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召喚被害者の日常は常識なんかじゃ語れない  作者: 狐のボタン
第四章

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呼んでみた。 



暫くして…ティアねえ様と、シエルは一緒に私の部屋へ戻ってきた。

「ティアねえ様、部屋に不都合とかなかった?」

「うん! 大丈夫。アスカも遊びに来てね!」

「わかったよ。必要なものとかあったら買いに行こうね」

「うーん…まだこっちの事がよくわからないから…」

「それなら私に任せなさい!」

リアが名乗りを上げてくれたから任せてもいいけど…。

「えー。なんかマウント取られそうでやなんだけど…」

だよね…。 (ティーも見とくよ!)

そう?じゃあ任せるね。 (はーい!)

リアだけだと少し不安だから私が行こうかと思ったけど、ティーがいるのなら、私より上手く間を取り持ってくれるでしょう。 (任せてー)


ティーが渋るティアねえ様と、リアの手を引いて一階へ降りていった。

家電やらの使い方もティーとリアは把握してるし、任せても大丈夫。

私もシエル、レウィを連れてリビングへ降りる。


飲み物を入れてシエル達とソファーで寛いでたら未亜も降りてきて、久しぶりの我が家でのんびり。

「お姉ちゃん、夜ご飯の準備は?」

「母さんが買い出しへ行ってるよ。冷蔵庫空っぽだし」

「そっか、じゃあ帰ってくるまでは、このままのんびり?」

「うん。未亜も久しぶりに帰ったんだし、ゆっくりしてていいよ」

私の膝に頭を載せて寝てるレウィを撫ぜながらそう答える。


「お姉様、うち…使い切らなかったお金があるの…」

「うん?ドラゴライナ王国の? また行くこともあるからそのまま持ってていいよ」

「わかったの…。ありがとう」

うーん…。

「シエルは私達にたくさん服を作ってくれたりしてるでしょ?」

「…? うん。好きだから」

「そのお礼って言うとあれだけど…私からシエルへの正当な報酬だと思って?」

「わかったの!」

まだ、シエルは私から何かを貰ったりする事に抵抗感とかある感じがするなぁ。


「お姉ちゃん、それだと私はもらう理由がないよ…」

未亜まで何を言いだすのよ。

「何を言ってるの…。未亜は家事のお手伝いに、私が性別変わった時に一番力になってくれたじゃない。今だって気にかけてくれてるでしょ?」

「それは…お姉ちゃんの事大好きだし…」

「私も未亜の事大好きだし、大切だからね。遠慮しないで。 未亜もシエルも、みんな家族なのに変に遠慮されたらそっちのが悲しいよ」

「わかったよ。ありがとう!」

「ありがとうなの…」 


あちこち家の中の案内が終わったのかティー達もリビングへ戻ってきた。

「すごいね! 知らない事ばっかりでわくわくするよー」

「そうよね…私も初めての時は興奮したから、ねえ様の気持ちはよく分かるわ」

「だったら意地悪言わないでよ!」

何があった…。 (初めて見るものに興奮してるルナティアに、リアがそんなことも知らないの?って…)

マウントとったのね。 (そう…フォロー大変だったの!)

お疲れ様。ありがとねー。 (でも楽しかったよー)


「ティアねえ様、わからない事や不便な事あったら言ってね。なるべく応じるから。 ただ、外出する時だけは絶対にドラゴンハーフやドラゴン姿にならないように。魔法とかもダメだからね」

「わかってるよー。向こうでだって街の中ではそんなことしないよ!」

常識のある子でよかった…。 (ママのママのが…)

それ以上はやめてあげて。母さんも反省してたし。 (はーい!)



