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召喚被害者の日常は常識なんかじゃ語れない  作者: 狐のボタン
第一章

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久しぶり



今日から学校かぁ。

「着替えなきゃなぁ…」

そう言いながら見るのはハンガーに掛かっている制服。

「くっ…普段着ならスカートは避けられても、制服は…無理だよね」

はぁ〜諦めるしかないか…。


渋々ハンガーから制服を下ろし着替える。

脚が…脚がスースーして心許ない! ナニコレ。よくこれで平気だよね?


「お姉ちゃん、入っても大丈夫?」

「うん、着替え終わったから大丈夫だよ」


ガチャ

「おはよ、お姉ちゃん」

「未亜ちゃんおはよ」

「…お姉ちゃんの制服だ〜。スカートだよ!」

私の周りをぐるっと周り嬉しそうな未亜ちゃん。

やめて、なんか心にダメージが。元魔王なのにスカートのせいでダメージ入りそう…。


「女子高生だね!」

「う、うん、そうだね…」

「じゃあ髪結うね。長いと纏めとかないと生徒指導とか煩いから」

そうなんだ。めんどくさいんだね。


「ありがと、毎回ごめんね」

「いいよーお姉ちゃんの髪キレイだから触るの好きだし」

そう言って手早く、でも丁寧に纏めてポニーテールにしてくれた。


「ねぇ、未亜ちゃん。ちょっと聞きにくいんだけど…女の子ってこんな無防備というか、心許ない感じで大丈夫なの?」

そう言って自分の膝上くらいまでしかないスカートを指す。


「えっと、みんな大体スパッツとか履いてるよ。風で捲れたりもするし」

怖いことさらっと言わないで!?

「お姉ちゃんのタンスにもあったよ?」

ほんとに?助かった…ずっとビクビクしながら過ごすのかと。


未亜ちゃんは一番上の引き出しを開けると黒いスパッツを出してくれた。

「はい、これ」

これがスパッツ…あんまり変わらない気もするけど、無いよりは…。

「ありがとう。ごめんね、変なこと聞いて」

「いいよー分からない事は何でも聞いて! じゃあ下に行ってるね」


スパッツを履いてカバンも持ったし。

私も下に行こ。



顔洗ってリビングに入るとパンを齧ってるユウキと目が合う。

「おはよ、ユウキ」

「姉ちゃんおはよー。制服サイズ大丈夫だったんだね」

「う、うん」

前もって着て確かめた方がいいと言う二人に私が抵抗し続けたからね。


…私もパン食べよ。


「はい、お姉ちゃん」

台所に行ったらカフェオレを渡してくれたのでお礼を言って受け取る。

「美味しい…」

「よかった〜」


「姉ちゃん達、あまりゆっくりしてると時間なくなるよー」

「わかった。もう準備できてるから大丈夫」

「私も〜」

リビングから呼ぶユウキに返事をして洗い物を済ませ登校する。




「ぅー」

「アスカ姉ちゃん大丈夫?」

「大丈夫じゃないから…帰っていいかな?」

「ダメだよお姉ちゃん、そのうち慣れるから。ね?」

慣れる気がしないよこれ…。


家から学校は徒歩十分ほど。中高一貫だから受験もないしのんびりしたもので。

高等部に上がって変わるのは制服くらい。セーラーからブレザーになる。

入学式のタイミングで私居なかったからなぁ。

教室も変わってるよね…。別棟になるから気をつけないと。


未亜ちゃんは中等部だから別々。不安だ…。来年なら同じ高等部になるのに。


「(ユウキ君、他の通学してる生徒を見る限り大丈夫かも?)」

「(だね、あとはアスカ姉ちゃんがやらかさなければ…)」

「(うん、できるだけサポートするよ)」

「(ありがとう、未亜姉ちゃん)」


「ねぇ…なんか二人でコソコソ何話してるの?」

「あ、いや、アスカ姉ちゃんが学校久しぶりだし、大丈夫かなって」

「これでも成績はいいから大丈夫よ?」

「うん、そうだね。姉ちゃんスペック高いし」

ふふんっ


校門へ近づくほど人が増え見知った相手に声をかけられる。

「アスカちゃんおはよー久しぶりじゃない?ホームステイ楽しかった?」

「おはよー。まぁね」

顔見知りではあるが友達ではなかった女子から挨拶され戸惑う。

逆に友達だと思っていた男子からはかなり距離を取られてる。これかなりきつい…。


召喚の事とかあるし、親友と呼ぶような深い友達ではなかったかもだけどさ。

学校では遊んだりバカやって大笑いしたりしたんだけどな…。



「あああぁぁぁ!!」

隣から突然叫び声がする。魔法のおかげで、私とユウキにしか聞こえてないのが幸いだけど。

「未亜ちゃんどうしたの!?大丈夫?」


「お姉ちゃん、ユウキ君。私二人のこと知ってた…」

何どういうこと?

あれかな、学校ですれ違ったりとかで顔見知りだったから、ここに来て強制力が働いた?


「二人は知らないかもだけど、って言うかこれ話して大丈夫なのかな…」

気になるのだけど…。


「未亜姉ちゃんもしかしてアレに入ってたの?」

ユウキが未亜ちゃんをジト目で見る。

ケンカはダメだよ?


「ユウキ君は知ってるんだ。お姉ちゃんは……知らないみたいだね」

「何?教えてよ。意地悪?」

さっきも二人でコソコソしてたし…ちょっとへこむ。


「お姉ちゃん、これ今魔法効いてるよね?声漏れない?」

「うん、外出するときは必ずかけてる」

「わかった、じゃあ落ち着いて聞いてね…」

…えっと?なんだろ。ちょっと聞くの怖いんだけど。


「この学校にはお姉ちゃんとユウキ君のファンクラブがあります」

「はい?」

「元々アスカ、ユウキっていう、美形兄弟のファンクラブだった。

当然会員は9割が女の子で高等部から中等部までかなりの数だよ」

初耳なんですが…。


「ユウキは知ってたの?」

「うん、そこまでの規模とは思わなかったけど…1割の男子が気になって怖い」


「私にはそんな二人が遠い存在でしかなかったからね。会員になってた友達から聞いて知ってただけ。

だから今まで気が付かなかったの。さっきその友達を見かけて思い出したよ」

「じゃあアスカ姉ちゃんがこうなった事で何か変わるかな?」


「それは分からない…後で友達に確認してみる。私もファンクラブの兄弟ってのに違和感を感じただけだし」

「じゃあそれは任せていい?未亜姉ちゃん」

「うん、できるだけ頑張る」

私の知らないとこでそんな事が…。

でもそのファンクラブとかいうのに入ってる人たちが、私が男だったときの中途半端な情報持ってるなら強制力効くかヤバくない? (心配いらないよ?)


女の子としての登校初日から大変なことになったなぁ…。






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― 新着の感想 ―
一番ヤバイのは乙女ゲームみたいにその美形兄妹の家族になった美亜ちゃんだけどね
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