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召喚被害者の日常は常識なんかじゃ語れない  作者: 狐のボタン
第五章

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憧れの…



せっかくアキナさんと二人きりだし、聞きたかったことも聞いてみよう…。


「あの…アキナさんに一つ質問があるんですがいいですか?」

「うん?いいよー。どしたー?」

「塔の試練の最後に王国の歴史が描かれてましたよね?」

「うんうん。私の大切な思い出だね!」

「そこに書かれてた言葉がずっと印象に残ってて…」

「嫁や子供が可愛い! ってやつ?」

「すみません、それではなくて…。 ”一人では成し得ないことも仲間や家族がいれば成し遂げられる。それを忘れるな。一人で出来る事になど限りがあるのだから“ って言葉です」

「あぁ! 実際みんなのおかげで王国を立ち上げて、ここまでやってきたからね」

誇らしそうにそう語るアキナさんは、やっぱりカッコいい。



「私は家族の事を大切に思ってるんです。でも…それでも、いつも空回りして。心配かけたり泣かせたり…そんな事ばかりしてしまって…。アキナさんみたいに上手く家族を頼るにはどうしたらいいですか?」

「あぁー! うーん…。それは多分アスカちゃんが飛び抜けてみんなより強いからじゃない?」

「えっと…?」

「例えばだけど、アスカちゃんでもやばい! って思うような相手が敵になったら誰を頼る?」

実際にあったな…あれはお祖母ちゃんだったからよかったけど。 あっ…


「お祖母ちゃんでしょうか…」

「そうだろうね。アスカちゃんと同等ってなると、うちのお母さんくらいしかいない。だからだよー」

どういう事だろう。

「わかんない?」

「はい…」

「アスカちゃんはどうしてもその強さから、みんなを頼る相手ではなく守る相手だと思っちゃってるんだよ」

それは…間違ってないかも。どうしても守りたい大切な家族だし。


「私も最初はそうだったからわかるんだけど…。 戦いながらも増えていく仲間や家族を守ることばかり考えてた。それでね、数に押されて…守りきれなくて、仲間を大怪我させちゃったことがあってさ」

思い出して話してくれるアキナさんが本当につらそうで…。


「その時、仲間の一人にひっぱたかれて、叱られたんだ…。一人で戦ってるつもりでいるのか?一人で全員を守れるわけがない! もっと仲間を、家族を頼れ! ってね。 自分たちは確かにセイントドラゴンよりは弱い。でも、何も出来ないわけじゃない! って。 頼らないのは信じてないのと同じだ。 とまで言われてショックで落ち込んだよ…」

………信じてないのと同じ…。


「アスカちゃんは今、そんな戦いの真っ只中にいるわけではないから、みんなの危険は私の時よりはずっと少ないよね?」

「はい」

「じゃあ考えてみて、ギリギリの戦い。守りながら戦うのは無理がある…そんな時に本当なら頼れるはずの相手に頼らずに、無理をして…大切な人を失う事になったら。どれだけ後悔するか…」

「辛すぎます…考えたくもないです」

「うん。いくらアスカちゃんが強くても、あれもこれも一人で全部できるわけじゃないんだから」

「はい」

「そういう時に、少しでいいから頼る事をまず考えてみるといいよ。それはなにも戦いだけじゃなくて、些細なことでいいんだよ。頼られた方は嬉しいはずだからね」

「わりました…」

「まぁ、アスカちゃんだと、自分でやっちゃったほうが早い、とか…咄嗟にまず守ることを優先するんだろうけど、こうやって私に相談したみたいにみんなにも相談するといいよ」

「はい…」

それを上手くできるのだろうか…。出来てないから困ってるわけで…


「って、偉そうに言ってるけど、私も自分でやっちゃおうとして、未だに嫁に叱られてるから同じだよ」

「アキナさんもですか?」

「そうだよ?だから冒険者なんてのを未だにしてるわけだし!」

「奥様達にやめるように言われませんか?」

「最初はすっごい言われた! 今はもう諦めたみたい」

「あはは…」

「難しく考えずにさ、失敗したら頼る、わからなかったら頼る、辛いときは甘える! それでいいと思うよ」

「はい。ありがとうございます」

アキナさんに同じだって言ってもらえて、なんだか嬉しかった。

すごい女王様だと思ってたアキナさんも失敗したり、叱られたりしてるんだって思ったら少し気が楽になった。


「私も家族なんだから。こうやっていつでも頼ってくれればいいよ。お姉ちゃん達が親なのにほったらかしてたから、誰かに頼るって事に慣れてないのかもしれないけど、これからは違うんだから」

「はいっ…」

優しく抱きしめてくれたアキナさんは本当に温かかった。



「あー! ママが甘えてるー!」

「ふふー。私の大切な姪っ子だからね! 私はめちゃくちゃに甘やかすよ! ほら、他にも甘えたい子がいたらおいで!」

「おー」

ノリのいいティーはすぐに甘えてる。

ティーたちも両親とのお話終わったのかな。 (うん! ママとユウキのことお願いって。みんな家族だから支え合ってほしいって)

そっか…。


「えっと…私もいいのですか?」

「今はもうお姉ちゃんの子でしょ?私にとっても家族だよ。おいで!」

「はいっ…」

「ほらほらーみんなも!」

戸惑ってるリアとティアねえ様も、シエルも…抱きしめられてた。

レウィは撫ぜ回されててちょっと違う気が…。嬉しそうだからいいのかな? (わんわん…)

フェンリル…のはず…。 (ドラゴンに匹敵する強さの…)

そうそう。国に現れたら絶望するレベルの…。 (レウィはそんなことしないから違うね!)

だね! 可愛いうちの大切な家族。それでいい。 (うん!)






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