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召喚被害者の日常は常識なんかじゃ語れない  作者: 狐のボタン
第五章

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共闘作戦



闇精霊の救出後、私達はそのまま固まって夜を明かすことになった。

「ギルドへ報告だけしてくるね。すぐに戻るから。アスカちゃん、うちの嫁もここにいさせてもらえる?」

「もちろんです」

「ありがと!」

アキナさんはお嫁さん達とハグをするとティアラを起動し転移していった。


日が昇るまで数時間はあるし、みんなにもう一度休むように言ったのだけど…

さっきのこともあるから素直にテントに入ってくれなくて。

「姉ちゃん、この子と僕が起きて見張るから休んで。魔力使ったでしょ?」

「そうよ、ますたぁ。私達がいるんだから〜。任せてほしいわ」

魔力も自然回復でほぼ戻ってるけど…それを言える雰囲気でもないか。 (ママがまずテントに入って!)

わかったよ…。


見張りをユウキとキャンディたちにお願いして、アキナさんの奥様にも休んでもらう。

簡易テントは持参してるらしいし。

魔力ドームも展開したままだから、何かあれば私にはわかる。

 

うちのテント内は空間拡張がかけてあるから広いし、ある程度の快適空間にはしてある。

魔道具の明かりに温度調節、人数の多い今回に合わせて寝るためのスペースも広めに確保するようカスタムした。

テント内の半分ほどが一段高くなってて柔らかくしてあるから、そちら側ならどこででも寝れる。

「レウィ入り口を塞いでて!」

「わう!」

どういうことよ…。

レウィはお気に入りのラグをマジックバッグから出して、出入り口前に敷くとそこで丸まる。

そこで寝られると、なにかあっても出られないんだけど…。


「お姉ちゃん、閉じ込められてて外の様子さえわからなかった私達がどれだけ不安だったかわかる?」

「それはごめん…でも許してくれたんじゃ…」

「そんなわけないじゃない! 許してほしかったら行動で示して!」

どうしろと言うのだろうか…。


「お姉様、今回はうちも怒ってるの…また前みたいなことになったらって…本当に心配したの…」

「そうだよ! ティーを始めみんなガチ泣きしてたんだからね!」

「そういう、ねぇ様だって!」

「あ、あれはみんなが泣くからつられちゃって…」

怒ってたんじゃ…。 (ママ…)


飛びついてきたティーを咄嗟に抱き止める。

「ママの声が聞こえないし、ティーの声も届かなくて怖かったの」

「ごめんね。まさかそんな事になってるとは思いもしなくて。みんなぐっすり寝てると思ってたんだよ…」

「私達は魔力に敏感なのよ?アスカの魔力が大きく動いたら気がつくに決まってるじゃない!」

リアに言われて、確かにその通りだなと…。



その後私の自由はなく、みんなに抱きつかれて動けなくなった。

シエルはこんな事しなかったはずだけどって思ったけど、不安にさせてしまったからか…。

涙目ですがりつかれたら何も言えない。


結局みんなそのまま寝てしまって、私は眠れないのだけど、心配かけた手前文句も言えない。

反省したつもりだったのだけどな…またやってしまった。

良かれと思ってやった事も独りよがりだったって事か。

アキナさんみたいに、自然体で家族に頼るのってどうしたらいいんだろう…。

直接聞いたら教えてもらえるかな…。

戻ってきたアキナさんの気配を感じて、そんな事を考えてた。




翌朝、みんなを起こして私も起きる。

目が覚めた時に私がいたのがよほど安心したのか、またみんなに揉みくちゃにされた。


今日もまだ狩りは続くからそろそろ離してね。 (むー!)

撤収の判断は各パーティの自由だから、撤収して街へ戻ってもいいよ。 (もう少しー)

