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召喚被害者の日常は常識なんかじゃ語れない  作者: 狐のボタン
第四章

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里の家事情



翌朝の早朝、リアからのファミリンで目が覚める。

昨日、定時連絡の時にフィアの事でティアねえ様と話が盛り上がっちゃって…。

変な時間に寝たせいで逆に眠いのだけど…。

って…え?緊急!? ちょっと忙しすぎない? あっちもこっちも!

急いでこちらから繋ぐ。

「リア?どうしたの!?」

“アスカに早く会いたいの…”

「…びっくりしたよ」

私も昨夜ベッドに入った時に、リアがいないのが寂しかったから気持ちはわかるけど。

緊急呼び出しは正直堪忍してほしい。心臓に悪い…。

距離的にリアからは届かないのは仕方ないけど、ユウキみたくコールで呼び出してくれればこちらから繋ぐのに。


“…フィアがね?早くお姉ちゃんに会いたいって、ダダこねてるのよ。  ふぃあだだこねてないもん!”

後ろで本人が否定してるけど…。

「早めに行ったほうがいい?」

“そうね、そうしてくれると嬉しいわ。  おねえちゃんにあいたいけど、ふぃあはわがままいわないもん!”

「ふふっ、わかったよ。着替えたら行くから」

“ええ! 待ってるわ。…フィアが。  りあおねえちゃんわるいこ!“

筒抜けなんだよなぁ。


「ティー、起きて」

私のベッドの枕元でドラゴン姿で丸まってるティーを揺する。

「…んぁ…ママ?おはよ…」

「おはよ。ごめんね起こして。リアが迎えに来てって連絡してきたから行ってくるよ」

「ティーもいく!」

「わかったよ」

お祖母ちゃんは迎えに行く時には来ないって言ってたからティーと二人で行くか。


「…お姉ちゃん?」

昨日も念の為に未亜の隣で寝たけど、うなされる事は無かった。耐性スキルすごいわ。

「起こしちゃった?ごめんね未亜」

「…ううん。どうしたのぉ〜?」

「リアを迎えに行ってくるよ」

「ふわぁ…こんな朝早くにぃー?」

「まぁね、お留守番お願いね」

「ふぁーい…」

寝ぼけてるけど大丈夫かな…。一応置き手紙しておくか。 (懸命なの)

目立つようにテーブルの上に置いておこう。



ティーを抱いてドラゴンの里へ転移。


「アスカ!」

「…おはよう、リア」

「おはようアスカ」

転移場所で待っててくれたのね。


「おねえちゃん! ふぃあはわがままいってないの!」

「知ってるよ。フィアはえらいね」

「うん!」

「その…ね?フィアも私も早く会いたかったのよ!」

「うん、私も寂しかったよ」

「アスカ!」

抱きついてきたリアを受け止める。うん…すごく安心するよ。


「みんな寂しがりやなのー。フィアとティーのが大人!」

「ふぃあはおとなー!」

否定できないのが悔しいけど、寂しいのは寂しいし。


「ティーもアスカと離れてみたらわかるわよ!」

「…ヤ! 絶対ヤ!」

「でしょ?まったく…」

「どうする?このまますぐに帰るの?」

「今日、何か予定あったりするのかしら?」

「いや、明日までは特にないよ」

「じゃあゆっくりしたいわ。せっかくアスカも来てくれて、フィアもいるんだから」

「他のドラゴン達に迷惑じゃない?」


「あっ! それよ。忘れてたわ…」

「うん?」

「長老様からアスカにお願い事があるらしいの」

「そうなの?できる事ならするけど」

「ありがとう、じゃあ後で長老様の所へ行くわよ!」

「長老様初登場なのー」

「フレアベルナさんと、ノワルレイナさんは会ってるけどね」

「その二人は王国で楽しそうにしてるー」

「そっか。じゃあ洞窟の改装はまだまだ先になりそうだね」



お昼前くらいまでフィア達と遊んで…フィアが眠そうにしてたから寝かせて、リアの案内で長老様の元へ。

朝が早いと、長老様達も寝てるらしいから時間をずらした。

今回は魔力隠蔽の魔道具を使ってもいいかもしれない。今更、舐められたりもないでしょ。


「ここよ」 (THE洞窟!)

