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召喚被害者の日常は常識なんかじゃ語れない  作者: 狐のボタン
第五章

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魔法の講義



「私の使ってる魔法防壁って言うのは読んで字のごとく、魔力を壁にしてるんだけど、これもイメージ次第でサイズや強度も変えられる。まずは見せるね。いつもどおり可視化するから」

魔力に様々な色を付けていくつか魔法防壁を出して設置。サイズはみんな同じ、人物大。

「未亜は青色のに魔法を打ってみて?」

「わかったよ!」

未亜の放った氷の槍は青い魔法防壁にあたり消滅する。


「シエルは赤色のにぼたんで攻撃してみて」

「わかったの…ぼたんちゃん、お願いするの…」

頷くように動いたぼたんは炎を纏い、赤色の魔法防壁へ体当たりするも、弾かれる。



「じゃあレウィ、青い魔法防壁に物理攻撃してみて?」

「わう!」

レウィが前足で殴りかかると、未亜の氷の槍を弾いた青い魔法防壁をすり抜ける。

「わう?手応えがない!」

「うん、じゃあ未亜はもう一度…今度はシエルとぼたんが攻撃した赤色の魔法防壁へ魔法を打ってみて」

「はい!」

未亜は今度は火球を放つ。でもそれは魔法防壁をすり抜けて背後の壁へ当たる。

「あれ…?すり抜けた?」


「じゃあ最後、みんなで順番に緑色の魔法防壁へ攻撃してみて」

まずはレウィが殴りかかるも弾かれ、ぼたんの体当たりも弾かれ、未亜の魔法も魔法防壁に当たり消滅する。



「あっ! わかったの…! 青いのは魔法への防壁、赤色は精霊魔法、緑色のは全部への防壁?」

「シエル、大正解だよ。魔法はイメージ次第っていうのは前にも教えたけど、これも同じ。魔法だけを弾くようにイメージをすると、この青い防壁になるの。魔法だけに絞れば消費魔力も少なく済む」

「じゃあ緑色のは3種類だから3倍くらい消費するの?」

「未亜、いい質問だね。単純に考えたらそうかもしれないけど…実際は2割増くらいかな」

「どうして?3種類に対応してるのに…」

「簡単に説明するのなら、まず対魔法用の魔法防壁を張るのに100、物理、精霊魔法へ対処するのに2割増えたってところだね」

「わう?対魔法の防壁へ追加しただけだから?」

「そうだね、そんな感じ。ただ、これもイメージ次第なのは忘れないでね。うまくイメージができないと消費魔力は増えるから」 (ママの魔道具は?)

あれは、魔道具の装着者へ向けられた全ての攻撃に対処するから魔法だろうが精霊魔法だろうが一切通さないね。 (消費魔力増えない?)

多少はね…ただこれは術式次第だよ。徹底的に効率よくしてあるから。 (さすママ…)

みんなを守るためのものだからね。それに、攻撃された時にだけ発動するから普段は魔力の消費はしてない。 (ほぇー)


「お姉ちゃん、そうなると…どんな攻撃が来るかわからない場合は全部へ対応させたほうがいい?」

「そうだね。ただ…その場合は対〇〇用とか考えず、自分への攻撃を一切通さないイメージをしたほうがいいね」

「お姉様、それなら最初からそれでいいんじゃ…?」

「うん。シエルの言うとおりで、私がみんなに渡してる魔道具は正にそうなってる。ただ…」

「魔法だけに特化させたほうが、対魔法には効果があるの?」

「ティアねえ様正解。特化させれば何倍も強くできたりするよ」

リアに攻撃するうどんへ指示を出しつつも話を聞いてたのか。器用な事を。

「なるほどねー」

「リアはうどんの攻撃へは対処できた?」

「まだまだね…3回に1回くらいしか無理よ」

「集中して魔力を感知すれば出来るようになるから。初めてでそれなら凄いよ」

「わかったわ…でもアスカの説明も聞きながらだったのだから仕方ないじゃない」

「リアには後で説明するつもりだったからね」

リアも話を聞きつつ慣れない事をしていたのなら充分な成果だと思う。


「お姉様質問なの…」

「うん?シエルどうしたの?」

「王妃様の試練の時に、お姉様がドラゴンのブレスを防ぐ為に幾つも魔法防壁を設置してたのはどうやったの…?」

「あぁ…あれかぁ。 言葉では説明しにくいのだけど、まず正面に対ブレス用の魔法防壁を張って、ブレスの入射角から反射角を割り出して、その直線状に次の魔法防壁を…」

「意味がわからないわ…」

「うん、入射角?反射角ってなに?」

「あー、なるほど…って、お姉ちゃんそれをあの一瞬でやったの!?」

「わう?」

「わからないの…」

これは仕方ないか…。私や未亜は学校で理科の実験をして習ってるけど、異世界から来た子達には通じない。


「よし、じゃあ少し実験しよう!」 (ティーもみたいー!)

いいよ、休憩がてらおいで。ずっとユウキと打ち合ってたんだし。 (はーい!)


