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召喚被害者の日常は常識なんかじゃ語れない  作者: 狐のボタン
第五章

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闇を救うには



”姉ちゃん?何かあった!?“

「危険はないから大丈夫。ただ、ヌシらしき相手には会えたよ」

”…またなんか嫌な予感がするんだけど。前みたいに捕獲したとか言わないでよ“

「ユウキ、精霊と契約してみない?」

”は…?唐突に何を…。大体、僕はあまり精霊に対して適正ないんじゃなかった?”

「いや、ユウキも母さんの血を引いてるんだし、この子はユウキが一番相性がいいと思うよ」

”よくわからないけど…そういう事なら直接話を聞いてみたいな”

「じゃあ、クッキーにそっちへ行ってもらうから、一緒にこっちへ来てくれる?」

”今から!?”

「夜の間じゃないとダメなんだよ」

”わかった、母さんたちに説明するから待って”

「じゃあ、アキナさんへも伝言するから、その後そっちへ迎えに行ってもらうね」

”了解”

ユウキとの通信を切った後、アキナさんへの手紙を書いて、クッキーにお願いして届けてもらう。


「クッキー、お手紙を届けたらユウキと合流して、ここまで連れてきてもらえる?」

「ますたぁのお願いなんだから頑張るのよ〜」

クッキーからは私のお願い事が嬉しいっていう感情が伝わってくる。ありがたい事だよ。

足で手紙を掴むと、すごい速さで飛んでいった。まるで青い流れ星…。

「クッキー、気をつけてね…」


「私はどうしたらいいの?」

不安そうな闇精霊。無理もないか…。

「相性の良さそうな子を呼んだから、一度会ってみて。もし契約してもいいって思えたら契約すればいいよ。無理強いはしないから。契約しない場合も何か封印を解く方法は考えるから」

「ありがとう…。でもどうしてそこまでしてくれるの?」

「私も精霊にはお世話になってるし、ママって呼ばれてるくらいだからね」

「…ママ?」

ユウキを待つ間、リコやツキ、ニレとの出会いを闇精霊の子に話して聞かせた。



しばらくして、ユウキより先にクッキーからの手紙を見たアキナさんたちのパーティが合流。

本人にも会ってもらって、確認してもらう。

「確かに…そんな話を聞いた覚えがあります…」

「そうなの?それ、みんなにも話してくれる?」

奥様のエルフさんが思い出したようで話してくれた。


「はい陛下。 当時はエルフも戦いに明け暮れていたので、無理な契約をしていたと…。結果、精霊が減り…この大陸のエルフ種族そのものが精霊からの信頼を失ってしまったので、今では禁忌としてその方法は伝わっていません。長老達なら知っている者もいるかも知れませんが…調べますか?」

「いや、やめておくよ。知る必要のない知識だし、忘れてなくなるならそれでいいからね。ただ、そういう事があったと、二度と繰り返さないように、教訓としてはしっかりとこの話を伝えるようにして」

「わかりました。通達しておきます」

やっぱりエルフの人だと詳しいな…。

それにしても、アキナさんの対応はさすがだなぁ。

方法は忘れ去られて構わないけど、同じ事を繰り返さないようにはする、かぁ。

長く国を統治する女王陛下はすごい…。


「ごめんね、辛い思いをさせたみたいで。この国を治める者として謝罪させてもらうよ」

「…貴女は悪くない。でも、エルフは嫌い」

奥様のエルフさんがしょんぼりしてしまう。

リコのところのエルフやシエルを見てると、精霊はエルフにとって特別な相手だろうから嫌われるのは辛いだろうな。


「今はそれでも仕方がないかもしれないけど、同じようなエルフばかりじゃないって事はわかってね」

「うん…」

この辺りのエルフが、今は嫌われてるとしても、これからは変わっていくといいな。


「そういえば、アスカちゃん。相性のいい相手って?」

「弟のユウキです…」

「あぁ。確かにお姉ちゃんの血を引いてるしね。でもそれならアスカちゃんでもいいんじゃない?」

「無理。力が強すぎて、私が耐えられない」

私が答えるより先に闇の精霊に拒否された…。


「今はかなり弱ってるそうですし…」

「万全でも無理」

私は精霊に酷いことしないよ!?



