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召喚被害者の日常は常識なんかじゃ語れない  作者: 狐のボタン
第五章

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トラブル、からの…



転移で、先にみんなをドラゴライナ王国へ送ろうかと言ったんだけど、前回のトラブルがどうなったかの結果が気になるから、全員私についてくるって…。

毎回心配かけてごめんよ…。 (ママは悪くないの!)



いつも通り転移した客間にはすでに王妃様とシルフィー様が待機してた。 (ティーが教えたー!)

ご苦労さま。いつもありがとね。 (うん!) 

あれ…アルフィー様は? (お昼寝してるから、お祖母ちゃんがみてるの)

それなら安心だね。 (それより気にするべき人が!)

だよね…。


一人、知らない女性がいるのはどうしたものか…。服装からして高貴な身分なのは間違いないと思う。

なんとなく予想はつくけど、当たっててほしくないなぁ。 (多分合ってる!)

ですよねー。金髪碧眼って陛下と同じだし…。


挨拶の後、紹介されたのは案の定、陛下のお姉様。

つまり、グリシア王国の王妃様で、魔法学園の学園長。名前はフォーラと名乗ってくれた。

「この度はうちの教師が不快な思いをさせて申し訳ありませんでした…」

頭を下げてくれるけど、立場のある人だからすぐに止める。

こっちも恐縮してしまうし。


事の経緯を詳しく聞くと、そもそもの発端は、あるある王子が魔法学園へ留学していた時に、私の話を学園長にしたのが始まり。 (またあいつか!)

私の魔法や魔道具と比べて、学園のは微妙だーとか言っちゃってくれたらしい。

ヤレヤレだよ。


学園長が王子から話を聞いたのは、強力な魔法に、魔道具の技術、それに召喚獣。 

ほぼ全部話してるな…。 (アイツほんと…どうしてくれよう)

学園長としては教師として呼びたいくらいだ、と王子と冗談混じりに話していただけだったらしいのだけど…。


その話をどこからか聞きつけたカロリナさんは、似たような人をスカウトして、王子のいなくなった後に、王子の話てた人って事にして連れていけば、学園内で発言権が大きくなるし、プラスで自分の都合のいい手駒にでもしようと考えてたみたい。

まさか声をかけたのが、王子の話してた、正にその本人だとは思いもしなかっただろうけど…。


お祭りに誘われたのは本当で、ドラゴライナ王国で候補者を探してた理由は、ドラゴンや獣人、エルフが多く、元々の魔力が高い人や、冒険者も強いから探しやすいと思ったからだと。

悪質なのはグリシア王国と正式な国交がない国だから、多少無茶をしても学園にはバレないから、咎められないだろうと考えてた事だろうな。


元々、先祖が他国の出身だというのは知っていて、ドラゴライナ王国へ来た時に、この国の出身では?と興味本位で先祖の事を調べたらしい。

その結果、ドラゴライナ王国でアキナさんと遠い親戚にあたるっていう立場を知り、それを利用した。

私以外にも何人か同じように声をかけていたらしく、そっちも報告が上がってきていると。


よくそんな昔の親縁関係がわかるなぁと思ったら、ドラゴライナ王国では建国当時から、かなり細かく戸籍が管理されてるようで、今は私達もアキナさんの親類としてちゃんと登録されてるらしい。 (ティーは…?)

その辺は気になるだろうからって、王妃様がアキナさんに確認してくれてたよ。

私の子供として登録してもらえたって。 (わーい♪)

私もこれはすごく嬉しかった。気持ちとして大切な子として思ってても、やっぱり国からのちゃんとした保証というのは特別なものだからね。 (ティーはママの子〜♪)

ティーも嬉しそうでなにより。アキナさんにお礼言わなきゃ。


「(アスカちゃんは無邪気に喜んでるけど、この意味をわかってるのかしら…)」

「(お母様、良いではないですか。お祖母様が…ひいてはドラゴライナ王国が後ろ盾になってくださるのなら)」

「(本当ならうちがそうなりたかったのに!)」

「(すでにジルスがアクシリアス王国からの留学生として行っている以上、それも難しいのでは…)」

「(そうなんだけど! お祖母様にアスカちゃんをとられたみたいで悔しいのよ…)」

「(元々、親族としてはあちらのがずっと近いのですから仕方ないです)」

「(なんでシルフィーはそんなに冷静なのよ)」

「(いえ…王族と王族なら何も問題ないですし)」

「(シルフィー、貴女そんなに強かだったかしら?)」

「(お母様酷いです! ライバルが多い以上、私は頭を使うしかないのです!)」

「内緒話ー?」

「えっ…ティーちゃんが気にするようなことじゃないのよ?そうよねシルフィー」

「は、はい!」

「…ふーん?ママのこと?」

「身分がちゃんと保証されて安心したって話てたのよ」

「はい、アクシリアス王国ではあくまでも国賓というだけでしたから…」


ティーどうかしたの? (ううん。なんでもないの!)

