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召喚被害者の日常は常識なんかじゃ語れない  作者: 狐のボタン
第四章

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ドラゴンの里、再訪



「すごいわね、かなり遠くへ移動したわ」 

「お祖母ちゃんは転移での移動距離を把握できるの?」

「ええ。それくらいはね」

「すごい…」

「さすが伝説のドラゴンなのー」

「格が違うわ…」

「ふふっ。孫達にそう言われると嬉しいわね」

私は全くわからないから…すごいなぁお祖母ちゃん。


「それにしても…誰も出てこないわね?」

「リア、これって…」

「ええ。みんな怯えて洞窟にこもってるわね」

「…失礼ね。ここってそんな弱い個体ばかりなのかしら…」

私は前にも経験したからなぁ…。



「おねーーーちゃーーーーん!」

「ん?」

「フィアだー」

「ちょっとティー、どういう事よ?あの子が私の妹?フィア?」

「そだよー?」

確かに私の魔力が流れていってる…でも…。

銀色の髪をした5歳くらいの女の子なんだけど? (人化できてるの)

早いな! (ママの魔力もらってるし)

そういう理由なの? (それ以外に何があるの?)

……そうね。


「おねえちゃん!」

そう言ってフィアが抱きついたのはリア…では無く私だった。

「やっときてくれたー。はやくみせたかったのに」

「ごめんね、もう人化できたの?凄いね」

「えへへーおねえちゃんのまりょくすごいからー」

この子、瞳も紫色だ…。


「そう、この子が…。確かにすごい魔力ね」

「おねーさんはだあれ?」

「貴女のお姉ちゃんのお祖母ちゃんよ。少し貴女を見せてくれる?」

「うん。おばーちゃん?」

「そうよ。  …可愛いわね」

抱き上げたお祖母ちゃんがしみじみとそう言う。

それは本当にそう思う。めちゃくちゃ可愛い…。 (ママ、リアが…)

え? あっ……。


フィアが抱きついてくる、その予定で手を広げて待っていた…その姿のまま固まってる。

これは…。 (メンタルへのダメージがリミットを超えました。緊急対策をしてください)

どうしよう、本当のお姉ちゃんはリアなのに。 (再起動までに適切な処置をしてください)


私が変わりに抱きついておこう…。 (不適切な処理が行われました)

嘘でしょ!? いつもならこれで何とかなるのに! (暴走までカウントダウン…3、2、1)

「アスカのバカぁ!!」

泣きながら走っていってしまった…どうしよう…。 (ティーもわかんない)

のんきに解説してたのに!? (なんとなく?)

そんなノリで…。緊急事態じゃないの!? (リアなら大丈夫ー?)


