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召喚被害者の日常は常識なんかじゃ語れない  作者: 狐のボタン
第五章

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そういう時もある



今週最後の登校日。

いつも通り登校して教室へ行く予定だったのだけど、予想通り麻帆に捕まって空き教室へ。

「アスカちゃん、ついに尻尾を掴んだわよ」

「それは良かったじゃない。モールでお惣菜でも買ってたの?」

「そうよ。うちは近くにスーパーがないから遠くてもモールまで行くのよ。って…まさか気がついてたの?」

「まぁ…うん」

あれだけ分かりやすければ探索なんて使わなくてもわかる。

「じゃあわざと?」

「何が?」

「可愛らしい外国人の娘と路地に入ったら、いっぱい持ってた買い物の荷物が消えたのよ! 見間違いなんかじゃないわ」

「なんのこと?」

「いや待って…分かってたって事は、わざと不審な事をして見せて、惑わそうとした?」

麻帆ってこんなに表情コロコロ変わる子だったっけ…今までは奈々と三人でいたから気が付かなかったのかな。


「あーもう! 折角なにか掴んだと思ったのに! 結局途中で見失ったし…」

あのままずっとついてきたら心配だったから…。麻帆の家とは方向が違うし、辺りも暗くなってきてたもの。

「それで?麻帆は何を掴んだのかな?」

「くっ…余裕の表情が悔しい! 覚えてなさい!」

そういうと麻帆は、教室へ戻っていってしまった。

私も戻るか。またホームルームをサボる訳にもいかないし。



自業自得というか、変に焚き付けてしまったのか、その日の麻帆はそれまで以上に行動がヤバかった。

お昼休みにはとうとう麻帆が壊れた。

「お願いだからトイレは一人で入らせて!」

「なにかする気でしょ?知ってるんだから」

「そりゃあするよ! トイレだもん!」

「え…!?あっ…ごめんアスカちゃん」

「はぁ…落ち着いてよ、麻帆」

「ええ…。外で待ってるわ」

ーー


「お待たせ、麻帆」

「ごめんね。つい…夢中になると周りが見えなくなるのよ私」

「それって、おねしょたってやつも?」

「はぁっ…ちょっ…はぁ? 知らないし何それ! 興味ないし!」

動揺しすぎ。 (ママ、やめてあげてー!)

誰のせい? (ティーだけど…。それ奈々にも秘密にしてるから麻帆)

