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召喚被害者の日常は常識なんかじゃ語れない  作者: 狐のボタン
第四章

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百合の蕾はいつ開く



昨夜、定時連絡でティアねえ様に王妃様を転移で送ることを伝えた。

午後に、転移で帰る直前にも連絡することになってる。


午前中には、リアとティーを連れてフィアとルナシアさんに挨拶をしに行った。

またしばらく会えないし…。 スマホで一緒に写真だけは撮っておいた。

寂しそうなフィアと名残惜しそうなリアの姿に、後ろ髪を引かれる思いだったけど、また会う約束をして帰ってきた。

リアに里へ残る?って聞くのは間違いだって学んだし…。 (また泣くよそれー)

うん。だから言わなかったでしょ。私もリアと離れたくはないし。 (ママが学習してる!)

失礼ね、少しくらいはするよ!



その後はお祖母ちゃんとお祖父ちゃんにも会いに行った。

街へ行く時以外は部屋からあまり出てこないからね。早めに挨拶しておきたかった。

二人は夕波王国へ行って魔族の子孫に会う時は同行してくれるから、それまではのんびりとドラゴライナに滞在してるって。



「後はコレだよなぁ…」

目の前にはまた大量の木箱。千両箱かな!?

「お姉様がドラゴンの里へ行ってた時に届いたの。お手紙も…」

「ありがとねシエル」

受け取ったアキナさんからの手紙には、魔道具が予想より遥かに高性能だったからって、支払いを現金で追加すると書かれてた…。

魔石の在庫が今は余りないから現金でごめんねって…。 (お家が買えそう)

ほんとにそれくらいあるかも…ミノウシの代金も使いきれず持て余してるのに。 (ママのママの罰金払う…?)

少しそれも考えたのだけど、なんか失礼かなって。

アキナさんが好意で支払ってくれたもので母さんの罪の精算をするのは違うでしょ…。 (うん)

まぁ、また来る予定だし…その時に皆でぱーっと買い物でもしよう。 (それがいいの!)

ティーにもお小遣い渡しておくね?みんなにもあげてるし。 今度来た時にでも使おう。 (ありがとー! ママ)

残りは取り敢えずはストレージへ。

最初に貰った魔石でさえ多すぎるって思ってたのに、タイミングを逃して言い出せないうちに更に追加されてしまった…。 (そんな気はしてた!)



午前中はそんな感じで過ごし、お昼にはお屋敷のメイドさんにも挨拶がてら地球のお菓子を配った。

たくさんお世話になったからね。 (今日のお昼ご飯も美味しかったの!)

だねぇ。未亜も色々お料理を教わったみたいだし。


午後になり、アリアさんと王妃様と一緒にアキナさんが訪ねてきた。

「アスカちゃん、私も一瞬向こうへ連れてって!」

「アクシリアス王国へですか? えっと…王妃様?」

「大丈夫よ。お願いできる?」

「わかりました」

多分、次に転移するのを見越してるんだろうけど…フットワーク軽すぎない?一国の主なのに。 

「帰りは自分で戻るから、気にしなくていいからね」

そう言うアキナさんはティアラをずっとつけてくれてる。気に入ってくれたのかな? (うん。お嫁さんに自慢してた!)

それはなにより。


私も一つ確認しておきたい事がある。

「あの、私もアキナさんに一つお願いが…」

「うん?いいよー?」

「今回、帰るときにリアの姉にあたるドラゴンを一緒に連れてく約束になってまして…一度こちらへ連れてきても大丈夫ですか?」

「そんな事なら、全然構わないよー」

「ありがとうございます」

よかった…ダメって言われたら皆でもう一度アクシリアス王国へ転移して、ティアねえ様を連れて地球へ…ってなるとこだった。


「むーアスカ覚えてたのね…」

「それはそうよ。楽しみにしてるみたいだし」

リアも口では嫌そうに言ってるけど、笑顔だから本当に嫌なわけではないでしょ。 (うん、でもー)

うん? (絶対騒がしくなるの!)

それもいいじゃない。 (うんっ! 楽しそう)



ティアねえ様に今から向かうと連絡を入れて、転移の準備は完了。

ストレージから取り出した転移魔道具を起動し、魔力ドームを広げる。

今回、転移するのは私と王妃様にアリアさん、それとアキナさんだけ。

なので、うちの子達と王妃様達はここでお別れになる。

「みんな、試練を手伝ってくれてありがとうね。また絶対アクシリアス王国へも遊びに来てね」

王妃様にみんながハグをされてるのを見守る。

アリアさんとも別れの挨拶を済ませて…。

「じゃあ私もすぐに戻ると思うから」

私は送り届けるだけだし。


王妃様達が魔力ドームへ入ったのを確認し、転移。


ーーー

ーー


久しぶりの見慣れたお城の部屋。

「もう到着?」

「はい、アクシリアス王国のお城の一室になります。 魔力ドーム解除しますね」

「うん。ありがとう! へぇー…豪華なお城だね」

アキナさんはそのまま窓へ向かい外の確認をしてる。


「ありがとう、アスカちゃん」

「いえ…王妃様も長旅お疲れ様でした」

「ふふっ。帰りは一瞬だったけどね?」

「そうですね」

王妃様の体調最優先だし!