はぁ…。どうしたらいいかわからないけど、取り敢えず追いかけよう。

「お祖母ちゃん、ちょっとリアを追いかけるからフィアの事お願い」

「ええ。行ってあげて」

「おねえちゃん?」

「ちょっと待っててね」

「りあおねえちゃんは?」

「ちょっと用事だよ、連れてくるから待っててね」

「あーい!」



魔力でリアの居場所はすぐに見つけた。

リアの自宅洞窟近く、その草原で膝を抱えて泣いてる。

ここって、前に来た時にフレアベルナさんと初めて会った場所か。

「リア…」

「うっ…ぐすっ…アスカなんか嫌いよっ…」

それは、言われても仕方がないのかもだけど、本気で悲しくなるからやめてほしいな…。

「隣、座るね」

リアは背中を向けてしまう。それでも逃げないでいてくれるだけマシかな。

謝る…のはなんか違うよね。それをしたらフィアの気持ちを否定するみたいになるし…。


「リアがそんなだと、本当にお姉ちゃんって呼んでもらえなくなるよ?」

「…っ。お姉ちゃんって呼ばれたアスカには分からないわよ!」

「リアの事も呼んでたし、心配してたよ」

「嘘よ!」

「妹の事、疑うの? 私の事を嫌いって言うのは仕方ないかもしれないけど、フィアの事は疑わないであげてよ」

「違うわ! 疑ってなんて…」

「待ってるよ、フィア。 …リアお姉ちゃんどこいったの?って」

「本当に…?」

「うん。会えばわかるよ。 ここで拗ねてたらわからないけどね」

「そう…わかったわ。でもアスカは嫌いよ!」

「そっか…」

そう言って戻っていくリアを見送る。 

嫌い…かぁ。

大切に思ってる相手に面と向かって言われるのってこんなに…辛いんだ。





リアSide



アスカのバカ…フィアのお姉ちゃんは私なのに! 嫌いよ、アスカなんて…。


…本当にそう?

そんな筈ない…。アスカに嫌いって言う度に心が痛い…。すごく…痛い。

だって…大好きだから。

でも、だからこそ許せなかった。


…それも違う…悔しかっただけ。

わかってるはずなのに。

フィアがあんなに元気なのも、もう人化が出来ているのもアスカのおかげ。

私はお姉ちゃんなのにフィアに何をしてあげた?

何もしていない。アスカが先にお姉ちゃんって言われても当然よね…。なのに…。


私は何もしてないどころか…拗ねて、大切な人へ心無い言葉をぶつけて…。

「私…何してるのかしら。これじゃあ未亜を叱れないわ」

戻らなきゃ。そして謝らなきゃ…。

私の誰よりも大好きな人に。




アスカSide



仲直り、出来るかな…。

でも嫌いって言われちゃったし。もうリアはきっとこの里へ戻るんだろう。

っ…やだよそんなの…。リア…。

「一緒に居たいよ…リア…」

「…私もよ。離れたくないわ」

背後からの声に慌てて振り返る。

「リア!? フィアの所へ行ったんじゃないの?」

「行くわよ。アスカと一緒にね」

「でも…嫌いなんでしょ?」

「ううん、大好きよ。誰よりもね。ごめんなさい…大人気なかったわ」

「リア…」

「アスカ…」

「あーーいた! おねえちゃんたちおそいー。ふぃあがむかえにきてあげたよ!」


「…ふふっ」

「…あははっ」

走ってきたフィアをリアが抱き上げる。

「ごめんね、フィア。待たせちゃったわね」

「ううんー りあおねえちゃん、おかえりー。いなくなっちゃうからしんぱいした!」

「フィア…。ええ! ただいま。 ごめんね、ちょっと大切なものをなくしてしまいそうだったの」

「たいへん!」

「大丈夫よ。もう見つけたから。二度と手放さないわ」

「よかったー!」



「ティー、フィアを連れてきてくれてありがとね」

「うん! 大事な妹だから!」

「お祖母ちゃんは?」

「長老様に挨拶したら、リアのお家へくるって。先に行っててーって」

「そう、わかったよ」

誰も出てこないからお祖母ちゃんから向かったのね。 怯えてそうだけど…長老様達。



「それにしてもフィア、大きくなったわね」

「うん! ひとかできたのーえらいー?」

「偉いわ! 頑張ったわね」

「ふふー りあおねえちゃんにほめられたー」

リアはフィアを抱きかかえて本当に嬉しそう。 (仲直り?)

うん。大丈夫。 (だよねー)

わかってたの? (だってーリアだし)

どういう理屈!? (ママにはちょーっと早いのー)

……。


ティーに未熟者扱いされてしまった…。

でも確かに、私はリアの気持ちをわかってあげてなかったから。

気をつけよう…。 ((先はまだまだ長そうなの…))

なにか言った? (なんでもないのー)


ティーと、フィアを抱いたリアと、リアのお家へ。

ルナシアさんに挨拶しないとね。



「かあ様ー! ただいまー帰ったわよ!」

「…その声はリア? 今行くわ」

洞窟の奥からパタパタと走ってきたのは…ルナシアさん?







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