表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
召喚被害者の日常は常識なんかじゃ語れない  作者: 狐のボタン
第四章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

312/770

女王様の人柄



「やっと帰ってきたよー」

「母さん? それにアキナさんまで…」

「少し時間ができたからね、魔石が足りたかの確認に来たよ」

女王様自ら来てくれたのね…忙しいでしょうに申し訳ない。


「すみません、お待たせしてしまって…」

「それはいいんだけど…今のって転移の魔法陣だよね?」

「アキナさんへお渡しする魔道具が完成したので、その確認を兼ねて転移してました」

「もう出来たの!? どれどれ?」

「はい、コレです」

ティアラを手渡す。


「何これかわいい! え?待って…コレが転移の魔道具?」

「はい。今、アクシリアス王国領まで転移して戻ってきたので、性能は問題ないです。後はアキナさんの

波長の登録をすれば、アキナさんにしか使えなくなります」

「…お姉ちゃん。この子、私の養女にしたいんだけど…」

「ダメだよ! バカなこと言わないで! やっと子供達と一緒にいられるようになったのに…」

「だよねー。言ってみただけだから怒らないでよ…じゃあ最高幹部待遇で雇うよ!」

「それでもダメ!」

私の扱い…。 (ヘッドハンティング?)

またどこで覚えてきたのよ。



転移魔道具の使い方を説明をしつつ、アキナさんの波長を刻む。

「魔法陣の中に入れば何人でも転移できますけど、人数が増えると消費魔力も増えるので気をつけてください」

「うん、ありがとう! ちょっと使ってみていい?」

「はい、イメージがしっかり出来ないと、そもそも転移ができないので危険はないですから」 (安全装置!)

そうだよー。ティーの弟分。 (ふふー♪)


「アキナ、私も連れてって」

「いいよー。どこにしようかなー。 よし、決めた!」

そう言うとアキナさんはティアラに魔力を注ぎ頭へ装着。

魔法陣が現れて光った後、母さんとアキナさんは消えた。


「へぇ…姉ちゃんの魔道具の転移って、見てる側だとこんな感じなんだ。魔法陣が消えた後は何も無いんだな」

ウロウロと二人の消えた場所を見て回るユウキ。

「そうだね。 ただ…ユウキ、そこにいると…」

魔法陣が現れて光り、ユウキは現れた母さんの下敷きになった。 (なると思ったの…)

うん…。見事に踏まれたね。 注意が遅かったか。


「うぐっ…何なんだよ…」

「え? ごめん。 ユウキ! でもなんでそんなとこにいるの?」

「取り敢えず重たいから降りて」

「酷いよ! 私太ってないから!」

母さんに怒られてるユウキが少し可哀想…。


「アスカちゃん、これすごいよ!」

「依頼通りの物になってますか?」

「ううん、それ以上だよ。 大きな物を背負う覚悟してたのに…こんなかわいいデザインだし!」

「それはうちの子達も協力してくれたので…お礼ならみんなに言ってあげてください」

「そうなの? みんなありがとね! どう?似合うかな?」

「ええ。とても似合ってるわ!」

「はい。すごく可愛いです」

「よく似合ってますの」

「わうっ!」

「ふふーありがと! うちの嫁にも見せなきゃ」

そのまま帰ってしまいそうなアキナさんを慌てて引き止める。


「すみません、通信魔道具の事も話があるので待ってください!」

「そっちもできてるの!?」

「はい、ほぼ完成してます。 それでですね…それぞれの魔石に王家の紋章を目印に刻んでも良いですか?」

「もちろんだよ。でもうちの紋章知ってる?」

「王妃様への試練の詳細が書かれていたお手紙に描かれてたドラゴンのですよね?」

「あぁ! あれを見たんだね。 うん、それで合ってるよ」

通信魔道具へアキナさんの波長を刻み、ドラゴライナ王国の紋章も刻む。


うちのファミリンは、通知に魔石そのものが光るけど、こっちは紋章が光って浮かび上がる。

魔力を流し、光らせて確認。ちゃんと紋章が浮かぶね。

「すごいすごい! カッコいいよこれ…」

機能と使い方も説明。

「今はまだ王妃様の波長を刻んでいないので通信は使えませんが、もし王妃様から通信が入ると、アキナさんの紋章と王妃様の魔石、それと、それぞれをつなぐラインが光ります」

「ふむふむ…、お姉ちゃん! セルナ呼んできて!」

「えぇーなんで私が…」

「…罰金」

「わかったよ! もう!」

母さんパシらされてる…。 (暴れたのも悪いから、擁護しにくいの…)

うん…。早くオツトメ終わるといいね。 (オツトメて…)



暫くして母さんに引っ張られるように王妃様が…。

「母さん、妊婦さんなんだから気をつけて」

「わかってるよ、走ってないし!」

「何事ですか?お祖母様。 私、帰り仕度で忙しいのですが…」

「これも帰り仕度の一つだから!」

「はい?」

王妃様へも通信魔道具の説明をして、紋章の使用も許可してもらえた。

国家間で使うのだから紋章が入ってるほうがハッキリしていいって事みたい。

王妃様の波長と、アクシリアス王国の紋章を刻む。


「私が隣の部屋へ行くから、セルナは通信をつないでみて!」

「わかりました。 お祖母様、そんなにはしゃいで…」

アキナさんは部屋を飛び出していった。


「ごめんなさいねアスカちゃん」

「いえ、こちらこそ急にお呼び立てすることにってしまって…」

「いいのよ。お祖母様には逆らえないわ。 えっと、使い方は私の貰ってるのと同じかしら?」

「基本はそうです。アキナさんの魔石に触れて繋がるイメージをしていただければ。コールもできますし」

「わかったわ」


王妃様が通信魔道具に魔力を流す。

”すごいよこれ! うちの紋章が光って浮かび上がった!”

