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召喚被害者の日常は常識なんかじゃ語れない  作者: 狐のボタン
第五章

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ねえ様と



モールへ到着して、ティアねえ様の行きたいように歩いてもらい、私はついていく。

服やアクセサリー、玩具屋さんも覗く。

「これ、リアの持ってるやつみたい!」

「ぬいぐるみ?」

「そう。可愛いよね」

「気に入ったのあった?」

ティアねえ様が選んだのは有名なモンスターを集めるゲームのぬいぐるみ。

青くて丸々とした体型と少しお間抜けな顔が可愛い。


「じゃあティアねえ様にはそれをプレゼントしよう」

「いいの!?」

「うん。サイズがいくつかあるけど…一番小さいそれでいいの?」

「これが一番かわいい!」

「わかったよ」

二人でレジへ。折角だからプレゼント用にラッピングをお願いした。


「夕飯はなにか食べたいもの決めてきたの?」

「うん! 今しかないのがあるって言ってたし、それにあの熱々の細長いのも食べてみたいの」

ティアねえ様の説明から推測して恐らくここだろうってお店へ。


「そう! これだよー。よくわかったね?」

「期間限定のものがあって、熱々の細長いものって多分コレだよね?」

「うん。さすがだよアスカー」

なんてことは無い、フードコートにあるファーストフード店だし。


カウンターで期間限定のセットを2つ。ドリンクは炭酸を選んでたけど大丈夫かな?

心配になったから私はぶどうジュースにした。炭酸が無理なら交換したらいい。


平日の夕方だからか、そこまで混雑はしてないけれど、学生は結構いる。

フードコートはお手軽だし、ここで宿題したりする子もいるから仕方ないのだけど、うちの学校の制服の子もいるから、多分ファンクラブに伝わるんだろうなぁ…。まぁいいけどね。


