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召喚被害者の日常は常識なんかじゃ語れない  作者: 狐のボタン
第四章

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二人目



シエルの書いてくれたデザインを元に魔力ドーム内で魔石と金属の加工をする。

レウィの案でもある青色の魔石には術式の隠蔽を刻む事にした。

イメージ次第で何処へでも飛べる転移は広まったら良くない。 (安全が危ない!)

うん、転移で玉座に飛んで襲撃! とか、目も当てられないからね。


転移の術式は透明の魔石へ、全体の術式の隠蔽は青色の魔石へ…それぞれ刻んだ。

それをティアラへ嵌め込む。見ただけでは魔道具とはわからないし、解析も私以外は不可能。

「どうかな?」

「すごいの…魔石が宝石みたい」

形次第で魔石も綺麗に光るものね。 (ママのは粘土みたい)

そうね、確かにそんな感じで魔石の形を変えてるわ。


「…私も欲しいわこれ」

「リアちゃん何処かの女王様にでもなるの?」

「違うわよ! これが可愛いってだけ」

まぁこういう王冠みたいなのって王様とかお姫様の専用装備みたいなとこあるもんね。


「アキナさんの波長を刻む前に試しに使ってみようか。魔力の消費量を知りたいし」

「どこかへ飛ぶの?」

「うん、ちょうど行きたいとこがあるからね」

「お姉ちゃん、それならせめてユウキ君にだけでも言っていかないと」

「そうだね、ファミリンで言伝だけしておこうか」


………

……



「それで?姉ちゃんたちはどこ行くのさ。ついてくよ」

「いや、来ちゃったら言伝をした意味がないじゃない」

「母さんに言ってきた」

「そうなの?それならいっか」

「ママーどこに行くの?」

「行ってからのお楽しみ。みんな魔法陣から出ないでね?」

「姉ちゃん!? 説明は…」

「置いていくよ?」

「わかったよ!」

「私はアスカの行くとこならどこでも着いて行くわ」

「わかったから、魔法陣からでないでね」


行きたい場所をしっかりとイメージしてティアラへ魔力を注ぎ魔道具を起動。青白く展開された魔法陣は私達を光で包む…


ーーー

ーー


転移後、ティアラを確認。魔力消費もかなり抑えられてるな。これなら問題なさそう。


「ここって…ツリーハウスかしら?」

「だね、リビングか。王妃様のお誕生日パーティ以来だな。 って…そうか、姉ちゃんがまたやらかしたんだっけ」

「正解。確認したい事があったし、会いたい子もいるからね。それとユウキは後で覚えてなさい」

「いや、ごめんって…」

やれやれ…。


「ママの二人目の子!」

「お姉ちゃん!?どういう事…?」

「アスカ! 誰の子よ!」

「いやいや…シルフィ様の話を一緒に聞いてたでしょ。精霊の子だよ」 (ティーの言い方がマズかったの)

まぁそうね?でも間違ってはないし…


「てぃー、それにままも…来てくれたんだー」

葉っぱみたいな長い髪をした精霊がリビングの床からふわーっと現れる。

「ひっ…」

未亜はびっくりしたのか私に抱きついてきた。お化けとか苦手だっけ…そういえば。

「約束したからね。あれからどう?」

「私はかわりないの。 ただ…外に村ができたー」

「精霊様!?」

シエルが跪いてて…なぜかレウィまで真似してる。


「村って言うと、エルフの人たち?」

「うん、なんかだんだん増えてきてるー」



ペントハウスに改装した最上階へ移動して外を見てみたけど…パッと見ではわからないな。

ただ、十数人の魔力反応はあるから増えてるのは間違いない。

「エルフの里みたいになってるかと思ったけど、見えないね。 お姉ちゃんはわかる?」

「うん。魔力の多い人が、えっと…15人だね。数人ずつ固まってるから家もあるんじゃないないかな」

「そうー。まだ簡易だけど。 四家族が移住してきたー」

「不都合はない?」

「ひとつだけー」

「うん?」

「名前つけてほしー。ままに」

そうきたか…。私ネーミングセンスないのに。 (でも不便だよ?)

それはわかるけど。


「アスカ、認知してるならちゃんとつけてあげないとダメよ?」

認知って…。

「でも姉ちゃんってそういうセンスないからなぁ」

「ユウキ君、また怒られるよ?」

「いや、事実だし…って姉ちゃん威圧漏れてる!」

まったくもぅ!


