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召喚被害者の日常は常識なんかじゃ語れない  作者: 狐のボタン
第五章

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日常と非日常の合間



準備期間に一週間、お祭りは最初の5日間を私達は参加して、その間毎日お店を開けてみんなに遊んでもらえた。

私達も午前中はいろいろなお店を回り、お祭りを堪能させてもらった。


お店で忙しい両親はドラゴライナ王国に残したまま、私達は一度地球へ帰ることに。

ルナシアさんとフィア、ニレもドラゴンの里へ送り届けた。

帰るのを嫌がるかと思ったけど、やっぱり自宅は落ち着くみたいで、ワガママも言わなくて助かる。

街へ出かけられただけで満足してくれたみたい。


お祭りの間は喚んであげられなかったチョコ達もドラゴンの里で出してあげて、しばらく一緒に過ごした。

ドラゴンと一緒になってスモーク魔道具で遊んでる姿をキャンディと見守ったり、ドラゴンに頼まれて模擬戦をしたりと、少しは楽しませてあげられたかな…。

キャンディはずっと私にくっついてたけど。 (ママにべったりー。ティーのママなのに!)

ティーは模擬戦に参加してたしなぁ…。

ドラゴン相手でも、うちの子強い。 (ふっふーん!)



私達も、あまり長期間異世界にいると時間の感覚やらがおかしくなるし、記憶も怪しくなる。

これは私だけかもしれないけど…。

時間は戻せるとはいえ、いい加減学校には行かなきゃいけないから帰る。一応、まだ学生だしね。




ーーーーーー

ーーーー

ーー




本格的に梅雨に入った地球の自宅は、暑さと湿気がひどい。

ドラゴン姉妹が予想通り、かなり辛そうにしてるから、適度に周囲の湿気を吸い取ってそれを氷にし、自分の周りを冷やせる魔道具を作った。

湿気が無くなってきたら、魔道具に魔力を補充すればいい。

湿度を適度なバランスに留めるのが一番苦労した…。

女の子は髪留め型、ユウキはキーホルダーになってて、家の鍵につけて持ち歩いてる。

レウィは首輪にぶら下げてあげた。魔石が鈴に見えなくもないから大丈夫でしょう。


ぶっちゃけこれをつけてれば周りの水分を吸収しちゃうから、雨に降られても濡れなくなったのだけど、外出時は傘をさすとか、カッパを着るなりしないと不自然になる。 (雨が避けてるみたいになっちゃう)

そんな不思議人間いたらダメだね! (まおいう?)

魔王が言うなって事!? (にひひ♪)



個人用に作ったこの魔道具のおかげで、今年は湿気とも暑さとも無縁の夏を過ごせる様になった。

暑さをよく知ってるユウキと未亜の喜びようは相当なもの。

私自身、今は髪が長いから楽ができるのは願ったり叶ったりだ。

魔法を使わずに長い髪を乾かすのは本当に大変なんだよ…。

短くしたいけどみんなが許してくれないし。 (長いのきれーだから!)



学校で涼しい顔をしてたら麻帆に怪しまれるし、私にくっついてれば涼しいと気がついた奈々が離れなくなった。

「普通はくっついたら暑いのに…アスカの傍だけなんか涼しい!」

気分的には暑苦しいのだけど?

「…どうせ魔法とかなんかでしょう?ズルいわ」

欲しいなら作ろうかとも思ったけど、麻帆が遠慮した。返せるものがないって。気にしなくていいのに。

「快気祝いの食事代も全部出してもらったのにダメよ。 私も家族を連れて行くつもりで予約しようとしたら、値段を見て青ざめたわよ…」

確かに一人1万とか学生にはきつい。私も換金ができて無かったらお小遣いじゃとても無理だった。

ランクを下げればもう少し安いけど、ファミレス感覚でいたらびっくりするだろうね…。

奈々に至ってはカラダで払うから! とか言い出して、麻帆に叱られてた。



そのお店にはうちの子達みんなを連れて行ってきたと二人には言えない…。

大喜びしてくれたから予約したかいもある。


レウィを本当に連れて行って大丈夫か不安だったのだけど、見た目は大きな犬にしか見えないからか、お店の奥様に気に入られて撫ぜ回されてた。

「うちでもこんな大きな犬飼たいわ。でも食費とか大変よね…」

その子、何でも食べます。なんなら私達しか見てない時はスプーンやフォークも使ってます。とは言えない…。

犬用に特別な食事まで出してくれて感謝しかない。

少しもらって食べてみたら薄味で体に良さそうな味だった。

レウィにはあてはまらないけど、本来犬が食べたらいけない食材を避けてあると言ってた。玉ねぎとかかな?


