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召喚被害者の日常は常識なんかじゃ語れない  作者: 狐のボタン
第五章

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二人を連れて



魔力ドーム内で二人の体調だけ確認…って…翻訳スキルを手に入れたな二人とも。

やっぱり異世界へ来るとオートで手に入るのか。

「え…」

「ここ、どこ?」

「異世界」

「「はぁ!?」」

まぁその反応だよね普通は。

ただここはツリーハウスのリビングだからわかりにくいかも。


「ちょっと誰よ…ママが作ってくれた私の家に勝手に入ってきて…ってママ!?」

床からふわっと出てきたのは当然リコ。

「ごめんね、急に来て。魔力隠蔽してるからわからなかったかな?」

「びっくりしただけ。ママならいいわ…でもその二人は誰?」

「私の親友。少しここに居てもいい?」

「勿論よ。私はまだ森の見回りがあるから、好きに使ってて」

「ありがとう」

リコはまた床に沈むようにして消えていった。


「アスカ、ママって何?誰の子だよ!」

「えっ…何?私、何も見えなかったわ! やめてよ…幽霊とか無理だから!」

奈々には見えた!?マジかぁ…。


「あの子は樹の精霊なんだよ。私がこのツリーハウスを作ったからね。この樹に宿ってる」

「びっくりしたー。それならいいけど…」

「ねぇ、二人でわかったように話さないで!」

見えない麻帆にはどうしたものか…。

まぁ、アレしかないかよね…不安要素もあるし。


「ねぇ、二人は私を信じて身を委ねてくれる?」

「よくわかんないけど私は当然いつでもウエルカム!」

「待って…いきなり3人で!?さすがにそれは…嫌って訳ではないけど…」

なんか誤解してないか? (ママの言い方も悪いと思うの)

それは…そうかも。


「ごめんごめん! 変な意味じゃないから。えっと…ここが異世界で、剣と魔法の世界だっていうのを知ってもらうためにね?」

「私は何でもオッケー」

「そういう事なら…」

3人で手を繋いで車座に。


「今から魔力っていうのを二人に流していくから、抵抗せずに受け入れてね?」

私がこの方法を選んだのは心配だから。シエルが地球で不調が出たように、二人に異世界で何らかの不調が起こらないように。魔力ドームで飛んできてるからね。

「わかったよ」

「ええ…」

ゆっくりと右手の奈々に魔力を流してゆく…巡らせるようにして麻帆へも…

「はぁぁんっ…なにこれぇ…温かい…あぁ…」

「ふぁぁ…んっ…これがまりょ…く…あっ…ぅ」

しまった、こうなるの忘れてた…。ごめん、でもこれしかないんだ。

二人を巡らせた魔力を左手から私へ戻して少しずつ抜いてゆく。

本当に抵抗しないんだな、二人とも…。 (魔力量はー?)

そうねー、奈々は高いかも。でも一般的な魔法を使う冒険者レベルかな。未亜みたいな事はないね。

麻帆は、街の人レベル。魔法を使うってなると、枯渇がやばいね。 (勇者じゃなかったかー)

そんな簡単に勇者が量産されたらやだよ。 (それはそうなの)


魔力循環をした事で、二人とも魔力には目覚めるだろうけど…やっぱり元の素質や両親が影響はしてるんだろうね。

あられもない姿を晒してぐったりした二人はソファーへ寝かせた。

「来ちゃった!」

「ティー! こっちに置いてた実体のある方?」

「うん!」

「ごめんね、急な事だったのに」

「いいのー。ママといたいだけ!」

ドラゴン姿からぽんっといつもの姿に変わったティーを抱えて私もソファーに座る。

今のうちに飲み物とかお菓子も出しておこう。


テーブルに前回モールで買いすぎたドーナツやジュースを出してたらリコも帰ってきた。

「見回りお疲れ様。リコも食べない?私が作ったわけでは無いけど…」

「ありがとうママ。ティーも来てたのね」

「ママがいるならティーもいる!」

二人には先に食べててもらって私は未だぐったりしてる二人の様子を見る。


あれ…二人とも魔力増えてんな?おっかしーぞー? (ママ口調が変)

だって…さっき循環した時に感じた魔力量より明らかに増えてるんだよ? (ママはやっぱり魔力増幅装置…)

装置とか言わないで…。 (魔王にそんなんされたら、なっても不思議じゃないの)

