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召喚被害者の日常は常識なんかじゃ語れない  作者: 狐のボタン
第五章

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後ろ姿にご注意



魔法の講義も終わり、地下から出て行くみんなを見送って一人残る。

お風呂が空くまで少しかかるだろうから、今のうちに。 (なにするのー?)

レウィの手甲と、奈々と、麻帆に快気祝いにアクセサリーでもあげようかと思ってね。 (魔道具はダメだよ?)

うん。魔道具にするとしても、せいぜい奈々にあげた運を少し上げるとか、それくらいにしかしないよ。 (ならいいのー)


レウィの手甲は扱いやすく単純なものに。腕に魔力を纏わせてたくらいだから、魔法効率のいいミスリル…アスリルにして、手首の可動を妨げないようにしつつ… (魔法の爪とかは?)

それいいね。魔石を4つ埋め込んで、魔力を流せば四本の爪が出る。

こっちも斬撃が飛ぶようにしておけば遠距離にも対応できるね。 (お揃いだー!)

うん。喜んでくれるかはわからないけど…。 (きっと大丈夫!)



次は奈々達のアクセサリーだけど…。

普通のアクセサリーを作るとなると、魔石を使えないし、金属もこちらにあるもので作らなきゃ。

特に麻帆は、異世界なものは変に警戒しそうな気がするし。

異世界のファンタジー素材ならたくさんあるけど、普通のものがない…。 (前に未亜といったお店は?)

あぁ、うさぎカフェのあった駅近くのお店かぁ。 (そうそう!)

明日、学校帰りにちょっと寄ってくるか。ただ、あっちで目立ったからなぁ… (髪色変えるくらいでわからなくなるのー)

ティーの強制力で有耶無耶になってるんだっけか。 (そう。でも流石にママの髪色で目立つと…)

わかったよ。ありがとね。茶髪にでもしていくよ。 (それがいいの!)


奈々は普段からピアスしてるし、それにするとして…麻帆はピアスあけてないからなぁ。

ここは無難にネックレスか…。

デザインを考えて、金属の加工だけしておく。

明日、なにか良さそうな天然石を買ってこよう。





翌日の放課後、隣街へ向かう。

学校近くの公園のトイレで普段着へ着替えて、髪色も変えてポニーテールに結う。


地元駅から隣街へは普通電車だとそこそこかかるけど、快速があったからそれに乗った。

未亜と来た時は、のんびりしたかったのもあって40分くらいかけてきたけど、今日は15分程でついた。


駅から、前回の記憶を頼りにお店へ向かう。

店内では、前と同じように店員のお姉さんが奥で作業をしてたから挨拶だけして天然石をさがす。

悩んだけど、ラピスラズリを2ミリ玉を2つ、5ミリ玉を1つ買った。

健康、幸運っていう石言葉に惹かれたから。

形は魔力ドームでどうとでもなる。


欲しかった物は買えたし、早く帰って作ろう。 形はどうしようかなぁ…うーん…。

「お姉さん、僕とお茶しませんか?」

丸のままは芸がないし、やっぱり私と同じように、ティアーズドロップかな。

「すみません! 僕とお茶しませんか?」

「え?」

考え事してて、ちょっとびっくりした。 お茶? というかこれ、ナンパ? しかも…


私が振り返ると固まる声の主。

「はっ…?」

「………何してるのよ」

「あ、いや…これには深い訳が…」

振り返って確認するまでもなかったけど、ユウキ。 (うわぁ…! ユウキなにしてんの?ママをナンパ?)

知らない…聞きたいのは私だよ。


「何してるの?って聞いてるんだけど?」

「い、いや…てか、なんで姉ちゃん隣街にいるのさ! しかも髪色まで変えて…魔力も消えてるし!」

「買い物だよ。 ほら、私こっちで目立ったじゃない?だからね?」

「あー」

「言い訳はゆっくり聞くよ。 それで?どこに連れてってくれるの?」 (行くの!?)

いや、流石に事情聞かないと。ユウキと二人っていうのも久しぶりだし。 (なるー)


「は?」

「いや、お茶するんでしょ?」

「おかしい! おかしい! 姉ちゃんだって知らなくて…」

「ちょっと話もあるし。 ほら、ナンパしたならちゃんとエスコートしなさいよ。それとも軟派な行動を叱った方がいい?」

ビクッてしたユウキは少し考えた後、大きなため息をついて諦めたのか、駅ビルの中にあるファストフードへ案内してくれた。


飲み物だけ頼んで、お金を払おうとした私をユウキが止め、会計をしてくれて隅のボックス席へ。

「………」

流石に姉をナンパした事で気まずいのか俯いてる。

「何をしてたのか聞きましょうか…? ユウキのことだから訳があるんでしょ?」

ボソボソを言い訳を始めるユウキ。

理由はとてつもなく、くだらなかった。


友達数人と話しててみんなそれぞれナンパして、成功したら一緒にプリクラを撮って見せ合う。

ナンパした相手とは連絡先の交換をして、合コンのセッティングをする予定だった。失敗した人は、罰ゲームがあると。

「僕は嫌だったんだけどさ、一人だけやらないのもノリが悪いじゃん…」

私も男子特有のそういうノリはわかる。元は男だったし。多分…


「それにしたってなんで態々隣町まで来るの?」

「うっ…そ、それは、姉ちゃん達にバレたらやだなぁ…と…」

「はぁ…。事情はわかったよ。怒るつもりはないけど、あまり馬鹿なことしないようにね?」

「はい…」

「合コンは流石に無理だけど、プリクラ撮ればいいんだよね?」

「いやいやいや…」

「いいの?罰ゲームあるんでしょ?」

「…既にもう罰ゲームなんだけど!」

失礼な…。そんなに嫌? 