リアの希望でパーティゲームをペアを組んで遊んでたら、母さん達も買い物から帰ってきた。

「ただいまー。すぐご飯にするからね」

「おかえり、手伝うよ」

「ありがと! 助かるよー」

「私も手伝う!」

未亜と一緒に母さんの手伝いをして夜ご飯の仕度。

今日はなんだろう…材料から予想するならシチュー?いや…ミルクや肉類がないな…。

「アスカは何を作るか予想してる?」

「うん、シチューかなって思ったのだけど…違うよね」

「惜しい! ポトフだよ。ほら…」

そう言って母さんはベーコンの塊をだす。隠してたのかぁ。


野菜の下処理をしつつ、母さんの作り方を見て学ぶ。

未亜はきっちりメモを取ってるから性格が出るなぁ…。 (ママは見て記憶しちゃうし)

そうなんだけどね。メモを取ってるほうが真面目そうに見えるなぁと。 (じゃあママもメモする?)

…面倒くさい。 (だよねー)



ゴロゴロ野菜と、ベーコンのポトフ。味見させてもらったけど、すごく美味しい…。さすが母さん。

レシピは覚えたから、私も今度作ってみよう。


「アスカーなにか手伝うことあるかしら?」

「深めのお皿を人数分お願い」

「わかったわ!」

パーティゲームで負けて手持ち無沙汰だったリアも手伝ってくれて夕飯の仕度も完了。


「ご飯だからみんなゲームは一度やめなさいねー」

母さんに言われてみんな食卓につく。


ユウキは買い物へついてって雑誌を買ってきたらしい。

そういえば、ユウキはたまに月刊誌を買ってたなぁと思い出す。

「ユウキ、母さん達がご飯を作ってくれたんだから漫画を読むのは後にしろ」

「あ…ごめん。続きが気になってたからつい…」

「…なんか父さんが親っぽい!」

「アスカよぉ、酷くないか?確かに強さでは叶わないけど父親だからな?」

「そうだよね。なんかここ最近、問題起こしてるのばっかり見てたから…」

「うぐっ…」

「ごめん、父さん。ちゃんと尊敬してるよ?」

「嘘クセェ…」

嘘ではないんだけどな。


「普段の行いって大切よね…うちも、とう様のせいで色々あったから解るわ」

「だよねぇ。アスカのとう様はマシな方だと思うけど!」

ドラゴン姉妹は父親への評価が厳しい。 (まぁ…アレだったし)

だね。うちは確かにあんな事はしないもんな…。

言われてる父さんは後ろめたい事があるからか目を逸らしてる。


「ほらほら、ご飯が冷めちゃうから食べようよ!」

「そうだね。せっかくみんなで食卓を囲めるんだし」

母さんに言われて、いただきますをして夜ご飯。

まさかリビングのテーブルが狭くなるほど賑やかになるなんて少し前は想像すらもしてなかった。


「お姉ちゃん、なんか嬉しそう?」

「わかる? 前はユウキと二人、酷いと一人だったりもしたからね。賑やかなのが嬉しくて」

「だよなぁ。僕も最近3ヶ月ほど一人だったし…」

「ごめんってば…」

「わう?ボクうるさくない?」

「とんでもない。賑やかなのがすごくいいなって思ってるよ」

嬉しそうに尻尾を振ってて可愛らしいわ。 (一応フェンリル…)

忘れそうだよね…。尻尾でシエルを叩いてしまってるのは止めるべきだろうか。 (気にしてなさそう?)

みたいね。 シエルとレウィは出会いが複雑だから少し心配したけど、仲良くしてるからホッとしてる。 

気まずくならないかとか余計な心配をしてしまった。 (ママがいない時も仲良くしてるから!)

そっか。気にかけてくれててありがとね。 (〜♪)



夕食の片付けはユウキと父さんがしてくれるって言うから任せて、私達はリビングで休憩。

「そういえば…お姉様、リコ様に貰った枝はどうするの?」

「うん、それなんだけど、エルフの視点から考えるとして…シエルはどう思う?」

「えーっと…エルフ達なら祠を建てて祀ってるの」

「やっぱりそうなるか…」 (ドラゴンと同じ信仰対象だし!)

