表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
召喚被害者の日常は常識なんかじゃ語れない  作者: 狐のボタン
第五章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

343/771

殴りたい姉



メリアさんに、師匠、魔剣士団の人達、わざわざ来てくれた聖女様。

後はユウキにすがって離れなくて、師匠に羽交い締めにされてるシャーラ。

みんなに見送られて、私達は自宅へ転移して帰ってきた。



「お昼過ぎかぁ…姉ちゃんご飯どうする?」

「…あーそうだね。買い物へ行ってくるよー」

「姉ちゃん、どうした?なんか考え事?」

「うん、ユウキにも関係あるし、後で聞いてくれる?」

「それはいいけど…そんな調子で買い物行って大丈夫?」

そんな心配される程? (思いつめてる感じがするから)

そっか…。


「お姉ちゃん、それなら私がお買い物行ってくるから…」

「でも…」

「でもじゃないわよ。私達には話してはくれないのかしら?」

「ううん、みんなにもちゃんと話すよ」

「それなら前みたいに話を纏めておいて?その間に私がお買い物済ませてくるから」

「ありがとう未亜」

「ううん。 誰か一緒に行く?」

未亜にそう言われてユウキ以外は買い物へついて行った。



「それで、姉ちゃんは何をそんな悩んでるのさ。先に聞いておいてみんなに話す時は協力するよ」

「ありがとう。 えっと…今回、私達を指定して召喚されたじゃない?」

「それはメリアさん達だったからでしょ?」

「うん…でも呼ぶために随分苦労したらしいの。国の復興や、反乱の事もあって大変だったはずなのに…」

「それも殆どカタがついたじゃん」

「そうじゃなくて…何度も召喚を打ち消してて、今回はたまたま師匠達で…」

「うん?何が言いたいのさ」

「だからね、私達を召喚しようとしてる世界が、必死な思いで私達を呼んでいたら?それを打ち消してたら、その世界の人達はどうなってるの?」

「……はぁ。そういう事か。つまり姉ちゃんは、僕らが召喚の拒否をした事でその世界が大丈夫か心配になったと?」

「うん…確かにどうでもいいような召喚もあったけど、私達を本当に必要として呼んでた、って事もあったじゃない」

「姉ちゃん、そんなのはタラレバだよ」

「え?」

「だからさ、行かなかったらどうなったか、行ってればどうにかなったか、そんなの誰にもわからない。毎回毎回、呼ばれたからって、それに応じて僕らが戦う理由がある?」

「だけど! 行かなかったら、大変な事に…」

「うん、なるかもしれないね。でもさ、それって本来はその世界の問題でしょ?ぶっちゃけ僕らがなんで命をかけなきゃなんないのさ」

ユウキの言ってる事は最もだ。確かに私達には関係のない事。そう切って捨てれば済む…だけど本当にそれでいいの?


「姉ちゃんが…それこそ兄ちゃんの頃からお人好しなのは僕がよく知ってるし、悩むのもわかるけどさ」

「それで、いいのかな…」

「もしさ、また呼ばれて、心配だからって姉ちゃんが召喚に応じたとして、そこでは姉ちゃんの力が通用しなくて何かあったら、どれだけの人が悲しむかわからない?」

「それは…」

確かに私の強さだって万能じゃない。一切通用しない事だって無いとは言えない…。


「結局は姉ちゃんにとって何が大切かって事だよ。知らない世界か、僕や未亜姉ちゃん、今はドラゴンの姉妹もいる、シエルやレウィ、なんて言ったって姉ちゃんのティーがいるんだよ?」

