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召喚被害者の日常は常識なんかじゃ語れない  作者: 狐のボタン
第五章

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空から届ける女王様の想い



お店の撤収準備やら諸々を任せて、私はティーと移動。

スノウベルさんの案内でドラゴンの発着場へ。

「もう少ししたら花火って言うのが上がる…楽しみ」

移動中にそう話してくれる。

大人しいスノウベルさんが少し興奮気味なのはお祭りの雰囲気に影響されてるのかもしれない。



ドラゴン発着場にはアキナさんを始め、親衛隊隊長のサージェさんや、数人の親衛隊の人にメイドさんも揃ってる。

「お待たせしてすみません!」

「まだ時間はあるから大丈夫だよ。それより…ありがとね?」

「……?」

なんの事だろう?ここへ来たこと? (うーん?なんか違うっぽい…)

ティーと首を傾げてたら説明してくれた。


「うちの家族がわがまま言ったのに、丁寧に対応してくれたんだよね?」

「えっと…もしかして魔法ゲームのお店に来てくれたお客さんですか?」

「そうそう。長子の家系ではないから王族エリアに居は構えてないのだけど、家族なのには変わりないからね。気にかけてはいるんだけど、なんせ人数が人数だから…。なかなか全員を見てあげられなくてね」

奥さんが沢山居るってことは、それだけ家族も多いって事だもんね。


思いつくのは、最初にステッキを売ってほしいって言ってた人かな? (たぶん?小さい子がドラゴンハーフだったし)

そういえばそうだったね。他にもドラゴンハーフの子はいたけど…。わがまま言ってたっていうとあの子くらいか。


「あの子、まだ魔力を上手く扱えなくて、相談を受けてたんだよ。なのに急に上達したーって報告が来てね?」

それはまた…。報告上がるの早すぎるでしょ。数時間前のことだよね? (アキナさんだし…)

手伝いに来てくれてた親衛隊の人かな…? (かも!)

「時間がなくて、まだ確認まではしてないのだけど、お礼を伝えたくてね」

「お役に立てたのなら良かったです」

元々遊びながら学べるようにとは考えてたけど、いきなり王族関係者に関わっていたとは…。


「陛下、そろそろです」

「そうだね。 アスカちゃん、ドラツーお願いできる?」

「はい」

王族専用スペースにあったドラツーをアキナさんのドラゴン姿を模した姿にして再配置。

「ありがとう!  よし、皆よろしく頼む。今日は記念すべき日だ! だが、皆も楽しめ。優雅な空の旅だ」

私がドラツーの扉を開けると、メイドさんや親衛隊の人達が荷物を運び込む。

手伝おうとしたら止められてしまった。

「大した荷物でもないから大丈夫。それよりアスカちゃんとティーちゃんは私と打ち合わせ!」


3人でドラツーのコクピットへ入り、王国のマップを見ながらルートを確認。

「ティーちゃん、撮影の魔道具はずっと起動しててね。これが録画用の魔石」

「はーい!」

コクピットから演説用のスピーカーも撮影の魔道具も操作できるから、録画用の魔石もコクピットの所定の場所に嵌めるだけ。


「あとは、このドラツーを照らすように塔からライトアップされるから、それを振り切らないような速度でお願い」

「りょーかいです!」

「アスカちゃんはティーちゃんの傍にいてあげてね」

「わかりました」

ティーに任せっきりになるし、私は特にこれと言ってすることはない。 (でもいてほしいの!)

わかってるよ。隣にいるから。 (〜♪)


アキナさんは私達の座るコクピットの後ろに少し高く作った、いかにも船長の席! みたいになってる所へ座ってもらう。

マイクもつけてあるからそのまま演説もできる。

このあたりの改造は出店準備をしてる時に並行して、アキナさんと相談しつつ行った。

当然、ドラツー後部にはスモーク魔道具もつけてあるし、夜用にスモークが光るようにもしてある。

粉末にした魔石がスモークの魔力に反応して光る。色はアキナさんの希望で白銀。

ドラツーが引く雲は、さしずめ夜空に光るミルキーウェイってところか。


「陛下、準備できました。いつでも出発してください」

報告に来たサージェさんもそのままコクピットで待機。

「わかった。 ティーちゃん。よろしくね」

「らじゃー! ドラツーしゅっぱーつ!」

ドラツーが飛び上がるとほぼ同時に魔道具の花火が打ち上がる音がする。


外を見ると、どうやら花火は塔の最上階の庭園から打ち上げられてるみたい。

あの場所なら一般人は入れないから万が一も無いし、王国のどこからでも見えそう。


飛んでるドラツーと変わらないくらいの高さまで花火が上がってて、私達にはすごい迫力。

私はスマホを取り出し何枚か撮影した。 (近くで見るとすごい!)

