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召喚被害者の日常は常識なんかじゃ語れない  作者: 狐のボタン
第五章

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魔法ゲーム屋オープン



午前中は最終確認をして、午後からは設営。

衣装はシエルが全員分を作ってくれた。

年少組のティー、フィア、ニレはそれぞれのイメージカラーで魔法少女みたいなコスプレ。

ティーは薄紫、フィアは白、ニレは赤。 みんな可愛すぎる…。

早速ステッキで遊んで、宣伝してくれてる。 (ただ遊んでるだけだよ?)

それでいいんだよー。楽しんでもらえれば。 (はーい!)


私達はゴシック調なドレス。黒を基調に、それぞれ希望のカラーでフリルがつけられてる。

私は薄紫、リアは蒼、未亜はピンク…とそれぞれ違うカラーを使ってる。

大人組のアリアさん、ユリネさん、ルナシアさんも、ゴシック調のエプロンをつけてもらって、店員がわかるようになってる。

「アスカ様、普段と違う私はどうですか?」

「少し小悪魔っぽくて可愛いです。見慣れないお姿が新鮮ですね」

「ありがとうございます!」

シルフィー様も黒に白のフリルっていうゴシックドレスで、普段の清楚なお姫様からイメージがガラリと変わってる。



ユウキは執事みたいになってて、我が弟ながらちょっとかっこいい…。隣にドレスの令嬢でも居たら映えそう。

レウィも似たような執事服だけど、動きやすいようになってるし、尻尾も出せるようになってる。

今はシエルをのせて皆の衣装の確認に走り回ってくれてる。

シエル本人も黒に濃いグリーンのフリルがよく似合ってる。

本当にシエルの作ってくれる服には感謝しかない。


「アスカ、景品はもう並べちゃうー?」

「そうだね、魔力は貯めてあるから全部点灯させちゃっていいよ」

「はーい!」

テント内は影になるから光る景品もちょうど良く目立つ。

景品を抱えてるティアねえ様は黒に淡いグリーンのフリルで、普段より幼い感じが可愛らしい。





特にトラブルもなくあっという間に設営が終わる。

皆それぞれやる事をわかってくれてるし、荷物を全部ストレージに入れて運べるのは大きい。

「姉ちゃん出店許可証は?」

「控室の外壁にかけてあるよ」

「りょーかい。チェックに知り合いの人が来てるから案内してくる」

「ありがと、お願い!」

知り合いって誰かと思ったら王妃様のお母様!?

お辞儀したら色っぽく手を振られてしまった。


「何してるのよ…」

「お店のチェックに来てくれたみたいだからお辞儀しただけだよ!?」

「まったくもう! アスカは…」

リアがブツブツと文句を言ってるけど、私悪くないよね? (挨拶は大事!)

だよね?


「お姉ちゃん、お義母さんから差し入れもらったよ」

「そうなの?いつの間に…」

「忙しそうだからって、渡してすぐに帰っちゃったから…。お姉ちゃん、あーん!」

未亜が差し出してくれたのは…

「たこ焼き?」

「巫女焼きって言ってたよ?」

蒼白の巫女である母さんが焼いてるからか…。

中身はタコではなくチーズで美味しかった。私が軟体類苦手なの覚えててくれたのかな…。 (きらい?)

あの歯応えがどうしても無理なんだ…。 (ママの弱点!)

無理すれば食べれるけど、なるべくなら避けたいの! (好き嫌いだめなのー!)

はい…。ティーが厳しい。

「ちなみにお義父さんは勇者ヤキソバらしいよ!」

夫婦揃って屋台感すごいな…。時間のある時にみんなで行ってみなきゃ。



未亜と母さんの差し入れを食べてたらユウキが報告に来てくれた。

「姉ちゃん、問題ないって。いつでもオープンしていいって言われたよ」

「そう。ありがと。 それはいいのだけど…」

母さんはまだ近くにいるのかなと見渡した時に、とっさに目をそらしたんだけど…いつまでもそうしてる訳にいかないよね…。 (現実を直視しよー!)


