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召喚被害者の日常は常識なんかじゃ語れない  作者: 狐のボタン
第五章

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アクシリアス王国での新年



(ママ、起きてー)

んっ……おはよぉ、てぃー… (寝ぼけてるママは貴重!)

昨日遅くなったからね。中途半端に寝ると眠いんだよ…。

ティーは元気そうね? (うん! ばっちしー)

みんなはまだ寝かせといてあげよう。 (それがいいの)

今日出かける事はみんな知ってるし。



着替えて部屋を出る。

昨日、夜食にってメイドさんが持ってきてくれたサンドイッチを齧りながら、シルフィー様を玄関ホールのソファーで待つ。

ちょっとお行儀悪いけど…部屋で食べてたらみんなを起こしちゃいそうだし。 (ティーの本体はこっちでお留守番!)

そうだね。向こうにもいてくれるから、寂しくはないけど…やっぱり一緒にいるのは本体のが安心するんだけどね。


玄関ホールに人の気配がしたからシルフィー様達かと思ったらティーだった。

「そっと出てきた!」

そう言って抱きついてくるティーを抱きしめる。

「ありがとね…」

「ふふー♪」

ティーを膝に乗せて、一緒にサンドイッチを食べながら待つこと十分程…。

ぱっちりドレス姿のシルフィー様が…。


あ、やばい…私、私服じゃん。

私服とは言っても、お城でも大丈夫な服ではあるけど、シルフィー様みたいなパーティとかに出るようなドレスではない。

さすがにまずいよね、どうしよう…。

シエルの作ってくれたドレス類は管理が難しいから預けてあるし…。それに、露出が多いのが大半だから新年の挨拶には相応しくないと思う…。


「アスカ様、おはようございます」

「おはようございます。すみません…準備不足でした…」

「はい?どうされたのですか…?」

「ママは新年イベント用のドレスがなかった! って慌ててるの…」

「それなら問題ありません。城の方ですべての仕度は整っていますので。城へ戻り次第、ユリネにお任せください」

「任せてください! 他にもメイドが待機してますから!」

ちょっと鼻息の荒いユリネさん久しぶりだわ…。 (ママ、気をつけて!)

多分、大丈夫。きっと… (ティーも警戒する…)


シルフィー様はお城へついたら、王妃様達と準備があるからこちらで前もって仕度をした…って事らしい。

「警備は私達近衛にお任せください。アスカ様はご安心してお役目を」

「わかりました」

アリアさんが頼もしい。 

何事もアクシリアス王国のルールというか決まりがあるだろうし、ここは甘えてしまおう。 (それがいいの!)


ティーとハグをしてお別れした後、シルフィー様達を魔力ドームで包む。

「行ってらっしゃいママ!」

「いってくるよ。みんなの事よろしくね」

「任されたー!」



ーーーー

ーー



転移した部屋には、いつもとは全く違う風景が! (すごいよー)

ティー知ってたの!? (当然?)

教えてくれればいいのに…。 (きかれなかった…?)

……最近、私の子が反抗期かもしれない。 (ないない。びっくりさせたかっただけ!)

そう?確かに驚いたけど…。


部屋には5人ほどのメイドさんにがいて、すっごいドレスがトルソーにかけられてる。

淡い紫色のドレスはどれ程お金がかかってるのか想像するのが怖い…。

普段この部屋にはない、衝立や豪華なドレッサー等、一通り揃っている感じ。


シルフィー様とアリアさんは打ち合わせのために足早に部屋を出ていき、ユリネさんはメイドさんに指示を出す。

抵抗する間もなく、あっという間にひん剥かれた私は凄まじい手際で着付けられていく。

「失礼致します!」

「うぐっ…」

コルセットかこれ! そんなに締めなくても…うっぷ…。 (大丈夫?)

なんとか…ね…。 (ママ、スタイルいいのにまだ締めるの?)

私に聞かないで…うっ…


着付けてもらったふわふわのドレス。絶対汚せない! 

と言うか、そもそも締め付けがすごくて動きにくい…。

髪もキレイにまとめてアップにして貰い、鏡で見せてもらったら、誰だよ! ってくらいの変身ぶり。

お化粧もしてもらったから、ついでにリングの魔道具へ新しいお化粧パターンとして記憶させておいた。

すごい手間をかけてもらったから、もし崩れたら直してもらうのも申し訳ないし。


メイドさん達は私の仕度が終わると、皆さんやりきった顔をして部屋を出ていった。

「アスカ様はこのままお待ちください。アリア様がお迎えに来て下さる予定なので、それまでお寛ぎください」

それだけ言うとユリネさんも部屋を出ていった。 (暴走しなかった!)