だよねぇ。ただ…あの枝ってある意味リコでもあるから。 (一部?)

そう。だから…ちょっと考えてることはあるの。 (ママがまたなにかやらかしそう!)

…人聞きの悪い言い方しないで。


「アスカ、リコ様って?」 

「そっか、ティアねえ様や母さん達は知らないか」

ツリーハウスでの出来事を話しつつ、もらった枝も見せる。

「へぇー精霊の枝かぁ。すごい力を感じるね」

「母さんもわかる?」

「うん。これでも巫女だから、精霊についてはそれなりに詳しいよ」

「そもそも巫女ってなんなの?職業?」

「似たようなものかな。あちこちを旅してた時に精霊と出逢ってね。 契約して巫女になったの」

「アスカの召喚獣みたいなものかしら?」

「うーん…ちょっと違うかな。直接呼び出せたりはしないからね。 あくまでも少し力を貸してもらえるだけ。ステータスにプラス効果がかかるって言えばわかるかな。あとは精霊魔法が使える」

「それって…精霊巫女様!? エルフなら長老様より立場が上になるの」

マジか…。母さん凄かったんだ。

シエルの母さんを見る目が尊敬のソレになってしまっている。


「回復とかの魔法は精霊の力を借りてるよー」

「アスカのお母様は超エリートってことだね? お祖母様といい、アスカといいエリート家系なのかな…すごい!」

ティアねえ様に言われて母さんは照れてるけど、そんなものなのかな? (ママも魔王だし)

そうだけど…。


「巫女として言わせてもらうなら、その枝は精霊の株分けみたいな事が出来るものだと思うよ」

「…挿し木すれば精霊が増えるみたいな?」

「そんな感じ。精霊の加護が無くなってしまった荒れ地でも精霊がまた生まれれば回復させてくれるから」

「マジかよ…リコ、なんてもの渡してくれてるんだよ」

「ママ、口調」

「ごめん。 そうなると、迂闊に使えないね」

「うーん…精霊が渡してきたのなら、たぶん使うべき時が来ると思うから大切に持ってるといいよ」

「わかった。ありがとう母さん」

まさかこんな形で母さんの力の一端を知るとは思わなかった…。 (力?)

そう。知識も力。ティーはよくわかってると思うけど? (うんっ!)


それにしても、知れて良かった…加工してリコ人形とか作らなくて。 (そんなこと考えてたの!?)

うん。そうしたら、リコの分体みたいになって傍にこれるかなって…。 (あぁー!)

今は母さんの言うように”その時“がくるまで大切に持っておくよ。 (それがいいの)


「と言うか、アスカは精霊を覚醒させて名付けまでしてるんだよね?」

「うん。名前つけてほしいってお願いされたし」

「それなら契約者として立場が上になるから、好きに使役できるはずだよ」

「それは…どう言う事?」

「呼び出せるし、全力で力を使ってくれる」

それもう召喚獣と変わらない…。 (呼んでみる?)


「リコ…おいで」

私のその声に反応するかのように、テーブルに置いたままの枝から小さなリコが顔を出す…。 (マジかよっ!)

「ママ?よんだー?」

「あー、うん…ごめんね。確認したくて」

まさか本当に呼べるとは…。

「うん?どうしたの?」

「この枝はリコを呼び出す媒介って事でいいのかな?」

「ちょっと違うー。ママに呼ばれたならいつでも来れるー。ただ、ずっと傍に居るのは無理ー。 枝はママが好きに使って」

「そう…でも今、枝を介して出てきたよね?」

「楽だから?」

それはそっか、体の一部みたいな物だし。


地球で召喚獣のチョコ達は呼べなかったのに、精霊は呼び出せる。私はそこに一番驚いた。

もしかしてこっちにも精霊はいたり…?まさかよね。








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