「もうかなりの人が並んでるんだけど、どうする?」

皆は準備中にも光るアクセサリーをつけてたり、フィアとニレがステッキで遊んでたからかな!? (うん。あとは…)

あとは? (アキナさんが大々的に宣伝してたし、出店マップにも大きく載ってるの)

はい? 何、そのマップって! 私知らないんだけど…。 (あちこちに置いてあるよ?)

マジかぁ…知らなかった。 (そう思ってママのも持ってきたよ!)

大変助かります…。


駆け寄ってきたティーに貰ったのはちょっとした雑誌のようなマップ。

フルカラーの挿絵入りで、食べ物や娯楽とかのジャンルで分けてあってすごく見やすい。

未亜もユウキも知らなかったらしく一緒に見た。


そして、私達のお店は見開きでデカデカと…。申請時に提出したサンプルのレビューまで!

さらにレビューしてるのがアキナさんご本人と、スノウベルさん…。

これはヤバい。さすがの私でもこの意味はわかる…。


「私、皆の最終確認してくるから、ユウキと未亜は開店準備を始めてて!」

「りょーかい!」

「わかったよ、お姉ちゃん!」

ティーもなにかあったら教えてね? (あい! 親衛隊の人たちがきてくれて、列の整理してくれてるの!)

ありがとう、そっちも後で挨拶に行くよ! (うん!)


慌てた私とは裏腹にみんなはすでに準備万端。

頼もしすぎるでしょう…。

「アスカ様は、安心して私達に任せてください!」

「ええ。オーナーなんですから、どっしりと構えていてください」

アリアさんとシルフィー様が頼もしい。ただ私はオーナーではないよ!?


「ささ、お茶でも…」

「ありがとうございます、ユリネさん」

私も少し落ち着こう。みんなを頼るって決めたんだ。私が慌ててたらだめだね。

ユリネさんに頂いたお茶を飲んで、深呼吸。

よしっ!


みんなに声をかけて集まってもらう。

「少し早いけど、たくさんお客さんが来てるからオープンさせます。みんなよろしくね!」

「「「「「「おおーーー!」」」」」」


「私は親衛隊の人に挨拶してくるから、一旦ここはユウキに任せるね。すぐ戻るから」

「任された」



列の途中にスノウベルさんを見つけて挨拶。

「スノウベルさん! お久しぶりです。お手数おかけします」

「…久しぶり。 大丈夫。これも私達の仕事。バッチリ任せて」

「ありがとうございます」

「その代わり、それ一個ほしい…」 

スノウベルさんが指差すのは、私がつけてる光るバッヂ。

「わかりました! これくらいならいくらでも」

元々親衛隊の人にはわかるように付けてもらいたくて、ポケットにいくつか待ってきて良かった…。

「嬉しい…」

手渡したバッヂを早速つけてくれる。他に手伝いに来てくれてる親衛隊の人の分も渡しておいた。


ここの親衛隊を束ねてるのはスノウベルさんらしく、何かあれば直ぐに対処するから、今はお店に戻るように言われた。

すごくありがたい。知り合いのスノウベルさんを付けてくれたのはアキナさんの優しさだと思う。

本来ならオープン前にちゃんと挨拶したかったけど、こんなにお客さんが並んでるからそれも出来なかったし。




お店はすでに回り始めてて、お客さんにも楽しんでもらえてるようで嬉しい。

フィアやニレが子供ならではの気さくさで、遊び方を教えてくれてる。傍にはティーもルナシアさんもいるから大丈夫そう。 (任せてー!)