「お祖母様、聞こえますか?」

“うん! こっちの声も聞こえる?“

「はい。しっかりと」



「ねぇ、アスカ。隣の部屋から壁越しでも大声が聞こえるのだけど…」

「リア。しー」

「可愛らしい女王様よね」

「それは確かに…」

無邪気な子供っぽさがあるというか…。 (ママのママを更に元気にした感じ?)

そうだね。みんなに愛されて長く統治してる女王様なのも納得だよ。



「ねぇ、アスカちゃん。 真ん中のはファミリンと同じ一斉通信よね?あと一つ空いてる魔石はどうなるのかしら?」

「それはハルナさんか、夕波の国王様の分です」

「これで3つの国が通信できる訳ね?」

「はい。そうなります」


「ハルナお姉ちゃんは魔力が高くないから、難しいんじゃないかな」

「え…母さん、それホント?」

「うん、一番人寄りなのがハルナお姉ちゃんだから…」

「ただいまー! ねぇアスカちゃん、この空いてる魔石は?まさか夕波の?」

「はい、ハルナさんか、国王様にと思ったのですが、ハルナさんは魔力が少ないって、今母さんから聞いて…」

「だねぇ、ハルナお姉ちゃんは無理かな。 となるとあの子かぁ…」

アキナさんが苦い顔をしてる。 (そんなヤバい人…?)

さぁ?でも王様をしてるくらいだし、大丈夫だと思うのだけど…。


「どちらにしても、波長を刻むってなると、私か王妃様が行かないといけませんが…。向こうに魔道具職人っていますか?」

「アスカちゃん、私には無理よ?波長ならなんとかなっても紋章は無理…」

そっか…変に難易度を上げてしまったな。


「お母さんが助けてきた魔族の中に作れる人がいるはずだけど…ここまでの物は無理だと思うよ?」

「でしたらあちらへ渡す時には私が行くしかないですね」

「そうだね、その時はお願いするよ。 交渉の方は任せて。あの子の事はよくわかってるから!」

仲がいいのか悪いのか…。 (悪友かライバル?)

そんな感じがしてきたよ。



夕波の国王様は、夕波白波陛下。”ユウナミ・シラハ“と読むらしい。

ドラゴンと獣人のハーフのまだ若い国王様で、先代様もまだ元気でご健在なんだとか…。

先代様は別荘地で悠々自適の生活をするために王位を譲った…と。 自由すぎる。


「あの子、国王なのにお金に物凄く細かいの。商売人みたいなんだよ?」

「ハルナさんもそうだって聞きましたけど…」

「うん、だから気が合うのか仲が良くてね。二人がタッグを組むともう最悪なの!」

交渉、大丈夫なのだろうか…。私は別にお金とかいらないからいいのだけど。


「でも今回はアスカちゃんの魔道具があるからね! 交易の取り分は3つの国で公平に分けさせてもらうよ」

公平にって言ってる時点でアキナさんの人柄がわかるよね。 (うん、悪いことできない人)



「アスカちゃん。折角お邪魔した事だし、帰る前に連絡事項いいかしら」

「はい、王妃様」

「明日の午後には帰れると思うの。だから…お願いできるかしら」

「わかりました。定時連絡の時に、アクシリアス王国側へも伝えておきます」

「ええ。お願いね」

ティアねえ様に伝えておかないと。


「そっか…セルナは帰っちゃうんだね」

「はい、お祖母様。色々とありがとうございました」

「うん、アスカちゃんのおかげで、またいつでも会えるから。それにセルナの子供たちにも会わせてくれる約束でしょ?」

「はい、必ず」

ご自宅へ戻られる王妃様はアキナさんと一緒に帰っていった。アキナさんが送っていくって。

多分、今は少しでも一緒に居たいんだろう。


「また私が行かされるのかと思ったよ…」

「母さん達はどうする?」

「うん?どうするって…?」

「いや、一応帰る許可出てる訳だし、帰るなら先に送ることもできるけど…」

「うーん…アスカ達と一緒に帰りたいからその時でいいよ」

「じゃあ明日以降、王妃様を送り届けたら私達も帰ろう?」

「そうだね、随分こっちにいたし…みんなはいいの?」


「学校もあるから私はそろそろ…」

「私はアスカと一緒よ!」

「ティーもー」

「僕もそれで構わないよ」

「うちも…」

「わう!」

レウィのはどっち?! (同意とみていいかとー)

りょーかい。


「夕夜とお母さん達には私から伝えとくね」

「お願い」


母さんも部屋へ戻っていったので私達は就寝の準備。

今回も長い滞在だったなぁ。 (色々ありすぎたの…)

ホントね。イベント盛り沢山だったよ…。








評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