そんな話をしてたらユウキも小さいクッキーを頭に乗せて到着。

眼帯して、例の特攻服みたいなのを着てるのはもう放置しよう。

母さんたちも止めようよ…。


というか、母さん達とは別行動したのか。てっきり一緒に来るかと思った。

まぁ、ユウキならこの森でも大丈夫だし、クッキーもいるなら問題はないけど、よく母さんが別行動を許したな。

「クッキー、ありがとね。お疲れ様」

嬉しそうに羽ばたくと、また上空へ戻っていった。


「ユウキ、母さん達は?」

「母さんは寝てたから、父さんに言ってきた」

「それ、大丈夫なの?起きてから母さんが怒らない?」

「父さんがなんとかするって言ってたから任せたよ。それより姉ちゃん、精霊って?」

「川辺にいるあの子だよ。話を聞いてあげてくれる? その上でお互いに納得したのなら契約も考えてみて」

「わかった。まずは話してみるよ」

私達は離れて、ユウキと闇の精霊の子が話すのを見守る。



「アキナさん、多分ヌシはあの子のことだと思うんですが…どう思いますか?」

「そうだね。確かに襲われたって報告もなかったし、話しとしては合ってるかも」

「陛下、目撃報告も夜だけなので、おそらくは…」

「そうなの!?」

慌てて報告書を確認するアキナさん。


「ホントだ…見逃してた。ありがと。私は頼りになる嫁がいて助かるよ」

「いえ、私達は陛下をお支えするのが役目であり、生きがいですから!」

目の前でイチャイチャされるのはちょっと困るけど、アキナさんが塔の試練の最後に書き記してたあの言葉を目の当たりにした気がして、なんだか嬉しかった。

私もこんなふうになれるかな…。なれたらいいな…。



「姉ちゃん、ちょっといい?」

「うん?」

精霊と話してたユウキに呼ばれて二人の元へ。

「契約するには封印されてる場所へ行って、本体に触れなきゃいけないみたいなんだけど、本人も場所がわかんないらしくてさ。どうにか見つける方法ないかな?」

「ごめんなさい。自分のことなのに…」

落ち込む精霊が可哀想で…早くなんとかしないとって焦りばかりが先に出て、頭が回らなくて方法が思いつかない。


「姉ちゃん、みんなは?」

「…え? あぁ。もし戦闘になったら危ないと思って、魔法防壁と遮音魔法で包んでるよ」

「寝てるのを起こすのは申し訳ないけど、みんなにも知恵を借りられないかな?特に契約してるシエルとルナティアは何かわかるかもしれないし」

…そっか。また私は一人で考えてたんだ。ついさっきアキナさん達のやり取りを見て、見習おうって思ってたところだったのに。


「ありがとう…ユウキ。そうだよね。みんなにも頼ろう。リコも呼ぶよ」

「うん。そうしてくれると助かるよ」

やっぱり私は一人では何もできない。みんなを頼らないと!


防壁を解除して、みんなを起こ… (ママの全力の防壁に阻まれて出られなかった!!)

え? もしかして起きてたの? (遮音魔法のせいなのか分体の声もママに届かないし!)

ごめんね。まさかそんな事になってるとは…。 (静かだと思わなかったの!?)

寝てるんだとばかり…。 (ティーは怒ってます!)

ごめんなさい! (みんなも怒ってるからね!)



寝てるとばかり思ってたみんなは、私が防壁を展開した時点で異変に気が付き起きてたらしい。

ただ、出られないし、遮音をしてたせいで声も届かない。

頼みの綱のティーの声さえ私に届かなくてお手上げだったと。

当然めちゃくちゃ怒られました…。

シエルとレウィにまで怒られるとは…。


危険はなかった事や、現状の報告をして納得はしてもらったけど、許してはもらえなかった。

「ユウキ、どうしよう…」

「いや、どうしようって言われても。姉ちゃんがみんなを守りたくてやった事なのは伝わってるだろうし、落ち着けば許してくれるんじゃない?」

そうならいいのだけど…。 (ぷんすこ!!)

ごめんってば…。 (ママはちゃんと反省して! そしてもっと頼って!)

はい…。


怒ってて私の話は聞いてくれないけど、ユウキのお願いは聞いてくれてるから、闇精霊の封印場所を探す方法をみんなで考えてくれてる。

「ママはまた何をしたのよ…」

「またって…。良かれと思ってしたことが裏目に出ちゃったんだよ」

急遽呼ぶ事になったリコにまで叱られるとは…。

「私もママが呼ぶのならすぐに来るから頼ってほしいわ。特に精霊に関係することならね」

「ありがとリコ。あの子を助けてあげたいから力を貸してね」

「もちろんよ。とは言え、今のところ手がかりは全くないからもう少しあの子と話してみるわ」

「うん。お願いね」


私は離れてみんなを見守ることしかできない。


「ねぇますたぁ。もしよ?ますたぁが何かを封印するとしたらどこにする〜?」

「そうだね…人の目に触れないように、高難度ダンジョンの奥深くとか、洞窟の中とか…?」

「ダンジョンはないけど、洞窟はいくつかあって見てみたけどいなかったわよ〜」

「洞窟だとしたら封印した後に私なら崩すけど…」

「……どういうこと〜?」

「だって封印したものを、人や魔獣に見つかるような状況には置かないでしょ」

あ、そういうことか!


「キャンディ、洞窟はいくつあった?」

「2つね。どっちも大して深くはなかったわ〜。片方は魔獣の巣になってたわね」

「魔獣のいない洞窟があったの?」

「ええ。浅い上に崩れてて…まさかますたぁ!?」

「うん、調べてみる価値はあるかもしれない」

キャンディは崩落の危険もあるからと霧化して調べに行ってくれた。

そこにいなかったら…また振り出しになってしまうな。









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