「…性別は女の子でいいのかな?」

見た目そんな感じなんだけど…。

「うん?たぶんー」

本人は首をかしげてるのだけど、見た目は髪が葉っぱなのを除けば普通にお姉さんなんだよな。

「じゃあ…あなたの名前はリコって言うのはどうかな?」

「ママ、由来は?」

「神話だったかの有名な世界樹がトネリコっていう樹らしくてね。そこから貰ったよ」

「へぇー、姉ちゃんにしては早かったね」

「私は可愛いと思うよ?お姉ちゃんさすが!」

「ええ…私もいいと思いわ。でも本人はどうなのかしら」

「りこー。ありがとうままー」

納得してくれたのか、抱きついてきた樹の精霊改め、リコは突然眩しい光に包まれる。

そしてなんかまた魔力もってかれてるなぁ。大丈夫かこれ…。


「精霊様…」

「わぅぅ…まぶしぃ」

またやってしまったの? (本人の希望だからへーき?)


「ふぅ…凄いわね。これがママの名付けによる力…」

「リコ?」

「そうよ。魔力を貰ったママから更に名前をもらう事で、精霊として1段階成長…のはずだったのだけど、最上位まで成長してしまったわ。ママの力すごいわね…」

顔やスタイルはあまり変わらないけど、葉っぱだった髪が綺麗な濃い緑色をした普通の髪になった。

後は魔力が膨れ上がってるくらいか…。 (話し方もー)

あぁ。確かに大人っぽくなったね。


「大丈夫?違和感とかはない?」

「ええ。むしろ絶好調よ。ありがとうママ。これでこの森とそこに住むすべての生き物をしっかりと守れるわ」

「最上位精霊様…? そんな…物語でしか聞いたことないの…!」

「貴女もエルフね?」

「は、はいっ!」

「緊張しなくていいわ。それより、私果物が食べたいの。持ってきてくれる?」

「えっ、はい…でも…」

突然の事でどうしていいかわからず私へ視線を送るシエル。


「早くしなさい! モタモタしてるんじゃないわよ!」

え、何この子…なんで急に尊大になった? 可愛くない…。 (最上位精霊になったから?)

やれやれ…。急に力を手に入れたからか。


「シエル、取りに行かなくていいよ」

「でも、お姉様…精霊様が…」

「リコ! 最上位精霊か何か知らないけど、私の大切な家族になんて態度なの?」

「ひぅっ…でも私は最上位の精霊で…エルフは私が守るから、言うことを聞いて当たり前で…」

「そんな態度ならこのツリーハウスを取り壊すよ?」

「それはやめて! お願いよママ…この樹が本体なの。壊されたら私は消えてしまうわ」

「リコは精霊の力で、この森とそこに住む生き物を守るんでしょ?」

「うん…」

「じゃあちゃんと守りなさい! 崇められて偉そうにしたいって言うだけなら必要ないから、元の樹に戻しちゃうからね」

「ごめんなさい…すごい力を手にいれたから、何でもできるって思って…」

「そう。 あのねリコ。力を手に入れたなら尚更、傲ったり誰かを見下したりするような事をしたらダメなの。それをしてしまったら、力に溺れてリコはリコじゃなくなってしまうのよ…」

「そんな…」

「それはね、もう理性をなくしたモンスターなんだよ。みんなに嫌われてしまうの。それでもいいの?」

「うっぅ…嫌よそんなの…嫌われる精霊なんて」

「でしょ? 私はそんなリコを見たくないからね?」

「はい…ごめんなさいママ」

泣いてるリコを抱きしめてあげる。


「うっ…ままぁ…」

「わかってくれたならいいから。大切なものを守る為なら全力で力を使いなさい。いい?」

「うん…約束する」

「よしっ。 じゃあフルーツは私が持ってるからみんなで食べようね」



1階のキッチンへ移動して、未亜とフルーツをカットする。

「お姉ちゃん、さっきのって…」

「うん?」

「リコちゃんにしてたお説教」

「あぁ…あれね。私も最初に教わったんだ。力を持つことの危うさや、心構えっていうのかな」

「そうなんだ」

「今でも私にとっては師匠からの大切な教えなんだよ」

元気かな師匠…。ちゃんと旦那様見つけたのだろうか。 (女の人?)

うん。魔剣士団のトップだった人でね、最初の召喚の時にありとあらゆる事を教えてくれた師匠だね。 (ほぇー)

そういえば…変な約束させられた記憶があるけどもう無効よね? (約束?)

