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召喚被害者の日常は常識なんかじゃ語れない  作者: 狐のボタン
第五章

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精霊と想い



「かあ様ー! 帰ったよー」

「お邪魔しますー」

改装した室内は前よりも生活感が出てて、気に入ってくれてる感じがして嬉しい。

物も色々増えてるなぁ。 (人の街に行くドラゴンが増えたから、買い物してくるの!)

へぇ〜。人との共存って言ってたのが現実になってきてるね。 (うん!)


「アスカ様! ティアもおかえりなさい」

「ただいまー! 今日はかあ様とフィアをお祭りに誘いに来たよー」

「お祭り?」

ティアねえ様とドラゴライナ王国の事やお祭りの説明をする。

フィアがまだ小さくて、アクシリアス王国の新年イベントはお留守番だったらしく、それでフィアが拗ねてたから出掛けれるなら喜ぶだろうとルナシアさんも嬉しそう。


「みんなが人の街に行くのに、自分は行けないのが納得できなかったみたいで…」

「あぁ〜。確かに私達ドラゴンにとってもアクシリアス王国にとっても大切なイベントだから、幼いフィアには荷が重いねー」

「ええ…でも出掛けたいっていうフィアの気持ちもわかるから忍びなくて」

人の街に行くドラゴンが増えてきたなら余計か…。 (うん…ニレにグチってたの)

これは本当にアキナさんに感謝だなぁ。 (優しい女王様に感謝)

そうだね。


長老様に一度話しは通さなきゃいけないらしいけど、まず許可はもらえるだろうっていってた。

長老様も、拗ねてたフィアを見てるからと。

久しぶりの仔ドラゴンだから里ぐるみで愛されてるね。 (大切にされてるの。悪いことすれば叱られてるけど…)

甘やかされてるだけじゃないんだね。 (バカなドラゴンがいたから余計に?)

父親か…。 (そうそう!)


ルナシアさんと、ティアねえ様が長老様のところへ話しに行ったから私はフィア達のところへ戻ってきた。


ん?なんか騒がしいけど、揉めてる? (ちょっと問題発生?)

「ニレも一緒じゃなきゃやだ!」

「ぼくも行きたい!」

「ニレの本体はここの樹なんだから無理よ…。ママが呼んでくれれば短時間なら一緒にいられるけど」

「「やだぁ! 一緒がいい!」」

あー、察したわ。 (仲良しの弊害)

これは確かに可哀想だ。


「リコ、大丈夫?」

「ママ…ごめんなさい。この子、ワガママになってしまったわ」

「んー仲がいいのは良いことだし、これくらいならワガママとは言えないと思うよ?フィアの事を頼んだのは私だしね」

「でも…」

「リコ、なんとか少しでも長く樹から離れることは出来ない?」

「うーん……そうね、この子は最初からフィアを守るようにってママが魔力を込めたから、ここに縛られてはいないのだけど、あくまでも樹が本体なのは変わらないのよ」

「そうなんだ…魔力を込めた時の想いって反映されるんだね」

「ママの込めた想いと魔力が強すぎるからよ?普通はありえないわ」

それはそれでどう思えばいいのか…。 (ママやべぇ…!)