それを言われたら、もう何も言い返せないけども。 


「ママ、少し報告いいかしら?」

「うん?どうしたのリコ」

「異世界にママと私で覚醒させた精霊、ちゃんと生まれた」

「早いね?」

「それはママの魔力量だし…今は少しずつ土地の回復をしてくれてるわ」

「そっか…ありがとう」

「時間のある時でいいから、あの子に直接言ってあげて」

「今のはリコへのありがとうだよ、向こうへはまた行った時に伝えるよ」

「ええ。 後、名前つけてあげて」

「それ、いいの?また成長しちゃわない?」

「その方がいいのよ。土地が広大だから」

「そういう事なら。わかったよ」

力が強いほうが再生も楽ってことか…。


「ママ、奈々が起きたー」

「ありがとうティー」

ふらふらと起き上がった奈々は、ソファーに座り直す。

「大丈夫?奈々…」

「大丈夫な訳ない…すごかった! アスカに抱かれた気分だった!」

「言い方! それ大声で人に言わないでよ?」

「わかってるよ! あれ…その子、前に会ったよね?」

「ティーだよー」

「そうそう! 回転寿司で会った子だ!」

そういえば会ってたな…。あの時はティーの気転で乗り切ったんだった。 (ふふん)


「体調におかしな所とかない?」

「うん! なんか、前より元気になったかも!」

「奈々は毎回そんなこと言ってるね」

「一応確認するね」

魔力ドームで包んで鑑定。

「何これ! すごい…シャボン玉みたい」

魔力に目覚めたから見えるようになったか…。


「これ魔力ドームって言ってね、今奈々のことを鑑定したよ」

「鑑定! ゲームとかでよくあるやつ! 私のステータスは?」

「そうね…バストが残念かな」

「ちょっと待て! 残念ってなんだ! ってそっちじゃなくて!」

「冗談だよ。 うーん…ゲームに例えるのなら、魔力が高いから魔法使い。でも力や素早さも高いから…オールマイティーに戦える」

「それって器用貧乏なんじゃない?」

そう言えなくもないけど。それを言ったら私だってそうだし。 (オールカンストみたいなママと比べるのは…)


「戦闘力は2万5千! 一般人よりはずーっと強いの」

「おーそれはすごいな。ちなみにアスカは?」

「ママは強すぎてそくてー不能!」

「…待って。今ママって言った?」

「あっ…えっと…どうしようママ…」

「ほらまた! この子はそっくり…って事は…」

「この子は私の魔法が実体化した子なの。詳しい話は麻帆も起きたらするから」

「魔法生物?」

「その言われ方はなんかやだな。魔法ではあるけど、私の大切な子だから」

「ごめん。 じゃあこっちに彼氏とかがいて、産んだわけでは…?」

「ないよ!!」

「へぇー、そっくりなのは?」

「それはーママをリスペクトしたから!」

「そっかー。やっぱり、ちっこいアスカみたいで可愛い!」

奈々は順応高すぎな気もするけど…。説明が楽でいい。


リコはドーナツを美味しそうに食べてるからそっとしておいてあげよう。

「ティーちゃんのママは何者ー?」

「ママはママだよ?」

「そうじゃなくてー異世界のお姫様とか?」

「違うから。ティーから聞き出そうとしない」

「だって麻帆、ちっともおきないし!」

すぐに起きた奈々のがおかしいとは言いにくい。


「ママ、そろそろエルフが挨拶に来る時間だから…」

「エルフの人達はここに入れるの?」

「この樹は私だし、私が許可をすればママが許可したのと同じ?」

そっか、リコも私の魔力で覚醒してるからか…。


「じゃあ、上に行ってたほうがいいね」

「ええ。あの部屋使ったら?景色も見渡せるし」

「そうだね、そうするよ」

ペントハウスへ上がるために麻帆を抱きあげようとしたら奈々に止められた。


「ダメ! アスカのお姫様抱っこはダメ!」

そう言って奈々は麻帆を担ぎ上げた。いや、流石にそれは可哀想…。 (荷物ー)

うん…。米俵じゃないんだから。


「ホントにできた!」

「ん? あぁ。力のステータスがあるからって事?」

「そうそう。できるか試してみたらあっさり!」

元々奈々は運動神経はよかったから、ステータスが数値化された事でそれがしっかりと反映されたわけだね。

火事場の馬鹿力を任意で使える、みたいな?


そのまま麻帆を担いだ奈々と最上階のペントハウスへ。

「そこの大きなベッドに寝かせてあげて」

「……ラブホじゃん!」

「言うなー!」 (ほうほう…)

うちの子にいらん知識を与えやがって…。 (ママも口調)

ごめんて…。


奈々は麻帆が起きるまでペントハウスからの眺めを全方向確認して回るのだった。


「森と原っぱしかないじゃん!」








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