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召喚被害者の日常は常識なんかじゃ語れない  作者: 狐のボタン
第四章

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最後にまさかのガチバトル



最上階のロッジで、ティーを膝に乗せてのんびりお茶をしてたら、今回ドラゴンになって戦ってくれた奥様が会いにきてくれた。

青い髪に青い瞳。ぱっと見は小さな子に見えるくらい背が低い。リアくらいかな?

無表情だから何を考えてるか読めないけど…。 (会ったときも殆どお話はしなかったの)

そうなんだ。氷系だからクールなのだろうか。 (ママそれつまんない…)

寒いダジャレを言った訳じゃないから! (氷だから寒い?ぷぷっ…ウケる)

そっちはいいのか…。 (座布団一枚半)

バランス悪いわ! (ぷぷっ!)

ティーの笑いのツボがよくわからない…。


「お疲れ様…。 あの、あれどうやったの…?」

「お疲れ様です。 えっと…?」

「私のブレス…あんな対応されたの初めて」

「あぁ! 魔法防壁を幾つも出して反射させたんです」

「あの一瞬で…?」

「ギリギリでしたけど」

「そう…さすが陛下の姪子様…」

それだけいうとペコリと頭を下げて、トコトコと行ってしまった。

何だったのだろう。 (気になっただけじゃない?)

かな?無表情で感情が読めないからわかりにくいね。


「ごめんね、あの子スノウベルっていうんだけど、ただの人見知りだから。不機嫌な訳ではないからね」

アキナさんも気になったのか話を聞いていたみたい。

「そうなんですか?それならいいのですが…」

「それにしてもスノウが自分から話しかけるなんてね」

「戦闘の時も話してましたよ?」

「そういう必要な時は話すよ! じゃなくて、自分から話題を振る様な事はまずないから」

「そうなんですか」

「…ダメだよ?私の嫁だからね」

「なんの話ですか!」

「寝取りダメ絶対!」

「しませんから!」

なんだっていうの? (ママは無意識に誘惑してる?)

してないし、スキルは封印してます! (ひひっ…)

変な笑い方しないの。おっさんみたいよ? (がーーん!)


「そう言えば、アスカちゃんは転移を使えるんだよね?」

「それを誰から…」

「お母さんだよ。ドラゴンの里へ行ったって。秘密だった?」

「一応、特殊な魔道具なので、王妃様に極秘扱いにするようにと…」

「確かに、長距離も飛べるし、世界も越えられるってなると問題だよね」

「はい。なので…」

「それって作れる?」

「え?」

「世界は越えなくていいから、長距離移動だけでも無理かな?うちのだと、この街の半分くらいの距離が限界なの」

「そうですね…多分できると思います。ただ、消費魔力も増えますよ?」

「それはほら、私クラスなら大丈夫でしょ?」

「大丈夫だと思いますが…」

「セルナの国との国交、その為にはまずトップ同士で会わないとね。 かと言ってお互い、長期間国を空けられないし…」

「なるほど。そういう事でしたら、わかりました」

「助かるよ。報酬は、お金と魔石どっちがいい? あ、いらないはナシだよ!」

「…でしたら魔石でお願いします」

「わかったよ!」

アキナさんが言うにはまずトップ同士での会談。それが上手く行ったらドラゴンでの交易を始めたいって事らしい。

海が広いから相当な力のあるドラゴンじゃないと越えられないのがネックだ…って悩んでるけど。


「それって…東の方の島国でしたっけ。そこを経由したりはしないんですか?」

お祖母ちゃんがそっちなら翼を休められるって言ってたし。 (言ってた!)


「そうだね。それも考えてみるか…ハルナお姉ちゃんに頼み事するのは癪だけど…」

「ハルナさんってそこに住んでるんですか!?」 (初耳!)

うん。お祖母ちゃんからもまだ詳細は聞けてないし…。


「そうだよー。あの国は島が幾つもあって、それをまとめて一つの国って事になってるんだけどね」

「まさか、ハルナさんってそこの女王様!?」

「あははっ、流石にそれはないよ。でも幾つか島を持ってて、リゾート地として大儲けしてるよ。だから国王にも顔が効くから頼めばなんとかなるかもだけど…国王のあの子もちゃっかりしてるんだよなぁ…」

女王様の次は実業家…。 (ドラゴンってエリート?)

