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召喚被害者の日常は常識なんかじゃ語れない  作者: 狐のボタン
第四章

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中途半端ならやらないほうがマシ



“お姉ちゃん、大変なの! お義母さんが!“

「落ち着いて未亜、ゆっくり話して」


未亜から話を聞くうちにどんどん頭が痛くなる。実際に痛いわけではないけど気分的に。

お屋敷で訓練をする。って言っていたはずの父さんの魔力を母さんが街中で察知。

下手な隠蔽をしようとしていたらしく、それがまた疑いを強める事になって、母さんは探しに行った。

未亜達も慌てて後を追って…たどり着いた場所は…。


”なんていうか…未成年お断りって感じのいかがわしいお店の並ぶエリアで、お義母さんがブチギレたみたい。すごい音がして騒ぎになってる“

「…そう。ユウキは?」

”お義母さんを止めに行ったんだけど…間に合わなかったんだと思う“

「未亜達は大丈夫?」

”うん、ユウキ君にこのエリアには入らないようにって言われたから、シエルちゃんとレウィーちゃんとエリアの外で待ってる“

「そう。わかったよ。絶対に中へは入らないようにね」

”わかったよ。 でもどうしよう…“

おそらくそういったエリアには、専属の自衛組織がある。

下手に首を突っ込むと、裏の世界へケンカを売ることになりかねない。

どうしたものか…。

すでに首を突っ込んてしまっていると仮定して…。


それでもユウキがいるのなら、なんとかするだろうから任せるのもありだろうけど。 (ママ詳しいの)

あぁ、以前違う世界でユウキと街にいる時に絡まれて、返り討ちにしたらそっちの世界の人間でね?付け狙われる羽目になって面倒くさいから、徹底的に潰して回ったんだよ。

最終的に街の裏組織を壊滅させたのよ。 (ママ達やべーの)

いや、これはどちらかというとユウキが主体だよ? (え?)

ユウキ、そういうの許せないタチだからね。 (勧善懲悪…)

また難しい言葉を…。 そこまで極端ではないよ。ユウキは割と柔軟に判断するから。 (ママは…?)

うーん…。返事に困るけど。 


私の主観で言うなら、そういう組織が無いのもそれはそれで中途半端な悪人が出てくるんだよ。

抑えが無くなったことで、加減を知らないバカが増える事もあり得るから。 (ママは清濁合わせ呑むの?)

本当に難しい言葉を知ってるね?でもそこまでは言わないよ。許せない事もあるし。 (たとえばー?)

一般人の女、子供をさらったりする様なら躊躇わずに潰すよ。 (仕事人なの…)


棲み分けって大切なんだよ。裏には裏のルールがあるから。

堅気に手を出さないのならこっちも手を出さない。それが大事。 (難しいの…)

そうだね。悪っていうのも一括にはできないから。 (必要悪?)

それそれ。 街っていう大きな所は、そういう物によって守られている部分も少なからずはあるからね。

表の組織だけでは全部を掌握なんてできないよ。できたら理想的なんだろうけどね。



”お姉ちゃん! どうするの?“

「ごめん、考えてた。 えっと、ユウキに任せておけば大丈夫よ」

”いいの?それで…”

「うん。ユウキなら問題ないから。未亜達は屋敷へ帰れる?」

“うん、道はわかるし、レウィちゃんもいるから大丈夫”

「ならユウキに任せて帰っておきなさい。巻き込まれないように」

“わかったよ! また何かあったら連絡するね”

「うん。気をつけて帰るのよ」


はぁ〜何してんのよ父さん…。

まだ懲りてないのかな? (ママのママが言ってたー美人に弱いって)

言ってたね…。 というか、母さん達が街へ行くのわかっててなんで行くかな。 (隠蔽してたから…)

それでイケると思うのは浅はかだよ。母さんドラゴンハーフなのに。

いや、でも…その割に地球にいた時、私やユウキの魔力に気がついてなかったな…。

ステータスの偽装はしてたけど、そのせい? (ポンコツなだけかも)

何だろうなぁ。その単語は私にダメージが…。 (ぷぷっ)

ティーもその私の子なんだからね? (はっ…ティーにもダメージが……?ないよ?)

ないんかい!


ま、まぁ、それはいいとして。

父さんもせめて行くなら絶対バレないようにしてくれないかな…。 (止めはしないの?)

聞かなそうじゃない? (たしかにー。 あ、ママーファミリン!)

ユウキから呼び出しだね。終わったかな?


「ユウキ、母さんの事は片がついたの?」

“それどころじゃないよ!“

「え?」

”この国は、ああいうエリアも合法で王国の管轄らしくてさ、暴れた母さんが騎士に連行された!“

「はぁ!? 父さんは?」

”一般客の被害者って扱いで事情聴取されるみたい“

「王国の管轄ならアキナさんに頼むしかないでしょ…」

“やっぱそうなるよなぁ… あれ?待っててもらってた筈の未亜姉ちゃん達がいない!”