渋るユウキと、駅ビル内にあるゲームセンターでプリ機を見つけて撮る事に。

「何を緊張してるの?」

「いや…まさかこんな事になるとは…」

渋い顔をしたユウキと一枚撮って、そのまま一緒に電車に乗って帰る。

帰り道も終始無口なユウキは相当落ち込んでるな、これ…。


「姉ちゃん、この事はみんなには…」

家につく直前でようやく口を開いたと思ったらそう言ってきた。

「わかってるよ。言わないから」 (………)


それを聞いてホッとしたのか、先に玄関を開けて入ったユウキが固まった。

「ちょっとユウキ、早く入ってよ。私が入れないから止まらないで」

「ひいっ…」

変な声を上げたユウキが後退ってきて、ぶつかった。

どした?中を覗こむと、鬼がいた…。 (話しちゃった)

あぁ…なるほど。それはもう仕方ない。 (ごめんなさい…)

いいよいいよ。どうせ私がボロを出してバレて悲惨な事になってたかもだし。 (確かに)

嘘つくの下手らしいからねぇ…。いずれバレるのなら早いほうがいいでしょ。


色々諦めたのか、無抵抗なユウキは未亜、リア、ティアねえ様に引きずられていった。

助け舟くらいは出してあげるか…。

部屋へ戻り、着替えて髪色も戻す。


リビングに戻ると…なにこれ断罪イベント? (令嬢じゃないから…)

ユウキの周りを狐火になってるうどんがくるくると飛ぶ。

ホラーかよ…。

必死にユウキが説明するも3人は納得しない。

証拠品としてプリクラは押収された。

私とティーも庇ったのだけど、「「「黙ってて!」」」 って怒られた…。


3人が落ち着くのを待つほうがよさそう。そんな怒らなくてもいいのに。

キッチンで夕食の仕度をしつつ、リビング裁判の行方を見守る。

「お兄様…大丈夫かな…」

みんな手が離せないから、手伝ってくれてるシエルは心配そう。

「大丈夫よ。気が済めば落ち着くと思うから」

「わう?悪いことしたの?」

「んーそれは判断に困るところだね。私はあそこまで怒る程の事じゃないと思うんだけど…」

3人の判決はギルティ。 (破滅エンド…ユウキごめんなさい)

令嬢じゃないんでしょ? 有罪になった所でどうするのやら…。


「ティー、レウィ、テーブルへ箸を運んでー」

「「はーい」」

「シエルは私とお皿を運んでね」

「わかったの」

今夜は鳥ミンチと根菜、豆腐を混ぜて焼いたヘルシーハンバーグ和風あんかけ。

お弁当用は小さめにして大量に準備した。こっちは味を濃いめにして、あんは無し。



テーブルへ夕食をセッティングしつつ、未だ続いてる断罪イベントをいい加減止める。

「ほら、夕食出来たから。もうそれくらいにして。付き合いでやっただけなんだし、最終的に付き合わせたのは私なんだから」

「アスカもアスカよ! どういうつもりなのよ!」

「話すから。とりあえずご飯にしよ」


夕食を食べつつ、説明。

「何をしてたのか理由を聞きたくて、付き合っただけだからね。みんなは、何をそんなに怒ってるの?」

「お姉ちゃんをナンパしたから…」

「そうよ! しかも二人でこんなの撮ってきて!」

「私もこれ気になる。羨ましいよー」

「プリクラならモールに行けばいつでも撮れるから」 (ティーも!)

いいよ。一緒に撮ろうね。

三人ともプリクラを取る約束をしてようやく納得したのか、ユウキも開放された。



「それが無いと、罰ゲームらしいから返してあげてね」

渋々といった感じでユウキに返すリア。

なんとかなったかな。



「お姉ちゃんは隣町に何しに行ってたの?変装までして」

「ティーから聞いてないの?」

「ユウキがアスカをナンパした! としか聞いてないわね」

「髪まで染めてたもんねー。でも私はやっぱり銀色のが好きだなぁー」

「明日、奈々の快気祝いするのに、手ぶらなのもなぁと思ってね。かと言って魔道具を渡すわけにもいかないから天然石を買いに行ってたんだよ」

「あっ、私と入ったお店?」

「そうそう。種類が豊富だったからね」

「髪色を変えたのは、ママが向こうで目立ったから!」

「う…そうだね。ごめんね、お姉ちゃん」

「だから、未亜は悪くないでしょ。気にしなくていいから」

事情を知らないティア姉さまにリアが説明してるけど、すでに動画は消えてるから見せられなくて…。


リアが犯人役で、再現するはめになった。

「未亜、その役変わってほしいわ」

「じゃあ私が犯人役?できるかな…」

「あー…僕がやるよ。お詫びを兼ねて」

ユウキが犯人役で、庇われる役をユウキを除いた全員、まさかのレウィまでやって終了。

ナンダコレ。

みんな楽しそうにしてるからいいけど…。未亜も変な罪悪感が消えたようで、おかしな寸劇をしたかいもあったのかもしれない。



寝る前に、ラピスラズリでティアーズドロップ型のピアスを2つと、ネックレスを作って包んだ。

麻帆は特にだけど、高価な物とかだと受け取らないだろうから、これくらいがいい。









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