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召喚被害者の日常は常識なんかじゃ語れない  作者: 狐のボタン
第五章

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小さい頃は…



王妃様とシルフィー様に、師匠やメリアさんの事、あちらの世界の話をみんながしてて…。

私は口を挟めなくて大人しくしてる。

「姉ちゃん、いつか刺されるんじゃない?」

「なによそれ…怖いこと言わないでよユウキ」

「いや、自業自得でしょ。まあ、耐性あるから怪我さえしないから安心だけどさ」

「私そんな嫌われてるの…?」

「違うから。逆だよ…好かれてるからだって」

「なんで好かれてて刺されるのよ」

「…鈍感なのもここまでくると罪が深いよなぁ」

なんなのよもう! ククって笑ってるユウキが恨めしい…。


私は背後を気にして生きなきゃいけないのかしら…。 (大丈夫だから)

そうだよね?ユウキが変なこと言うから。 (でもママが鈍感なのは間違いないよ?)

みんなに大切に想われてるって事なら理解してるよ?私だってみんなの事大切だもの。

だから最近は、ちゃんと相談したり、無茶したりしないよう気をつけてるじゃない。 (……)



みんなのお話も一区切りがついて、王妃様もそろそろ赤ちゃんドラゴンと一緒に休まれる時間らしいから、私達もお暇する事に。

お祖母ちゃんとお祖父ちゃんにも帰る挨拶をして、自宅へ転移する。


ーーーーーー

ーーーー

ーー


出発した少し後くらいに帰ったから、まだ月曜の夕方。夜ご飯の仕度をしないといけないな。

「姉ちゃん、母さん達に何も言わずに帰って来たけど大丈夫なの?」

「…それ、転移する前に言ってほしかったよ」

「さっき戻っても、忙しくて居なかったから同じなのー」

「そうなの?なら、ちょっと行って置き手紙だけしてくる」

すぐ戻るし、一人でサッと行ってこよう。 (ティーはいくの)

わかったよ。

飛びついてきたティーを抱いて、ドラゴライナ王国のお屋敷へ転移。


ーーーーーー

ーーーー

ーー


母さん達は…やっぱりいないか。 (街で忙しそうにしてるの)

そっか、手伝えなくて申し訳ないけど…。 (女王様に拒否されちゃったし)

だよね…。アキナさんの意向を無視するわけにはいかないし。

私達は帰る事と、オツトメ頑張ってーって置き手紙、それにドーナツをリビングへ置いてきた。


ーーーーーー

ーーーー

ーー


転移で自宅へ戻ると、私のスマホが鳴ってたとリアが教えてくれたから確認。

奈々からメールか。経過観察も異常なしだけど、まだしばらくは定期的に様子を見せに行かなきゃいけないって報告が。

面倒くさがってるから、ちゃんと行くように言っておく。


麻帆からは、奈々の快気祝いについて話がしたいって事だったから通話する。

“アスカちゃん? 奈々の快気祝いの事なんだけど…金曜日空けておいてって言ってたわよね?”

「うん。近場にいいお店があったからそこを予約してあるよ」

“そうなの?行動が早いわね…。お金は私も払うから”

「ダメだよ。麻帆も巻き込まれた被害者なんだから」

“そんな訳にいかないわよ…“

「もう払っちゃったから。気にしなくていいって」 

”はぁ…わかったわ。とりあえずはそれで。学校から直接向かうの?“

「そうなってもいいように、制服で行くかもーとは伝えてあるよ」

“抜かりないのね。ありがとう。 じゃあまた明日ね”

「うん、またねー」

麻帆は律儀だなぁ…。 (お金払ったの?いつの間に…)

まだだよー。ああでも言わないと麻帆は引き下がらないでしょう。 (なるほど…)

ただ、前日までには先払いしなきゃだから、早めには寄ってくるつもり。 (了解!)



台所でエプロンをつけてた未亜が慌てたようにリビングの私の傍に走ってきた。

「お姉ちゃん、夜ご飯どうしよう…冷蔵庫空っぽだった…」

「そう言えば、買い物して帰るつもりだったのに忘れてたな」

「姉ちゃん達も疲れてるだろうし、たまには外食でも良いんじゃない?」

「それもそっか…お弁当の材料は買いたいから、皆でモールにでも行こう」

「ママ…レウィは?」

「あ…ペットコーナーへは入れてもそれ以外は無理か」

「わう?主様、ボクは待ってるから大丈夫!」

「そんな訳にいかないよ。レウィだって大事な家族なんだし」

「じゃあアスカ、アレは?こないだ私と見て回ったお惣菜。買って帰れば良くない?」

「そっか、その手があったね」

「姉ちゃん達が買い物してる間は、レウィとペットコーナーにでもいるよ」

「それしかないか…お願いね」

結局待たせてしまうけど、ご飯は一緒に食べられるから。

ペットも同伴可能で食事も出してくれるお店を探すべきだなぁ…。


そんなわけで急遽モールへ向かう事になった私達は、レウィのお散歩も兼ねて、皆で歩いてモールへ。

ティアねえ様はバスが怖いのをリアに知られたくないだろうし、歩きなのは丁度いい。


外出する時、大型犬に見えるレウィはリードをつけなきゃいけないのだけど、慣れてるようで嫌がりもしない。

「主様とお散歩ー!」

むしろ嬉しそうまであるな…。 (お散歩だし)

父さんがいないからお散歩できてない? (ううん。昼間にシエルが行ってくれてる)

そっか…。 (ティーも一緒! 時々リア達も)

ありがとね。私も時間がある時は一緒に行かないとね。 (きっと喜ぶの!)


