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召喚被害者の日常は常識なんかじゃ語れない  作者: 狐のボタン
第五章

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それぞれへのプレゼント



「聖女様…。この前はゆっくりと御挨拶もできず、すみません」 (なんでママは普通なの!?)

え? (こわかったの…)

あー…笑い方かな?なんか仲良くなってからはこんな感じ。 (こっちもねっとりしてるの…)

確かにちょっと笑い方は変わってるけど、凄い聖女様だよ?


「アスカ様、そんな他人行儀に呼ぶのはやめてくださいまし。私とアスカ様の仲ではないですか。以前のようにイアリスと、そうお呼びください」

「わかりました。イアリスさんも戴冠式でこちらに?」

「ええ。儀式は私のような立場の物が任される習わしですので」 

「そうなんですね。 イアリスさんはお変わり無いようで安心しました」

「心配して下さいますの?ふふっ…ふふふふふ…ありがとうございます」

「少し話し方は変わられましたね?」

「そうかもしれませんわね…一応立場が御座いますから。でもアスカ様が望まれるのでしたら以前のように…」

「いえ、そんな無茶いいませんよ」 (ママ、シエルが…)

え?あら…また? (聖女様登場で…)


流石に聖女様ご本人の前でシエルと話すこともできないし…。 (任せて! ママは聖女様を遠ざけて)

ありがとう、お願いね。


「聖女様、少し歩きませんか?せっかくの庭園ですし…」

「ええ…でもよろしいのですか?せっかくのドレスですのに、引きずっていたら汚れてしまいますわ」

「それなら大丈夫です。魔法防壁で包んでますから。借り物のドレスですし…」

「まぁ…それをずっと維持しておられるのですか?」

「そうですね…なのでお散歩しませんか?」

「そういう事でしたら喜んで…」

これで、シエルから離れられる。ティーお願いね。 (うん!)


「それにしても…アスカ様はお可愛らしくなられましたね?」

「ありがとうございます。色々ありましたから…」

「アリッサ様からある程度は聞き及んでおりますけど…」

「そうなんですか?」

「ええ…」

師匠は何を話したのやら…。

まぁいいや。せっかく会えたし渡しておこう。

「あの、イアリスさん。よかったらこれを…」

作ってきた魔道具をストレージからだして手渡す。


「開けても?」

「はい。あの時…沢山お世話になりましたから。それなのに何もお礼もできないまま、お別れになってしまいましたからね。2年越しになってしまいましたが…受け取っていただけますか?」

「はいっ。 これは…素敵です! 私の使う聖具のデザインを覚えていてくださったのですか?」

「そうですね。3年弱ずっと見てましたし…」

「3年ずっと…ふふっふふふふふふふふ」 (誤解したぁ!!)

えっ?

「あの…それ魔道具になってまして、イアリスさんを守るようにと効果がつけてあります。魔法防壁、それに万が一に備えて魔力を貯めておけるように。後は魔力の増幅効果は神聖魔法の効果が上がるかと思います」

「まさか…アスカ様の手作りですか!?」

「はい。高価なものでなくて申し訳ありませんが…」

「いえいえいえ! 私には何よりも価値のあるものです! ふふふ! ふふふふふふふっ!」

「イアリスさん専用にする為に魔力波長を刻ませて貰えますか?」

「ええ! ええ! それはもう! 目の前で私だけの物に…ふっふふふっふはははっ」 (ひいっ!)

イアリスさんから一度受け取り、刃物を出す事を伝えてから波長を刻む。


「すごい手際ですね…素敵ですわ」

「慣れですけどね。 どうぞ。これでイアリスさんだけにしか使えない魔道具になりました」

「…ありがとうございます、本当にありがとうございます。大切にいたしますわ!」

「そうして頂けると魔道具を作った者としては嬉しいです」

「ふははははっ! 勝ちましたわ! 完全勝利ですわっ! ふふふふふふふ!」 (シエルーーー!)

どした!? (今の雄叫びで限界突破、口から魂抜けたの!)

戻して!  (頑張る!)


チョウチョを追いかけて走り回るレウィだけがものすごく平和だわー。 (現実逃避ダメ!)

はーい。


イアリスさんは聖女としての仕度があるからと何度も魔道具のお礼を言いながら去っていった。



シエルの介抱をしつつ、待つこと15分ほど…。

私達はどうしたらいいんだろうね? 師匠…私はいつ戻ればいいのですか? (まだ無理っぽいの)

分体置いたんだ? みんなは何してるの? (話し合い?)

