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召喚被害者の日常は常識なんかじゃ語れない  作者: 狐のボタン
第五章

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残念な姉か 頼れる姉か



次の日、登校して授業を受けてる間も、うちの子達に刃物を渡したのに、扱い方を伝えるのを後回しにしちゃったから心配で気が気じゃなくて。

私の様子がおかしいって、奈々と麻帆が心配してくれたけど、まさかうちの子達に刃物をプレゼントした。なんて言えるはずもなく…。

お昼休みに、昨日奈々が聞きたがってた、神社での出来事を掻い摘んで話はしたけど、落ち着きのない私の事を心配させてしまった。


ティーも大丈夫って言ってくれてたけど、やっぱり心配で…未亜、ユウキを急かせて帰ってきた。

自分が作った物で大切な家族が怪我をした、なんて事になったら耐えられない。


「ただいま! みんな大丈夫?」

慌ててる私とは対象的にみんなリビングでのんびりしててホッとする。

「だから大丈夫って言ったのー」

「それでも心配だったんだよ…」

「アスカが扱い方教えるまで仕舞っておくようにって言ったじゃない。みんなちゃんと守ってるわよ!」

「うん。刃物が危ない物なのはわかってるよ?子供じゃないんだから」

「大切に仕舞ってあるの…」

良かった…。


「お姉ちゃんが心配してくれるのは嬉しいけど、私達を信用してほしいよ」

「言われてるよ?姉ちゃん」

「ごめん…私が作ったもので、誰かがケガしたらって考えたら…」

「そもそもアスカのくれた魔道具つけてるのに怪我するわけがないじゃない!」

「………」

「ママが崩れ落ちた…」

「まさか忘れてたの!? アスカ…残念すぎるよー」

「姉ちゃん…僕もこれは流石に庇えない」

「わう?主様は、強いから大丈夫!」

「そういう事じゃないのよ?まったく…アスカは私達がいないとダメね」

それは否定できない…。いや、待って。

「悪意のある攻撃や、事故には魔道具が反応するけど、自分で切ろうとしたら切れるからね?」

「あぁ。でもさ自傷行為なんて誰もしないと思うよ」

それはそうなんだけど…初めて剣を持った時にどれくらい切れるものなんだろ?って刃先に触れたから。 (だれが?)

当時の私。 (ママなにしてるの?!)

だって武器とか剣なんて初めて見たんだもの。 (心配してた理由が経験則からだった…)




落ち着くために、お茶を飲みつつ少し休憩。

レウィにも刀の話をしたのだけど、刀みたいな武器は必要ないって。 

その代わり何か欲しいものが出来たら言うように伝えた。

私が考える、レウィが使いやすそうなものって言うと手甲とかかな。 (それなら使えそう!)

また戦闘するようなことがあるなら作ってみるか。 (うんうん!)



