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召喚被害者の日常は常識なんかじゃ語れない  作者: 狐のボタン
第四章

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アスカ敗れる



45階層ボス部屋。


扉が開き入ってきたのは、母さんを先頭に左右にユウキと父さん。


「ようこそ45階層へ。ここの突破条件は、2分後に全員が意識を保ち立っていること、もう一つは私へ一撃でいいので入れてください。どちらか片方の条件が達成できたら証をお渡しします」


「覚悟しなさい! アスカ!」

母さんは鼻息荒く戦う気まんまんだけど、ユウキはメンタル的に疲れた顔してるな。

父さんは文字通り疲れ切ってる。大丈夫なの? (ママの威圧だけで倒れそう…)

まぁ、母さんがいるからなんとかするでしょ。 (かなぁ?)


部屋中へ威圧をのせた魔力を飛ばす。

「くっ…姉ちゃんそれはないって…!」

「うっ…これくらいなら私だって耐えられる!」

「………」

バタッ…。 (倒れたよ?)

やれやれ…。


「この環境で2分間、凌いでください。 気絶したままだと攻撃を当てなきゃ失格ですよ?」

今回はティーがいるからね、近接だけ任せるよ。私は動かずに魔法だけ使うから。 (あい!)

私とティーで規定の戦闘力になるよう配分する。 


ティーはユウキへと斬りかかる。

私は母さんへ氷の槍を飛ばす。

ドラゴンハーフへ姿を変えた母さんはそれを躱して飛び回る。


「ちょ…マジかよ! 姉ちゃんの威圧で身体強化しても体が重い!」

ユウキはティーの攻撃を何とか凌いではいるけど、完全に押されてる。


母さんはアキナさんみたいにできないのかな? 仕方ない…怒らせちゃうだろうけど。

私の魔法を避けながら飛び回る母さんをそのまま牽制しつつ、倒れて起きない父さんへファイアボールを飛ばす。勿論加減はしたけど…

「夕夜!」

当然気がついた母さんはそっちへ飛ぶ。

自身の身体に私の魔法が当たるのも構わずに…。


「…アスカ!」

「なんでしょう? これは試験ですよ? 倒れた仲間を放置する方に責任があると思いますが」

「…卑怯だよ!」

「……」

「母さん、姉ちゃんが正しいって! 実際のボスが倒れた相手を見逃すわけない! 放置した僕らが悪い! くっ! このままじゃ…」

ティーと斬り結びながらもユウキはちゃんと理解してる。


私が放つ魔法から自分と父さんを守らなきゃいけなくて、その場から動けなくなる母さん。

早く気が付かないとジリ貧だけど…。どうするのかな。


「母さんはっ! 姉ちゃんみたいに威圧とか使えないのかよ! しまっ…かはっ!」

話してたせいでティーの攻撃を凌ぎきれず弾き飛ばされ、転がるユウキ。 


「そんなこと言っても! …飛んでくる魔法を落とすだけで精一杯だよ!」

あと一分か…。ユウキもここまでかなぁ。 (ママが冷たい!)

一応試験のボスだからね。 (さすがなの!)


転がったユウキへ追撃するティー。

それを躱して母さんの元へ走る。何するんだろ? (うーん?)

母さんの横へユウキが並んだせいで、そこへティーの攻撃と私の魔法が集中する事になる。

当然私がティーへ誤爆なんてありえない。 (うんうん)


あー父さんを起こしたいのか。ユウキが蹴って父さんを起こそうとしてるけど、そもそもこの威圧の中で父さんが起きて動けるとは思えない。

可能性があるとしたら母さんが威圧を相殺するか、味方へ支援魔法をかけられるかだけど…。


「母さん! なんとかならない? ぐっ…くそっ! 巫女なんでしょ!」

「……」

おっ…。 (わくわく)


母さんはユウキと自分へ支援魔法をかけたな。

「ありがと! 軽くなった!」 (うわっ! ユウキ強くなった!)

ユウキからティーへの攻撃が苛烈になった。 (すごい。戦闘力跳ね上がってる!)

ただアキナさんのように威圧を相殺したりはできないみたいね。 (うん、でも強化はすごいの!)



母さんが突っ込んでくる。私が動かない事に気がついたかな?

父さんへの射線は母さんで遮られてる。 それでも別に撃てるけど、たぶんユウキが動くよね?

「母さん!? 姉ちゃん相手にそれは…」

ユウキは父さんを守れる位置へ移動。 だよね…。 (さすがなのー)

まぁユウキだしなぁ。私なら父さんへこの状況でも魔法を当てられるのをわかってるよね。


真っ直ぐ突っ込んでくる母さんへ氷の槍を飛ばし続ける。

母さんはそれを最小限だけ叩き落として更に加速。

一応、私自身に魔法防壁は張ってるけど、あくまでもこの階層の戦闘力レベルでだから…。 


魔法防壁は母さんの拳で砕けて、そのまま私の顔へ拳がはいる。 (ママ!)


耐性があるから痛くはないけど…派手にぶっ飛ばされたなぁ。 (キレイにぶっ飛んだの)

部屋の真ん中から端まで飛ばされたもんね。 母さんガチじゃん…。


「嘘だろ…姉ちゃんが、殴り飛ばされた…?」

「合格なのー残り32秒だったの」

「っ、アスカ! 大丈…はぁ!?」

自分で殴り飛ばしておいて、駆け寄ってきた母さんが何故かびっくりしてる。


「45階層突破おめでとうございます。これでAランクですね」

室内の威圧も解除する。

「びっくりした。まぁ姉ちゃんがケガはしないか…」

「どういう事…?確かに手応えがあったよ!」

「母さん、姉ちゃんは耐性があるから、怪我なんてしないって。母さんが殴れたのだってここの階層に合わせて姉ちゃんが加減してるからだよ」

「なにそれ!」

ユウキはここまで何度もボス戦してるもんね。ちゃんと理解してるわ。

飛び入りした母さんはイマイチ納得できてないみたい。

ボス役してたよね!?ちゃんとやってたのか不安になってきた…。



金色の証をユウキと母さんへ手渡す。

「ありがと姉ちゃん。 これでAランクかぁ」

「おめでとうユウキ。こっちはその転がってる人の分ね」

「貰えるの?」

「私へ攻撃が当てられたのならパーティとして合格だからね」

「なるほど! 母さんナイス!」

「…納得いかない! 説明してよアスカ!」

駄々をこねだした母さんへ説明。



「てことは、アスカの魔法防壁を私が破れたのは、この階層に合わせてあるから?」

「そう。母さんじゃ姉ちゃんの本気の魔法防壁を破れる訳が無いよ」

「…アスカ試したいから魔法防壁だして」

「ヤダよ。知りたかったら50階層へ来て。そこでなら好きにしていいってアキナさんに言われてるし」

「マジかよ…Sランクなんて不可能じゃん…」

「わかったよ、じゃあ行くから待ってて! ユウキ、行くよ!」

「待ってよ母さん。父さん持ってかないと…」

「そうだったよ〜」

母さんは父さんを抱き起こして私の知らない魔法を使ってる。

巫女の魔法なのかな? 


それにしても忘れられてる父さん可哀想なんだけど。 (あははっ!)

お祖母ちゃんが言ってた、母さんが抜けてるって言うのを目の当たりにしたね…。 (ママもだよ?)

うぐっ…。反論できねぇ… (口調!)

うぅ…。たまにだから許してよ。 (ダメなのー)

厳しいなぁ。


目を覚ました父さんを連れてユウキ達は更に上へ登っていった。









誤字報告ありがとうございました。

大変助かります!

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