VS魔王軍?
アキナSide
今回は実験的な部分も大きい46階層からは、チェックも兼ねて進む。
だからちょっと時間がかかっちゃった。
魔獣の強さも、アスカちゃんのくれた魔道具のおかげで強さのバランスを間違えずに配置できている。
罠類も問題なし。 今回はここまでこれるパーティがいるかわからないけど、今後の事も考えるとしっかりしておかないと。
またアスカちゃんに頼んだら引き受けてくれるかな?せめて年に一回だけでもいいから…。
今回、遠征中で参加できなかったAランクパーティが羨ましがるだろうし。
「陛下、レポートはほぼ完成しました。後は50階層です。 それにしてもあの魔道具はすごいですね。魔獣の配置で悩まなくていいのはすごく楽です」
「うんうん。姪っ子には感謝しかないよー」
「さすが陛下の血族ですね」
まぁその通りなんだけど…。 あの子、うちのお母さんと同レベルでヤバいからなぁ。
だからボスを頼んだんだけどね! 楽しみだよ〜!
50階層は1フロアだけの屋上だからかなりの広さがある。
普段は私達の別荘地というか、王族のリゾート地になってて景観は最高。
ここで強い相手との戦いとか燃えるよー!
…とか思ってた数分前の私に忠告したい。浮ついた甘い考えなんて捨てろ! と…。
「陛下…なんですかアレ…」
「私達どこか異空間にでも迷い込んだのでは…?」
「ここ魔王城ですか?」
うん、そう思うよね。 だって…とんでもない光景が目の前に広がってるんだもん。
まずドラゴンですらなく、竜種が浮いてる。単純な戦闘能力ならドラゴン種より高い、魔獣の最高峰。
手懐けるなんてまず不可能なはず…。
左には巨大なグリフォン。あんなサイズ見た事ないんだけど。
右には蒼い炎を纏った…なんだろアレ。フェニックス? それにしては色が違う…。
玉座を模したであろう椅子に座ってるのアスカちゃんだよね?もう魔王じゃん…。
お姉ちゃんから聞いてはいたけど…。目の当たりにすると納得だよ。
というか召喚獣どれだけいるの?
左の子は…知ってる。ドラゴンのルナリアちゃんだよね。アスカちゃんが抱いてるのはティーちゃん。
この二人だけでも相当強いのに…。右の女の人…あれってまさか、サキュバス!?悪魔種の? 嘘でしょ…。
一人でも国が滅ぶ悪魔種!?
「陛下…私達アレと戦うのですか?」
「うん、ごめん…姪っ子を舐めてた。 と言うか、私の言い方が悪かったというか…」
「私帰りたい…もう剣投げて何とかなるマグレなんて起こり得ないです」
確かに好きにしていいって言ったよ。でも、見た目だけで心折りに来るとか…とんでもないよ!
ちょっと交渉しないと。 通じるよね!?本当の魔王戦じゃないんだし。
これじゃあ戦いにすらならないのはもうわかった。一方的に蹂躙される。フロア事…。
アスカSide
「ここは私に任せて。アスカは魔王らしく堂々と座ってて」
リアはそう言って立ち上がり前に進む。 そうはいっても相手は本物の女王様なんだけどね!?
今更だけどこんな見下ろす形にしてよかったのだろうか…。
アキナさん達パーティが魔王の玉座(仮)の元へ到着。
「よく来たわね。ここはラスボス、魔王の間よ! 戦って力を示しなさい!」
「えっと…ごめんねルナリアちゃん。なりきってるところ申し訳ないのだけど交渉はできるかな?」
「えっ? えーっと…待って。 アスカ、どうしよう?」
私は立ち上がって、抱いていたティーを玉座(仮)へ座らせる。
「すみませんアキナさん。雰囲気重視したらこんな事に…」
「それはいいのだけど…流石にこのメンバーと戦うのは無理だから交渉させてもらえる?」
「勿論です。好きにしていいって言われて、私もどうしたらいいか分からなかったので…」
取り敢えず私は高さのある玉座(仮)から降りて、アキナさん達と相談。
「Aランクの私達の戦闘力がーーーくらいだから、Sランクだとーーーくらいかな?」
「陛下、それでは高すぎませんか?ーーーくらいのが…」
「うーん。あまり簡単でもダメだし。 今までいなかったから難しいね…」
「それなら姪子様の戦闘力を基準にしてみては?」
「それはダメだよ! というか無理。 この子測定不能だから」
「なんですかそれぇ…陛下の姪子様怖い…」
とか、ひどいことを言われつつ相談した結果、王国最強のアキナさんを基準にしてさらに上乗せ。
しかもドラゴン姿での数値に〜だから億を軽く超える戦闘力って事になる。
ティーの戦闘力を超える数値。
敢えて高く設定したのはアキナさんの判断。今回はテストを兼ねてるからその方が良いのだとか。
「アスカちゃん、基準値は決めたけど…あの子達って細かい事を把握できる?」
「はい、問題ないです。 しっかり指示は理解してくれますから」 (みんな賢いの!)
だね。頼りになる子達だから。
「そう? それならいいねー。少し希望が見えたよ!」
「それでも私は見た目でもう…」
「しっかりしなさい! ある意味この先を決める大切なテストケースでもあるんだから。 私達がしっかりしないと」
「そう…ですね。 頑張ります!」
アキナさんの一声でみんなしっかり纏まるのはさすがAランクパーティ。
私もみんなへ説明しないと。
基準の戦闘力から、加減する度合いを伝える。
「ますたぁ、それだと私一人でもカタがついてしまうわ〜」
「みんながちゃんと加減しなぎゃだめだよ?」
「は〜い。ラムネ達は特に慎重にね〜?ますたぁの指示なんだから」
みんな理解した上で当たり前のように了承してくれる。 (さすがー!)
「私も当然アスカの指示に従うわよ! ね?ティー」
「当たり前なの!」
「ありがとうみんな。それじゃあよろしくね! 作戦は最初の通り、力加減だけ変更って事で!」
「「はーい」」
「任せて〜」
クッキーは上空へ、ラムネは湖へそれぞれ移動。
私を守るようにチョコが正面に。
「アスカはギリギリまで座ってていいわ」
「うん! ママはまおーなんだから!」
それでいいのか?と思いつつみんな楽しそうだし任せよう。 (うんっ任せて)
変な形で仕切り直しになったけど、いよいよSランクをかけた最終決戦。
私は魔王の玉座(仮)から見守ることになりそうだけど。