ストレージから鏡とレーザーポインターを出す。未亜も手持ちの鏡を貸してくれて4枚あるから、充分かな。

「リアは鏡をこっちへ向けて、動かずにそこに立ってて」

「わかったわ!」

リアの持つ手鏡へ少し斜めから角度をつけるようにレーザーを飛ばす。

「未亜、ティアねえ様へ鏡を渡して、反射する光の直線状に立たせてあげて」

「わかったよー」


「鏡を魔法防壁、この赤い光をブレスだと思ってね。私が放ったブレスがリアの魔法防壁に当たる角度、これが入射角。跳ね返って、ティアねえ様の方へ出ていく光の角度、これが反射角。入射角度と反射角度は同じになるよ」

「アスカー私のとこへ来るのも入射角?」

「光の入ってくる角度がそうだね。出ていく光は反射角だよ。 シエル、レウィと一緒に鏡を持って、ティアねえ様から反射してる光の先へ行ける?」

「はいなの…」

「わう!」

理解力が高いのか、ちゃんと光の飛んでいく先を目指して行く二人。


「最後は…」

「まかせてー!」

「じゃあティーお願いね」

ティーは私から鏡を受け取ると、シエルとレウィの位置から反射してくる光の先へ行く。


「ティー、その光をリアの方へ返してあげて」

「はーい!」

「あら…光が弱いわ」

「うん、そうだね。 リア、イメージは無視したとして、同じ魔力で、同じ魔法を打ったら、近くと遠くでどちらが威力がある?」

「当然近くよね。遠くなれば威力は落ちてしまうわ…。 これも同じ?」

「そういう事。スノウベルさんのブレスは高威力だったから、反射させる回数も増やしたし、魔獣に当てて威力も削いだの」

「だから途中で消滅したのね…」

「うん。魔法防壁も当たった魔法を打ち消したり、反射させたりと色々できるけど、あのブレスは消滅させるのは難しい威力だったから、この方法を取ったって事だね。 ただ、これには大前提として魔法防壁を平らに張らなきゃいけない。ドーム状にしてたりするとあさっての方向へ跳ね返っちゃうよ」


「姉ちゃんが理科の先生してる…」

「この説明で合ってるよね?」

「うん。大丈夫なはず」

ユウキからもオッケーがもらえたし大丈夫でしょう。


「こちらの世界に魔法はないけれど、こういう科学って言うものが発展してるの。今見てもらったように魔法にも応用ができる事もあるから無駄にはならないし、探してみるといいよ」

「ママ、例えば何かない?」

「例えばかぁ…。 身近で、魔法をイメージするのに役に立つと物って言うと、お風呂のシャワーとかもいい例かもしれないね」

「あれ気持ちいいわよね。勢いがあるから髪も洗いやすくて私は好きよ」

「まさにそれだよリア。 水の魔法を使う時にシャワーみたいに細く、勢いよく飛ばすイメージをすればいいの」

「お姉ちゃん、そうなると氷の魔法も、冷凍庫の氷をイメージしたらいいの?」

「そうだね、それで合ってる。もしくはもっと冷たい氷…ドライアイスとかね」

「姉ちゃんのは溶けないじゃん…」

「そうよね…あれはどうなってるのよ?」

「んーあれは私の魔力が高いのと、特殊な状態だから、としか言えないね。使ってるのはあくまでも氷の魔法だし…」

いつも通り氷の魔法を使って氷塊を作ってその場に置く。

「触ってみていいよ」


「わう…あんまり冷たくない?」

「うん、ママのは触っても平気」

「これは、冷気を内側へ向けて巡らせてるからだね、表面はクリスタルをイメージしてる。 見ててね?」

聖剣を出して氷塊を縦に真っ二つにする。


「寒っ! すっごい冷気だよー」

「この状態なら冷気がでるし、溶けていくんだけど、この通りすっごい寒いんだよ」

急いで氷塊を消す。

「ママ…寒いの…」

「ごめんごめん。待ってね」

魔力ドーム内で炎の魔法と風の魔法を合わせてから解除し、部屋を暖める。ドライヤーの魔道具と同じ原理。


「またメチャクチャなことしたわね…」

「私は魔力や魔法の威力が上がってから、氷にしろ炎にしろ、周りに影響が出るくらい温度変化が起きるから、外へ漏れないようにしてる結果がこれだね」

「じゃあ主様のは炎も熱くはない?」

「いや、流石に炎は触ったら火傷するよ。氷みたいに固体じゃないから、いくら内へとエネルギーを向けても、炎の塊には違いないからね」

「姉ちゃん、多分それも伝わんないよ」

それもそっか…。

それから私とユウキ、未亜で固体、液体、気体などに関する講義が行われた。

とは言っても所詮私達の知識も、中・高生レベルだから簡単な物だけど…。

魔法に応用させる為なら、これくらいで充分な気もする。


講義の後、全員が魔法防壁を大なり小なり扱えるようになり、うどんとぼたんによるデモンストレーションも無事終わった。

狐火はぼわぁっとした薄暗い感じが雰囲気出てて、未亜が怯えてた。

確かにちょっと怪談とかみたいなホラーテイストだったかも?

魔道具の明かりみたいに、ものすごく明るくはならないけど、私には風情のある明るさに思えてキレイに見えた。






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