そう?




みんなが気にしてるカロリナさんの処罰としては、グリシア王国側は魔法学園を追放。

国際問題だから、学園側も早々に切り捨てたみたい。 (トカゲの尻尾切りー)

そう言えなくもないのかな…。

ドラゴライナ王国の法で裁かれることになるんだとか。

自らドラゴライナ王国で、アキナさんの親類を名乗った以上、グリシア王国も口を出さないらしい。

だから、あとはアキナさんの采配次第になる。刑罰については私は関与できないしお任せになる。

「カロリナは出世欲が強くて…副学園長の筆頭にでもなろうと考えていたようね」

「そうですか…」

学園長は代々王妃様が務める決まりらしく、流石にその地位は狙えないからって事かな…。


更には…学園長はグリシア王国代表として、アクシリアス王国へ来ていたアキナさんとも話をしてて、国交を結ぶ方向で話も進んでいるそう。

細かい事や難しい事はわからないけど、いろいろな国が仲良くなるのはいい事だよ。 (平和が一番!)

全くそのとおりだね。実際に違う世界でひどい戦闘を見てきてるから余計にそう思うよ…。 (ママ…)

ごめんごめん。大丈夫。 (辛い時はみんなに話すの!)

その時はそうするよ。



「ねぇアスカちゃん。 こうして会えたのもなにかの縁だし、本当に教師になってみない?報酬は希望額を用意するし、衣食住すべてこちらで保証するわよ?」

「申し訳ありません…。お断りさせてください」

「ほら、だから言ったじゃない。アスカちゃんは報酬には釣られないって!」

王妃様と何を話したのやら…。 (ママをスカウトしていいか?って…王妃様はママの判断に任せるって)

そう…。


「普通なら飛びつくのよ?うちの魔法学園って超エリートだし…。カロリナみたいなのなら泣いて喜ぶわ」

「叔母様、アスカ様をあのような者と比べるのはやめてください!」

「シルフィーちゃんが厳しいわ…。 それならこうしましょう?」

そう言って出された条件は確かに心を動かされるだけの内容だった。


まず、まだ魔法に慣れない未亜が生徒として入学できる。

しっかり基礎から学ぶのは大切だし、未亜も興味があるみたい。

私は、師匠から肉体言語で教わったから、未亜にちゃんとした基礎を教えてあげられていないし…。


そして、魔法学校では魔装といって、魔法効果や魔道具を付けることを想定した、服飾科があると。そこにシエルを。これは行かせてあげたいなぁ…。


冒険者科に興味を惹かれたのはユウキ。

他にも色々な学科があるから、うちの家族みんなが通ってもいいって。

「因みに託児所もあるから。 まぁ教師や、職員用だけどね」

それはティーの事かな? (お子ちゃま扱い…)

見た目はそうだからなぁ。 (解せぬ…)



「貴女次第よ?」

「私ですか!?」

「教師が嫌なら生徒として通ってくれればいいのよ。召喚術、魔道具、色々学べるわよ?」

確かに私もちょっと気になるけど…。それ以上に、うちの家族が通えるのは魅力的だ。

ドラゴン姉妹も学校には憧れがあるみたいだし…。

リアは地球の学校にも最初はすごい興味を示してたもんなぁ。

こっちで学園に生徒として行けるのであれば通わせてあげたい。

その為には私も通わざるを得ない訳で…。


「アスカちゃん、バランスを取るためにもお願い」

「王妃様、それはどういう事ですか?」

「アスカちゃんはアクシリアス王国に、魔道具の新しい技術を伝えてくれたわよね?」

「そんな大したことはしてませんが…」

「…そこは突っ込まないでおくわ。 うちとグリシア王国は、陛下のお姉様が嫁ぐくらい仲がいいのよ」

政略結婚ではなく、仲がいいから嫁いだのかー。そういうパターンもあるのね。

距離はあっても、商隊キャラバンや、冒険者の行き来もあるようで、国境もチェックはあれど、開かれているらしい。


王妃様の言いたいことは理解できた。

「片方だけに新しい技術が偏るとマズイってことですか?」

「そういう事ね。 ジルスが余計な事を言わなければこんな事にはならなかったのだけど…」

「セルフィー、それはひどいわ! こんな面白い子を隠しておくなんて」

面白いって…。 (魔王とかは隠してくれてるから)

そっか。それには感謝するけど。


「それに、アスカちゃんも、こちらの魔法や魔道具のレベルを知る、いい機会だと思うわよ?」

私がやらかすからかな!? (ノーコメントで!)

