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召喚被害者の日常は常識なんかじゃ語れない  作者: 狐のボタン
第五章

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記録



王妃様とのお話も終わって、部屋へ戻ってきたのだけど、アリアさん曰く、シルフィー様の仕度がまだしばらく掛かりそうとの話だったから魔道具を作ってしまうことにした。


いつもお茶をしてるテーブル席へ。人の姿に変わったティーも隣に座る。


映像と音声を拾う側と映し出す側、それぞれに魔石が必要だけど、遠距離を飛ばす必要がないのなら魔石の容量は大きくなくてもいい。

ただ、映し出す側は大きく映すことを考えるとある程度は必要か…。

テーブルにメモ用紙と、ペンを出して術式の下書きを書いていく。

「ママ、大きさはどれくらいになるの?」

「うーん、そうだねー、魔石さえ収まればいいからそこまで大きくはならないよ」

テーブルに2つの魔石をだす。大きい方でも5センチ程。どちらも透明な魔石。

なんとなく、映像がクリアになりそうな気がするし。


「大きい方が映し出す側になるよ。小さい方が撮影する側」

「ちっちゃい!」

「それでもファミリンの魔石よりは大きいけどね」

「ホントだ!」

腕につけてるファミリンと見比べてるティー。


魔力ドームに魔石を放り込んで、どちらも板状に形を整える。

小さい方は長方形、大きい方は正方形に。

魔道具だから別にレンズにする必要も無い。

板状にしたのは、入出力共に単一指向性にしたいから。

無駄な音や映像を拾わずに写したいものだけを取り込めるし、映し出す時も正面に投影できる。


大小の魔石をリンクさせて、撮影する魔石に魔刻刀で術式を刻む。

こちらは正面の音と、映像を取り込む。


投影させる魔石にも術式を刻む。

こちらは取り込んだものを映し出すための術式と、映すサイズの変更を出来るようにした。


出力側の魔石を壁に向けて設置。魔力防壁じゃなくても平らな場所へなら映せるから。

「よし、取り敢えず試してみよう。ティー適当に動いてみて」

「わかったの!」

撮影側の魔石で、動き回るティーを写しながら投影されてるかの確認。

「あー…流石に暗いか。明るさの補正をしないとダメだね。ティー、ありがとう」

「はーい! よく見えなかったのー」

「だねぇ。改良しないと」

投影側の魔石を回収し、2つともに明るさ補正機能をつける。

魔力を流しつつ明るさを変更するイメージをするだけだから簡単。

再度、ティーに頼んで実験。


「おぉーティーが壁におっきく映ってる! もう完成?」

タイムラグもないし大丈夫だね。

「ありがとね、ティー。後は持ちやすいように形を整えるのと、小さな魔石に記録できるようにするだけだよ」


撮影側は少し厚みのあるスマホみたいな形に。

後ろに魔石を嵌め込めるようにしてある。ここに嵌めた魔石に記録として書き込まれる。

投影側は家庭用の小型プロジェクターを意識した。レンズ部分に、正方形にした板状の魔石が嵌め込んである。

こっちにも魔石を嵌める穴が空いてて、記録した魔石を嵌めれば、これ単体で映像を映し出す事もできる。


完成した物でティーの記録映像を撮って、それを壁に映して遊んでいたら、バーン! と部屋にシルフィー様が突撃してきたものだから騒ぎになってしまった。


「アスカ様、それなんですか!? ティー様が壁で動いてます!」

口頭での説明は私ができないと判断して、実践してみせる。

シルフィー様とティーを撮影。

リアルタイムでの投影と、記録した魔石を投影側の穴に嵌めて映像を壁に映してみせた。


「私とティー様が…どうなっているのですかこれは!」

「ママが今作ったのー。色々なものを記録しておけるの!」

「じゃあ、これでアスカ様を記録しておけば…」

「いつでもママを見れるよ?」

「アスカ様。これ、何に使われるのですか?」

「陛下が新年の御挨拶をされる時、ですね」

「なるほど…これならお母様達の悩みが一気に解決するのですね!」

「はい、その為に作りましたから」

シルフィー様は直ぐに王妃様に報告してくると言って、また走り去ってしまった。


「…なんか数が必要になりそうだからいくつか作っておくか」

「ママは賢明」

「シルフィー様のあの様子を見てたらね?」

一度作ったものを、再度作るのは簡単だし。

アキナさんにも渡すことを考えたら、そこそこの数が必要だよなぁ。 (うん。千年祭で使うってなったら…)

