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召喚被害者の日常は常識なんかじゃ語れない  作者: 狐のボタン
第五章

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お稲荷様



夕食をお惣菜で簡単に済ませた後、明日のお弁当の下準備も兼ねてお揚げを甘めの出汁醤油に漬け込んだ。

明日、学校帰りに少し回り道をして、お供えする為にお稲荷様へお邪魔する予定。お弁当にも持っていけるし。


リビングでは、ティアねえ様と、シエルが小さなお狐様とコミュニケーションを取ろうと頑張ってるようで…。

「私の言ってる事分かるー?」

ティアねえ様の言葉にお狐様はテーブルの上にお座りしたまま首を傾げてる。

「やっぱり普通に会話するのは無理だと思うの…」

「でも、呼びかけには答えて出てきてくれたのに?それにアスカは召喚獣や、精霊と普通に会話してたよ?」

「お姉様は特別…相手も最上位精霊様だし…」

シエルは無理に話しかけたりせずに、撫ぜたりとスキンシップをとってる。

これはやっぱりリコに頼った方が良いかもなぁ。 (うん、ヒントはくれるかも?)


「いいわよねぇ、ねえ様は…。 私は光りとしてしか見えないわ。なんか悔しい…」

「わう?ボクも見えない」

「アスカのかあ様も言ってたけど、適正の問題だから、私もどうにもできないよー」


リビングへいき、不貞腐れてるリアを撫ぜつつ、魔法の訓練で何をしたいか考えておくよう伝える。

「そうよね?私はアスカの弟子だもの! ちゃんと考えておくわ!」

「うん。リアと未亜は魔王の私が直々に鍛えてあげるからね」

「その言い方はなんだか不穏だわ…楽しみではあるけど」

「でも、リアちゃん…魔王の弟子ってすごくない?」

「そうよね…普通は無理だもの」

「ティーもー!」

「ティーは魔王の子なんだからそれだけでもう特別じゃない!」

「ふふーん♪」



リアの機嫌も直ったようだし、リコを呼ぶ。

「リコ、知恵を貸して」

テーブルに魔法陣が現れてリコが顔を出す。

「ママが知恵を貸してって…どういう事?精霊関係?」

「うん、多分…。この子達の事、何かわかるかなって」

「…? 炎の精霊…?でもちょっと違う…」

「こちらの世界の神様に使える、眷属のお狐様なんだけど…」

「そう…」

てちてちと、二人のお狐様の傍にリコが歩いていったら、お狐様が頭を垂れた…?

何やら話をしてる様子だけど、聞き取ることはできない。 (テレパシー!)

そんな感じかもしれないね。



「ママ、大凡の事はわかったわ」

話の終わったらしいリコがそう言って、内容を説明してくれた。

此方での呼ばれ方は違っても、本質的には精霊と似たようなもので、お狐様は炎の精霊にあたる。

今ここにいる二人は、中位クラスの精霊相当らしく、最上位でもあるリコには、系統が違っても敬意をもって接してくれたそう。

「契約したのなら炎に関する精霊魔法が使えるはずよ?」

「二人は契約した?」

「ううん、そんな手順は何も…」

「うちも…」

スキルとしては増えてたけど、使えはしないのか…。 (使い方がわからない、とか?)

多分そうだろうね。


「それじゃあ意志の疎通も出来ないでしょ?何してるのよ…この子達お腹空かせてるわよ?」

「そうなの!? リコは契約方法ってわかる?」

「それは私にはわからないわ。この子達を束ねてる上位の存在に聞いてもらわないと」

てことは…お稲荷様のお社にいたお狐様か。


お腹を空かせてるって事だから、急遽未亜にも手伝ってもらって稲荷寿司を仕上げる。

ユウキもご飯を詰めるのを手伝ってくれてる。

その間もリコが間に入って、ティアねえ様と、シエルに色々教えてくれてるみたい。

「お姉ちゃん、お腹空かせてるって言ってたけど、普通の食事で大丈夫なのかな?」

「……リコが当たり前に食事をするから、つい普通に食べ物をーって思っちゃった…」

「姉ちゃんは相変わらずだよなぁ。 聞いてくるよ」

「ありがとう、ユウキ…」


リビングで先生のようになってるリコにユウキが確認しに行ってくれた。

「まぁ…こっちはこっちで作ろう? 明日のお弁当も兼ねてるし」

「そうだね。お姉ちゃんが作ったのならリコちゃんも喜ぶよ」

正方形のお揚げを、縦に二つ切りにして、白ゴマと混ぜたご飯を詰めていく。

半分くらいは刻み生姜も混ぜ込んだ。


「姉ちゃん、普通の食事も喜ぶってさ。本来は、ルナティアとシエルの魔力をあげるといいらしいんだけど、正式な契約をしてないから、そっちはまだあげられないみたい。だから今はこの食事で正解」