さぁ…。うちも母さんも普通に庶民だよ? (魔王が庶民…)

庶民派の魔王なの! (なんかカッコよくないの…)

ごめんね!?微妙な魔王で…。 (ママはかっこかわいいから大丈夫なの)

そうならいいけど…。


「ハルナお姉ちゃんはドラゴンハーフにもなれないから力はないけど、頭は良くてね」

「それで経営者ですか…」

「そう。だから、頼み事すると、きっちり経費とか請求されるんだよ! うちで使ってる転移魔道具の情報にもすっごい額を取られたんだから!」

それは仕方ない気が…。 (経営者はお金に厳しい)


「どちらにしてもアクシリアス王国側との会談次第って事にはなるんだけどね」

「お祖母様、なんのお話ですか…」

王妃様が王国の名前が聞こえたからか不安そうにアキナさんへ声をかける。


「セルナの旦那様と会わないとねーって話」

「何をする気ですか!?」

「国交する為の、まずは会談!」

「そういう事ですか…それでしたらまずはお話してみますか?」

「うん、だからアスカちゃんに頼んでたの」

「いえ、会話だけならすぐにできますから」

「どういう事…」

「それもアスカちゃんのおかげなのですが…」


あっ…しまった! (忘れてたの!!)

定時連絡、昨日してない…。王妃様の家から帰ったのが遅くなったからすぐに寝ちゃって… (やばいの)


アキナさん達に挨拶だけして、ロッジから出る。急いでティアねえ様に通信をつなぐ。

”かかってきた!! 大丈夫?なにかあった? 陛下も心配してて…王妃様は?“

「…ごめんなさい」

”…まさか“

「忘れてました」

”バカぁ!! どれだけ心配したと…“

「ごめんなさい。 昨日の夜に王妃様の試練に関する事で集まってて遅くなったから…」

”…言い訳はそれだけ?“

「はい…」

”まったくもぅ! 仕方ないとはいえ埋め合わせはしてもらうからね! 本当に心配したんだから!“

「うん。 それと、さっき試練は無事に終わったから」

”それは朗報だよー。陛下も安心するね!“

「あと、多分だけど…王妃様からシルフィ様へ通信がいくと思うから詳細はその時に聞いて」

”もうこっちへ向かってきてるってこと?“ 

「そうじゃなくて、王妃様の魔力が増えたから多分届くと思う」

”あぁ、そう言えば覚醒したとか言ってたね…。 え、待って…私より魔力多いの!?“

「そうだね、まだ制御は安定してないみたいだけど」

“なんか納得いかないけどわかったよ! アスカは戻ったら覚悟しといて!”

「お手柔らかに…」

“心配かけたんだからちゃんと受け止めて!“

「はい…」

”じゃあ、王妃様からの連絡があるかもって思っておくね“

「うん。また夜に」

”絶対だよ!“

不機嫌なティアねえ様との通信は許してもらえないまま終わった。


心配かけてしまったものね。 陛下も王妃様の心配してただろうに…。 (ティーもごめんなさい)

ティーは悪くないから。私も完全に忘れてたし。



せっかく外へ出たし、チョコ達に会いに行こうか? (いくー!)

「お姉ちゃん!」

「未亜…って、みんなまでどうしたの?」

呼び止められて振り返ったらうちの子たちがみんな外へ出てきてる。


「アスカが居なくなったから探してたのよ!」

「わう。匂いで見つけた!」

犬かな? (一応フェンリル)

最近、本人も忘れてない? (そのフシは…)


「お姉様、どこいくの?」

「チョコ達に会いに行こうかと」

「アスカ、私達も行っていい?」

「いいよ。でもみんな抜け出して大丈夫かな」

「私達はちゃんとアリアさんに外へ出るって言ってきたわよ」

「お姉ちゃんの事もアリアさんが見てたから教えてくれて…」

「それはごめん…」 

叱られてばっかだな私…。 (今回はティーもショボーン)

私の子だからな。 (嬉しいのに複雑!)



みんなとチョコ達に会いに行く。


一緒に遊ぼうってことになって…。

チョコに乗せてもらって飛んだり、クッキーが雪を見せてくれたり。

初めて雪を見た子達は大興奮だった。

「ほら〜こうやって遊ぶのよ〜」

べシャッ!