そうだね。魔石はアキナさんに大量に貰ってるし、量産しておくか。



シルフィー様が呼びに来て再度王妃様のお部屋へ。

王妃様にもデモンストレーションして見せて、使い方を覚えてもらえるように3セット程渡した。

お礼にって、王妃様の個人的な在庫から魔石を沢山頂いてしまった…。

小さなアルフィー様を撮影出来たのがよほど嬉しかったみたい。

後で陛下にも見せなきゃ! ってシルフィー様と大はしゃぎしてて、アルフィー様がびっくりして泣き出してしまった程。

きゅーきゅー泣いてる姿は可愛くて、撮影したくなる気持ちは嫌ってほどわかる。

でも、早く抱いてあやしてあげて。可哀想だよ。 (泣いてるのにー)

王妃様達が撮影ばかりしてるから、アルフィー様は私に飛びついてきた。

「びっくりさせてごめんなさい、大丈夫ですから。ね?」

“きゅー…”

うるうると泣いてる瞳を拭ってあげて、抱きながら撫ぜてたら落ち着いてくれた。

ドラゴンも涙って流すんだなぁ。 (一部始終が撮影された…)

とんでもない物を作って渡してしまったのかもしれない…。 (ママの魔道具はヤバい)

現代の科学知識のお陰だけどね。


アルフィー様を泣かせてしまったけど、結果的にはお二人とも撮影魔道具の使い方をマスターされたから、本番も問題ないかな。



少し遅くなってしまったけど、私がこちらへ来た本題を果たさないといけない。

陛下の名代としてシルフィー様。護衛にアリアさん。シルフィー様のお付きメイドとしてユリネさんが同行する。

護衛が一人って普通なら少ないと思うけど、まだ正式な国交を結んでない以上、お忍びみたいなものらしい。

それに行き先が、身内のアキナさんが女王を務める国だから不安要素も少ない、と。

「アスカちゃんもいるしね?」と王妃様。責任重大だ…。


こちらに待機する分体のティーとはここでお別れ。

シルフィー様達を連れてドラゴライナ王国へ転移。


ーーーー

ーー


「ママおかえり!」

転移場所で待っててくれたティーを抱き上げる。

「ただいま、ティー。みんなは?」

「リア達は部屋でのんびりー。ユウキは自室ー! アキナさんとママのママは玄関ホールで打ち合わせちゅう」

「ありがとう。 シルフィー様、アキナさんのところへご案内しますね」

「お願いします、アスカ様」

玄関に入ってすぐのホールは2階からの階段を降りればいい。


「アスカちゃん。帰ってたんだね!」

「はい。 アクシリアス王国から、シルフィー様御一行をお連れしました」

「ありがとう。助かったよ!  シルフィー、ようこそドラゴライナ王国へ。屋敷は手配してあるけど、すぐに行く?」

「私はアスカ様と一緒がいいです…!」

「気持ちはわかるけどね、非公式とはいえアクシリアス王国からの使者に滞在場所を用意しない訳にはいかないんだよ。だから、一度そこへ案内するね」

アキナさん自ら案内するみたいで、そのまま屋敷を出ていった。

シルフィー様は王妃様のご実家へ滞在かと思ったけど、そういう訳にもいかないのか。

その辺は色々複雑なんだろうなぁ。里帰りが目的だった王妃様とは違うものね。











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