表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
召喚被害者の日常は常識なんかじゃ語れない  作者: 狐のボタン
第四章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

297/772

GPS



駆け回るフィアをティーとリアに任せて、私はルナシアさんに魔道具を渡しに行く。


「ルナシアさん、今大丈夫ですか?」

「はい、フィアを見ててくださるので…色々やりたかった事が済ませられましたから」

「それは良かったです」

「えっと…どうかされましたか?」

フィアと遊んでて行動力の凄さに不安になり、魔道具を作ったことを説明。

居場所も感覚的に把握できるからと。



「ありがとうございます!! 本当に本当に心配だったんです…」

「フィアにも魔道具を渡してあるので、全身の汚れも定期的に浄化されてキレイになりますから」

「本当になんてお礼を言ったらいいか…すぐに汚して来てそのまま室内を走り回るので、掃除が追いつかなかったのです」

下手に洞窟を板張りにしてキレイにしてしまったから、手間を増やしちゃったか…。


「それは…本当にお疲れ様です。 でもフィアは一度ダメだよって教えた事はしっかり覚えてくれますから」

「…え? それはどういう…?」

「えっと、例えば、一人でドラゴン化して飛び出したら、みんなが心配するからダメだよって教えてあげれば、次からは飛びたい時は言いに来てくれますよ」

「…そんな」

ルナシアさん、膝から崩れ落ちたのだけど…。


「まだ小さいから、言ってもわかってくれないと…そう思い込んでいました…」

あぁそういう? 確かに見た目は小さな子だもんね。

「話したら分かってくれるのなら、随分楽になります」

ルナシアさん優しいから、本当に危ない事とかじゃなきゃ叱ったりしなかったんだろうね。


「どうしてダメなのかと、じゃあどうしたらいいか、それを伝えてあげればわかってくれましたから」

「わかりました。リア達があれくらいの時はそこまで理解してくれませんでしたから…」

経験上思い込んでたってことかぁ。それは仕方ないと思う。


ルナシアさんの魔道具に付けてある他の機能も説明して、波長を刻んだ。フィアに渡してある魔道具の説明もしておく。

「アスカー?フィアが探してるわよ」

外からリアが呼んでるな…。

「ふふっ、本当にフィアがなついていますね。行ってあげてください」

「はい、では…」


洞窟を出るとフィアが飛びついてきた。

「おねえちゃんいた!」

「フィアのお母さんと少しお話してただけだよー」

「おねえちゃんはどらごんになれないのー?」

「そうだね、だからドラゴンになれるフィアはすごいよ」

「ふぃあすごいー!」

「ティーはなれるよ!」

そう言ってドラゴン姿になるティー。対抗心燃やしてて可愛いな。 (ふふん)


「ふぃあもー」

ドラゴン姿になったフィアは前に会ったときよりも随分大きくなってる。

チョーカーもドラゴンになった首にちゃんとついてるね。

ティーと並ぶと成長がよく分かるな。前は同じくらいだったからね。今は倍くらいある。


「この姿だとどっちが年下かわからないわね」

「ティーはあのサイズのままだからね。それが可愛いんだよ?」

「…親バカ極まれりね」

「失礼ね…リアだってフィアがかわいくてしかたないでしょ?」

「それはそうよ?」

似たようなものだと思うのだけどなぁ。


夕方になり、そろそろ帰ろうかなと思ったら、遊び疲れたフィアがウトウトしだした。

寝てるうちに帰ってしまうのも可哀想だし、今のうちにお別れしておかないとね。


ルナシアさんに抱かれてるフィアを撫ぜる。

「うーおねえちゃんたち、またきてくれるー?」

「当然よ! だから、かあ様の言う事ちゃんと聞いて、良い子にしてるのよ?」

「うん、ふぃあはいいこー」

「そうだね。また会いに来るから」

「フィア、またなのー!」

「…うにゅ…すぅ…」

「寝ちゃったわね」

「だねぇ。 ルナシアさん、お邪魔しました」

「いえ、またいつでも来てください。フィアも私も待ってますから」

「はい、ありがとうございます」

「かあ様、フィアの事お願いね。また来るから!」

「ええ。リアもアスカさんと仲良くしなきゃだめよ?」

「もちろんよ!」

「またねー!」

「ティーちゃんもまたね」


その後、長老様にも挨拶だけして、転移。



ドラゴライナ王国の屋敷に帰ってきた。

「フィア…。  アスカ、また会いに連れて行ってね?」

「当然だよ」

私も会いたいもの。 (ティーもー)

可愛い妹分だもんね。 (うん!)


「それにしても…家の中がドタドタとやかましくないかしら?」

「うん…レウィは室内では走らないはずだけど」

あの子、室内では走らないし、お行儀はいい。

「まだやってるのー」

「ティー、どういう事?」

「えっとねー……」


……ほんっと、何してるの?