ティーとドラゴン姉妹は見た目にそぐわない量を平らげていく。

「ねえ様、そっちの肉もとって! その唐揚げも!」

「じゃあ私はそっちのパスタ! 唐揚げは私の!」

「あっ! それティーの肉!! むきゃー!!」

「ティー、私のあげるから」

「ありがとママ!」

今日は持ち帰る分なさそうだわ。


未亜は食べながらも味を再現できないかと頭を悩ませてる。

「お姉ちゃん、これの味付けわかる?私は食べてもわからなくて」

「うん。物に関しては鑑定ができるからね。詳細までハッキリとわかるけど…お店のオリジナルだから、それをそのまま真似する事はしたくないかな」

「…そっか。それは確かに。作ってる人の努力の結晶だもんね」

「そういう事だね」

わかってくれて嬉しいよ。


「お姉様もモノづくりをするから…?」

「そうだね。あくまでも参考にするに留めて、それを自分なりに発展させたり、新しいものにしたり…その方が楽しいでしょ?」

「うん! うちも服を作るときにそうしてるの…」

「へぇー。シエルもちゃんと考えてるんだな」

「お兄様ひどいの…」

「ごめんごめん。うちの妹は偉いなって思ったんだよ」

そう言ってシエルを撫ぜるユウキは確かに兄の顔をしてた。


今回はテーブルの上の料理をきれいに平らげたのだけど、お土産は別にちゃんと渡してもらえた。

季節的に暑くなってきたからか、クーラーボックスに入ってたのはフルーツゼリーや、シャーベットなどのデザート類だった。

お腹いっぱいになって、お店で苦しそうにしてたはずなのに、帰宅後のデザートは別腹とばかりに食べだすうちの子達。

私はとてもじゃないけど食べられないから、異世界へのお土産にするつもりでストレージへしまった。




別の日には…学校から帰った後、レウィの散歩がてらお狐様にも近況報告を兼ねて会いに行った。

カエルさんのカッパを着て長靴をはいたティーが可愛すぎてツラい。 (ママが選んでくれたー!)

絶対似合うと思ったんだよ。 (♪)


お狐様へのお土産はティアねえ様の希望できつねうどんを大量に作って持って行くという、とんでもない事をした…。

まぁでも、喜んで食べてくれたから良しとしよう。

神社には誰もいなかったから大量のどんぶりも出したりできたけど、神主様に見つかってたら驚かれただろうな…。

お社は小さいから、お狐様の許可をもらって魔力ドームで雨よけの屋根を作ったりもした。

「相変わらずとんでもない力をしとるの…。おかげで子らと上手いものを食えるから何も言えんが…」

と、少々複雑な様子だった。 (でもきつねうどんは喜んでた!)

うん。 ただね?きつねうどんって雨の中持ってくるものではないわ…。 (そもそも持ち歩くものでもない)

確かに! ストレージがあるから出来るだけだよね。


神社の境内は紫陽花が満開で、その周りを飛ぶ小さなお狐様が可愛くて…。

スマホで撮影したけど、お狐様は写らなかった。

カメプロではバッチリ写ったのはナイショ。 (それでも、見えない子には見えないけど!)

そうね。ユウキやリアには光にしか見えないのは変わらなかったし。

紫陽花と写るカッパ姿のティーは私のスマホの待受にした。 (照れます…)



もう一つ…。

学校でも事件というか変化があった。

毎週金曜日が私服登校になるという、ちょっとよくわからないルールができた。

なんでも今年の秋の文化祭は私服でやる事になったとかで、それに合わせて実験的なものだと生徒会長から朝礼で発表が。

「今年も文化祭は地元の人達に開放されます。学生として恥ずかしくない服装を心がけてください。皆さんの普段の服装チェックも兼ねていますからね」

と…。 去年がどうだったか覚えてなくて、後でユウキに聞いたら私達は喚ばれてて参加してなかった。

それは覚えてないと言うか知らないはずだわ。


私服登校に関して、奈々が保険の先生から聞き出した実際のところは、私と奈々、麻帆が校内で私服に着替えたのが原因らしい。

「アスカの私服姿を見れなかった生徒会がゴリ押しで通したらしいよ」

「……」

「なによそれ…職権乱用じゃない」

「元々文化祭は私服でって話は出てたらしいから、最もな理由として先生達も納得したみたいよ?」

「だからって、文化祭まで週一で私服登校とか…無茶苦茶よ」

コーディネート考えるのめんどくさいな…。

強制ではないらしいから制服でも良いのだけど。 (ママが制服できたら生徒会の思惑が…)

一度くらいは私服で来るべきかぁ。

シエル、頼らせてね…。 (話したら張り切ってるからへーき!)