「アスカ様、ありがとうございました」

アリアさんはお礼を言ってくれた後、王妃様からいくつか指示を受けて部屋を出ていった。


「お祖母様、すぐ帰られますか?」

「うん! 流石になんの手続きもなしに来てて、会うわけには行かないからね。私もあまり時間の余裕はないし。 セルナ、身体を大事にして無理しないようにするんだよ。 また連絡はするから」

「はい。わかりました。お祖母様もお身体にお気をつけて」

「ありがとね。 よしっ、それじゃあアスカちゃん、私は向こうへ帰ってるね」

そう言うと、アキナさんはティアラの魔道具を起動し、魔法陣と共に消えた。



「改めて、ありがとねアスカちゃん」

「はい、このお部屋も久しぶりな感じがします。 なんだかこのお部屋へ来ると、ちょっとホッとしますね」

「あら…ならこのまま住んでもいいのよ?」

「それは流石に…」

「ふふっ、いつでも待ってるわ」

…タタタタタタ


「シルフィ様ですね」

「ええ。アリアに呼びに行かせたから」

バーーン!

「アスカ様! お母様! おかえりなさいませ」

「私のが後なの?」

「…え?そうでしたか?」

「無意識なのね。 ふふっ、まぁいいけれど…。 あら?ルナティアちゃんは?」

「まだ、仕度が終わらない! と、ユリネが手伝っています」

「そう。 じゃあ私は陛下へ報告へ行くから。 シルフィ、ここは任せるわね」

「はい、お母様。 あの、お身体の方は…?」

「大丈夫よ。ありがとう」

王妃様は、「しばらく帰らずに待ってて」と言った後、陛下の元へ向かった。


ティー、ちょっと遅くなるかもだからみんなに伝えてもらえる? (はーい! ママのママとみんなで街へお買い物に来てるから大丈夫!)

そう?ならいいけど。このタイミングで? (お土産ーみんなママがくれたお小遣い残ってるからって)

あぁ…今日すぐに帰らなきゃいけないって訳じゃないからいいけど、また問題起こさないよう見ててね。 (りょーかい!)


「アスカ様。お母様の事、ありがとうございました」

「はい、シルフィ様もお元気そうで安心しました」

「ええ! 弟か妹が産まれるんですもの。しっかりしなくては…」

「そうですね。突然の事でびっくりしましたが…王妃様もお元気そうなので安心ですね」

「はい…。 ねぇアスカ様?私も早く子供ほしいです…」

「シルフィ様は次期国王様ですから、後継者の事もあるので責任重大ですね…」

「なんで他人事なんですか!?」

「えぇ!?」

「…アスカ様は私の肌、見ましたよね…?」

「うっ…でもあの時、無理は言わないと…」

「そうでしたか? アスカ様はどっちがいいですか?私は攻めでも…」

酷いよ!! そして何の話!? (王妃様が赤ちゃんできたからかも…)

そんなぁ…。 (受け攻めは大事なの。未亜も言ってた)

未亜もティーも帰ったらお説教だ! (やー! お説教やーなの!)

ほんとにもう!



「アスカ様は私じゃご不満ですか?」

「いえ…そういう問題では…」

ジリジリと迫るシルフィ様に追い詰められて壁際に。逃げ道が… (ドキドキ…)

こんな事なら誰かついて来てもらうんだった! (悪化しかしないの、それ…)

えー…。


「私はただの一般人で…次期国王陛下様とは、とてもじゃないですが釣り合いませんよ!」

「勇者様と蒼白の巫女様のご息女で、伝説のドラゴンのお孫様。アスカ様ご本人も我が国の英雄で…それだけの力があるアスカ様以上の方が他に居るとお思いですか…?」

物理的にも状況的にも逃げ道が…。 (それに魔王だし!)

助けてよティー! (ママの問題だよー?)

そうだけど…!


「お待たせー。 ちょっと…何してるの?折角急いで仕度したのに!」

「あらあら…これは…」

「ティアねえ様! ユリネさんもお久しぶりです」

助かったかも! 


「…邪魔が入ってしまいましたか」

「今、邪魔って言った!?」

「ええ! 折角アスカ様を口説いていたのに…」

「シルフィ様、抜け駆けは許されないよ?約束でしょ!」

「…私はアスカ様の故郷へはついていけませんから、今しかアピールする時がないんです!」

「だからって! 誰もいない時を狙うのはズルいよ!」

ティアねえ様とシルフィ様は随分と仲良くなられたようで…。

ケンカの内容はこれっぽっちも理解したくないけども。 (ママの取り合い?)

…言わないでよ。ティーも助けてくれないし。 (だってティーのママなのは変わらないし!)

それはそうね? (ふふーん♪)


「私は、末端で十分ですので。メイドとしてお傍に置いて頂いて…時々ご寵愛を頂ければ」

ユリネさんまでなにを…。

「ユリネまで! 何を言い出すのですか!?」

「そうだよ! メイドさんはお仕事があるでしょ!」

「勿論、抜かりなくお仕事はさせていただきますよ?」

シルフィ様とティアねえ様の言い合いにユリネさんまで参戦して、カオス状態になったのを見守ることしかできず、時間だけが過ぎていく。


なにこれぇ…。 (ここに、リアと未亜もまざるよ?あとアリアさんも!)

だ、誰か助けて! なんでそんな事に…。


「失礼致します!」

この声アリアさん? いや、アリアさんは参戦しないって! (……)

そうだと言ってよ! (………ふっ)











誤字報告ありがとうございます。

大変助かりました!

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― 新着の感想 ―
あ、やっぱり好かれてる自覚はあったのか…… 目を逸らしてただけで。 魔王時代に女性陣をフッてた理由は分かるけどなんで今もこんな感じなのかね? 家族愛に飢えてるから恋人作って親みたいに蔑ろにするかもしれ…
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