うん。むしろ滅茶苦茶本気だったね。 (指示を出してる姿は有能そのもの…)


このドレスではティーを抱いちゃいけないのは流石にわかるから、ドラゴン姿のティーのいるベッドへ座る。

横に来てくれたティーを撫ぜて落ち着く。 (緊張してる…?)

うん。だって王族の人達の新年の挨拶に同席するんだよ?胃が痛くなりそうだよ…。


ティーと話しながら待つ事数分。

アリアさんが迎えに来てくれた。

そのアリアさんも近衛兵の鎧で全身覆われてる。

「皆様の元へご案内いたします」

「お願いします…」

アリアさんは私の代わりにティーを抱いてくれて移動。 (飛べるけど…)

今は甘えておいたら? (はーい!)


アリアさんは私が緊張してるのを察したのか、気が紛れるように話しをしてくれる。

「アルフィー様がアスカ様に会えるのを楽しみにしておいでですよ」

「そうなのですか?」

「はい。まだお話は出来ませんが、こちらの話はご理解しておられるようで、可愛く返事をしていただけるんです」

それは想像しただけで可愛い!



アリアさんのおかげで多少緊張のほぐれた私は、初めて案内された部屋へ入る。

随分歩いたけど、どこだろう…。 (バルコニーの控室!)

なるほど…教えてくれてありがと。 (♪)


「アスカちゃん! 来てくれてありがとう。 用意したドレスは…いいわ〜! とっても似合ってるわよ」

「あ、ありがとうございます…」

王妃様に抱かれたアルフィー様が私の方へ来ようとして暴れてる。

「アルフィー。ダメよ! 私もアスカちゃんもドレスを着てるから…ね?」

「きゅー……」

悲しそうな声をあげるアルフィー様を王妃様の許可をもらい撫ぜる。

うっとりと目を閉じてる姿は小さい時のフィアを思いだす。

可愛いなぁ…。

アルフィー様もシエルの送ったケープをかけたりとおしゃれしてる。



王妃様から大まかな流れを聞いて、頭に入れておく。

私は本当に居るだけでいいみたいだし、かなり気は楽になった。

「アスカ様は私の隣にいてくださいね!」

「わかりました、シルフィー様」

陛下と王妃様が一番前で、私達は一歩下がった位置に立つから必然的にそうなる。

王族の隣に立ってていいのか心配だけど、そういう指示だから諦める。

アルフィー様も正式な紹介があるまでは後ろの騎士様が抱いて待機するみたい。



「お久しぶりです、アスカ様。謝罪が遅くなった事…平にご容赦を…」

いきなり謝られて何事かと思ったらフレアベルナさんだった。

「フレアベルナさん、そんな…頭を下げないでください!」

「そういう訳には…。まさか弟が矛先を向けたのがセイナ様のお孫様とは…」

「祖母は確かにすごいドラゴンかもしれませんが、私は私です。なので、気にしないでください。もう王国との話もついている終わったことです。それに今日は大切な日ですから…」

「ありがとうございます…。実は、セイナ様からも”全てはアスカちゃんの判断に任せるわ“と仰って頂いたので…。本当にご迷惑をおかけしました。そして寛大なお言葉に最大級の感謝を…」

こんなに畏まられてしまうと困るのだけどなぁ…。

仮に私がもし許さないって言ったらお祖母ちゃんはどうしてたんだろう。 (里の一つくらいぷちっと…)

流石にそんな事はしないでしょう…。

私に委ねてくれたのは感謝だね。 (さすがママのお祖母ちゃん!)


フレアベルナさんもホッとしたのか、ようやく前のように接してくれるようになった。

これから大きな大きなイベントを控えてるから、変にしこりを残す様な事にならなくて良かったよ…。




「待たせたな。 おぉ…アスカ殿も来てくれたか! 今日はまた一段と美しいな!」

「…ありがとうございます」

私、魅了きってるよね? (うん)

「…陛下?」

「…すまぬ」

王妃様の低ーい声が部屋に響いてびっくりした…。 (ちびるかと思った…)


「そろそろお時間です」

「うむ…では参ろうか」

アリアさんが大きな扉を開くとそこはすぐにバルコニー。


私はこのバルコニーのすぐ上辺りに魔法防壁で巨大なスクリーンを展開。

撮影と投影は騎士の人たちがしてくれるらしい。

バルコニーの柵の影にしゃがみ込んでカメプロを構える騎士様が…。あれ、セナさんか。 (あたりー!)

柵の上にはプロジェクターも設置されて、スクリーンへ向けてられている。

今日は録画しつつの生放送になる。


プロジェクターの位置調整と簡単なテストも終わり、いよいよだね…。





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