表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
召喚被害者の日常は常識なんかじゃ語れない  作者: 狐のボタン
第四章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

302/773

詠唱



「未亜、ナイスだよ」

「え?え?」

詠唱ってもう使う事もないから、忘れてた…。 (ママには必要ないから)

イメージがしっかりと出来るならみんな必要ないけどね。 (うんうん)


「えっと、詠唱って言うのは、魔力をうまく制御して、どんな魔法を使うか…それをしっかりイメージするために唱えるの」

「うーん?」

「そうだね、例えば…」

”我に巡りし大いなる力よ…冷たき氷槍となりて敵を穿て“

私が撃ったのはいつもの氷の槍。

飛び出したそれはダンジョンの壁に刺さる。


「魔法はイメージが大切って話は前にしたよね?」

「うん」

「そのイメージが上手くできない時は、口に出すとわかりやすいよっていうだけの事なんだけど…」

「じゃあ、頭の中でイメージができちゃえばいらない?」

「そういう事だね。詠唱してるとそれだけ遅くなるし、相手になんの魔法を使うかバレちゃうから」

「あぁ〜。それはそうだね…」

「お姉様、それがどう関係するの?」

「うん、この詠唱って基礎として教わるもので、魔法がまだ上手く扱えないって時にやる事なの。王妃様は急な変化で、今まで当たり前に出来てた事ができなくなってるのなら、初心にかえろうって話だね」

「そうね…確かに扱いきれてないのならそれがいいかもしれないわ」

「詠唱なんてした事がありません…」

そうだろうなぁ。私も教わって使ったのは最初だけだった。

魔法に触れてこなかった人、私やユウキみたいに魔法のない世界から来たなら慣れるまで使うといいって言われて教わった。


「王妃様、詠唱に決まりはないんです。イメージしやすいようにすればいいだけなので」

「……例えばでいいから何かないかしら?」

「うーん… ”眠りから覚醒せし我がドラゴンの力、翼となりて顕現せよ“とか…?」

こういうのはユウキのが得意なんだけどね。 (すっごい納得!!)


”眠りから覚醒せし我がドラゴンの力、翼となりて顕現せよ…“

王妃様が光った後、真っ白な翼が出てる。

「へぇ〜。こんな方法があるのね」

リアも興味深そうに王妃様の翼を見てる。

そのまま真似をして詠唱し、翼だけ出してみたりして、試してるみたい。

リアが人化を上手く出来なかったのとはまた少し違うものね。

最初はリアも魔力操作の問題かと思ってたけど、リアのは気持ちの問題だったし。


王妃様はその後、即興で詠唱し、角と尻尾も出した。

「その姿と、全身を流れる魔力をしっかり記憶しなさい」

「はい!」

この先はお祖母ちゃんに任せたほうがいいよね。本物のドラゴンなんだし。



一度ドラゴンハーフ姿を解除した王妃様は、記憶した姿を思い浮かべているのか目を閉じて…光った後にはしっかりとドラゴンハーフ姿の王妃様が。魔力も膨れ上がってる。

暴走してた時は完全に無意識だったんだろうね。 (でもあの時より魔力は少ないの)

まだ完全に制御ができてないからロスが出てるんだと思うよ。 (なるほどー)


「出来てるのかしら…」

「大丈夫よ、まだ少し魔力が不安定だけど…後は慣れるしかないわ」

「ありがとうございます」

王妃様はお祖母ちゃんへお礼を言うと、そのまま扉へ向かい…押し開いた。


「わう! 開いた!」

レウィが偵察を兼ねてか駆け出していった。この先は別にボスがいる訳でもないのでそのまま進む。


その後も幾つかの扉に阻まれ、その前に設置されたメモの指示に従うことで扉が開いた。

信頼する仲間と力を合わせろ、とか。 

頭を使う謎解きだったり…。

王妃様が基本属性の魔法をすべて扉へ撃ったり…。

一番びっくりしたのは扉を破壊しろ! ってやつだった。

これはお祖母ちゃんが一発で殴り壊したけど…。 石の扉ってあんな粉々になるんだね。 (まさに粉砕)

うん…私だと大きな破片とかが飛び散って周りに被害を出しそう。 (それはそれで危ないの…)



「ますたぁ〜もどったわ〜」

30階層を進んでる途中でキャンディが帰還。

「おかえりキャンディ。ありがとね。助かったよ」

おかげで全階層のマップは完成してるし、罠も殆どが無効化されてる。


「いいのよ〜頼られて嬉しかったし〜」

そのまま腕を組んで離れないキャンディ。

今回は本当に頑張ってもらったし、これくらいなら。 (気をつけて!)

わかったよ。 ❲失礼ね〜ますたぁ〜が嫌がることはしないわよ❳ (どうだか!)


リアと未亜からの視線が背中に刺さってる気がするけど、今は耐える。


「そういえばますたぁ〜、人は最上階にしかいなかったわ〜」

「そうなの?」

てっきり親衛隊の人達が配置されるかと思ってた。



40階層、今回はやたら広いホールにメモの台座がある。

嫌な予感しかしないな…。 (うん…)


「…ドラゴンとなりて、力を示せ…? さもなくば先へ進む事まかりならぬ…」

王妃様がそれを読み上げると、見慣れた魔法陣から一人の女の人が…。

あれ、ボス専用の転移魔法陣か! (見たことあると思ったの!)


「……協力者の方が私を倒しても扉は開けません…。開けてほしくば試練を受けた本人がドラゴンとなって私を倒してください…」

そう言った直後、光に包まれて…大きな青いドラゴンが。 (アキナさんの奥さん…)

そうなの!? (うん。会ったから覚えてるのー)

色で判断するなら、アイス系のドラゴン? (多分…)

更に、幾つも魔法陣が現れて魔獣が放たれる。


「そういう事…。アスカちゃん達は時間を稼いでもらえる?こっちは私に任せて」

お祖母ちゃんがそう言って王妃様に向き直る。

「さぁ、力を開放する時よ!」

「は、はいっ…」


私達は、ドラゴンの足止めと、魔獣の退治。

お祖母ちゃんは王妃様のドラゴン化を促す。

アリアさんは王妃様の傍で守りの態勢。


「リア、レウィー。未亜とシエルを任せたよ」

「わう! 任せて」

「ええ。守りは任されたわ」

みんな魔道具はつけてるけど、一応ね。

多分、ドラゴンの奥様は非戦闘員へ攻撃はしないと思う。王妃様の試練だし。

それに魔獣程度ならリアやレウィーでも余裕だろう。


「ティー、キャンディ。私達は魔獣を倒しつつ時間を稼ぐよ!」

「はーい!」

「わかったわ〜」

私達はドラゴンへの攻撃はせずに魔獣だけを倒していく。

ただ…数が多い。

「きりがないわ〜」

「ティーはまだよゆー」

「っ! 私だって!」

張り合ってるなぁ…。


ドラゴンは次々と召喚される魔獣に守られるように一番後ろで待機してる。

一応警戒はしてるのだけど、動く気はないのかな?




魔獣を倒し続けてどれくらいたったか…。

「ティー、キャンディ、疲れたなら休んでていいからね」

「まだまだへーきー」

そう言って貸したままの聖剣を振り回し魔獣をなぎ払っていくティー。

「私も平気よ〜」

キャンディの霧に包まれた魔獣はバタバタと倒れては消えていく。

霧を逃れても魔法で仕留められていくから、後方の未亜達の方へ抜けることはない。


ドラゴンは…っと、あの構えはブレスかっ! 不味い! あの方向には…














評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