「そう…良かった。私は明日の放課後にまたお稲荷様に行って色々聞いてくる」

「それがいいね」

「お姉ちゃん、私はついていってもいい?」

「勿論いいよ。学校帰りにそのまま行くつもりだから校門で待ち合わせよう」

「うんっ!」

「当事者の二人は連れて行かないの?」

「あっ…そっか。その方がいいかも」

「はぁ…ホント姉ちゃんはどっか抜けてるよな?」

「最初は御供えに行くだけのつもりだったから…。でも、私が抜けててもこうやって指摘して、教えてくれる家族がいるんだから良いじゃない」

「そう言われたら悪い気はしないけどさ…」


できた稲荷寿司をティアねえ様と、シエルの手から小さなお狐様に渡してもらう。

「食べれるー?」

「お姉様の作るご飯は美味しいの…食べて?」

差し出された稲荷寿司をお狐様は恐る恐るといった感じでかじる。

一口食べた後は、喜んで幾つも食べてくれてた。

「リコもありがとね。お菓子ではなくて稲荷寿司だけど、食べていって」

「ありがとうママ。 エルフ達には申し訳ないけど、やっぱりママの食事が一番だわ」

リコも喜んで食べてくれたから良かった。


3つほど食べた後、リコはそろそろ此方に居るのも限界だから戻るって帰っていった。

お狐様もお腹をポッコリさせてテーブルでひっくり返ってて可愛い…。 (ティーも食べたかったの…)

明日のお弁当にあるから、今はもう夜遅いし、我慢しようね? (はーい…)


多めに作ったけど、足りるよね?

当然、お供え分は別にしてある。 

でもみんな沢山食べてくれるしなぁ…

結局、不安になって追加でサラダ巻きを数本作り足しておいた。


ティアねえ様とシエルには明日、またお稲荷様へ行く事になるから、私が帰るまでに仕度をしておくように伝えた。

「私も行ってもいいかしら…」

「わう! お散歩!」

「いいよ、じゃあまたみんなで行こうか」

「わーい! ママとお出かけー」

「ユウキもくる?」

「そうだね。姉ちゃんだけでみんなを連れて行くの大変だろうし…」

「私達が手のかかる子供みたいに言われてる気がするわ」

「失礼だよー」

「…そうじゃないけど、こっちのルールや常識にはまだ慣れないでしょ?」

ユウキなりに気を使ってくれてて私は嬉しいよ。


「またみんなで出かけれるんだからいいじゃない。ね?リアもティアねえ様も、拗ねないの」

「はーい」

「わかったよー」

「姉ちゃんにだけは素直なんだよなぁ…」

「それは当然よ!」

「だよねー」

「まぁいいけどさ。こっちの事で何かあったら頼るくらいは僕にもして欲しい。姉ちゃんだけに負担かけたくはないし」

「…そういう事なら、何かあったら頼らせてもらうわ」

「うん、おねがいするかもー」

「ありがとうね。ユウキ…」

「いいって。それも家族、なんでしょ?」

「うん。一人じゃできない事も、みんながいれば出来るって、私もアキナさんから学んだからね」 (おぼえててくれた!)

凄く印象深かったからね…。

「へぇー。姉ちゃんが無茶しなくなるのならいい事だよ。ずっとそうしてくれると僕らは安心だよな」

「そうね。私達も頼ってもらえるなら嬉しいわ」

「うんうん。お姉ちゃんの力になりたいから」

「アスカに比べたらできることは少なくなるけどねー。それでも頼ってほしいよー」

「うん…うちも、お姉様の為になにかしたいの」

「わう! 任せて」

「ママは女王様にでもなれそう…」

「ならないから。 ありがとうみんな…私は、みんなが居てくれて本当に幸せだよ」


みんなの想いに答えていけるように私も頑張らないといけないな。











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