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召喚被害者の日常は常識なんかじゃ語れない  作者: 狐のボタン
第五章

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お祭りにトラブルはつきもの?



魔道具の設置等を始めたら、早速お客さんが並びだした。

しかも昨日より多い気がするんだけど…。 (口コミで評判になってたから)

どっちが? (やっぱり射的! ママの指導がいいって…)

え…そこなの? (あとは景品がどれもすごい人気!)

それはリアのアイデアだから感謝しないとだね!


みんなの協力で思ったより早く出店準備も整い、お祖母ちゃんとお祖父ちゃんにもお店を見てもらった。

「…面白いこと考えるわねー。アナタ、私達も並ぶわよ」

「そうだね。これは楽しそうじゃないか」

目をキラキラさせてるお祖父ちゃんが、見た目通りのお子様に見えてしまう。 (ティーとあんま変わんない見た目だし…)

いや、まぁそうなんだけど…。ようやくあの幼い姿でもお祖父ちゃんって思える様になってきたのに。


お祖母ちゃん達は並ぶのも楽しそうだからと、最後尾へ向かった。

本当なら二人には先に遊んでもらいたかったけど、オープン準備の時点でこんなにお客さんが並んでるとそれも無理だ…。


今日もスノウベルさんが数人の親衛隊を引き連れて応援に来てくれて、警備と列の整理を担当してくれる。


「じゃあみんな、今日もよろしくね!」

それぞれ持ち場につくうちの家族。

シルフィー様も楽しいからと、今日も率先して接客をしてくれてる。



私は今日も親子連れの対応に追われて、手が離せない。

ユウキがしっかりと全体を見てくれて、レウィとシエルがサポートに付いてくれてて頼もしい。

時々、レウィにのったシエルが景品の補充や飲み物を持ってきてくれる。

「二人ともありがとね。助かるよ」

「お店をするのは楽しいの…」

将来、シエルが服飾店を出すときの参考に…は、ならないよなぁ。

ただ、お客さんを相手にするのに慣れておくって意味ではいいのかも。

レウィと二人で接客も上手くこなしてくれてるし。


「ママ…」

「うん?」

「気がついてる?」

「ずっとこっちを監視…というか伺ってる人?」

「そう…。敵意はないけど、怪しいの」

「うーん。何もしてこないのなら放置かな。仮に魔道具の技術目的だとしても、ゲームの魔道具は当然だし、景品一つすら術式の解析は無理だと思うからね」

「でも行動には一応警戒しとくの」

「うん、お願いするよ」

不躾な視線を向けられるのは気持ちのいいものではないけど、今のところ害意はないようだから大丈夫と思いたい。



お祖母ちゃんとお祖父ちゃんは二人用の射的でベストスコアを出したり、ブロック崩しでもペアを組んで楽しんでくれてた。

初めて触ったのに、それを感じさせないのはさすが伝説…。

一通り楽しんだ後は、周辺のお店で色々食べ物を買ってきて、控室に籠もってる。 (仲良しが過ぎる!)

いい事じゃない。お祭りを楽しんでくれてるみたいだし。 (うん! オシドラ夫婦!)

上手いこと言うね。



今日は昨日と違い、深夜までの営業はしないから、適当なところで行列を止める。

景品もかなり減ってしまったから作り足さないといけないな。

新しく並ぼうとしてた人には申し訳ないけど、明日もまた夕方からオープンさせるから、ごめんなさい…。


閉店して片付けを始めたら…

「少しいい?」

「なんでしょう?」 (来た!)

手が空くのを待っててくれたのは有り難いけど…。


「私はグリシア王国魔法学園の責任者で、カロリナというんだけど、少し時間もらえる?」

グリシア王国…魔法学園…? しかも責任者?

それってドラゴンの里のある山を越えた向こうの国じゃなかった? (そうそう。ママが壊したかもしれない学校)

そんなところから何でここに来てるの!?

ドラゴライナ王国とは、アクシリアス王国ですらまだ正式な国交を結んでないのに…。


「忙しい?」

「あっ、ちょっと待ってくださいね」

ユウキに声をかけてから、カロリナさんと場所を変えて話をする。

控室の側ならみんなの邪魔にならないだろう。



少し待たせてしまっただけなのに不機嫌そうなのはなんなの…。 (感じ悪い!)