初対面で? (色々あるの)

そ、そう…。


「陛下! お待ちください! まだ仕度が終わっておりませんから!」

「今はそれどころじゃないのです!」

あれ…この声はメリアさん?


「アスカ様!!」

「メリアさん…お邪魔してます」

「それは良いのです! それより! イアリスに何を渡したのですか!?」

「魔道具の事ですか?」

「そうです! ものすごく自慢された私の気持ちがわかりますか!?」

「えっ? いえ…」

まさか、わざわざメリアさんに自慢しに行ったの!?

「酷いです…私には何も無いのに…」

「メリアさんには、どれだけお世話になったか…私と弟の心配をしてくれて、秘宝である転移の魔道具まで持たせてくれて…そんな方に何もないなんて事があると思いますか?」

「では…!」

「本当は戴冠式が終わった後に渡す方がいいかと思ったのですが、せっかく来てくださったのですからお渡ししますね」

ストレージからメリアさん用に作ったネックレスを包んだ小箱を渡す。


「あぁ…ありがとうございます…。開けても?」

「はい」

「…綺麗…シンプルなのになんて綺麗なの。いつも送られるのは邪の気持ちの込められた派手なのばかりで…うんざりしてました。それをご存知だったのですか?」

「いえ、そこまでは。ただ皇帝陛下ですから豪華なものは持っておられるだろうとは…なので普段使いしやすいようにとシンプルにしてみました」

「そこまで考えて…」

「それも魔道具になってます。私以上のステータスが無ければメリアさんを傷つける事は不可能になりますから、安心してください」

「もう…なんてお礼を言ったらいいか…」

「メリアさんの魔力波長を刻んでも?」

「はいっ! イアリスも目の前でやってもらったと…」

メリアさんからネックレスを一度受け取る。

「そうですね。やっぱりこういうのはご本人の許可をもらって…と思いますし。すみません、刃物出しますけどいいですか?」

「ええ!」

流石に皇帝陛下の前、しかもメイドさんや護衛の騎士が複数いる前で無許可で刃物は出せない…。


「魔法、物理の攻撃はもちろん、毒などの状態異常はすべて無効化します。もしものために魔力もためておけますから常につけていて頂けると安全かと思います。御自身へ回復等の魔法を使うときには魔力の増幅もされますので、効果も上がると思います」

「肌身放さず常に付けます!」

「出来ました。メリアさん、どうぞ」

「…あの…つけていただけますか?」

「えっと…大丈夫ですか?」

「私がお願いしているのですから」

メイドさん達も笑顔でうなずいてるしいっか…。

後ろへ周り、綺麗なピンク色の髪をアップにしているメリアさんの首にかける。


「どうでしょう?」

「作った私が言うのもなんですが…よくお似合いです」

「ありがとうございます。アスカ様!」

いや、ちょっと…流石に皇帝陛下が抱きつくのは不味くない? (わぁー…)

メイドさん達は、私達は見てません! って感じにみんなそっぽ向いてるのは気遣いなのだろうか。


しばらくされるがままになった後、メイドさんにそろそろ仕度に戻らないといけないって言われて渋々帰っていった。

しまった!! (えっ?なに?)

いや、私達はこの後どうしたらいいか聞けばよかったなぁと…。 (相変わらずのうっかりさん)

驚いて頭回らなかったからって事で…ひとつ。 (そうしとくの)

かたじけない。 (ぶふっ…ママそれズルい!)

ティーにウケたならよかった。 (不意打ちはズルいの!)

ティーもするけどね? (……そうだったかなぁ?)



シャーラが呼びに来て、なんとか復帰したシエルと、走り回ってたレウィを連れてようやく部屋へ戻ることになった。

「シャーラにも渡しておくね? 3年間仲間として一緒にいてくれてありがとう」

「えっ…?」

「シャーラのは目立つと良くないかなって一応デザインは気をつけたんだけど…」

「…すごいよ。好みにピッタリ! ありがとうお姉ちゃん!」

あ、その呼び方はもう定着なんだ? 

効果の説明もしつつ波長も刻んだ。

「どう?似合う?」

「うん、シャーラならそれが似合うかなって思ったんだけどピッタリだね」

「将来のお姉ちゃんからのプレゼント…大切にするね!」

「あーうん。そうしてくれると嬉しいな」

ユウキはどうするんだろ…。 (逃げれないと思うの…)

確かに…。ユウキが幸せになるのなら一番いいけど。 まぁ…ユウキの年齢的にもまだ先の話だね。


シャーラはまたユウキのところへ戻ると言って消えた。

探索ではトコトコ歩いてるのが見えてるけどね。 (そう言われたら少しだけ可愛く思えてきたの…)











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