そっかぁ…。モールにある布生地とか扱ってるお店に連れて行ってあげよう。

こちらの素材で作らないと不味いし…。


そういう訳で、食材の買い物とシエルの作ってくれる服の材料を買いにモールへもでかけた。

未亜とユウキの服も作ってくれるって言うから、色々布生地を買い込んだ。

「お姉様、この布すごい! 手触りがいいの」

目をキラキラさせて、テンションの高いシエルは貴重かもしれない。


ただ、私の着る服なのに、私の意見は反映されない。

未亜とドラゴン姉妹が張り切ってるから不安になる。学校に着てくからと何度も念を押したけど大丈夫だろうか…。 (たぶん?)



金曜日。初の私服登校の日に渡されたのはとんでもない服だった。

露出過多と、ドレスはダメ、普通の服でって言っておいたのに…。

確かに露出もないし、ドレスでもない。だけど普通の服ではなよな、これは!

「なんでセーラー服になるんだよ!」

「お姉ちゃん高等部で、ブレザーだから見たくてつい…?」

ついって、未亜…。


コスプレじゃないんだから、勘弁してよ。 (後はちゃんと普通の服だから!)

本当に…?

シエルが渡してくれたのは、ひんやりした接触冷感生地の薄手のブラウスと、タータンチェックのプリーツスカート。

制服の色違いみたいに見えなくもないから確かに着やすいかも…。

「ありがとねシエル」

「未亜姉様と色違いなの…」

よく見ると未亜も同じような服で、スカートの色が違う。

私はグレーで、未亜は紺色。 (オソロー!)

ま、まぁいいか。

それより突っ込むべき相手が来たし。 (……ユウキは嬉しそう)

いやダメだろアレは!


「どこの不良漫画だよ! 刺繍入りの白い長ランとか特攻服か!!」

「アスカ? だめだったかしら…ユウキの希望を聞いてみんなで作ったのよ?」

「リア、アレは学生としてふさわしくはないの。せっかく作ってくれたけど。アレはアウト!」

「ちょっとユウキ! 大丈夫って言うから手伝ったのに!」

「えー何がダメなんだよ。姉ちゃんは厳しいな」

「…そもそも、真夏に暑苦しいからね?私達は魔道具で涼しいかもだけど、見た目が色々と暑苦しいの!」

「あぁ、そっか! 私達はアスカのおかげで涼しいんだったよー。じゃあ袖だけ切る?」

そういう問題じゃねぇんだわ、ティアねえ様…。 (ママ…?)

いや、ティーもアッチを止めてよ! (ユウキがどうしてもって言うからー)


「ユウキ、それは異世界で着なさい。こっちではだめ! 守れないなら没収」

「…わかった。普段着に着替えてくる」

ションボリしたユウキが可哀想ではあるけど、学校で叱られるよりはマシだと思ってほしい。 (拗らせてんねー)

あの病はいつ治るのか…。


学校でユウキの親友が似たような格好をしてきて、教師と生徒会に呼び出されこっぴどく叱られたらしい。

それを見たユウキは私に感謝してくれたけど、異世界では着るらしい…。 (懲りないな!)


私と未亜の服は制服とあまり変わらなかった筈なのにやたらウケは良かった。

やっぱりシエルの腕が良いからかな。 (……ママがそう思うのなら)



帰宅後の一週間はこんな感じで過ごし、週末はまた異世界へ行く。

お店を開けないとね。毎日コツコツと少しずつ景品用の魔道具も作り足したし。

「ママ、王妃様が一度顔を見せてほしいって言ってたの!」

「そうなの?いつくらいに行けばいい?」

「えっとー、前に行った二週間後」

それくらいならちょうど良いか。


多分、前回のトラブル関係だよね…。

シルフィー様もアクシリアス王国に残ったままだし。 (アキナさんが迎えに来て、何度か遊びに行ってたよ?)

そうなの!? (アルフィー様に会いたかったのもあるみたいだけど)

あぁ…。可愛いもんなぁ。 (後は国交に関して陛下と話も進めてた!)

お祭りの最中に? (ハルナさんもドラゴライナにきてるから、話が進んだみたい)

そういえば来るって言ってたね。挨拶できてないや。

今回は会えるといいな。 (お店出してるから)

さすが商売人…。









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