「貴女、グリシア王国魔法学園の事は?」

「名前だけは。とは言っても人伝に聞いたくらいですが…」

「そうよね。こっちの国では、グリシア王国さえ知らない人のが多いだろうし」

「……」

スパイとかかな? (魔力もそこそこ高いから、怪しいといえば怪しいの…)


「そんな警戒しなくていいわ。私はこの国の女王陛下の縁者なんだから。ちゃんと招待されて来てるし」

「アキナさんの? 親戚とかですか…?」

「ええ。 でも、陛下を名前呼びするのはさすがに不敬じゃない?」

「ごめんなさい…」

叔母ですって言った方がいいのかな。 (目的がわかるまで様子見!)

それもそうだね。肝心の目的が見えないわ…。


「この魔道具を作成したのは?」

「私です…」

「…そんなわけ無いでしょ! 製作者を隠したいのはわかるけど、嘘をつくならもう少しマシな嘘をつきなさい! 貴女からは魔力を全く感じないのに。 確かに指導はわかりやすくて人気があったみたいだけど…。あれ…?魔力が無いのに魔道具に魔力込めてた?」

自分で否定して、矛盾に気がついたのか悩みだしたな。 (完全に魔力隠蔽してるし!)

街の中だと怖がる人が出ちゃうからね…。 (お祭りどころじゃなくなる!)

それは笑えないから、隠蔽したままなんだよね。


「私は魔力が高すぎるので、余計なトラブルを避けるために魔力を隠蔽してるんです」

「は?魔力の隠蔽…?そんな事できるわけが…でも現に…」

更に混乱するカロリナさん。


それよりもさっさと用件を言ってほしい。こっちは片付けをしたいんだよ!

「あの、失礼ですけど…目的はなんですか?」

「え? ああ。この魔道具を作った方を魔法学園の教師にスカウトしようかと…。ついでに貴女も教えるのが上手そうなので一緒に連れて行ってあげるわ。多少の給金も出してあげるから感謝しなさい」

「…お断りします。間違いなく魔道具を作ったのは私ですから、そちらもお断りします」

「いいの?私は女王陛下の親戚なの。 無下にしたらこの国に居づらくなると思うけど?」

ついに脅迫してきたよ… (こういう教師がいるから…)


その後もしつこくつきまとわれて片付けを手伝えない…。 (うっざい!! すっごい上からだし)

流石にちょっと腹が立ってきたな。

うちの家族がみんなでテキパキと後片付けをしてくれてるのに!


「…呼んできた。あとは任せて」

その声に振り返ると、スノウベルさんと…

「アキナさん!」

「また陛下を名前で! 不敬だと何度言えば!」

「私が許可している。誰だお前は?」

「はい?私はグリシア王国魔法学園、副学園長カロリナですが?貴女こそ誰ですか…」

副学園長かよ! (うわぁ…)

責任者って言わなかったこの人? (言ってた)

副学園長で責任者になるのか… (そんなわけ無いの!) 

だよねぇ。


「私の顔も知らずに、威を借るような事をしていたのか…。スノウ、連れていけ!」

「…りょうかいー」

「私にこんな事をしていいと思っているのですか! 女王陛下の親族ですよ!」

手早くスノウベルさんに腕を縛られるカロリナさん。完全に逮捕現場! (ママのママみたい…)

こんな感じだったのか…。


アキナさんは再度、カロリナさんの顔を確認するも、

「だから、知らんと言っているだろう…。私は家族が多いが、全員の顔と名前は把握している」

「…この人、女王陛下だよ。因みに私は妻…」

「………」

ようやく事の重大さがわかったのか青ざめるカロリナさん。


「王族の身内を名乗り、私の大切な姪っ子への脅迫…許されると思うなよ」

「姪っ子…!?そんな…」

この世の終わりみたいな顔をして親衛隊に連行されていくカロリナさん。 (これがザマァ展開?)

またどこで覚えてきたの…。 (未亜が最近読んでる漫画!)

未亜、今度は何を読んでるんだ…


「大丈夫だった?アスカちゃん」

「はい。すみませんお手数おかけして…」

「いいよいいよ。こういう時のためにスノウ達がいるんだし」

「助かりました。こっちの話を全く聞いてくれなくて…」

「結局なんだったの?」

片付けの終わったうちの家族たちも集まってきたので、みんなに説明。 (みんなブチギレ案件)

あの人は捕まっててむしろ良かったんじゃないだろうか。 (みんなの怒りの矛先が…)


「うーん…。分家にさえあんな子、居ないんだけどなぁ。でもここに来てるって事は知り合いはいるんだろうね」

「だと思います」

「叔母様にはアクシリアス王国から連絡がいくようにしておきます。学園長なので…」

シルフィー様の叔母様って言うと、陛下のお姉様? 

グリシア王国の王妃様か! (うわぁ…また大物が!)