そうなの!? それは悪いことしちゃったな…。てっきり知ってるものかと。

話題を変えよう。


「麻帆、今日もお昼ご飯は空き教室で?」

「え、ええ。そうね。行きましょう」

「うん」


私が変な事を言ってしまったせいか大人しくなった麻帆はチラチラと私を見ながらお弁当を食べてる。

本当にごめんね麻帆…。

「ねぇ、麻帆が昨日見たのは気のせいじゃないよ」

「えっ?」

ストレージから最近使わなくなって久しい携帯ゲーム機を取り出す。

「ね?わかった?」


「…なによ、手品? はいはい上手だね。アスカちゃんはすごいわー」

「えー。しかもバカにした!!」

「だって! もっと凄いことするかと思ったのに! 因みにそれ校則違反だから没収ね?」

「ヤダッ」

急いでストレージへしまう。使わなくなったとはいえユウキとの思い出があるし。


「コラ、渡しなさい。私の前で出したのが失策ね。 どこに隠したのよ」

「やめて、持ってないから! くすぐったい!」

「出しなさい! ここ?無いわね…じゃあここ?」

「やめてー! ふにゃぁ! そこはダメー!」

「嘘でしょ…本当に持ってない。どれだけ高度な手品なのよ」

「はぁ…はぁ…もうお嫁に行けない…麻帆に汚された…」

「安心しなさい。その時は責任を持って私が貰ってあげるわ」

「冗談だから!」

「ふんっ…」

結局、手品って事にされて片付けられてしまった…。


「奈々が戻るまでになにか掴みたかったのに。まぁいいわ。来週、奈々が復活したら覚悟しなさいね」

「わかったよぅ…正直に話す。麻帆に一週間ストーキングされて、身体中弄られて汚されたって奈々に言うね」

「待って、それ洒落にならないから! 言ったらだめよ。奈々が怒ると本気でヤバいから」

「…ふふっ」

「もう、人が悪いわよアスカちゃん」

「信じてくれなかったお返し!」

「えっ、それって…」

「午後の授業遅れるよ!」

「待って! どういう事よー」

チャイムなってるし! 本気でヤバい。


ギリギリで午後の授業には間に合った。



放課後は麻帆が用事があるらしく先に帰ったから、私もスーパーで夕飯の買い出しだけして帰ってきた…んだけど…

「ねぇ?どうしてみんな玄関にいるのかな?」

帰って玄関開けたら2秒でドラゴンだけじゃなく、エルフとフェンリルと私の子が勢揃いでお出迎えなんだけど。

「ごめんね、アスカ。昨日のポテトとかの話を私がしちゃったから」

「CMでしか見たことないの!」

「ねえ様ばっかりズルいわ」

いや、リアは遊園地行ったじゃない…。

「わう?」

「おかえりなさいお姉様」

どうやらレウィとシエルはよくわからないまま付き合わされてるな? (ノリで)

ノリかぁ。それは仕方ないね。


「それで、どうしたいの? ハッキリ言ってみて?」

「「ポテトと期間限定のハンバーガー食べたい!!」」

「わう!」

「えっ…えっと…食べたい?」

「あはは…ごめんねアスカ」

「いいよ。ティアねえ様は悪くないから。じゃあ食べに行く?持ち帰る?」


「ティー、どっちがいいかしら…」

「落ち着いて食べるなら家、出来立てならお店?」

「マジックバッグあるわよ?」

「そうだった!」

相談してる二人は可愛いけど…。


ユウキと未亜にはメールで連絡。

未亜はもうすぐ家につくのね。

ユウキはっと…それなら頼むか。

「ユウキがちょうど友達とその店にいるらしいから買って帰ってきてくれるって。それじゃダメ?」

「おー! ナイスタイミング」

「それでいいわ。でも何があるのかわからないわ…」

「それなら…」

スマホでお店のホームページを開きメニューを見せてあげる。


「ティアねえ様は昨日、今日と続いちゃうけどいいの?夕食の材料は買ってきたから作るよ?」

「んーそうだね。私はアスカの手料理がいいな」

「わかったよ。 ティー、スマホの操作わかるよね?」

「ばっちしー」

「じゃあ食べたいもの決まったらユウキに伝えといて。私は昨日も食べたし、いらないからいいよ」

「はーい!」

私は一度自室へ行き、着替えてキッチンへ。


未亜も帰ってきたらしく、玄関で何を頼むか議論してるみたいね。

たまにはファーストフードも食べたくなるよね。いいけどさ…。


豚のロースが安かったからいっぱい買ってきたのに。

スジを切って…叩いてっ柔らかくっ。

下味をつけて少し寝かせておく間に…濾した溶き卵と、ふるいにかけた小麦粉、パン粉も用意してっと。


衣をつけて温めた油で揚げていく。


うん、いいキツネ色だね。揚がったのは油切りをしてからストレージへ。

こんなに買わなきゃよかったよ。余っちゃう…。


キャベツも刻んで千切りに。

ソースは…2種類でいっか。味噌ベースのソースとトマトベースのソース。


「アスカ、何か不機嫌?」

「うん?そんなことは無いけど…そう見えた?」

「少し…。 リア達がごめんね。私のせいでもあるし…」

「いいよ。ティアねえ様にはちゃんと美味しいもの食べてもらうからねー」

「うん、ありがとう! それ昨日のお店でも売ってたけど、家でも作れるんだね」

「そうだね、油が飛ぶし、それなりに手間がかかるから、少人数なら買ったほうが手間も省けて安上がりだから売ってるんだと思うよ」

「うちはすごい量だもんね」

「…みんないっぱい食べると思ったからね」 (………っ!)