だね。私もこんな近くで初めて花火を見たし…。未亜たちにも見せてあげよう。 (きっと喜ぶの!)


打ち上がる花火が少し減り、アキナさんの演説が始まる。

”皆、たのしんでくれているか? 千年祭は今からが本番だ! この国に住む全ての仲間のお陰で今日という日を迎える事ができた。本当に感謝している…。“


ティー、街への声の届きはどう? (問題ないのー。街の人もみーんな空を見上げてる!)

そっか、ありがと。


アキナさんの演説は王国に住む人達への感謝の言葉で溢れてた。

近くで聞いている私は、最近初めてこの国へお邪魔したばかりだけど…それでも、アキナさんがどれほどこの国と、ここに住む人を大切に想っているかが伝わってくる。

そんな素敵な演説だった。


王国は広いから、エリアごとに何度か演説を繰り返し、合間にはメイドさんが飲み物とかを運んできてくれた。

私は何もしてないのに同じように頂いてしまって申し訳ない…。


演説が終わった後も、しばらくはスモークを引きつつ王国を周り、最後に大輪の花火が咲き乱れて今夜のイベントは終了。時間にして一時間と少しってところだけど結構長く感じた。

明日の昼間にはドラゴンがスモークを引いてまた王国の空を飛ぶらしい。

私はちょうどアクシリアス王国へ行ってるだろうから見れないけど、向こうは向こうでドラゴンが編隊飛行するから似たようなものが見れるかもしれない。 (撮影されるから後で見れるよ!)

それもそうだね。


着陸したドラツーはそのままストレージへ仕舞い、アキナさんたちと別れて私とティーは出店エリアへ。片付けの手伝いをしないと。 (行かなくていいよ?)

どゆこと!? (もう片付けも終わって、みんなお屋敷へ戻ってるの!)

早いな! (ユウキが中心になってみんながサポートしてたから早かったの)

そっかぁ…。私、今回全く活躍してなくない!? (そんなことはないの!)

頼りっぱなしになっちゃったよ…。 (それでいいのに…)

かなぁ…。早く帰ってみんなにお礼言わないといけないね。

ティーもありがと。 (あい!)


急ぎ足でお屋敷へ帰ったら、玄関ホールでみんな待っててくれた。

「姉ちゃんおかえり」

「ただいま、ユウキ。みんなに任せっきりになってごめんね…ありがと」

「大丈夫だって。片付けしただけなんだし」

「そうよ! 私達のお店なんだからみんなでやるのは当たり前じゃない!」

「うんうん。アスカにはアスカのやるべき事があったんだから。任せてくれていいんだよー」

「お姉ちゃんとティーちゃんが飛んでる姿、下からバッチリ見えたよ。リアちゃんが撮影してたからまたみんなで見よう?」

「ありがとう、みんな…」

「わう! 主様、お疲れ様です!」 

「お姉様、おかえりなさいなの…」

「うん。ただいま」

フィアとニレは流石に眠くて限界だったらしく、二人ともルナシアさんに抱かれてスヤスヤと眠っている。

さすが本物のお母さんはパワフルだ…。 (今日は、はしゃいでてお昼寝もしてないからー)

無理させちゃったな。 (楽しそうだったし、無理に寝かせたら拗そう…)

それは確かにありそうだね。


「アスカ様、おかえりなさいませ。明日は我が国の為にお手数をお掛けしてしまいますが…お願い致します」

「お任せください。 明日は朝も早くなりますので、シルフィー様も早めにお休みください。お待たせしてしまって申し訳ありませんでした…」

「ありがとうございます。ですが! 私がアスカ様をお待ちしたくてここにいたのですから謝らないでください…」

「えっと…待っててくださってありがとうございました」

でいいのかな?

「はい!」

合ってたみたい。


アリアさんとユリネさんにもお礼を伝え休んでもらった。

私達も手早くお風呂を済ませる。

ティー、母さん達は? (まだ営業中! 夜食に大繁盛してるの)

明日大切な用事がなければ手伝いにいきたいところだけど…。 (ユウキが行ったから大丈夫!)

そうなの?いつの間に…。

頼りになりすぎるでしょうユウキ。

嬉しい反面、姉としてしてあげられる事がどんどんなくなって、頼られなくなるんじゃないかって寂しくもあるな…。






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