なんでもないよ…。 (あやしい…)


「お姉ちゃんの師匠…」

「姉ちゃんはこんな事言ってるけど、ボッコボコにしたからね?その師匠を」

いきなり来て何を言い出すのよユウキは…。 (ママ…)

理由があるのよ? (それはそうだと思うけど)


「え!?お姉ちゃん…?」

「あれは仕方ないじゃない。卒業試験だから全力で来いって言われたんだし…まさか一撃であんな事になるなんて思わなかったもの…」 (なるほど)

「あぁそういう事…ユウキ君、説明不足だよ!」

「ボコボコにしたのは事実だし…」

「ユウキだって自分の師匠をボッコボコにしたじゃない!」

「あれは試験で…」

「同じでしょ!」


その後、お見舞いに行ったら師匠に言われたんだよな。

”それが今のお前の力だ、使い方には気をつけるように“って…。 (身体はっておしえてくれたの!?)

そういう事だね。その後こうも言われたけどね。”傷物にされた責任取って貰わないとなぁ?“って。

笑ってたけど…。 (そっちもガチっぽい…)

ま、そんな暇もなく送還されたし、二度と会えないんだから今さら無効だろうけど…。 (約束ってそれ?)

そうだね。修行が始まる時にも”もし私に勝てる程強くなったら嫁になってやる“から始まってるからね。 (結婚に必死!)

強くてキレイな人だったけど、強すぎたんだよ…。

みんなから尊敬や畏怖はされても、そういう対象として見てもらえなくなったって酔った時にこぼしてたし。 (それで…)

そういう事だね。修練は苛烈だし、口は悪いし、だらしないし、酒癖も悪い人だけど、戦う事に関してはしっかり筋の通った人で格好良かったから。 (貶してるのか褒めてるのか…)

人間味のある人だったって事よ。 (ほぇー)




「アスカー! まだなのー?リコが待ちくたびれてるわよ?」

「ごめんごめん。今持っていくから」

カットフルーツを未亜とお皿に盛り付けて、みんなの待っているテーブルへ運ぶ。


「お待たせ。タルトもあるけど、リコは食べられる?」

「たるとがなにかわからないわ…」

「タータって言ったらわかる?」

首を降るリコ。人の食べ物を知らないのは仕方ないか…。


「ママのタルトは絶品なのー!」

「食べてみたい!」

ストレージから出したタルトを切り分けて配る。


「美味しい…ママはお料理上手?」

「うん! ティー達のママはねー強くて優しくてお料理もすごいの!」

「強くて優しい…」

「そうね、アスカは力の使い方を心得てるもの」

「…私も最初は失敗したし、間違えた事もあるよ。だからリコにはそんな失敗をして欲しくなかったの」

「ありがとう。ママからの大切な言葉、ちゃんと胸に刻んでおくわ」

「うん。そうしてくれると嬉しいな」


私がそれ以上何も言わなくても、リコはシエルに自分からちゃんと謝ってハグしてた。

シエルはビックリしすぎて硬直してたけど…。

相手は信仰対象になってるような精霊だし無理もないかもしれないね。 (うん、でも今は嬉しそう)

そうだね、落ちついた後は隣に座って話してるし。


しばらくみんなでリコと話をしたりして時間を過ごし…。 また来る約束をして帰ることに。

「ママ、みんなもまた来てね?」

「うん、約束。また会いに来るから。その時は違うお菓子持ってくるよ」

「ママのお菓子…。 楽しみにしてるわ。それまでちゃんと森とみんなを守るから」

「無理はしないように。疲れたときはちゃんと休んで。 もし、どうにもならないって時は私を呼んでいいから」

「はい、ママ。 その時はティーに伝言をお願いするわ」

「まかせてー。またねーリコ!」

「ええ。私はここを長く離れられないからママの事お願いねティー」

「任されたのー!」

「それと、ママ。これを持っていって」

渡されたのは腕くらいの太さと長さの木の枝。

「うん?」

「私の一部。ママなら上手く使えるはずだから」

「ありがとう、リコ」

世界樹の枝? (響きがやべーの!)

まぁ、世界樹ではないにしても、最高位精霊の枝かぁ…。今はまだ使い道が思いつかないな。

リコが託してくれたものだし大切にしよう。



もう一度リコにお礼を言い、ドラゴライナ王国のお屋敷、そのリビングをしっかりとイメージ。

魔道具を起動…展開される魔法陣。


ーーーー

ーーー

ーー


「あっ、帰ってきたー!」







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