一通り回ってみたけど、うちの子達が優秀すぎて、私の出番が…。

「姉ちゃん、ちょっと問題!」

「どうしたの!?」

「目玉商品のステッキをどうしてもほしいから、売ってくれって…」

「あぁ…わかった。対応するよ」

これは予想してた。対応策も考えてある。



「責任者です。どうされましたか?」

「すみません…子供がどうしてもほしいと。でも点数が出せないので、なんとか売っていただけませんか?」

「ごめんなさい。これはあくまでも景品なんです。なので、景品そのものは販売してないんです」

「そこをなんとか…」

「お売りすることは出来ませんが、お子様にコツを教えて差し上げることはできます。上手く魔力を扱えるようになれば、今後色々と楽になると思いませんか?」

「…確かに小さな頃から魔力の扱いに長けていれば、将来のためにも…コレって訓練も兼ねてるんですか!?」

「はい。遊びながら学ぶことをコンセプトにしてますから…」

そもそも、この景品のステッキは、射的のステッキが扱えないと遊ぶことが難しい。

売ったとしても遊べないんじゃ意味がない。

半べそで欲しいって駄々をこねてるのは、ドラゴンハーフの女の子。


「私と一緒に遊ぼうか?自分で景品が取れたほうが嬉しくない?私がすこーしだけ手伝ってあげるよ」

「お姉ちゃんが…?」

「うん。見ててね?」

ステッキのインジケーターを自在に点灯させるように魔力を流してみせる。

「すごい…! ママ! もう一回、お姉ちゃんとやってみていい?」

「いいわよ。 ご無理を言ってすみませんでした…。うちの子をお願いします」

「任されました」

魔力に敏感なこの国の人なら、少し見せる事で、ある程度は魔力の扱いに長けているかの判断はしてくれると思っていた。


こういう時のために、点の稼ぎやすい協力タイプを一台空けてある。

元々、こっちは難易度が高いから、プレイする人が少ないのも折り込み済み。



小さなお子様のみサポートします! って看板も当然かけてある。 (大きなお友達は?)

それは知らないよ。口頭での説明くらいはするけど、大人は自分でなんとかしてくれないとね? (だよねー!)


「ゆっくりステッキに魔力を流して、まずは10個点灯させてみようか?」

「1つじゃなくて?」

「うん。まずは10個だよ。このステッキが魔力で満タンになるようにイメージしながら魔力を流してみて?」

「わ、わかった!」

一つ点灯させるより、満タンにするほうが遥かに簡単だから。


「そうそう。上手いよー。 そのまますこーしだけ減らして9個になるようにイメージしてみて」

「すこーし減らして…」

「バッチリだよ。上手じゃない! そのまま一つずつ減らしていってみようか」

「8…7…6………」

1まで減らせたところで本番だ。

「いい感じだよ。それぞれの数字にどれくらい魔力が必要かわかった?」

「うん! すごく少しだった!」

「そうだね。その感覚を忘れないうちに一緒にやってみよう!」

「はい! お姉ちゃんありがとう」

「まだお礼は早いよー?景品取らないとね?」

「うん!」

「じゃあ、まずはあの15を狙おう! 10込めて撃っていいよ。私が5にするからね?」

せーの! で撃った魔力弾は、的にうまく当たり消す事ができた。

「やったー!」

嬉しそうで何より。


「次はどれを狙いたい?」

「えっとー…あの緑魔獣の12!」

「今度は2を出してみようか?」

「任せて!」

インジケーターが2つ点灯。上手くなってるね。

「せーの!」

的を的確に撃破。

「すごいすごい! 楽しいー」

「上手だねー! このまま他のも倒しちゃおう!」

「おー!」

最終的に5発全部で的を消すことができて、喜んでもらえた。


「景品獲得おめでとうー! ステッキはどれがいい?」

「白い羽のやつがいい!」

「わかったよー。 はい、どうぞ。コレも同じように魔力を込める量で飛ばせる光の明るさが変わるから試してみてね?」

「うん! ありがとうお姉ちゃん!」

抱きついてきたからびっくりしたけど、嬉しそうな顔が見れて私は満足。


「あの…わがままを言ったのにありがとうございました」

「いえ。わがままを言えるのは小さな子の特権ですから」

母親に何度もお礼を言われて、帰っていく親子を見送った…のはいいんだけど、なんでここに親子連れの行列が!? (…言わなくてもわかるよ?)

そうですね…。


その後、私はしばらく親子連れの子供や、子供と一緒にやりたいっていう親にも口頭で教えながら行列を崩していった。

「姉ちゃん、そろそろ時間だよ。ここは少し前に受付を締め切ったからあと二組だけ頑張って」

「わかった」

先手を打ってくれてるユウキが優秀すぎる…。


元々景品は出来るだけ取って帰ってもらいたくてやってるからいいのだけど、ステッキは追加で作らなきゃな。

予想以上に親子連れが多かった。







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