ティーもそう言ってるし、みんなと相談。

今日はこのまま狩りをして、夕方に撤収するって決めた。


アキナさん達もまだ狩りは続けるようで、ヌシの事も解決したし、今日は一緒に行動する事になった。

ユウキは母さん達に報告に行きたいって言うから、またクッキーに案内をお願いした。

闇精霊の子も身体を取り戻したからか、昼間も普通に行動できるみたいだね。





共闘するならと、全指揮権をアキナさんにお願いして、戦い方を教えてもらう。

私は指揮して戦うとかそういう事には全くの素人だし。

一度戦ったからか、チョコ達の事も把握してて、指示に間違いがない。

私は守りの要として配置してもらった。

「いざって時にこの人数を一気に守れるのはアスカちゃんだけだからね!」

「任されました!」


戻ってきたクッキーは飛ばないように言われて、ティーが頭に乗せてる。

木々が鬱蒼としてて、夜かと思うくらいに暗いから…空から見ても何も見えないからかな。




「今日はこのまま更に奥へ進むから、みんな気をつけてね」

「ついに未踏エリアへ行きますか?」

「うん。この戦力がある内に見ておきたいからね」

未踏エリアなんてあるのか…。


「飛んで上から見たりしないのかしら…」

「上は上でいるんだよ。前に一度飛んだら囲まれて面倒くさい事になったから」

クッキーを飛ばさなかったのはそれが理由かぁ。

ドラゴンの中でも最強に近いアキナさんが警戒するほど?って、不思議に思い探索を広げたら、確かに群れが…。

この距離だと詳細まではわからないけど、結構な数がいるなぁ。


「アキナさん、群れがいるんですけどアレなんですか?」

「えっ?近く!?」

「いえ、まだ距離はありますし、気づかれてはいません」

「良かったぁ…ハルピュイアだよ。一匹一匹は弱いんだけど、数が多い上に、鳴き声で混乱させてくるから、本当に面倒くさくて。それにあの子達は森の掃除人とも言われてるから、あまり狩るのもね?」

「ママ、それなに?」

「頭と胴体が女の人で、手足が鳥の魔獣だと思うけど。 合ってますか?」

「うん。それそれ! 見た目は可愛いから人気なんだけど、鳴き声がひっどいの!」

アキナさんのパーティみんなが苦々しい顔をしてるから相当なんだろうな。

私の知ってるのだと、歌声はキレイで眠らせてくる。

特に男の人は狙われて巣に持ち帰られたら悲惨…。 (世界で違う?)

そうだね…。見た目は可愛いのは同じだな。 (ママが魔獣を名前で呼ばないのは…)

世界によって、微妙に名前と外見、特性が違うから、現地の人を混乱させてしまうんだよ! (ぶふっ!)

ハルピュイアも、ハーピィだったり、ハーピーだったり、色々なんだよ…。 (確かにめんどくさそう)

でしょ?だから、名前は呼ばないことにした。 (倒しちゃえばみんな同じ!)

そこまでは言わないけど。こうやって名前を聞けばある程度の予測はできるから。


それにしても混乱か。チョコ達は問題はないし、アキナさんもうちの家族も魔道具で状態異常にはかからない。

危ないのは、アキナさんのパーティの人くらいか。


「対策しますね。一時的なものですが状態異常を無効化させます」

魔道具を作ってもいいけど、ここでそれをするのも…。

アキナさんに断りを入れて、奥様達に状態異常無効化の魔法をかける。一日くらいなら保つだろう。


「助かるよー。この先は毒持ちや、石化なんかもしてくるから」

詳細を聞いたら、毒持ちっていうのは昨日、遠距離から倒したヘビの事みたいだね。

石化は大きなトカゲ。バシリスクかな? 

「後めんどくさいのはアラクネかな」

「お姉ちゃん、アラクネってまさか…」

「蜘蛛だね。私の知ってるのだと、女の人の上半身がついてる」

「そうなの?ここのは単にでっかい蜘蛛だよ」

それも違うのかぁ…。 (これはややこしい!)

でしょ?


未亜が震えてる。虫系はキツイよな…。

チョコに虫系が現れたら未亜を翼の中へ隠してもらえるようにお願いしておく。

リア達は別に平気なようで…

「蜘蛛くらいブレスで終わるわね」

「うんうん。、食べても美味しくないし」

いや。食うんかい!! (丸かじりドラゴンだし…)

そういえば…。最近は普通に食事をしてるから忘れてたわ。リアもそれで落ちたんだったな…。


「陛下、ここまで来てるのに全く襲われないのはおかしくないですか…?」

「うん。今までなら何度も戦ってたはず…って! アスカちゃんがいるからか!」

「はい。魔力に怯えて遠巻きにしてますね」

「アスカちゃんがいるだけで魔獣よけになって最深部まで行けそうだよ…」

「私達そんな人を相手にしてたなんて…」

「ますたぁ、魔力隠蔽オンにしてあげたら〜?」

「いやいやいや! 安全に調査できるならその方がいいから! アスカちゃんそのままで!」

「了解です」

キャンディも冗談で言っただけみたい。 (悪いこー)

それでも、腕に絡みついたりせずに周囲を警戒してくれてるんだから。 (まぁ…) 



ハルピュイアも私の魔力に気がついたのか群れごと固まっておとなしくなったな…。 (おおーかわいい!)

見に行ったの!? (気になって…)

…どうだった? (たしかにかわいい! 飼いたい!)

それはやめよう。鳴き声がひどいのはちょっと…。 (教えたら…)

無理でしょ! (ちぇー)


そのまま私達は、森の深部を目指して進んでいった。










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