「うん、知ってた…」 

「長老様ー?入るわよー」

「…ルナリアか、入ってくれ」

「はーい。 行くわよアスカ」

「うん」

ちょっと緊張する…。



洞窟の奥には三人。

二人は男性で一人が女性。といってもドラゴンなんだけど…。

みんな髪が赤いのはフレイム系のドラゴンなんだろうね。この里には一番多いって言ってたし。


「よ、ようこそ…我らの里へ。アスカ様とお呼びしてよろしいですかな?」

「はい。呼び捨てにしていただいて大丈夫ですから」

「…それは無理よ。セイナ様のお孫様に…」

「あぁ。無理だな…」

そうですか…。怯えながら言われると何も言えない。


「ちょっと魔力隠蔽しますね」

魔道具を起動。完全な魔力隠蔽。

「あら…圧が…」

「おぉ。身体が軽い」

「震えが止まった!」

なんかすみません…。


「長老様、私のアスカになんの用事かしら」

私ってリアのなんだ?まぁ、今否定しても仕方ないからこの際それでもいいけど…。 (……)

「そう! それなんじゃが…ルナシアの洞窟をみんな羨ましがっていてなぁ?」

「ええ。私もよ…遊びに行ったら快適で、帰りたくなくなったわ」

「そんなにか…俺も行ってみるか」

「おやめなさい。奥様にシメられるわよ?未亡人の家に行くなんて!」

「お、おぅ…」

ルナシアさん未亡人扱いなんだ…。 (アイツ封印されてるし)

もう居ないようなものって事ね。 (そう)


魔力を隠蔽した事で普通に話してくれるようになったのはいいのだけど、井戸端会議みたいになってない?

 (長老様はお話好き)

あぁー近所のお祖母ちゃんとかに捕まるとそうだもんなぁ。経験あるわ…。

下校の時に挨拶したら、めっちゃ話を聞かされて…袋一杯の野菜をもらった。 (おとく?)

それはどうだろう!? 後日お礼に行ったら、今度はお菓子を貰っちゃったし。 (無限ループ…)

うん…。


「ちょっと…長老様? 早く本題に入って」

「そうじゃったな、すまぬ。 アスカ様、お願いというのは…里の皆の家も改装していただけないじゃろうかと…」

「大丈夫ですよ。ただ、今は手持ちに素材があまりないので…」

「それなら大丈夫よ! 木材から石材、魔石まで揃えてあるわ」

「そういう事でしたらすぐにでも」

「アスカ、無理したらイヤよ?」

「うん。心配してくれてありがと」

「当たり前よ!」


改装するとなると、ついてくる人が増えるとやりにくいから、リアとティーは留守番。

心配だからって渋るリアをティーが説得してくれた。

「ついていくと、ママに余計な魔力使わせちゃうから。フィアと待つのー」

「…そう。それは良くないわね。 アスカ、お願いだから無茶はしないで」

「約束するよ」

「ティーの分体が見張ってるの!」

信用のなさが悲しくなるレベル…。 (リアを安心させるためー)

そっか、ありがとね。



長老様の一人に案内されて、素材置き場へ。

「これだけあれば足りるかしら…」

「これ全部ですか!?」

「足りない様なら、すぐに取ってくるわ」

「いえ、大丈夫かと…」

トラック何台分だよ! (ドラゴン達がみんなでせっせと集めてたの。こういう事だったのかー)

そう…。じゃあちゃんと希望に沿ったお家にしてあげないとね。 (うん!)



素材をすべてストレージに収めて、まずは案内してくれている長老様の自宅へ。

「ここよ。ルナシアの所みたいにお願いできるかしら」

「わかりました、何かご希望はありますか?」

「うーん、それが…私はあまり人の街へ行った事が無いからわからないのよ」

「では、まず基本的な改装をしますので、それを見てから改善点があったら教えて下さい」

「わかったわ」


今一緒にいる長老様はさっきの長老様の片方が旦那様らしい。 (爺くさい方!)

言われ方。それで確かにわかったけども…。 


例によって拡散タイプの魔力ドームを使用。素材を放り込んで…

リビングに、キッチン、個室をニつ。寝室を一つ。

お風呂にトイレ。

各部屋に魔道具を設置。明かりや水周りだね。 (さすがー!)