休憩して私も落ち着いたし、全員で地下へ移動。


「まず、刀の扱い方を説明するね?ユウキはもうわかってるかもだけど、一応聞いておいて」

「わかった」

「じゃあみんな刀を出してもらえる?」

みんながそれぞれの刀を出したのを確認。


「柄…所謂、持ち手に少し魔力を流すと抜けるから試してみて」

全員問題なく鞘から抜けたね。 これが一つ目の安全対策。

「今、魔力を流したことで、それぞれ専用装備になったから…リア、鞘に刀を戻して、ティーに渡して?」

「わかったわ」

リアからティーが短刀を受け取る。

「ティー、抜ける?」

「んーーーー! 無理ー」

「こんな感じで、本人しか抜けなくなって専用装備になったから安心してね」

これが二つ目の安全対策。

「ティー、リアに返してあげて」

「はーい!」


「普通の刃物と違って、刀身に魔力を流さない限り、物が切れることはないから、落としたりしても切れたりはしないから」

三つ目の安全対策。刃が魔石だからこそできる事。

「魔力を流してなかったら刃引きした刀みたいな物ってこと?」

「そうだね、ユウキ。 ただ、打撃としてはダメージがあるから気をつけてね」

「了解」

まぁ未亜達のは短刀だからその心配も杞憂だろうけど…。



「最後は、ティーにデモンストレーションしてもらおうかな」

「任されたのー!」

腰に刀を装備したティーが立ち上がり私の隣へ。

「抜いたら魔力を流して…そうそう。斬撃が飛ぶイメージをして振り抜いて」

「ていっ!」

可愛い掛け声とは裏腹に、きれいな太刀筋で振られた刀からは紫色の斬撃が飛び、壁まで飛んでいってバシュって音と共に消える。

「すっげー!」

「これは魔力依存だから、使うたびに魔力が減るから気をつけてね。一応、遠距離攻撃になるから」

「マジかよ…最後のだけは知らなかった」

「ユウキのなら赤色が飛ぶよ」

「やってみていい?」

「うん」

ユウキもティーと同じように魔力を流しつつ横凪に振り抜くと赤い斬撃が飛んでいった。

「これ…ヤバい! かっこよくね?」

「うん! ママの魔剣やべーの!」


「アスカ、それ…まさか私達のにもついてるのかしら」

「うん。同じ物だからね」

「護身用の域越えてるわよ…」

「だねぇ…さすがアスカだよー」

「…最終兵器なの」

「怖くて使えないよ、お姉ちゃん…」

「これもイメージ次第だから、例えばエフェクトとしてだけ出すって事もできるよ」


ティーは器用にそれを実行して見せてくれた。

刀を振ると紫色のエフェクトだけが飛んでいき、音もなく消える。

「これも、一応魔法のイメージの訓練になるから。 後は、魔法剣として使うのなら属性を纏わせることも、属性を攻撃として飛ばすこともできるからね」

「これだけで何でもできるじゃん…」

「元々、ユウキが実戦で使えるようにって作ったものだからね」


「アスカが心配してた理由がわかったわ…」

「こんな魔剣を量産して渡してたらそうなるよねー」

「うちはいざって時しか抜かないの…」

「私は使う事あるのかな?なんかこう、アクセサリーみたいな感覚だったよ」

護身用だし、使うことがないのならその方がいい。

「無理に使う必要はないからね。抜かずに済むのならそれでいいんだから」

私の言葉に納得したのか、短刀を仕舞う未亜達。



「ティアねえ様とシエルは、うどんとぼたんの技の確認、未亜とリアは私と魔法の練習。ユウキはティーと近接戦闘の模擬戦かな?ここは私が全力で保護してあるから壊れたりはしないけど、あまり無茶して怪我をしないようにね」

「無茶するのはママくらい! レウィはー?」

「ボクは主様の魔法見たい!」

「それでもいいよ。他にも興味が惹かれた事があったら見てみるといいよ」

「わう!」


少し離れたところでティーとユウキが模擬戦を始める。

模範的で堅実な動きをするユウキに対して、トリッキーで読みにくい動きをするティー。

これは完全に私というか師匠の影響だなぁ。私は、いつも師匠に言われてたから…。

型に囚われるな、相手に読まれるぞ! って。その言葉通り師匠は基本はあっても、その場、その場で対応を変えてくるから読めないんだよな…。

多分、ユウキにとっていい訓練になるんじゃないかな。



ティアねえ様はうどんと新しいスキルを試してみるから見ててほしいと。

相対するのはリア。


「何か改善点とかあったら言ってね」

「わかったよー」

シエルもぼたんと一緒に取り敢えず見てみると言って、私の隣にいる。

うどんは全身に炎を纏うと縦横無尽に駆け回る。こっちも読めない動きをするな。

案の定リアは翻弄されて、左右や背後から攻撃を受けても対応が出来ずにいる。

魔道具があるから怪我も火傷もしないけど、見てると心配になる。

「何よっ! おかしな動きばっかりして! 卑怯よ!」

「そんなこと言われてもー」

お狐様の姿が見えるのなら、尻尾や顔の向きからある程度の予測ができても…光にしか見えないとそれすら難しいか。

後は…落ち着いて魔力を追えば目を瞑ってても動きはわかる。

これはどちらかと言うと、リアにアドバイスをしなきゃいけなくなりそう。


「うどんの動きはどうかな?」

「そうだね…私が一度相手しようか。 リアはよく見てて」

「え? ええ…」

「アスカが相手!? うどん! 頑張るよ!」

ティアねえ様の気合が伝わったのか、一回り炎が大きくなるお狐様。

先ずは目で追いつつ、攻撃してくるお狐様に、最小限の魔防防壁を張って対応する。

「うどん! 速度上げて!」

リアの時より明らかに速度が上がる。それでも…対応は同じ。お狐様に攻撃なんてしたくはないし、防ぐだけ。

「なんでアスカはピンポイントで対応できるのよ!」

「お姉様だし…」

「うん…お姉ちゃんだもんね」

「わう! 主様はさすが!」

「それで済ませてたら成長できないのよ! ねえ様に負けっぱなしは嫌なの!」

リアの悲痛な想い。初対面の時にはそれでひどい目にあってたからなおさらか…。


「リア、私は今から目をつむるからね? 見るのは魔力の動きだよ」

「は?目をつむるって…そんな事したら見えないわ! いや待って、魔力の動き…?」

元々魔力に敏感なドラゴンでもあるリアならわかるはず。

「アスカ、私とうどんを舐め過ぎだよー。やっちゃえーうどん!  えっ…」

「………」

魔力は感覚的にわかるから視認する必要はない。至近距離なら探索さえ必要ない。

目をつむったまま、あらゆる方向からくるお狐様の魔力に魔法防壁で対応して、ティアねえ様へ近づいていく。

「うそでしょ…」

「ティアねえ様、捕まえた」

「目、とじてたよね?」

「うん」

「そっか…そういう事ね!」

「リアわかったの?」

「ええ…でも、やれるかはわからないわ」

いきなりだもんね。それでも理解してるのならあるいは…


取り敢えずやってみたいって言うリアに、魔法防壁を教えて、手のひらに出せるようになったところで再チャレンジ。


「お姉ちゃん、私も魔法防壁教えてほしいよ」

「知りたいのはやっぱりそれだった?」

「うん。身を守れる手段があれば、いざって時に慌てなくなるんじゃないかってリアちゃんが…」

「なるほど。確かにそうだね」

魔法防壁に関してはシエルとレウィも知りたいって言うから、二人にも教える事になった。






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