表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
召喚被害者の日常は常識なんかじゃ語れない  作者: 狐のボタン
第四章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

305/771

ギルドカードと初仕事



ユウキSide



王妃様の試練へ向かう姉ちゃん達と別れて、僕は両親とギルドへ向かう。

「ダンジョン試験で、アスカにもらったカードをギルドの受付へ渡せばギルドカードがもらえるのか?」

「そのはずだよ。金だからAランクになるね」

「私、ギルドカードっていくつか持ってるけど…今回のは特別で大切なものになりそう」

まぁ、あの姉ちゃんをぶっ飛ばして貰ったものだしな。


父さんも、姉ちゃんの作った首輪魔道具が効いてるのか、前みたいに街を歩いててもキョロキョロしたりしないな。 効き目ヤバっ…。


「父さん、今日は変な店に行かないでよ」

「……っ」

「行くわけ無いだろ! 流石にこりたぜ…ボコられ無限ループの後にこの首輪だぜ?」

「夕夜が浮気しなきゃ私だってあんな事しないよ!」

「すまん…ついな?可愛い子を見るとお近付きになりたくなるのが男なんだ!」

「…そんなこと無いからね?」

「はんっ。ユウキはまだお子ちゃまなんだよ」

「…そのお子ちゃまの僕に全く勝てないけどな」

「くそっ…。 にしても…今日は可愛い子が全くいなくて助かったぜ。無意識に目移りしてたらまたボコられるとこだった」

やっぱり効いてるなぁ…。

母さんはやたら上機嫌だな。それはそうか…母さんだけが美人に見えてるって姉ちゃん言ってたし。



試験から数日たっているからか、ギルドはそこまで混んでない。

手続きもすぐに終わり、ギルドカードが手渡される。

「おめでとうございます。登録初回でAランクを取得されたのは初ですよ!」

受付のお姉さんにそう言われて少し嬉しい。


「何ニヤニヤしてんだ?ユウキはああいうのが好みか?」

「違うから! なんですぐそっちへ話を持っていくかな。Aランクが嬉しいって事だよ!」

「ほーん」

関心ないってか…。大丈夫なのか、このポンコツ勇者。


「ねぇ、早く依頼見てみようよ!」

母さんに急かされて壁際に貼られている依頼書を見に行く。



「なんだこれ…謎の黒髪ニンジャを探してほしい?」

「こっちにもある。黒髪ニンジャの姉御を探してくれ! 礼を言いたい? うわ、人探しなのに謝礼高っ!」

「……夕夜、ユウキそれはやめよう…」

「でも報酬いいぞ?」

「あーでもさ、誰かわからない人を闇雲に探すのは大変だよな…」

「いや、誰かわかってるから止めようって言ってるの」

「…まさか」

「うん、そのまさかだよ」

姉ちゃん何したんだよ!!

渋る父さんに説明したんだけど…。


「なら簡単じゃねぇか。アスカを連れてこればいいだけだろ。報酬もらったも同然じゃねぇか」

「…はぁ。 あのさ?僕らが姉ちゃんを連れてこれると思う?」

「ん?頼めばいいんじゃねぇか?」

「絶対嫌がるから。それを無理やり? やるなら父さん一人でやって」

「…諦めるか」

「それにしても…アスカはなにしたんだろ。どれもお礼を言いたいとかそんなのばっかり…」

姉ちゃん、街には出てないはずなんだけどなぁ。



「なぁ…あんたらその依頼受けるのか?」

後ろから声をかけられて振り返る。会話聞かれたか…?

というか、でかっ…スキンヘッドのいかにも冒険者風のおっさんだな。


「いえ、すみません、似たようなのがいくつもあるから見てただけです」

「そうか…それな。、ギルドの元厄介者達やらギルド職員からの依頼なんだ」

「え?」

「ギルドや街で揉め事を起こしたりして、問題になってた奴らがな?こないだの試験でボロボロにやられた後改心して、街の掃除やら、ギルドの掃除やらあちこちでボランティアをしだしてなぁ」