肯定してるようなものよね…それ。



「うちも技術は広めてないのだから、そっちも広めたらだめよ!」

「わかってるわ。長らく停滞気味なうちの刺激になってもらいたいだけよ。魔法や魔道具の危険性は私だってよくわかってるもの」

二国の王妃様によって、私は追い詰められていく。 (逃げ道なし?)

ぽいね…。


家族達は乗り気だし、これでダメだといったら悲しむだろうしなぁ…。

ティーはどうしたい? (いつも通り、ママについてくだけ!)

そっか…うん。わかったよ。 


「わかりました…生徒としてお邪魔させてください」

「本当!? やったわー!」

「ちゃんと返してよ! アスカちゃんは私のお気に入りなんだから」

「それを決めるのはアスカちゃんよー?」

「叔母様、ダメです」

シルフィー様の声が怖い…。 (ママは渡さないって事かな!)

…ノーコメントで。 (ママに特大ブーメランどーん!)

うぐっ…。 

 

「はいはい。わかったわよ…。他国からの留学という扱いになるから、専用の屋敷を用意するわね」

「アスカと離れずに居られるってことかしら?」

「そうよ。選んだ学科によって、授業はバラバラになる事もあるけど、それ以外は一緒にいられるわ。学生専用の商店街エリアもあるから、放課後や休日はデートしてる生徒も多いわね」

「「「デート…」」」

………。 (狙われるママ…)


「あの、レウィはどうなるんですか?」

「召喚獣を持ってる子は出したままにしてる子もいるから、召喚獣って事にしておくわ。うちは獣人が少ないから目立つのよ。今は余計なトラブルを避けるためにもそのほうがいいと思うわ」

「レウィはそれでもいいの?」

「わう?主様と…みんなと行けるなら大丈夫!」

「そう?レウィがいいのなら…」

「姉ちゃん、それなら僕がレウィと一緒にいてもいい?」

「それは私じゃなくて本人に聞きなさい」

「そうだね。 レウィ、僕の召喚獣ってことじゃダメかな?一緒に冒険者になろう」

「わう! 主様の許可がもらえるのなら」

「いいよ。レウィの好きにしていいから。せっかく行くならみんなに学園生活を楽しんでもらいたいからね」


シエルも地球で使用してる耳を偽装させる魔道具をオンにしておかなければならないから申し訳ないけど、服飾の勉強ができるって事のほうが大きいようで、気にしないと。

独学であれだけの服が作れるシエルがちゃんと学んだらどうなるのか…私も楽しみ。


正式な入学の手続きには少しかかるらしく、その間私達はドラゴライナ王国のお祭りに参加しながら待つことになった。

え?ちょっと待って! そんなすぐなの?気が早くない!? (学園長がノリノリだし!)

なんてこった…。

ドラゴライナ王国のお祭りもあるし、お店もあるのだけど…。 (アキナさんにも話は通ってるよ?)

それ、完全に外堀埋められてるやつ! (籠城さえ許さないスタイル)

本当よ…。私には”はい“の返事しかなかったのではないだろうか。



学費も、衣食住も全部保証されるのは他の生徒も同じらしい。

さっきそれを特別みたいに言ってなかった!? この学園長、策士だよ!! (外国からの入学にはお金かかるから)

あー、なるほど。それならありがたいのか…。


競争率も高く、エリートが通う学園のようだけど、うちの子達の魔力量なら問題ないみたい。

王妃様の鑑定結果を聞いた学園長がびっくりしてたくらいだし。

ティーも、もう少し大きければ一緒に通えたけど、仕方ないか。 (本体は託児所にいても、ママのそばにいるし!)

そうだね。みんなの事も見ててあげてね。 (任せて!)


留学生は自由登校だって言ってたから、帰りたい時は帰ればいい。

まさか異世界でも学園に通う事になるとは…。 (わくわく!)


取り敢えず今は学園も冬休み期間みたいだからね。

私達も、もう暫くドラゴライナ王国のお祭りを楽しもう。

ギルドカードをもらった理由も知りたいしね! (ひゃっはー! するの!)

どゆこと!?







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