなくなる)

まさにそれだね。不作ならバカ高くなるし、陸路で何かあれば季節だったとしてもお店に並ばない。

だから作物は栽培してる地方が一番安く買える。

酷いとその地域を治めてる人間のせいで税金も変わるから、値段も変わるし…。 (国で値段が違うみたいな…)

うん。同じ国内で、同じ硬貨を使ってても街毎で…、それこそ地球に例えるなら国が違うってくらいに、物に対するお金の価値が違ってくる。

そうなると日本で身に着けた金銭感覚なんて意味がないんだよ。 (一つの街から動かないなら?)

それなら問題ないだろうね。その街の価値観だけでいいんだから。

ドラゴライナ王国はまさにそうなんじゃないかな?この大きな街が一つだし、ありとあらゆる施設が城壁の中に収まってるからね。


これが、街や村が点在してるような国だと、辺鄙な所にある小さな村とかは、そもそもお金なんて使われてなかったりもするんだよ。 (物々交換)

うん。勇者としてそういう村へ行くと、何も買えなくて本当に困ったし…。 (どうしたの?)

村の困りごとを解決して、報酬として食料もらったりとか。 (苦労したんだ…)

今となっては懐かしいけどね。


まぁ、難しいお金の話は取り敢えずおいておこう。

今は、アキナさんに貰ったお金で、アキナさんの大切な国の人達の助けになるのならそれでいいや。

私の勝手な自己満足なんだけど…。 (誰も不幸にならないからいいの!)

そうだよね?


未亜達も、大金を持ち歩くのは心配だからって同じように預けてた。

みんな私と同じ方法にしてたけどいいのかな…。 (望んでしたからいいのー)

そっか。じゃあみんなの意思を尊重しよう。



いろいろな手続きをしていたから、ユウキ達と両親を随分待たせてしまった。

帰りの道すがら両親に魔法学園へ行くことになったと話をした。

アキナさんから話は聞いていたようで、特に驚きもされなかったのだけど…。


王族やら、継承権の話はうちの子達には爆弾発言だったみたいで…。軽いパニックになった。

「そんなに気にするようなことでもないよ?アキナが突然言い出したことだし。魔力量による継承権も、この国では当たり前のシステムだから、反発なんてないから大丈夫」

母さんがそう言ってみんなを落ち着けてくれたけど、すぐに話さなかった私はまた叱られるハメに…。

昨日の今日で話してる時間なかったんだもん!! (それは確かに!)


他国へ王族として留学する上での問題としては、私とユウキ以外、貴族社会に馴染みがないこと。

学園内はあまり気にしなくても良いらしいのだけど、知らないよりはいい。

私とユウキはある程度社交界での所作というのは習ってスキルとして持ってるから、それをみんなに教えることになった。

未亜を始めみんなが、ドラゴライナ王国の王族として他国へ行くのなら、ドラゴライナ王国の恥にならないようにしたいって自分たちから言い出した。

それは私もすごくわかるから、入学までの期間、一日1時間ほどを勉強に当てることになった。

「私が家の当主なのに、そういうの何も知らないよ!?」

「ナツハは他国へ行くわけでもないんだからいいだろ。お嬢様風なナツハとか俺は見たくないぜ?」

「それはそれで失礼だよ!」

両親はいいや。ほっとこう。



ギルドへの寄付の件はその日のうちにアキナさんに伝わり、ものすごく感謝されてしまった。

相変わらず情報が早いよ!! (ギルドマスターが…)

まさか奥さん? (知らなーい!)

意味深に言うから騙された! (そういう時もある)

まんまとやられたよ…謀ったなティー! (ふふふ…ママは自身の情報の少なさを知るがいい!)

なにこれ。 (始めたのはママ)



アキナさんに会えたからもう一つの用事もお願いすることができた。

「ハルナお姉ちゃんかぁ…。毎日、商売商売で、今は無理かなぁ…国交の話し合いの時間をねじ込むだけで大変だから。こっちへ来た本来の理由を分ってるのかさえ怪しいよ」

「そうですか…。では、お祭りが終わった後にしたほうがよさそうですね」

「そうしてもらえると助かるよー。会いたがってるって事だけは伝えておくね。 あの守銭奴はほんっとに…」

「ハルナお姉ちゃんは相変わらずだね?私も店には顔を出したけど、会えてないんだよね」

「ママのママのお姉ちゃんはーどんな人ー?」

「見た目は私達にそっくりで…」

「性格がきつくて…」

「「お金が大好き!」」

あんまりにもあんまりだ…。姉妹なんだよね!?