「何するのよ! このっ…!」

キャンディが雪玉を作ってリアにぶつけたものだから、雪合戦に発展。

クッキーは雪を増やし、ラムネはそれをサポートしてくれて…。


「お姉ちゃん、湖畔が雪景色になっちゃったよ…」

「だね。クッキーもラムネも張り切ってるし」

寒いといけないから上着や手袋はストレージから出して全員に渡した。


「…これ、雪合戦?」

「いや。ガチの塹壕戦だね…」

私と未亜は少し離れた所から眺めてるんだけど…。

ティーが魔法で雪の砦を作り、リアが対抗して塹壕を作って…。

シエルを乗せたチョコが駆け回ってる。揺れるチョコの背中から雪玉を投げてるシエルは意外に戦闘センスありそうだよな…。

レウィ?あの子は純粋に雪を楽しんでる。駆け回って、フワモフの毛に雪がくっついて大変なことになってるから、後で落としてあげないと。


「ちょっと〜みんなで私を狙うのはひどいわ〜! 誰か味方して〜!」

魔法も使いつつ防いでるけど、さすがのキャンディも多勢に無勢。

レウィが味方をするつもりなのか側に行ったけど…あれもう雪だるまじゃん。

キャンディは霧化すればなんとでもなるだろうに、それをしないのはきっとあの子も楽しんでるんだろう。


「未亜いく?」

「ヤダよ! あの速度の雪玉に当たったら死んじゃう!」

「魔道具があるから大丈夫よ?」

「そういう問題じゃないの!」

弾丸のような速度で飛び交ってるもんな雪玉が…。



「騒がしいと思ったら…何してるの!?これ何!?」

ロッジにいたみんなが出てきちゃったね。


「アキナさん…すみません、うちの子達が雪で遊びだして…」

「雪…これが…冷たい! 凄い何これ! 初めて見たよー」

「……雪…あの子達が作ってる…? 懐かしい…」

スノウベルさんは雪国のドラゴンなのかな? (氷系だとそうかも)


「だれか〜味方して! ますたぁ〜たすけて。雪だるまじゃ盾にしかならないわ〜」

「私が混ざったらバランス崩壊するでしょ!」 (レウィの扱い…)

「ひどいわ〜」

「…それなら私が行く…」

スノウベルさん!? (ドラゴン参戦!)


「助かったわ〜。あら?貴女…」

「さっきの敵は…今の友…」

「ふふっ、いいわね〜、それ」

「あーずるい!! 私も行くよ!」

アキナさんまで…。 (女王様参戦!)


「楽しそうね…私も行きたいわ」

「王妃様、絶対おやめください。お身体に障ります」

「わかってるわよ…」

しゃがみ込んで雪を触るに留めてる王妃様にブランケットを渡しておく。冷えたらいけないし。


「ふふっ、それなら私が行こうかしら…」

お祖母ちゃん!? (ラスボス参戦!)


「それなら私達も行こうか?未亜」 (魔王参戦!!)

「ええっ…? で、でも、お姉ちゃんがいくなら…」 




夕暮れまで雪合戦で戦った私達は試練より余程ガチな戦いをしたのかもしれない。 (ママとお祖母ちゃんのラスボス対決は白熱したの)

なかったよ!?そんな展開! (あったら盛り上がったのにー)

私とお祖母ちゃんは支援に徹してたからね。 

ただ…一度お祖母ちゃんがぽいって投げた雪玉が直撃したアキナさんが物凄い回転をしつつ後方へすっ飛んでいった時は焦ったね…。 (でも復帰は早かったの)

うん。戻ってきたと思ったら凄まじい雪玉の乱射。お祖母ちゃんには一つも当たらなかったけど。


みんな本当に楽しかったのか疲れてても笑顔が絶えない。

クッキーとラムネには本当に感謝だね。今はさすがに疲れたのか、寄り添って寝てる。

キャンディも散々当たった雪玉で体が冷えたらしく、チョコの羽毛に潜り込んでいった。 (露出多いから…)

だね…。極上の羽毛だし中で寝てそう。


「ママ、雪だるまー」

「おぉー上手にできたね…ってそれレウィじゃない! 大丈夫?」

「わうっ!」

「取り敢えず溶かすから、じっとしててね」

温風で雪を溶かしていくと中のレウィが出てくる。

「ティーの雪だるまがー」

「中身無いのを作ればいいでしょう?」

「それじゃ歩かないの…」

「雪だるまは動かないのが普通だから!」

「そうなのー?」

ティーはあっという間にもう一つの雪だるまを完成させる。

真っ白でレウィにそっくり。

「完成度高いの」

「うん、すごいわ…」

やたら完成度の高いレウィ型雪だるまにシエルとリアが感心してる。



最後はみんなでかまくらを作り、その中で温かいお茶を飲んで体を温めた。

豚汁か、ぜんざいが欲しかった…。 (また知らない食べ物が…)

冬になったらね?






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