「………」

「まぁ姉ちゃんがどっちを選ぶかは自由だけどさ、もし姉ちゃんに何かあったら僕らは許さない、呼んだやつも、その世界もね」

「私にとって何が大切か…か…」

「そうだよ。まず一番大切なものを確保しておかないと、それ以外なんて空いてるスペースに入る分だけでいいんだって」

「うん…」

「言い方変えようか?姉ちゃんに何かあったらティーは消える事になるんだよ?」

「っ!! ダメ! それは絶対に!」

「それが答えじゃん。 まぁもし姉ちゃんがどうしても気になるって言うなら一度召喚に応じてみれば?」

「いいの…?」

「今なら姉ちゃんの魔道具があるんだから、しょーもない事で呼ばれてたり、危なかったとしても簡単に帰ってこれるでしょ」

「そっか、その手もあったね」

「ただし、行くなら家族全員を説得してからにしなよ?僕は姉ちゃんの言ってる事もわからなくも無いから、姉ちゃんの判断に任せるよ」

「ありがとうユウキ…」

「待って、姉弟で抱きつくのは無し! 頼むからやめて」

「意地悪だ…」

「いや、なら姉ちゃんは父さんに無理やり抱きつかれたらどうするのさ」

「え?殴るけど?」

「同じことだって…姉ちゃんの事を嫌ってるわけじゃないけどそういうのは無し!」

「わかったよ…最近みんなが当たり前に抱きついてくるから癖になってて」

「みんな姉ちゃんにベッタリだもんなぁ」


「ねぇ、そうなると、未亜にもしない方がいいのかな?」

「……姉ちゃん本当にバカだろ」

「酷いっ!?」

「それしたら間違いなく未亜姉ちゃん泣くからな?」

「でも姉弟はダメって言ったじゃない…姉妹もダメなんじゃ…」

「…殴りてぇ…この究極鈍感! でもそれをしたらこっちにダメージが…クソっ」

弟にマジトーンで殴りたいって言われた姉の私は一体どうしたら?



その後もユウキと召喚の事を色々相談して…

一度私は召喚に応じてみる事にした。

その為にはうちの子達を説得しなきゃいけない訳だけど…。 (……)



「ただいまー!」

玄関から元気な声が聞こえる。

「帰ってきたね。もう夕方だし、早めの夕食にしようか」

「そうだね、手伝うよ」

「ううん、いいよ。相談に乗ってもらったし充分」

「わかった、話は食後?」

「そうだね、説得できるかな…」

「いや…ん〜難しいだろうね」

「だよね…」


キッチンでエプロンをつけてたら買い物袋を下げた未亜が来た。

「お姉ちゃん、私思い出したの!」

「うん?」

「お姉ちゃん沢山カツ揚げてたよね?」

「そういえば…ストレージにいっぱい入ってる。忘れてたよ」

「だから、はい! コレ!」

卵と玉ねぎ、それに三つ葉…。


「卵とじにするのね?」

「うん、沢山あるならそのままと、卵とじと両方食べたいな…」

「わかったよ。お買い物ありがとね未亜」

「いえいえー」


薄切りにした玉ねぎを甘めの出汁醤油で煮る。カツを入れたら溶き卵を回し入れ、三つ葉を散らし蓋をする。

「結構味が濃い目?」

未亜は分量をメモしてるからわかりやすいのか。

「いや、卵を入れたから丁度良くなるはずだよ」

「あ、そっか…」


カツは多めに作ったから明日のお弁当にも入れれるな。

分けとくか…。

お留守番するうちの子達にはカツサンドを作っておこう。


「お姉ちゃん、それ…私も食べたいよ」

「明日のお弁当用だから今は我慢してね?」

「うんっ!」



未亜と用意した少し早めの夕食を皆で囲む。

「これよ! こないだ食べれなかったやつだわ!」

「ママのカツ…こっちは卵でふわふわー!」

「ティアねえ様とユウキは続いちゃうけど、ごめんね」

「いいって。作ってもらっててそんなこと言わない」

「そうだよーそれにこっちのは知らないもん!」


明日のお昼もカツだから…ごめんよ。

さすがに作りすぎたわ。



食後にユウキも協力してくれて召喚に関する話をして、一度ランダム召喚に応じたい。そう告げたんだけど…。

「ティーはママについていくだけだよ!」

「何があるかわからないから、ティーもお留守番しててほしいんだけどな」

「じゃあダメ! ティーは許しません!」

「そうよ。アスカの言いたい事はわかるけど、私達にとって知らない世界よりアスカのが大切なのよ!」

「うん…お姉ちゃん、行っちゃヤダ」

「今回ばかりは私もいいよ、とはいえないなー。前回みたいに知り合いかもしれないって言うならなんとか理解はしても…そうじゃないなら、ねえ様は許しません!」

「お姉様、危ない事はもう…やめてほしいの」

「主様が行くと言うならボクはついて行きます!」

いや、レウィは話聞いてた?


「どうしてもダメ?」

「「「「ダメ!!」」」」

説得は失敗に終わった…。 



「だよなぁ…。姉ちゃん、これだけ心配して想ってくれるみんなを無視して、それでも行くって言うなら絶交だからな?」

「…………っ!」

「姉ちゃん?」

「ショックでママが…」

「マジかよ…ちょっと釘刺しておくだけのつもりだったのに」















評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