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召喚被害者の日常は常識なんかじゃ語れない  作者: 狐のボタン
第四章

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試練開始



試練当日。 ギルドへ行くユウキ達と別れて家を出る。


王妃様の自宅前に集まった私達は、塔の入り口へ向かう。

王妃様は始めからレウィーに乗ってもらおうと思ったのだけど、出来るだけ自分の足で進みたいって事だから、その意思を尊重する形に。

「動かなさ過ぎてもダメなのよ?」って事らしい。


塔の入り口には、隊長のサージェさんが待っていた。

「塔の試練に挑まれるという事でよろしいですか?」

「ええ…」

「連れの方達は、試練を受けるセルナ様が倒した、という事でよろしいですね?」

「そうよ。知力戦で勝たせてもらったわ」

「わかりました。それでは…」

サージェさんもクイズには参加してたけど、多分聞く決まりなんだろう。

ギルド試験の時のと同じバッヂタイプの魔道具を全員が受け取り装着。

これかぁ…。術式は複雑ではないな。パッと見て記憶できるレベル。


王妃様だけは私の渡した魔道具を外すことになってる。 私達は外すようには言われてないし…。

最終確認の後、塔の扉が開かれた。


「中へ入り、扉が閉じられますと塔を攻略するか、ギブアップするまで外へ出ることはできません。お覚悟はよろしいでしょうか?」

「ええ…大丈夫よ」

「ご武運を…」

私達が中へ入った後、入り口は固く閉じられた。


「お姉ちゃん、こないだ私達が入った時と、入り口の見た目からしてもう違うよ…」

「わう…もっと明るかったし、通路も広かった」

「うん。こんなに薄暗くなかったの…」

「そうなの? まぁ、明るさはなんとでもなるから」

ストレージから明かりの魔道具をだす。

「ランプみたいな物だから、みんな腰のベルトにでも取り付けて」

根付みたいになってる明かりの魔道具を配り、腰にぶら下げる。



さてと、じゃあお願いしますか。

「キャンディ、おいで」

ピンクの光の中から出てくるキャンディ。

「ますたぁ? あら…今回は私一人?」

「うん、キャンディにしかできない事だからね」

「そうなの〜? わかったわ〜、なにしたらいい?」

「このダンジョンの全容を調べて。敵も倒せるなら殲滅していい。ただし…人はだめだよ」

「そんなことでいいの〜?まかせて〜」

「お願いね。何かあったら連絡して」

「は〜い。 でもますたぁ〜?」

「うん?」

「頑張ったらご褒美くれる〜?」

「うん。私にできる事ならね。 後、これは絶対だけど…無理はしない事。危なかったら即撤退しなさい」

「やった〜。 わかってるわ〜。行ってきま〜す」

そう言うとキャンディは霧になって、ダンジョンの中を埋め尽くしてゆく。

私にしか見えてないだろうけどね。

霧になったキャンディは僅かな隙間さえあれば通り抜けてしまう。


「後は、このまましばらく待ちますから休んでてください」

「入ったばかりだから疲れてないわよ! それよりアスカ…ご褒美って何をする気!?」

「それはキャンディが決める事だからわからないよ」

「知らないわよ?」

「私にできる事っていったから大丈夫よ」

「まったく…。……とか……とか言われたらどうする気かしら…」

リアは納得いかないのかブツブツ言ってる。



キャンディがダンジョンを進んで行くと、私の探索魔法に詳細マップが出来ていく。

普段の探索が、見下ろした平面の地図みたいな物だとすると、今回キャンディがしてくれてるのは、3D表示のダンジョンマップ。

「アスカちゃん、今はどういう状態なの?」

「キャンディが移動した部分が私の探索魔法に同期されて、立体的なダンジョン地図が完成します」

「…めちゃくちゃね。 それじゃあ敵や罠も丸見えってことかしら?」

「そうですね、敵の魔獣は通りすがりに殲滅してるようなので残ってませんが…」

「お姉ちゃん、罠は?」

「それも、潰せるものは潰してくれてるよ」

何箇所か扉を開けずに隙間を抜けて進んでたりするのは、多分私達が行かないと駄目っぽい。


「そろそろ進みますね。王妃様はお疲れでしたら早めにレウィに言ってください」

「わう! いつでも」

「ありがとう、まだ大丈夫よ。進んでもいないし…」

確かに…。まだ後ろに入ってきた扉があるくらいだものね。


マップを見ながら迷うことなく最短距離で進む。

キャンディはすでに10階層を越えてるな。 (早いの…)

だね。こういうことに関してキャンディは最強だから。 ❲そうよ〜? あ、途中に幾つか試練ってのがあったから〜❳

わかったよ。ありがとう。 (ティーの取られた!)