「「……」」

「最初はみんな疑ってたんだ。ギルドカードを剥奪されたから、それをもう一度貰うためのフリじゃないかってな」

「剥奪されてもまた貰えるんですか?」

「よっぽど無理だが…ギルド側が許可した場合はまた試験に挑めるな」

なるほど…だからフリか。


「だけどよ、そいつら揃って言いやがるんだ。姉御のお陰で目が覚めた。ギルドに復帰できなくてもいい。姉御に顔向けできない様な事だけは二度とできねぇって」

姉ちゃん…姉御って…。


「そのおかげもあってギルド員みんなもお礼を言いたいって事になってな。探してるんだが…」

「見つからないと」

「ああ。試験のボスをしてたって事でギルド側が国へ問い合わせたらしいんだが、公表できないって断られたらしい」

アキナさんが配慮してくれたのか。


「そんな訳でな?今ギルドを中心にみんな探し回ってるぜ」

「はぁ…」

「心当たりがあるならギルドへ報告してもらえたら助かったんだが」

「知りません。黒髪ニンジャなんて見たこともないです」

「だよなぁ…そんな目立つ姿してたら誰か一人くらい見てそうなものだが…一切目撃情報すらない」

それはそうだろうなぁ。変装してた上に、街へ出てないんだから。


「ニンジャなら普段は変装してて見つけられねぇだろ」

父さんナイス。

「それもそうだな。まぁもし何かわかったらギルドへ報告だけでもしてくれ。情報にも報酬が出るからな」

「わかりました」

聞いてもいないことを話してくれたスキンヘッドは違う依頼を手にとって受付へ向かった。

と言うか、忍者が当たり前に通じるのは何でだよ…。


「情報だけでも報酬か…」

「それしたら姉ちゃんに言うからね」

「…冗談だって」

やりかねないから不安なんだけど…。


「ん〜、ねぇこれは?」

母さんが取ったのは王国近郊の魔獣退治、及び素材の回収。


「いいんじゃねぇか?そいつならダンジョンの上層でも戦ったし」

「そうだね。でかいクマみたいなやつなら何度も出会った」 

「よしっ! じゃあ受付して、いくよー」

張り切った母さんに引っ張られるように受付を済ませてギルドを出た。




「へぇ…便利だな。街の入り口への転移門があるんだ」

ギルドのすぐ側には転移門が設置されていて、身分証明書、僕らならギルドカードを見せれば門へ移動させてくれるらしい。

「昔はこんなのなかったんだけど…。この王国は大きくなったからね。歩いてたら外へ出るだけで日が暮れるんじゃないかなー」

「そこまでか」

魔獣の目撃場所は南側。それなら南門へ飛ばないと。


転移門を管理している騎士様にギルドカードを見せて、南門へ転移。

門から外へ出るのにもギルドカードがあれば直ぐに出られた。

「Aランク?! 大変失礼しました! ご武運を!」

それさっき転移する時も同じ反応されたから…。

敬礼する門兵に見送られて、バカでかい門を抜けて外へ。



「街道はあるけど、そこまで整備されてはいないんだね」

「ここは魔獣が多いし、強いからね。そんな工事はなかなかできないってアキナが言ってたよ」

「だからか…国を囲む塀がめちゃくちゃ高いぜ」

アクシリアス王国の塀の何倍?って高さ。

「母さん、飛ぶような魔獣はどう対処してるの?」

「それはドラゴンハーフやドラゴンの兵士がいるからよっぽど街へ入る前に倒されるね」

「なるほどなぁ」

ドラゴライナ王国は何もかも規模がでかい。


「南門を出てすぐの森にいるらしいね。素材がほしいって依頼だから極力キレイに倒すよ!」

「ああ。わかったぜ、任せろ」

「了解」


門からすでに森は見えてたし、十分ほど歩いたら到着した。

「私の家のある森よりは安全だから!」

「あそこと比べたらダメだろ。あれは魔境だぜ…」

「酷くない?私の実家なのに!」

「二人ともストップ。ここはもう森なんだから警戒してよ」

「「ごめん…」」

大丈夫なのかこの二人。



そんな心配を他所に出てくる魔獣を母さんは殴り飛ばすし、父さんも危なげなくきっちり倒してる。

「あ、いた。 あれだよ!」

「いたな…」

「どうする?傷つけないほうがいいんだよね?」

「任せて!」

そう言った母さんが翼を出して飛び出していき…ぶん殴った。 あー。うん、確かにそれなら傷つかないわ。

「…相変わらずこわっ」

「それ、母さんの前で言わないようにね」

「…ああなりたくはねぇからな」


「仕留めたよー」

満面の笑顔で、5メートルはあるクマを引きずって戻ってくる母さん。たしかに怖い。

明るくて、優しい…そんな母さんだったはずなんだけど。


森を出たところで今回倒した魔獣の解体だけ済ませてストレージへ。

「魔石はどうする?」

「それなら姉ちゃんが魔道具に使うから欲しがるよ」

「ならユウキに渡しておくね」

「わかった」

前に、支援のための肉を集めた時にも魔石は回収していたが、渡しそびれてる。まとめて渡すか。



帰り道、思い出した事があったから聞いてみる。

「母さん達はここに残るんだよね?」

「…うん。酷いよね! せっかく子供達といられるようになったのに!」

「…すまん」

「アキナにもう一度文句言わなきゃ」

いや…自業自得な気もするけど…。


「それって、残って何をする予定なの?」

「さぁ? 建国千年の記念式典の準備と運営を手伝えとしか言われてないから」

「なにそれ…」

「どうしてそんなこと聞くの?」

「いや、僕も姉ちゃんもなにか手伝えるなら手伝おうかと思ってさ。叔母にあたるアキナさんの王国の記念なら手伝いたいし」

母さん達の不始末のお詫びもしたいし…。


「へぇ! じゃあアキナに話しておくよ。そしたら私達も帰れるかもだし!」

それはどうだろう…。




ギルドへの報告と納品。

報酬を受け取り、屋敷への帰り道。

「……」

「父さん?どうかしたの?」

珍しく真面目な顔をしてるけど…。

「いや…なんか街がつまらねぇなぁと思ってな」

「は?」

「この街の女はレベルが低い!」

「大声で言うなぁ! バカなの?」

「だって、誰よりも母さんのが美人だぞ?前はそれなりにレベルの高いのがいたんだけどなぁ」

「ちっ…」

今通りすがりの女の人にあからさまに舌打ちされた!

「そう?そうだよね?ふふー♪」

嬉しそうにしてるけど、それ姉ちゃんの魔道具のせいだからな!?


確かにうちは姉ちゃんを始めとして、未亜姉ちゃんに、ルナリアにシエルってみんなレベル高いけど…って僕は何を考えてるんだ…。

はぁ…両親のせいで無駄に疲れる。

この二人とギルドで仕事するのは考えものだなぁ。









評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
よっぽどの使い方ってそれでいいのか……? 「余程」の方言でしょ? 使い方的には「過剰に」とか「凄く」みたいな意味だと思ってたけど
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