「それは大丈夫よ。 念の為、巻き込まれないように屋敷へ帰るように言っておいたから」

”そういう事か…ありがと。最初から待っててもらうより、そうすればよかったね“

「いや、緊急だったんだし仕方ないよ。 ユウキは連絡してきてるくらいだから大丈夫なのよね?」

”当然。出張ってきたのが街の騎士で、裏の組織じゃないってのがわかった時点で手出ししなかったし“

「懸命だよ。 後は、申し訳ないけどアキナさんに頼って。それしか方法がないから」

”了解“

「また何かあったら呼んで。私の手助けが必要ならすぐに行くから」

”わかった。そうならない様にするよ。“


頼もしい限りだよ。

それに比べて、両親は何をしてるのか。

連行されたって…。 (前科者)

全くその通りだよ。 母さんも父さんの事となると大概だよなぁ。 


ま、でも王族関係者って分かれば大丈夫でしょ。アキナさんには迷惑をかけるけど…姉妹なんだし。

やれやれ…。私にトラブルを起こすからとか言っといて、居なくても起こしてるなら世話ないじゃない。 



「アスカ、うちから居なくなってるから探したわよ!」

洞窟から私を探してリアが出てきた。

「ごめんね、未亜からファミリン通信で呼び出しが来てたから」

「そうなの?未亜は何て?」

リアにも一通り説明。


「……バカなの?」

「だと思うよ」

リアの率直な感想が全てだよなぁ。 (的確!)


「アスカのお母様は大丈夫かしら?」

「仮にも女王陛下の姉で、有名な蒼白の巫女らしいからね」

「…そういえばそうよね」

私達は取り敢えず予定通りに過ごす事に。




お昼はリアの実家で、ルナシアさんの手料理を頂いた。

スパイスの効いたワイルドで豪快なステーキは美味しかった。 (食べごたえたっぷり!)

うん。お腹いっぱいだよ。 台所が活用されてて作ったかいがあったね。


午後から、お祖母ちゃんとルナシアさんは、またお話があるみたいだから、私達は外へ。

草原に座って…ティー、リア、フィアにお話を聞かせてあげたり、持ってた本を読んであげたり…。

私の膝でお昼寝する三人を愛でたりと、まったり過ごした。

ユウキ達からは、その後呼び出しはないから大丈夫なんだろう。

女王陛下が動いたなら大丈夫よね。



日が傾き、空が夕焼けに染まる時間。

そろそろ帰らないと。


「おねえちゃんたちはかえっちゃうの…?」

帰り際、フィアのそんなセリフに後ろ髪を引かれる。


「ごめんねフィア、私もできたら傍に居たかったのだけど」

母さん達の事もあるから帰らない訳にはいかない。

「かえっちゃやー」

甘えてくるフィアを抱き上げる。可愛いなぁもう。 (ママは子供好き)

前はそんな自覚はなかったけどね。自分でもびっくりよ。ティーのおかげかな。 (ふふー♪)


「わがままを言っていたら立派なドラゴンにはなれないわね?」

「…がまんする」

お祖母ちゃんにそう言われて俯きながらもそう言うフィア。

「えらいわ。また直ぐに会えるんだから、いい子にしてなさい」

「うん! おばあちゃんもいいこにしててね?」

「ふふっ、そうね。わかったわ」

お祖母ちゃんもフィアが可愛くて仕方ないみたい。嬉しそうに撫ぜてるし。

抱いていたフィアをリアに渡す。 これは…寂しい。


「またいつでもいらしてください」

「ええ。そうさせてもらうわ」

「ルナシアさん、お邪魔しました。 リア、フィアと仲良くね?」

「当然よ! アスカも私がいないからって浮気したら許さないから!」

「ちょっと何言ってるかわからないけど、わかったよ」

浮気って…誰とよ。 (ママのパパみたいに…)

する訳無いよ! 



フィアとリアにハグをして、それを見ていたルナシアさんにもハグをされ…。

怒り出したリア達に見送られて、ドラゴライナ王国のお屋敷へ戻ってきた。


「お祖母ちゃん、今日はありがとう」

「いいのよ。私も久しぶりにドラゴンの集まる里へ行けて楽しかったわ」

そう言いつつもお祖父ちゃんに会いたくて、ソワソワしてるお祖母ちゃんを引き止めるのも申し訳ないから廊下で別れた。

転移地点は二階の空き部屋に設定しておいたから、自室のある一階へ降りる…。

廊下の途中に落ちてるモノが。 何これ…。 (ボロ雑巾?)

そっか、誰? 廊下にこんなの放置するのは。全く。 (多分ママのママ)

…知ってる。このボロ雑巾みたいなの父さんだもんな? せめて自室へ持って帰ってほしいよ。



「姉ちゃん、ティーもおかえり」

「ユウキ、ただいま。 大変だったね」

「ただいまなのー!」

「ホントだよ…。アキナさんのお陰で事無きを得たけど、母さん達は当分この国から帰れないよ」

「どういう事よ…」

次から次へと…。平和な日常はどこへ行ったの!? (これが日常)

全くもってその通りだったね。











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