「ねぇ、リコ。 例えばだけど、ニレの本体になってる樹の枝とかを使って、フィアにアクセサリーを作ったとしたら…」

「その手があったわ…。ママの魔道具よ。 ニレ、枝を持ってきなさい」

「ぼくの枝?」

「そうよ。これくらいのでいいから」

リコが手で数センチくらいの大きさを示してる。

「わかったー!」


スーッと地面へ消えたニレは枝を持ってすぐに戻ってきた。

「お母さん、持ってきたー」

「ありがとうニレ。 ママ、この枝で魔道具を作れない?」

「なにか条件はある?」

「ママの魔力が込められてる量次第でここから離れていられる時間が決まるわ。それをフィアが身に着けていればいいのよ」

「なるほど…」

となると、魔石は透明一択だな。大きければ大きいほど良いけど、フィアが身に着けるとなると、限度はある。


「アスカ、なんとかなりそうかしら…。フィアのためなの、お願いよ」

「大丈夫だよ、リア。任せて」

「ありがとうアスカ!」

リアは妹思いでいいお姉ちゃんしてるなぁ。


樹の枝は極力加工しないようにして、小さい魔石を幾つか埋め込むだけに留める。

魔石は魔力を込めるだけだから術式は効率化だけ。

髪へとめる台座となる部分は金属にしてバレッタにした。


「リコ、これでどうかな?」

作ったバレッタをリコに渡して見てもらう。

「……可愛いわ。これなら数日くらい平気よ」

「数日かぁ」

「どちらにしても定期的には戻ったほうがいいから。少ししたらまたママが呼んであげればいいのよ」

「それなら大丈夫かな。これ、フィアが外した瞬間、ニレが傍に居られなくなったりする?」

「一時間くらいは平気よ。ただ…ママが定期的に魔力は込めてあげてね」

「わかったよ。これって、リコやツキにも作ったら…」

「ありがたいけど、私達は無理ね」

「想いの違いって事?」

「それもあるのだけど、私は私の役目があるし、ツキも同じ」

「なんかごめん…」

「ママが謝る必要はないわ。森の守護は私達精霊の本来の役目なのだから。ニレが特殊なのよ」

そういうものかぁ。


バレッタの事をフィアとニレにわかりやすく説明をしてあげて、目一杯私の魔力を込めてからフィアの髪につけてあげた。

「これでフィアともっと一緒にいられる! ママありがとー!」

「おねえちゃんありがとー!」

「いいよー。二人が仲良くしてくれてて私も嬉しいからね」


フィアは姉二人が傍に居ないし、歳の近い子も居ないからニレの存在は大きいんだろうな。

願わくばこのまま仲良く成長していってほしい。 (ママが…ママな顔してる!)

どういう事よ…。

リコはニレに幾つか注意事項を話した後に自分の守る森へと帰っていった。



「アスカ、ありがとう。これで後は…かあ様も一緒に行く事ができれば最高ね」

「だねぇ」

多分大丈夫だと思うけど…。


「リア、シエルとレウィは?ティーも居ないし…走り回ってる?」

「ええ。さっきまではフィアとニレを載せてたから、交代で今はティーとシエルが」

「他のドラゴンの迷惑にならない?」

「平気よ。みんなのんびりしてるだけだし。話しかけられて何かもらってきたりする程度じゃないかしら」

近所のおばあちゃんみたいだな。 (飴ちゃんくれる?)

会ったことあるの? (レウィのお散歩のときに、たまに会うよー)

また改めてお礼言わないとなぁ。 (そしてまたお野菜もらう…)

有り得そうで怖いな。



「アスカ、許可もらえたよー」

ティアねえ様がそう言いながら走ってきた。やっぱり問題なかったね。

「ねえ様、ホントに?」

「うん! だからかあ様も、フィアも一緒に行けるよ。かあ様は仕度しに家に戻ってる」

「よかったわ…」

「あ、そうそう、アスカ」

「うん?」

「王子様達が先行して出発したから、アスカに言伝だよ。年明けにアクシリアス王国で待ってるって」

「そう。ありがとうティアねえ様。先行したってことは他のドラゴンは?」

「行くメンバーは決まってて、ギリギリに出発だからもう数日はみんなダラダラしてると思うよー」

普通に飛んで、ここからアクシリアス王国まで数日だからか…。


そうだ…アクシリアス王国側にもサプライズしちゃおうか。 (何するの?)

みんなにも説明するから戻っておいで。 (はーい!)


「ティアねえ様、ちょっと相談したいんだけど…」

「うん?なんかまた面白いこと思いついた?」

「ドラゴンの編隊飛行で、サプライズしようかなって」

「何よそれ…絶対面白そうなやつじゃない!」

リアもワクワクしてるのか目をキラキラさせてる。


「ママーただいまなの!」

「レウィちゃん早すぎるの…酔うかと思ったの…」

「わう?主様に呼ばれたから!」

「ごめんねシエル、大丈夫?」

「うん。でもすごい迫力だったの…」

そんなに!? (景色が飛んだ!)

無茶したね。 (ママが呼んでるっていったらレウィが)

私のせいでもあるから責められないな…。


「アスカ、早く説明してよ!」

「ごめんごめん。 えっとね…」





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