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召喚被害者の日常は常識なんかじゃ語れない  作者: 狐のボタン
第四章

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感覚と思考



小さなリコはテーブルの上をてちてちと歩き回り、母さんの前で止まって見上げる。

「貴女、水の精霊と契約してるの?」

「うん! そうだよ。貴女は樹の精霊?」

「ええ。 貴女…ママの血族かしら?」

「うん。アスカの母親だよ!」

「そう。なら…私も力を貸してあげるわ」

「いいの!? ありがと!」

何が起こってるの? 


「お、お姉様…」

「シエルはアレなにしてるかわかる?」

「精霊様との契約が始まるの…」

「そんな簡単に!?」

テーブルの上を再度、てちてちと歩くリコは足跡でテーブルに魔法陣を描く。


「貴女名前は?」

「ナツハだよ」

「…樹の大精霊、リコの名において…ナツハとの契約をここに…」

「ハーフセイントドラゴンの巫女、ナツハの名において、樹の大精霊リコとの契約をここに…」

母さんはリコの描いた魔法陣へ手のひらを重ね、魔力を流す。


リコと母さんが緑色に光った後テーブルの魔法陣は消えた。

「ありがとう! しかも貴女、大精霊だったの!?」

「そうよ。一応、最上位精霊だからそれなりに貴女の力になれるはずよ」

「すごいよー。本当にありがとう」

「お礼ならママに言って。ママの血族じゃなかったら対等の契約なんてしないわ」

「アスカ、ありがとう。 凄いね、この子…回復系のスキルが軒並みカンストした!」

「そうなんだ…。リコ、ありがとね」

「これでママやママの家族を守れるのなら私も嬉しいから…。 ただし、ママと敵対するようならすぐに契約解除するからね」

「しないよ! 娘と敵対するわけないじゃない」

「そう、ならいいけど」


シエルはレウィを抱きしめてカタカタと震えてる。もう締め落としそうなレベル…。

あれ、大丈夫なのかレウィ…。 (レウィ強いからへーき。シエルの力程度ではなんともないの)

ならいいけど。そうなると問題はシエルか…


「シエル、大丈夫?」

「う、うん…大精霊様との契約なんて普通は絶対に見れないから…」

「そうなんだ? 私達はそれを食後の休憩中に目撃しちゃったのね」 (有り難みが…)

母さんは喜んでるしいいんじゃないかな? (そだね!)



「精霊って時々見かけるけど、契約ってこんな感じなんだー」

「ねえ様は見たことあるの?」

「うん、結構あちこちにいるから…それこそ街の井戸とかにもいるよ」

「貴女は精霊使いの素質があるから、学べば契約できるかもしれないわ」

「そうなの!?」

「ええ、そうじゃなかったらそんなに精霊は見えないから」

まさかのティアねえ様まで。


私達がリコを見れるのは、私とティーは言わずもがな。リア達は私が魔力循環したからっぽい。

シエルは、エルフだから普通に見えるらしい。ただ契約できるかはまた別なんだとか。


「もし、本気で契約したいのならナツハから学ぶといいわ」

「私!? アスカじゃなくて?」

「ママはあくまでも私を覚醒させた人で、貴女みたいな契約という訳じゃないから。 私より立場は上」

なんてこった…。

リコが言うには樹の精霊達の勢力図ピラミッド、その上に私がいて、ピラミッドの最上位にリコ、対等に契約した母さんもここ。

その下にランク毎に精霊が無数に居るらしい。 (ママはピラミッドの上に輝く星!)

ポラリスかよ…。 (北極星?)

よく知ってるね。


「ティー達のママは精霊大女王」

「やめてよ…ティー」

「あながち間違ってはいないわ。樹の精霊なら間違いなく言うことを聞くし、他の精霊もママのお願いなら無碍にはしないはずよ」

ほんとなんてこった…。 ただ、私はリコ以外見えたことないからなぁ。


「王妃様がいないから私が言うね?またお姉ちゃんの勢力が拡大したね。闇落ちしたらだめだよ?」

「しないから!! 未亜まで変なこと言わないで」

「闇落ちしても樹の精霊はついて行くわ」

「だからしないって…」

「それくらい精霊の序列や、力関係は絶対だってこと。私だって闇落ちなんてしたくはないわ」

序列ね…。だからリコは最上位精霊になった時、尊大になったのかもしれない。


「またママかナツハに呼ばれればくるから」

「あ、リコ待って。お菓子は作ってる時間なかったけど、美味しいフルーツあるから持っていって」

アクシリアス王国でたくさんもらったフルーツをお土産に手渡す。

今は身体が小さいから一個しか持てないか…。

「ありがとうママ。またお菓子も食べたいわ」

「うん。また作ったら呼ぶよ」

「ありがとう、楽しみにしてる」

そう言うと、フルーツを抱えてリコは消えていった。


「ちょっと目を離すとコレかよ…」

「結局なんだったんだ?俺は見えなかったんだが…何かいたんだよな?」

片付けの終わったユウキと父さんが後ろに立ってた…。

「二人ともいたなら声かけてよ…」

「いや、込み入ってそうだったからな。声かけづらくてなぁ…。ナツハは光ってたけど大丈夫か?」

「うん! むしろパワーアップしたよ!」

「そうか…。 あれだな、うちは間違いなくパワーバランスが女の方に偏ってるな…」

「それは姉ちゃんがいる時点で覆らないから」

ユウキひどいよ…。 (あながち?) 



相談の結果、ティアねえ様とシエルは母さんへ弟子入りする事になった。

「ねえ様だけズルいわ!」

「こればっかりは、元の素質や相性とかもあるからね…」

母さんも不貞腐れるリアに困ってる。


「ルナリアは姉ちゃんの弟子みたいなものじゃん。魔法教わってるんだし」

「そっか! アスカ、また色々教えてほしいわ」

「私も…お姉ちゃんお願い」

「私にわかる範囲ならいいよ」

「ティーもティーも!」

「勿論だよー」

「いや、ティーは僕に近接戦闘を教えてほしいんだけどな」

「え?でもティーのはママの下位互換でしかないよ?ママから借りてるスキルだし…」

「それでもさ、姉ちゃんは魔法の方で忙しいじゃん?それに、ティーのが考えて動いてたから」

「ママ…?」

「ティーのしたい様にしていいよ。私は考え無しらしいからね」

ユウキが辛辣だよ…。 


「そういう意味じゃないんだって。姉ちゃんは天才肌って言うか、考えなくても無意識で最適な動きをしちゃうんだよ。だから、それをどうやったか聞いても答えられないでしょ?」

……?そうなのかな。 (ママは感覚で出来ちゃうから)

「私も一応考えてはいるよ?」

「うーん…じゃあさ例えばだけど、メイド姿で戦ってた時、僕の投げた短剣に空中で短剣ぶつけて落としたでしょ?あれどうやった?」

「…? ユウキの投げた短剣にぶつけただけだけど…」

「はぁ…ほらやっぱり。そんな事、普通できないからな?しかもほぼノールック…」

「ティーも無理ー」

「そうなの?」

「確かにこれはアスカから学ぶのは難しいね。これはアスカが悪いって訳じゃなくて、感覚派っていうのは思考派に教えるとなると相性はよくないよ」

「そういうナツハも感覚派だろう…」

「まぁね…。うちのお母さんならどちらにも対応できるから、お母さんを頼るのもありだけど、多分面倒くさがると思う」 

さすがお祖母ちゃんだよ…。伝説のドラゴンは伊達じゃない。




こんな事があったからかな…その日の夜に懐かしい夢を見たのは。







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