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召喚被害者の日常は常識なんかじゃ語れない  作者: 狐のボタン
第一章

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弟はラッキーなんちゃら



翌朝目が覚めて、隣に寝てる美亜ちゃんを見て一瞬びっくりする。

そういえば一緒に寝たんだった…。

起こさないようにそっとベッドを出て、着替えようかと考えてたら制服が目に入る。


連休も今日で終わりかぁ。そうなると明日は学校。

学校、どうなってるかちょっと心配だなぁ。

強制力ちゃんと仕事してね…。 (任されたー)



「んんっ…お姉ちゃん? おはよー」

「おはよーちゃんと眠れた?」

「うん、なんか安心してぐっすり」

「そっか、よかった」

寝る前にも少し話をしてたけど、すぐに寝息が聞こえてきたからね。


「今日はモールにいくんだよね?」

「その予定だよ。未亜ちゃんも必要なものあったら買わなきゃだよ?」

「はーい。 それよりお姉ちゃん! 今日こそ、あのコーデを着てもらうからね」

それってこのあいだの攻防戦のやつかな?だよね。

今度着るからって約束しちゃったもんなぁ…。


「これと、これと…あとはこれ!」

私のタンスは自由に開けていいって言ってあるから、次々と服を選んでくれる。

仕方ないじゃん! 服の着合わせとかわかんないんだもの。

丸投げだよね。それでそのコーデはヤダとか言ったらバチが当たる。


「私も着替えてくるから、お姉ちゃんも着替えといてね。そしたら髪もセットするから!」

そう言うと未亜ちゃんは急いで部屋に戻っていった。


…着替えますか。ショートパンツに、キャミソール。そして薄手のジャケット。

もう気温も暖かいから大丈夫かな。



ガチャ

「アスカ姉ちゃん〜起きたー?今日何時くらいにでか…」


「………」

「…ごめん、姉ちゃん」

パタン


っっーーー!

見られた! まともに見られた!

そりぁあさ、今までノックして入ってきたりしなかったもんね!?仕方ない…仕方ないけど!


これが見られて恥ずかしいってやつ?

前はお風呂上がりに半裸で歩いてても何も感じなかったのになんで…。

あの時は即、未亜ちゃん見つかり、捕まって服着せられたから?

たぶん違う…。




数分後、未亜が部屋に来て、まだ着替えも終わらず、

真っ赤な顔を押さえて座り込んでいるアスカを見つけるのだった。





「まったくもう! ユウキ君昨日から何してるの!?もしかしてユウキ君もポンコツ?」

”も”って言ったよ、この子。問い詰めたいけど確実に墓穴掘るからやめとく。

「だって、今までそんな習慣なかったし…。しょうがないよね!?」


モールへの道すがら今朝のことで話題は尽きない。


説明するまでもなく、おおよそを察した未亜ちゃんにユウキは怒られて。

その間に私はなんとか着替えを終えて、髪のセットをしてもらい家を出たのだった。


お世話かけっぱなしで頭上がらないよこれ。

しっかりしないと、どっちが姉かわからなくなる。 (今更だよね?)


「それにしてもお姉ちゃん、美脚だよね。背が高いから余計に」

未亜ちゃんが選んだショートパンツを履いてるんだけど好評のようでよかったよ。

「……」

ユウキはあれから話しかけてこないし。

嫌われた?



バスに乗って移動し、モールに到着。


相談した結果、3階から見て回る。

3階はメンズファッションが中心だから今の私には用事がない。

「ユウキは見たいところある?」

「そうだね。これから暑くなるし、少し服を見たいかな」

「わかったよ、いこ。未亜ちゃんは、私と腕組む?」

「うんっ」

母さんはそうしてただろうし、少しくらい真似してもいいよね。


ユウキはお気に入りのショップで、暑くなるこれからに合わせて薄手の服を買ってた。

「僕の用事はすんだし、2階に行こう。姉ちゃん達はそっちでしょ?ついてくから」



エスカレーターに乗り2階へ降りる。

色々なジャンルの服を扱う店がずらっと並ぶ。さすがモール…。


こうやって見るとレディースファッションって種類が多いなぁ。

ここから選ぶとかハードル高すぎる。

服はタンスにあるので充分だよ私。


「お姉ちゃん、これとかどう?」

フワッフワのスカートを持って勧めてくる。

「ごめん、未亜ちゃん。スカートはちょっと…。それに私には似合わないから。ね?」

絶対似合うのにーとかいってるけどスカートは流石に。

お城でドレス着てもう懲りたよ。私には似合わない。




色々見て回るが私も未亜ちゃんも特に何か買うでもなく、お昼近くになる。

「どうする?フードコートでも行く?」

そう聞いたんだけど、ユウキも未亜ちゃんも反応が悪い。


「レストラン街のがいい?落ち着くし」

「うん、それがいいよ。人目が少ないほうがいい」

「そうだね。お姉ちゃんそっちに行こう」

どうしたのかな、疲れちゃった?ユウキは体力あるはずなんだけど…。



落ち着いた和食屋さんを選んで入る。

ユウキ達二人は一番奥の席へ向かう。

そんな奥に行かなくても…と思いつつ、まぁいいかとついて行く。


「ふぅ〜。最近見慣れてきてて忘れてたよ…」

「うん。あんな目立つとは思わなかった。なんで本人が気にしてないのか僕は問い詰めたい」

なに?二人だけでわかる話しないで欲しいんだけど。


「お姉ちゃん、気にならなかったの?」

「うん?なにが?」

「アスカ姉ちゃん…」

話が見えないのだけど…。


「お姉ちゃんすっごい見られてたの! 気がついてないの?」

「え?知ってるよ?ちょっと見れば私の脅威になるかどうかくらいわかるし。ここにはそんな人まずいないよ、だから放置して大丈夫」


「あぁ、アスカ姉ちゃんだ。なんかホッとした」

「そういう判断なんだね、お姉ちゃんには…」

なにその、お前の中ではそうなんだろうな! みたいなの。


「朝のことで、ちょっと気まずくて。すごい意識したのに…」

「だよね、真っ赤になってたから、やっと自覚してくれたと思ったのに」

朝の話はやめよう?ね?


よくわからないまま食事を終え午後もモールをブラつく。

未亜ちゃんに進められて化粧ポーチやリップ。一通りの化粧品も選んでもらった。

これ、使える自信ないのだけど…。

あ、そうだ。私にはあれがあるじゃん。だったらなんとかなるかも…。


あとは雑貨を買って、今日の夜ご飯の材料を買い込んで帰ってきた。





「ただいまー」

「やっとついたー」

「二人ともおかえり。だね」

「お姉ちゃんも、おかえりなさい」

「ん、ただいま」

そう言って三人で笑い合うと家族だって感じて幸せだよね。






食後、「洗い物やっとくよー」と言ったアスカに後片付けを任せ、ユウキは未亜にコソッと話しかける。

「(ねぇ、未亜姉ちゃん。今日の事があって心配になったんだけど、学校大丈夫かな?)」

「(私も同じこと考えてた。お姉ちゃんは初めから女の子だったって事になってるのなら…)」

「(うん、大丈夫なのかな?でも油断しないでおこう。アスカ姉ちゃんの事だし…)」

「(だよね、絶対に何かある)」

「(うん)」


「くしゅん…」


ある意味絶対の信頼


くしゃみをするアスカの知らないところで、弟と妹の間に謎の絆が生まれていた。








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