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召喚被害者の日常は常識なんかじゃ語れない  作者: 狐のボタン
第五章

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大切な話



師匠と話してたらあっと言う間に夕方になってた。

時間が経つのを忘れてしまうくらい、師匠といる時間というのは私自身、自然体でいられるのかもしれない。

一晩だけ、と師匠に引き留められるも、ユウキと約束しているから破るわけにもいかない。

また来る約束をしてなんとか納得してもらった。

キャンディ達ともお別れをして送還。


師匠、メリアさんにハグをされて、何故か皇太后様にまでハグをされて…

「私の新しい娘よね。またいつでも遊びにおいでー」

と、またよくわからない事を言ってるけど…。 (戦闘力やべーの)

やっぱりそうなの? (師匠がティーよりちょっと強くて、それよりさらに強い…)

じゃあ全力でティーが戦っても… (ママのスキル全部借りても勝てるかわかんない)

人は見かけによらないってこういう事か。こわっ…


「待ってるから必ずまたこい。家族と一緒でもいいからな」

「はい。また必ず」

「お待ちしてます、アスカ様」

「ありがとうございます。ではまた…」



ーーーーーー

ーーーー

ーー



自宅へ転移して帰ってきたのは19時少し前だった。

リビングには不貞腐れた未亜とドラゴン姉妹。ソファーでぐったりしたユウキ。

その隣ではシエルがレウィを抱いてスヤスヤと眠ってる。


どういう状況…? (まぁ…うん。察して、としか言えないの)

そう…。私も不貞腐れてる三人には少し話があるし、時間をもらうか。


「ただいま」

「「「…………」」」

「姉ちゃん、おかえりー」

ぐったりしたまま手だけ上げて返事するユウキは、そうとう三人にせっつかれたんだろうな…。

申し訳ない。


「未亜、リア、ティアねえ様。大切な話があるから時間もらえるかな?食後でもいいけど…」

「先に聞くわ。言い訳も含めてね!」

「うん…大事なことなら先に聞きたいよ」

「そうだねーどんな弁解をしてくれるのか楽しみだよー」

三人と自室へ。飲み物くらいはストレージに入ってるから必要ならそれを出せばいっか。 (ティーはお留守番してる!)

うん。ごめんね。




「それで? 言い訳があるなら言いなさいよアスカ」

部屋に入るなり、リアに詰め寄られる。

飲み物出してゆっくりお話し…なんて雰囲気ではない。

「言い訳はしないよ。 みんなに確認したい事があるんだ」

「確認したい事って…お姉ちゃん向こうで何かあったの?」

「それも後で話すけど…。 まず、私の自惚れじゃなければ、みんなは私の事、好いてくれてる…よね?」

「当たり前だよ!」

「…わかってるなら!」

「まぁまぁ、リア。何か大切な事っぽいから最後まで聞こうよ」

「わかったわよ!」


「そのみんなの”好き”ってさ、家族としての好き?それとも色恋の好き?」

「……どういう事かわかんないよお姉ちゃん」

「私はそうよ」

「私もそうだねー」

「わ、私だって!」

今わかんないって言ってなかった未亜…?


「私は正直言うとね、色恋の好きがよくわからないの」

「…は? 知ってるわよそんな事」

「うんうん。アスカは鈍いし、ウブだもんね!」

へっ?あれ?

「お姉ちゃんが私達の事、大切に思ってくれてて、でもそれが家族としての好きなのはわかってるよ?」

あっれー?