窓際の外が見えるカウンター席へ並んで座る。

「すごい…こんな高いところにいたんだ」

「そうだね、3階だから。 ほら、動く階段に乗ってきたじゃない」

「あぁ! あれもちょっと怖かった…」

「慣れないとそうかもね?」

エレベーターのが密閉されるから怖がるかと思って避けたんだけどな。エスカレーターもダメだったか。


「んっ…美味しい! でもちょっと味が濃いね」

「こういうお店はそうかもしれないね」

「こっちは、フライドポテトって言うんだね、これもホクホクしてて美味しい」

あちこち食べ歩いてたティアねえ様も満足させるとはファーストフード恐るべし…。 

案の定と言うか、炭酸でむせてたからドリンクは交換した。

「シュワシュワしてむせた…味はいいのに」

私も炭酸は好まないからうちにも置いてないし、向こうにも無いだろうから飲み慣れてないと思ったんだよ。


食後もフードコートを歩いて、色々なお店がある事にびっくりしてた。

みんなへのお土産にドーナッツを買うことにして、ティアねえ様に選んでもらう。

「うー。どれも美味しそうでわかんないよー決められない!」

「そっか…じゃあこうしようか。  すみません、この列とこの列のを全部3つずつください」

「そういう頼み方もありなのかー。でもお金かかるね…」

それはまぁ…。でも家族が増えたしこれくらい買わないと足りないからね。


箱で3つ。袋に入れてくれたからいいけど、さすがに買いすぎたかもって少し後悔。

でも、足りないよりはいい。



その後も歩き回るティアねえ様についていく。

それにしても、食品売り場にまで足を伸ばすことになるとは…。

「すっごい…こんなのどこの街の市場でも見たことがないよ!」

品数に驚きつつも一番興味を示したのはお惣菜コーナーだった。


「いい香り〜! ここで買ってそのまま食べれるの?」

「ここのは持ち帰り用だね。なにか欲しかったら買ってもいいよ?」

「いいの!?」

「うん。好き嫌いはない?」

「へーき!」

「もし何かわからなかったら聞いてくれればいいから」

「うん!」

指を咥えながらお惣菜を選ぶティアねえ様は、それはもう楽しそうだった。


「ねぇ、これは何?」

「それはうどんだね。レンジで温めるだけで食べられるよ」

「アスカがこないだ茶碗蒸しに入れてたやつだね!」

「そうそう。これはシンプルに出汁で食べるものだけど」

「へぇー。じゃあこれは?」

「それは冷やしラーメン。冷たいまま上に具を載せて食べるの」

「変わってるね…。あっ、これはわかる! アスカのかあ様が作ってくれたサクサクのだ」

「うん、天ぷらだね」

そんな感じに色々と見て回って、最終的に選んだのは稲荷寿しだった。

見た目は地味だけど、作るとなると意外に手間がかかる。美味しいから私は好きだけどね。


雑誌コーナーで最新の夏物ファッションが載った雑誌を選び、お菓子コーナーでも色々と買い込んだ。

ティアねえ様には、前にリア達にも言ったように3つ、好きに選ばせてあげた。

「これでも一個でいい?」

「もちろん。それもアリだね」

詰め合わせの大袋を3つ抱えてきた時は笑ってしまった。盲点だったよ…。でも一個は一個だし。

お会計をして、荷物が増えてしまったし、時間もそろそろだ。

最後にペットショップでレウィ用に骨ガムとジャーキーを購入。


「ティアねえ様、帰りはどうする?バスが怖かったら歩いてもいいよ?」

「じゃあ歩きたい。あっ、でも荷物…これだけ持って歩くのは大変だよー」

「お店を出て人目につかない所でマジックバッグへ入れたらいいよ」

「わかったー」

モールを出て家への帰り道。 ……まぁいっか。

路地の死角で荷物をストレージへ。ティアねえ様も自分の荷物をマジックバッグへ入れて身軽になった私達はのんびりと話をしながら家へ向かう。


「アスカ、今日はありがとう。振り回しちゃってごめんね?」

「いいよー。楽しそうなティアねえ様はすごく可愛かったし」

「…そう?ならいいけど! またこうやって何処かへ連れて行ってくれる?」

「もちろんいいよ。 でも、ティアねえ様はいつまで自由にしてられるの?」

「それなんだよねぇ…。一応、長老様二人が王国に滞在してる間はお役御免なんだけどね?二人がいつ帰るかわからないから」

「そっかぁ。でもしばらくは大丈夫そうだね」

「うん。あの二人は王国での暮らしに馴染みすぎてて里へ帰れるのか私が心配なくらい」

長老様の洞窟の改装はまだまだ先になりそう。


………

「ティアねえ様、ちょっとごめんね」

「ふぇっ?」

抱えて路地へ入り完全隠蔽。

「えっ…待って。さすがにここではやだなーとか…思うんだけど…」

「シー」

「…? えっ…つけられてた?」

「うん。モールの食品売り場から」

「何者?まさか敵…?」

「ううん。悪意はないから大丈夫」

「ならいいけど、どうしてつけてきたの?」

「……さぁ?」

「…いいけど。 ただ期待させてこれは酷いよ?アスカ」

「えっ…何が? ちょっティアねぇ…んっ……」

「まったく…今日はこれで許してあげ…ちょっとアスカ!? いや、この子どれだけウブなの? まぁ、いっか。起きるまでこうしてよっと」


…………

………

……



「ん、あ…あれ?私…」

「起きたー?」

「う、うん…私なんでティアねえ様にこんな所で膝枕されてるの?」

「覚えてないの!?」

「路地へティアねえ様と隠れて、尾行を撒いて…あれ…?」

「嘘でしょ…私も初めてだったのに! アスカのバカ!!」

「えぇ…何があったのよ…」

「知らないよ! 耐性もりもりのくせによわよわなんだから!」

相変わらず酷い言われよう…。

結局怒ってる理由は教えてくれなかった。

「覚えてたら覚えてたで、あの子達にバレるだろうし、この方がいっか!」

って一人で納得してた。それからは機嫌も直ったみたいで帰りは手を繋いで帰ってきた。




リビングでお土産のドーナッツを皆に見せる。

「お姉ちゃん、流石に多くないかな?」

「…母さん達もいる感覚で買っちゃった」

「相変わらず姉ちゃんは、どっか抜けてるよな」

「いいじゃない…あむっ…んっ! これおいひいわよ?」

「こら! リアは口に物を入れて喋らないの! いつまでも子供なんだから」

「うるはいわね! んっぐ、ねえ様は細かいのよ!」

「大人の女はどうしたの?」

「それは…わかったわ。気をつける…」

「リアが素直だとっ!?」

「なによ!! 逆らえばよかったの?」

「ううん、びっくりしただけ。誰のおかげかなぁってね?」

「…ふんっ。知ってるくせに」

相変わらず仲のいいことで…。


「シエルにはこれ。これから暑くなるこちらの季節に合わせた服が乗ってるよ」

「ありがとうお姉様! わぁー可愛い! でも…これ下着?」

「ん? あぁ、それは水着っていって海とかプールで泳ぐ時に着る物だよ」

「泳ぐ?海で? 魔獣に食べられちゃうの…」

「シエルー、こっちにはいないから大丈夫なの。サメならいるけど、まず出会わないー」

「うん。ティーの言うとおりだから。夏にはみんなで行こうね?怖かったら無理に泳がなくてもいいし」

「わかったの…」

あっちの海は危険って認識なのかな。大型の魔獣は陸近くにはいなかったけど…。


「ママ、これは?」

「それ、レウィの骨ガムとジャーキー」

「ボクの?」

「うん、噛んで遊ぶというか…試しにね。ジャーキーはおやつだよ」

「お姉ちゃん、それ犬用だよね?」

「そうなんだけど…気にいるかもしれないじゃない?」

レウィに渡してみたら、大喜びでガジガジとやってた。 (もう犬でいいの)


「レウィちゃんがいいならいいけど…」

「本人は楽しそうだし、未亜姉ちゃんも細かいこと気にしないほうがいいよ?特にアスカ姉ちゃんのやる事は気にしてたら身が持たないから」

「それもそうだね?」

おいこら二人とも…。 (ママ、こっちのドーナッツも食べていい?)

ん?いいよ。でも食べすぎないようにだけ気をつけるのよ。 (はーい!)








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