嬉しそうに先頭を歩くレウィに付いていく。

犬のように見えて唯一違うのはマーキングしない事だろうか…。 (さすがにねー服着てるし)

後は、お散歩をしてる他所の犬とすれ違う時に、めちゃくちゃ怯えられてる。

本能的に何かを感じ取ってるのかな…。動物はその辺敏感だなぁ。


暫く歩いてたらティアねえ様が立ち止まる。どうしたんだろ…。

「…精霊だ」

「本当なの…」

「えっ!?」 

やっぱりこっちにも精霊っているの!? リコが呼べた時からもしやと思ってはいたけど…。

ティアねえ様が指差してる方向には、大きな鳥居のある神社。

ここって…。

「小さい時、姉ちゃんと言うか…兄ちゃんと遊びに来てたよね。虫取りしたり…」

「ユウキも覚えてたんだね…」

お社は小さいけど、敷地は広く…樹木がたくさん植えられてて。春には桜が咲き、秋には紅葉や銀杏が色付く。

今の季節ならちょうど紫陽花が花開き始めてて、そろそろ梅雨なのを実感する。


広い境内は、子供だった私達にはいい遊び場だった。

管理してる神主さんも、お社へイタズラとかしなければ遊ばせてくれた。


悪さをした上級生が数人、立入禁止にされてたっけ…。


「少し寄っていこうか?」

「うん。精霊がいるから気になるよー」

「ご挨拶したいの…」

見えない私達にはわからないけど…小さい時遊ばせてもらった挨拶くらいしてもバチは当たらない。


「ここ、お稲荷様なんだね」

赤い鳥居の少し手前、左右に並ぶ狐の石像を見ながら未亜が言う。

「うん。豊穣の神様だよ」

「そうなの?狐の神様かと思ってた…」

「確か、お狐様は眷属とかだったはず…だからお揚げとかをお供えして、まずは眷属でもあるお狐様に…ってなってるから勘違いしてる人が多いらしいよ?私も教えてもらったから知ってるだけだけどね」

「よぅ覚えとってくれたの…」

横から声をかけられて振り向くと、箒を持った懐かしいおじいちゃん…もとい神主様。

「神主様! ご無沙汰してます」

「大きゅうなったのぉ…確かアスカちゃんに、ユウキ君だったかの」

「はい…覚えててくださったのですね」

「お久しぶりです!」

お元気そうでよかったぁ…私の小さい頃からおじいちゃんだったから。 (今もおじいちゃん)

それはそうでしょう。若返りはしないし。 (確かに。ママのお祖父ちゃんは特別)

うちのお祖父ちゃんに関しては、完全にイレギュラーなケースだよ…。


「忘れもせんよ…悪さしとった上級生を止めようとやり合っとったからのぉ」 (ママ達やんちゃ…)

だって…お社に落書きしようとしてたんだもの。遊ばせてもらってるのに…それにユウキに手を出したのが許せなくて。

「お姉ちゃん達、何したの!?」

「いや……あれって姉ちゃんが4年生で、相手が5年生か6年生の先輩だったっけ?数人が落書きしようとしてたのに僕が気がついてさ。止めようとしたら突き飛ばされてね。キレた姉ちゃんが全員しばき倒した」 (ママ…もう強かったの?)

召喚される前だったから、本当に一般人だったよ。 (ママやべーの)

元々、ドラゴンの血が流れてたからかもね?殴られてもあんまり痛くなくて…。 (あぁ! 天然チート!)

なによそれ…。


「最初は喧嘩かと思ってのぉ…全員叱ったのだが、よくよく聞いたら悪さしよったのを止めてくれたってわかってなぁ…」

頻繁にお社へイタズラされてて困ってた神主さんは犯人がわかって喜んでたっけ。

キレイにしてもすぐにまたやられてて。毎回そいつらだったらしいし。

私もケンカしたことを両親に叱られはしたけど、神主さんのおかげでノシた上級生の親からは何も言われなかった。

むしろ、上級生達は自分の親にめちゃくちゃ怒られてたなぁ。ここって地元の人に大切にされてるお稲荷様みたいだし…。


「アスカは小さな頃からヒーローだったのね!」

「そういう訳じゃないんだよ…。ユウキを守りたかったのと、後は…怖かったからかな」

「怖かった?アスカが?」

「うん。神主様から、神様のお話を色々聞いてたからね。お狐様の祟りとか…」

「それも覚えとったか。 そうじゃなぁ…外国から来たお嬢さんには馴染みがないかもしれんの」

リアの外見からはそう見えるか…。 (異世界ドラゴンだけど…)

そうね? あれ…ティアねえ様達は? (呼ばれてる気がするって奥へ行ったよ?)

えっ…マジかぁ。 (精霊かな?)

うーん…神様かもしれないね。私とユウキもここを見つけたのって呼ばれた気がして…だったから。 (不思議体験…)

そうだね。小さな頃はそういうのに敏感だったのかも。


神主さんに断りを入れて、お社のある奥へ進む。

懐かしいなぁ…随分久しぶりだよ。

ここっていつも空気が澄んでて、夏も涼しくて遊びやすかった気がする。 (ママ! あれ…!)

ん…? え…何アレ…。









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