「みんなは…それで良かったの?」

「どういうことよ?話が見えないわ」

「いや、だから…あれ?私がおかしいの?」

「アスカは今更になって、私達の本当の気持ちに気がついて、それに答えられてないから、罪悪感でも感じてるのー?」

「えっと…うん。多分そう…かな」

「なによ。大切な話とか勿体つけて! 私達はアスカが鈍いのも恋愛感情に疎いのも承知の上よ」

「えー…」

「それでも、私達はお姉ちゃんの事好きだし、気持ちは変わらないよ?」

「だよねー、私達が好きになったのはそういうアスカだもん」

待って…もう意味がわからない。


「それより、なんでそんな話になったのか、そっちのが私は気になるなー」

「そうよね…。絶対何かあったのよ」

「お姉ちゃん。話して?聞くから」

「そうだね。そこから話さなきゃだね。 私、今日ね、嫉妬っていうのを経験したんだよ」

「聞きました?ねえ様」

「うん。相手が誰かは予想つくけどねー」

「お姉ちゃん闇落ちしたの?」

「してないから。 師匠がね…私には見せたことの無い姿を見せている人がいて、なんか悔しくて…師匠に必要とされなくなるのかもって思ったら怖かったんだよ…」

「どう思いますリアさん」

「自分の事を好きって言ってる女を三人前にして、この話をする度胸だけは褒めてもいいと思うわ」

「お姉ちゃんは私達に妬かせたいの…?ねぇ?」

「ちがっ…そうじゃなくて! あぁーんもぅ…どうしてこうなった…」 

なんかこう…もっと責められたり、シリアスな事になって関係の悪化とかまで覚悟してたのに…。


「現地妻…」

「ティーちゃん、それどこで知ったの?」

「皇帝へーかがいってた!」

「ちょっとティー!」

お留守番してるんじゃ…。 (ママが困ってそうだったから。助けに来た!)

いや、思いっきり火種をバラまいたからね!? (え…) 

火種どころか爆弾投下したよ…。 (ごめんなさい…)

いや、もう仕方ないけど。 (あぅ……)


「未亜、現地妻ってどういう意味かしら?」

「えっと…例えば旦那様が、仕事とかで出かけた先の現地に、別の奥さんを持っている?」

「「………」」

「えっ、お姉ちゃん…現地妻?皇帝陛下が…?」

「違うから! 結婚はできないって断ったよ。私には大切な家族がいるからって。それを捨てて向こうの世界で過ごすことはできないってはっきり言ったよ!」

「言ってたーティーもちゃんと聞いてた!」

「なんだーびっくりしたよー」

「でも、それならなんでそんなセリフが出てくるのよ」

「家族を連れていつでも遊びに来ていいって、そう言ってくれたの」

「お姉ちゃん、それ現地妻と話がつながらないよ」

「それはメリアさんが、勝手に言ってただけで…」

「こっちにも居場所があるんだから、気兼ねなく顔を出して欲しいって事じゃない?」

「そう。そういう事! さすがティアねえ様!」


「集合!」

リアに呼ばれて三人が内緒話を始めてしまった。 (ごめんなさいママ)

大丈夫よ。ティーも知らなかったんだし。 (あい…)

落ち込まなくていいから。ね? (はーい!)

甘えてくるティーを撫ぜながら内緒話が終わるのを待つ。


「アスカ、聞いてもいい?」

内緒話の終わったらしい三人が私の前に並ぶ。

ティーも私の隣で正座してて申し訳なくなる。

それになんか妙な緊張感で冷や汗が出てくるんだけど…。

「なんでしょうか…」

「私達の想いは迷惑かしら?」

「そんなこと無いよ! ただ、私は本当にわからなくて…だからみんなのその気持ちに答えてもあげられないし、何もしてあげられないんだよ」

「じゃあさ、アスカ。私達は特別じゃない?」

「特別?」

「うん。例えば、街ですれ違った人、買い物した時のお店の人、そういう人達と私達は同じ?」

「そんなわけないよ! 大切な家族だし…絶対に失いたくない、命がけでも守りたいって思ってるよ」


三人は頷きあって…、

抱きついてきた。


「ちょっ…どうしたの!?」

「それで充分だよお姉ちゃん」

「ええ。私達はアスカの特別なの!」

「だよねー。命がけでも守ってくれる、なんて最高だよー」

「おぉ…ママ、モテモテ」

「ティーは来ないのかしら?」

「いいの?」

「ティーちゃんも家族でしょ?お姉ちゃんの大切な子なのに、来ないのはだめだよ」

「わーい!」



「ありがとう、みんな…それとごめんね。鈍くて」

「いいわよ。今更だわそんなの。ただ…これ以上は増やさないでくれると嬉しいわ。切実にね」

「私は多分無理だと思うなー。強くて優しいアスカの傍にはこれからも増えてくと思うよー」

「そうだね…私もさすがに諦めたよ。お姉ちゃんを独り占めはできないって」

それを聞かされて私はどう思えばいいのか。

ただ…私は大切な物、守りたい人を全力でこれからも護っていく。それだけは変わらない。

それでいいんだよね…。


少し遅くなった夕食は、昨日持ち帰ったオードブルをみんなで食べた。

残らなかったのはそれだけ美味しかったってことだよね。 (うん! でもティーはママのご飯が好き!)

ありがと。ティーがそう言ってくれるとすごく嬉しいよ。













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