「すごいわ…ありがとうアスカ様!」

「なにかご希望はありますか?」

「そうね……。  いえ、充分すぎるわ。本当にありがとう」

「でしたら、しばらくこのまま使って頂いてて、後日伺った時に何か改善点があればという事で」

「ええ。それでお願いするわ」


それから、改装したのは合計五つの洞窟。

魔力の隠蔽をしてたのが功を奏したのか、他のドラゴン達とも普通に話せて、希望通りに改装。

一軒、かなり奇抜になったのは、触れないほうが良さそう。 (アレは家じゃないの)

だねぇ…。アキナさんに近いセンスを感じたよ。 (魔獣博物館)

喜んでたからいいんじゃないかな? (…でも住みたくはないの)

それはそう。 寝起きに魔法ぶっ放しちゃいそうだし、 (ママ怖い…)

だって、びっくりしたらなりそうじゃない。 (そうだけど)




ニ時間ほどで里の各家の改装も終了。

途中のお宅でお昼ごはんにって美味しいフルーツを頂いた。 (ティーたちは長老様にもらったの!)

そっか、甘くて美味しかったね。 (うん!)


後はアクシリアス王国に滞在してるお二人の洞窟だけ。

これはお二人が帰ってからじゃないと手を付けられないから後日。

余った素材は全部くれるって言うから断ろうとしたのだけど、みんなからのお礼って言われてしまったら断れないよ…。

せっかくだし、長老様達の集会所もホールにして円卓を設置。椅子は5つ。雰囲気を出しておいた。



集会所をでると、リアとティーが待っててくれた。 (お疲れ様なの!)

ありがとねティー。 (♪)

「アスカ! 魔力は大丈夫?」

「うん、全然余裕だよ」

「よかったわ! フィアも起きたから行きましょ」


お昼寝から起きたフィアは元気いっぱい。

駆け回るし、コケるし、汚れるし…これはお母さんって大変だぁ…。

魔道具を渡したいけど、小さな子だからなぁ。デザインに悩む。


悩んだ末、リアにも相談してチョーカーが一番いいんじゃないかって結論に。

腕輪や、指輪は外しちゃったりしそうだし、ネックレスはチェーンが危ない。

「でもいいの?チョーカーで揉めたけど…」

「大丈夫よ。ただ可愛くしてあげてね?」

「もちろんだよ」

いつも通りの三点セットに、全身の浄化機能。

後は発信器。リアの指輪、それにルナシアさんに渡す指輪にもフィアの居場所がわかるようにした。いわゆるGPS機能だね。私は魔力が繋がってるうちは居場所はわかるから必要ない。


この子、めちゃくちゃアクティブだなんだもの。

突然ドラゴン姿になって飛んでった時は、慌てたリアがドラゴンハーフ化して追いかけて捕まえた。

ダメな事を教えてあげれば繰り返さない賢い子ではあるけど、次に何をするか予想がつかない。


紫の魔石に術式を刻む。私の使う魔刻刀を興味深げに見てたフィアだけど、すぐに飽きて走り回りだした。

「リア、目を離さないでね」 (ティーも見とくの!)

おねがいね。多分ティーが最後の砦だし。 (任せて!)

「…当然よ。それにしても元気すぎるわ…」


完成したのはリアと同じデザインで、紫の魔石を嵌めた、すみれ色のベルトのチョーカー。

今回は、瞳の色に合わせてみた。大きくなったらまた違うのを作ってあげてもいい。

ルナシアさんに渡す指輪は、フィアと同じ紫の魔石をあしらったシンプルなリング。

こっちにも当然三点セットはつけてある。


「フィア、プレゼントがあるからおいで」

「ぷれぜんと?」

ダッシュで戻ってきたフィアに見せてから、つけてあげる。

「かわいいー?」

「うん、かわいいよ」

「フィア、見て?私のとお揃いなのよ!」

「りあおねえちゃんといっしょ! ありがとうおねえちゃん!」

「どういたしまして」

大喜びでまた走り去った。


「リア、どう?」

「バッチリよ。居場所がはっきりわかるわ。これで安心よ…本当に気が気じゃなかったから」


後はルナシアさんにも説明して渡さないとね。









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