会うのが怖くなってきたよ…。 


「父さんは会ったことあるの?」

「いや?」

いや?じゃないんだよ…もう少し気にしようよ!

ユウキがポンコツになっちゃったから、父さんにしっかりしてほしいのに! (期待はしちゃだめー)

そうみたい…。

頼れるユウキ、カムバック!! (あいるびーばーっく!)

ティーはどこにも行かないでね。 (うん! ずっと一緒ー)

ふふっ。ありがと。




と、そんなこんなしてるうちに、あっという間に時間が過ぎて…。


この数週間にしてきた事といえば、地球に帰り学校へ行ったり、減ってきたストレージへ入れておくストックの食材も買い足してきた。

奈々と麻帆に異世界の学園へ行くことになった話をしたら羨ましがられたり…。


こちらの時間でも、後一週間で入学というところまで来てしまった。

勉強のかいもあり、社交ダンスに、礼儀作法などの所作等も、みんな基本は一通り覚えることができた。

意外かもしれないけど、リアが一番覚えが早かった。 (やんちゃなのに…)

好奇心が旺盛な分吸収も早いね。

一応参加してた母さんは問題外! そもそもやる気がないし、みんなの邪魔してただけで、終いにはユウキに追い出された。


そのユウキだけど、入学するとスピネルと一緒にいられない。

これは、スピネルが予定に入ってなかったからで、今更増やすこともできなくて…最終的にどうしたかって言うと、ユウキ付メイドって事にして一緒に行く事になった。

スピネルは初めこそ不服そうだったけど、離れ離れになるよりはと、諦めたみたい。

どれだけ好きなんよ…。私も”アスカお姉ちゃん“って呼ばれてるもんな。 (もう嫁気取りか!)

ティーのそれは誰目線? (小姑的な?)

まさか過ぎてちょっとおもしろかった。 (ウケたならヨシ!)


メイドとして行く以上、精霊だからといって姿が見えない相手が居るのはまずいってことになり、スピネル自身が誰にでも見えるように意識したらしい。

今まではユウキに不都合が出ない程度に見えるようにしてたのだとか。 (じゃあ街でのいちゃいちゃも)

普通に見えてたみたい。よく考えたら父さんがスピネルを見えてた時点でが気がつくべきだったんだけどね…。



私達もアキナさんが選んでくれたメイドさんと顔合わせをした。

何度かお屋敷に来てくれてた人だったからホッとした。

「獣人がいないって言われたから、人選が大変だったよー」

お手数おかけしました…。

メイドさんはケモミミと尻尾がもふもふの人が多かったもんなぁ。 (かわいいのにー)

ねー。最初にお世話になったのもみんなそうだったし。


3人のメイドさんはそれぞれ、ピナ、ラフル、フラウと名乗ってくれた。

立場的にはピナさんが一番上になるみたいで、私とティーがお世話になるのはピナさんだそう。

「よろしくお願いいたします。お嬢様、ティー様」

「こちらこそお世話になります」

「よろしくなのー!」

お嬢様とか…言われ慣れてないからムズムズする!! (アスカお嬢様!)

ティーまでやめてよ…。

「お嬢様がメイドに頭を下げるような事をしてはいけませんよ。王家のご令嬢なんですから」

ごめんなさい! 自覚がありません! と声を大にして言いたけどそうもいかない。

アキナさんの顔に泥を塗るような事態だけは避けなくては…。


未亜とシエルにはラフルさん。リアとティアねえ様にはフラウさんとそれぞれ付くことになった。

ユウキとレウィにはスピネルが嫌がったからメイドさんは付かない。

代わりにスピネルがしっかりとしたメイドとなるべく修行したらしい。

ただ、そこはさすが精霊。卒なくこなして、メイド長からも太鼓判もらってるんだとか。

精霊チートかよ…。 (ママ言う?)


それよりさー、アレだよ…。 (御主人様って呼ばれてデレデレしてるー)

うちの頼れる弟が…。 (ぽっと出の女に弟を取られたーって?)

言い方! でもそうなのかも。 スピネルのことは好きだけど、ユウキとの時間も欲しいよ…。 







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