学園長って…。 (だから王子達も留学できたのかぁ)

そういえばグリシア王国へ嫁いだ王妃様のおかげって話だったね。ましてや学園長なら納得だわ。



カロリナさんがどうやってここへ来たのか、誰の知り合いなのか、その辺りはアキナさんが事情を調べ上げたら教えてくれると言ってたからそれを待つしかない。

全く、とんだトラブルだよ。

せっかくのお祭りなのに…。 (楽しかったのに台無し!)

ホントよね。お祖母ちゃん達を巻き込まずに済んだだけ良かった。お祭りに誘ったのは私なのに…。

二人にいやな思いをさせなくてよかった。


お祭りを堪能した後、控室に籠もってたお祖母ちゃん達は、そろそろアクシリアス王国へ送らなきゃ行けない。

さっきのトラブルの件もあるからシルフィー様達も一度帰国。

みんなにまた迷惑かけてしまうなぁ…。 (今回は、ママ悪く無いのに!)

今回は…? (……)



お祖母ちゃん達を送り届けた私は、一人でドラゴライナ王国へ戻ってきた。

陛下と王妃様への報告が長引きそうだからと、シルフィー様も今夜はあちらで過ごされる事になったから。


魔法学園に短期留学していた王子とノワルレイナさんにも会って、副学園長のことを聞いたけど、どうやら副学園長は四人いるらしく、その中の一人だろうという事くらいしか分からなかった。 (ヤツは四人の中でも最弱!)

なんか違うよそれ! (言ってみたかっただけー)

満足した? (うむ)


王妃様からも、後日改めてグリシア王国から謝罪があるだろうからその時はよろしくって…。

なんかややこしい事になりそうな予感。 (フラグがたった!)

はぁ…もう…。


私自身はドラゴライナ王国のお屋敷へ戻ってから、景品の作り足しをしたりと、明日の準備を整えた。

うちの子達はと言うと、未だリアを中心にご立腹で…何とかしなきゃいけない。

ユウキに至っては、「教師がそんなだから、僕らを召喚した生徒も人の話を聞かなかったんじゃね?」と…。

あの時、喚ばれたのがあの学園なのかはまだ確定ではないし、もしそうだとしても…あれから相当年数も経過しているのに変わらないのはどうなんだろう。


はぁ〜…。

ため息をついてても仕方がないね…せっかくのお祭りだ。

気分を切り替えて、明日またみんなでお祭りをまわる約束をして、なんとか怒りを収めてもらった。



〜〜〜〜

〜〜



「遅くなってごめんねー。やっと確認が取れたよ!」

翌日、屋敷へ来てくれたアキナさんから話を聞かせてもらい、ようやく全容が見えてきた。


カロリナさんは一応、アキナさんの身内といえば身内…と言えなくもない?そんな感じだった。

アキナさんの身内と結婚した男性、その人の遠い親戚らしい。

「婿入りした人の親兄弟ならともかく、流石に親戚まで把握してないわー…。しかもかなり遠縁だし」

もう他人だよねそれ…。 (借りる威さえなかった件)


今回お祭りに参加したのも、グリシア王国にドラゴンと交友のある知り合いがいて、その人がお祭りに誘われた時にたまたま傍に居合わせたおかげで、一緒にお祭りに誘われて乗せてもらってきたらしい。 (ややこしい…)

グリシア王国からはドラゴンでも飛べる距離なのかな? (それか…それくらい強いドラゴン?)

その可能性もあるか。


「乗せてきたドラゴンは私の身内だったんだけどね。事情を聞いたら、せっかくのお祭りだから色々な人を誘っただけなのにって…」

それがこんな事になったなんていたたまれない。厚意でお祭りに誘ってくれた人の顔に泥を塗ったわけだし。

それに、運んだのがアキナさんの身内なら強いドラゴンの可能性も十分にあり得るな。 (うんうん!)



王族関係者を名乗っての犯罪はかなり重罪らしく、アキナさんから王妃様へ魔道具通信機ですでに事情聴取の結果は連絡がいってるそう。

アクシリアス王国からは、ノワルレイナさんと王子が今朝、書状を持ってグリシア王国へ出発したらしい。

婚約したばかりなのにごめん…。 (二人は旅行気分で出掛けてったよ?)

それを聞いてまだホッとしたよ。


「結局、アスカをこまらせた犯人はどうなるのかしら…」

「正式な国交のない国の、しかも結構な立場の人だからね、相手側の回答待ちになっちゃうから、ごめんね」

これ以上トラブルがないのならそれでいいのだけど、そうもいかなさそうだなぁ。











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