ストレージへ入れておいて、今度卵とじにでもして丼ぶりにしようかな。

よしっ、完成。

ご飯炊けるまでにお風呂入っちゃお。油はねたし…。



サッパリしてお風呂から出てきたら、リビングにいるみんながおとなしい。

どーした…? あぁ、ユウキがまだ帰らないから待ってるのね。


じゃあ夕食はもう少し後かな?

今のうちに宿題を済ませておこう。普段は寝る間際か登校してからやってるし…たまには。




「ねぇ、ティー。アスカったら何も言わずに部屋へ行っちゃったわよ?」

「ママ、ティーたちの為にって沢山材料買ってきてくれてたから…」

「お姉ちゃん、作った料理をみんなが食べる姿をいつも嬉しそうに見てるもんね…」

「だって…知らないものだったから食べてみたかったんだもの」

「お姉様…。 どうしようレウィちゃん…」

「わぅ…主様のご飯が一番おいしい」

「それはティーだって! ただちょっと、食べたことない物もいいなって思って…」

「まぁまぁ…。アスカもそんな怒ってるわけじゃないと思うよ?」

「そうかしら…」


「ただいまー! 希望の物買ってきたよーって…何だよ、この夜の終わりみたいな空気は…」

「ティーのせいでママが…」

「ティーだけのせいじゃないわよ!」

「いや、話が見えないんだけど?」

「えっとね…ユウキ君、ちょっと力を貸して」

「僕にできることならいいけど…姉ちゃんを倒せとかは無理だからね?」

「違うから! そんなこと頼まないよっ! あのね……」


…………

……



「姉ちゃん、ちょっといい?」

「うん?入っていいよー」


「ごめん、勉強してた?珍しい…」

「いや、宿題くらいはしてるからね?大体は朝、学校についてからだけど…」

「それ、やってるって言うの?」

「一応?  それよりどうしたの? みんなの夕食買ってきてくれたんじゃ…」

「あー それなんだけどさ? みんなが姉ちゃんに謝りたいって」

「…?」

「折角姉ちゃんが買い出しまでして夕食を作ってくれるってのに、それを無視してファーストフードに目移りしたからって」

「うん? いや…確かにちょっと切なかったけど。たまにはそういう時もあるでしょ?私達だって、たまに買って帰ったりしたじゃない」

「…やっぱり怒ってはなかったか。 いや、ティーが一番へこんでてさ」

「そうなの? 別にストレージへ入れておけるからいいのに」

「みんなは、姉ちゃんの気持ちを踏みにじったーとかそんな感じでへこんでるんだって」

「ふふっ…それでリビングでおとなしかったのね」

「そうだよ」

「じゃあ、みんなにはこう伝えて。ティアねえ様以外は今日、私の手料理はなし! って」

「ええっ! 僕も?」

「自分の買ってないの?」

「いや、友達とつまんできたからさ。 姉ちゃんが夕飯は作ってると思ってたし…」

「じゃあ、ユウキのも出してあげる」

「ありがと。 でもみんなは余計にへこまない?」

「だからだよ、バツって思ってくれれば後腐れがないでしょ?」

「なるほど…了解」

「私も少ししたら下へ行くから」

「りょーかーい」


やれやれ…。

可愛いなぁうちの子達は。

そりゃあさ?確かにちょっと悲しかったけど…ファーストフードに負けた!?って。

でもよく考えたら、私自身もたまに食べるファーストフードとか好きだったし。

そもそもがチェーン店で凄まじい数のお店を展開してるのに勝てるわけがないよね。

みんなに美味しいって褒められて、ちょっと天狗になってた。

いけないね。師匠にも言われてるのに。傲るなって…。私にもいい薬だったよ。


さて…ティアねえ様とユウキには揚げたてのカツを出してあげないとね!













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