微妙に違うから。 (むー) ❲そうよ〜?私のは特別なの〜❳

キャンディも煽らない。 ❲は〜い。ふっ…❳ (むきゃー!)



マップを見ながらダンジョンを進み、しっかりと閉じた大きな扉の前に到着する。これがキャンディの言ってたやつかな。

扉の前には台座があって、メモかな?が置いてある。

罠とかはないし、ここは王妃様に任せたほうが良さそうだね。

「王妃様、お願いします」

「ええ。 えっと…第一の試練。 ドラゴンハーフ化して、扉を開け…」

いきなり難題! 

「ここは私の出番かしら…」

そっかお祖母ちゃんでも大丈夫なのか。てことはリアでもいいのかな。


一度光った後、白銀のキレイな翼、角と尻尾を出した姿になったお祖母ちゃんが扉を押す。

「……あら?開かないわね。 んーー! ダメだわ」

「私も試してみるわ」

「そうね、それでダメなら…本人にしか無理って事ね」

ドラゴンハーフになったリアがお祖母ちゃんがしたのと同じ様に扉を押す。

「……ダメね」

王妃様にしか無理ってことか…。多分王妃様の魔力波長にだけ反応するようになってるんだろうね。 (厳しい!)

この試練、王妃様がドラゴン化を制御できるようにと考えられてるとは予想してたけど、いきなりかぁ。



お祖母ちゃんと、リアによるドラゴンハーフ化の講義が始まった。

「まずは自分の中のドラゴンの力を制御しなきゃいけないわ」

「ドラゴンの力…」

「ぐーーってしてポンッてするだけよ!」

リアのは全くわからん…。 (でも確かにそんな感じー)

そうなの? 感覚的にはそういう感じなのかな…。


しばらく講義は続き、私達はそれを見守る。

何度か試してはいるけど、上手く行かないみたい。

「アキナはいきなり難題を出しすぎよ」

「そうですね…里でも人化は、ある程度成長してから教わるものだったわ」

王妃様の魔力は、前よりも更に増えてるから…まずは魔力制御からのがいいのかなぁ。 (かも〜?)


「王妃様、魔力が増えてから魔力制御は上手くできてますか?」

「それが…いきなり桁違いに増えてしまって、振り回されてる感じなの。アスカちゃんの魔力循環で増えた時はこんな事なかったのだけど…」

あれは本人の魔力を増幅したようなものだから…

やっぱり、覚醒して種族も変わり、それで魔力が増えたってなると根本的に違うから難しいのかもしれない。

「そう、それなら魔力制御から始めなきゃだめね…」

お祖母ちゃんも考え込んでしまう。


「お姉ちゃん、魔力制御って難しいの?」

「前に未亜に魔力循環したでしょ?」

「…うん」

「あの時の感覚って覚えてる?」

「私の中をお姉ちゃんの温かいのが巡って…」

「うん、それが魔力なんだけど、魔法のある世界なら、誰でも魔力って言うのは自分の中を血液のように巡ってるの」

「それを制御?」

「そうだね、魔法を使う時はその魔力をエネルギーにしてるの。だから魔法を使えば魔力が減る」

「お姉ちゃんの魔力ドームは?」

「あれは、もう少し高度かな。魔力を制御した上で、操作してるから」

「…? お姉様、制御と操作ってどう違うの?」

「制御って言うのは、自分の中で魔力を思い通りに制する事、例えば…1の魔力で魔法を使うって時にちゃんと1だけ魔力を魔法に注ぐって事だね」

「それって…意識しなくても普通にできることなの」

「通常ならそうだね。 操作って言うのは魔法を行使する時に魔力を上手く操ってイメージ通りの結果へ繋げること。私はそう認識してるけど…」

「そうね、アスカちゃんの言う通りよ。まず自分の中で魔力っていう力を思い通りに扱えなければ、魔法として行使するときに、暴走したりしかねないのよ」 


シエルの言うように、普通は制御って言うのは当たり前にできてるから…。

王妃様みたいに元々制御も魔力操作も、長年の経験で感覚的に高度なレベルで自在に扱ってたとしたら、その感覚が狂うと制御出来ないのも無理はない。 (レウィといっしょ?)

そうだね、近いかもしれない。実際、覚醒時には暴走してたし。


「お姉ちゃん、それなら…よくゲームとかである詠唱ってなんなの?」

「それがあった!」

「え?」










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