私達がドラゴンの里へ飛んだ後、母さんはようやく廊下のボロ雑…いや、父さんを治癒。

仲直りするかと思いきや、またボコボコにしたと。

以後それを繰り返してると? どういう事よ…。


「なんかね、ママのパパに反省の色が見えないーって」

「とめなくていいの?アスカ…」

「あまり関わりたくはないんだけど、そうも言ってられないよね。 いや、待って…。じゃあユウキ達は?」

「朝から街へ行ってるー。昨日、途中で帰らなきゃいけなくなったからってー。お祖母ちゃん達も昼間はお出かけしてて、今はお部屋!」

「あぁ。そっか、まだ行きたいところがあったんだね」

お祖母ちゃん達に関してはもうね。細かい事には干渉したがらないし。


「未亜達は、今帰り道ー。そのうち帰ってくるの」

「ティー、いつもありがとね」

「ふふーん」

分体が居てくれるから、私がいない間の出来事も教えてもらえて助かるよ。 (でしょー)



じゃあ私は、うちの子たちが帰ってくるまでに両親を止めますか…。



リビングへ入ると仁王立ちした母さんと、尻もちをついて後退りしてる父さんの図。


「謝ったじゃないか! もう許してくれよ…」

「…その態度が反省してる人の態度じゃないって言ってるんだけど?」

「どうしろって言うんだ」

「誠意を見せろって言ってるんだよ」

母さんがモンスタークレーマーみたいなこと言ってるな。


「母さん、ドタドタとやかましいんだけど…」

「アスカ、みんなもお帰り。 ごめんね。ちょっと教育し直してるだけだから」

なんだろう、方向性は違うけど…お祖母ちゃんと似てるよね。 (あぁー。じゃあママもなるの?)

……考えたくない。


「…それならもういっそ首輪でも付けておけばいいんじゃないかしら」

「それよ! ルナリアちゃんナイスアイデア。 アスカ。なんかそういう魔道具作ってくれない?」

「…冗談だったのに。ごめんなさい…」

リアは悪くない。乗っかる母さんが悪いよ。

「母親が父親につける首輪を作るとか、イヤすぎるんだけど…」

「お願いよ。反省したら外すから!」

まぁ確かに?今回、父さんの浅はかな行動でうちの子たちに良くない影響を与えたし…。


「わかったよ…じゃあどういうのが良いか相談しよう?」

「ありがとうアスカ!」

「嘘だろ…絶対拒否するからな!」

そう言って逃げようとした父さんは母さんにあっさり捕まって組伏せられて気を失う。


安心できれば母さんの暴走も落ち着いたりしないかな…。

明るくて優しい、母さんのイメージを返してほしい。 (今はー?)

暴走ヤンデレドラゴン? (こわいの…)



相談した結果、父さんの居場所を母さんが把握できるGPS機能。これはフィアのと同じだね。

…父さんは幼児と同じ扱いなわけだ。 (ウケる)

娘としてはちっとも笑えないけどね? 

これは初めて知ったけど、母さんは魔力探知が苦手らしく、探索範囲も狭いらしい。

私やユウキのことに気が付かなかった理由がわかってスッキリした。


「後は…邪なことを考えたら、キュッて締まるようにして」

「流石にそれは無理」

本当はできるけど、考えまで制限するのは流石にやっちゃいけない。 (そうなの?)

うん。 例えば、ちょっと悪い事を考えるくらいは誰でもするかもしれないけど、それを本当にやっちゃうか、悪い事だからやらないって判断するか。そこが大事なんだよ。 (なるほどー!)


「えー。じゃあ…」

「ねぇ、母さんは父さんの何が許せないの?」

「美人に弱い所と、すぐ美人にデレってして鼻の下を伸ばすところと、私以外にもスケベなところ」

「あー…そっか。 ならこういうのはどう? 母さん以外の人を見ても、美人と認識しないように周りへ認識阻害をかけちゃうの」

「うーん、どういう事?」

「父さんの目には母さんしか美人に見えなくなるの。他の人はじゃがいもくらいにしか見えなくて気にかけなくなる」

「それいい! それがあれば目移りしないよね?」

「そう思うよ」

じゃがいもにまで欲情しだしたら、もう知らんけど…。 (それは流石に…)


これくらいなら誰も傷つけないんじゃないかな? (うん! ママすごい)

じゃあさっさと作っちゃおう。

魔刻刀で緑色の魔石に刻む。周囲の認識阻害と、GPS機能だけだし。

この首輪、私か、母さんしか外せない。 


母さんのネックレスも一度借りて受信機能を追加しておく。

「母さん、大事なことだけど…父さんにバレたらあまり意味がなくなるからね」

「え?でもじゃがいもにしか見えないんでしょ?」

たとえ話だからそれ…。


「まぁそんな感じなんだけど…知ってしまったら、逆にあの人も、この人も、実は美人かもって手当たり次第になりかねなくない?」

「……良く分かったよ。ユウキ達にも伝えておいてくれる?」

「私も絶対に言わないわ…」

「わかったよ。父さんが寝てるうちに付けておいて」

「ふふっ…夕夜、覚悟!」

それ寝首かく人のセリフ。忍びかよ…。 (忍者かっこいい!)

首輪つけてるだけだよ? (…つまんない。ママの忍者のがカッコ良かった)

黒髪の? (そうそう。姉御!)

やめてよ…ティーまで。 (ふひひ)







評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