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召喚被害者の日常は常識なんかじゃ語れない  作者: 狐のボタン
第四章

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戦うティー



「みんな行くよ!」

アキナさんのその声に力をもらったかの様に他の三人も動き出す。 

やっぱり… (ほんとだ!)

でしょ?アキナさんはドラゴンだし、魔力も高いから同じような威圧は当然使えるはず。

そうなると、私の威圧から仲間を守るなり、ある程度の相殺はしてくるとは思ったんだよ。 (なるほどー)


後ろで立ってるだけの私を守るように、前に立ちふさがるティー。

小さいのに頼もしい背中だよ。 (まかせて!)


その言葉通り、私への魔法攻撃はことごとくティーが聖剣で叩き落とし、接近しようとする前衛二人へも魔法で牽制。

「これでは…近づけませんっ!」

「諦めないで! 絶対スキはできるから! 魔法組は撃ち続けて!」

「「はいっ!」」


ティーは魔法防壁も使い、魔法を無効化しつつ前衛へ斬りつけては足止めを繰り返す。

トリッキーな動きをするティーにみんなが翻弄されてはいるけど…

それでもジリジリと前線は下がる。 (流石にママを守りながら四人はキツイの!!)

私へ向かって放たれる魔法も気にしつつ、前衛の二人を止めてるんだから当たり前だよね…。


ごめんね、思った以上にこの威圧の中でも全員が動けてるのは流石だよなぁ。

王国最強と言われるのも納得。 (感心してる場合じゃないのー!!)


ティーの叫び声が頭に響いたとほぼ同時、前衛エルフの投げた短剣が私の左腕をかすめた。 (よけなかったの!?へーき?) 

うん。見えてたけど、避けなかったのは動かないって決めてたからね。それを見破ってほしかったのよ。

それにケガはしないから大丈夫よ。 (よかった…)


「そこまで! お見事です」

威圧を止めて戦闘も終わる。 (あ〜ぁ…ママを守れなかったの…)

落ち込まなくていいよティー。初めから通過するのは間違いなかったんだから。 (むーでも悔しいの!)

ふふっ、ありがとね。 戦うティーは凄くかっこよかったよ。 (わぁい♪ママに褒められたー!)


時間にして1分と少し…。動き回ってたティーよりアキナさん達のが疲弊してるのは、威圧の中で動き続けてたからだろう。


「ど、どうなったの!?」

「多分、私が投げた剣があたったみたい…」

「よくあの中で投げられたね?」

「もうがむしゃらでした。何とか一矢報いたくて…」

「良くやったよー!」

アキナさんはエルフの女性を抱きしめてる。

本人も照れてるけど嬉しそう。


「みんなありがとう、よくがんばったよ!」

「「「はいっ!」」」


「Aランク、おめでとうございます」

「ありがとう! アスカちゃん、ケガは?」

「大丈夫です。剣はお返ししますね」

「そう?ならいいけど…。 ありがと! 明日はいよいよSランクかぁ。召喚獣楽しみにしてるね?」

「わかりました。次は50階層でお会いしましょう」

「うん! 楽しみだよー」

アキナさんはワクワクしてるけど…。他の人たちは召喚獣って聞いてびっくりしてる。


「陛下! 召喚獣って聞こえましたよ!?」

「嘘でしょ…」

アキナさん達も今日はここ迄にするらしく騒ぎながら転送されていった。



「ちょうど終了の時間も近いし、私達も戻ろう?ティー」

「はーい」

駆け寄ってきたティーを抱き上げて私達も待機部屋へ戻る。



二日目の試験も終了。

みんなと合流してのんびりお屋敷へ帰る。

父さん達を迎えに行った母さんとは別れたけど。


全員、大した怪我もなく、二日目も終わる事ができた。 (ママのパパは?壁に刺さってたけど…)

…あれは自業自得だから知らないよ! (そうだね!)

自分が散々セクハラした相手が娘だと分かった時どんな顔をするんだろうね? (ウケる)

懲りてくれたらいいけど…。 (無理そう?)

だよなぁ。まったく…。


お屋敷では今日もメイドさん達がごちそうを作ってくれていた。

一緒に夕食を食べようと母さん達の帰りを待ってるのだけど中々戻らない。

ティーやリアが待ちきれなくてソワソワしてる。

「お腹空いたわ! 今日、頑張ったのにお預けは酷いわよ…」

「ママぁ…お腹空いたのー」

「わぅ…」

ションボリしてるレウィからお預けされてる犬感がすごい。

みんなが可哀想だから早く帰ってきてほしいのだけど…。


「まったく…何してるのかしら。みんな先に食べていいわよ。どうせ寄り道でもしてるんでしょ」

「仲がいいのはいい事だよ。 小さい子を待たせるのは忍びないし食べようか」

お祖母ちゃんとお祖父ちゃんがそう言ってくれたから、みんな食べ始める。

だけど…お祖父ちゃんに小さい子って言われたリアは複雑な顔をしてる。無理もないよね…。


お祖母ちゃん達は、私のあげた魔道具を付けてくれて街を散歩したりしてたらしい。

久々に人の街を歩けたってお祖父ちゃんは嬉しそうに色々と話してくれた。

魔道具が役にたって私も嬉しいよ。



しばらくしてユウキは一人で帰って来たんだけど、何故か私だけ腕を掴まれてテラスへ連行された。

ご飯食べてたのに…。


「姉ちゃん、どういう事!? あのメイドって姉ちゃんだったの?」

あぁ…その話か。もうバレてもいいんだけどね。

「よくわかったね?」

「…母さんに聞いたから。そのせいで父さんは母さんに引きずられていったよ」

「私のせい!?」

「違うけど! なんで姿を変えてたのさ」

「毎回同じ姿だと戦う相手もつまらないかな?って思って…」

「それにしたってなんでメイド…」

「衣装に関しての苦情は、私じゃなくてリアに言ってね?」

「あぁ…。 姉ちゃんもいい加減、嫌なら嫌って言えばいいのに」

「時間もなかったからね…」

「…他にもなんか理由がありそうだね?」

ユウキには今までノアの話をしたことが無かった。いい機会だから話して聞かせる事に。


ーーーーーーー

ーーーー

ーー


「そっか…そんな事が」

「…うん」

「他の人達は?側近の人とか…」

「…わからない。 ファリス、ロウと時期魔王への継承の儀式を終わらせた後に、私は地球へ戻されたからね」

「それなら会いに行かないとだね」

「え?」

「だって、この世界にいるんでしょ?」

「本人がいるかもわからないし、私も姿が変わってるから…」

「魔力の多い魔族なら、まだ元気でいるかもしれないじゃないか。それに、姉ちゃんの魔力でわかるんじゃない?」

「そうだけど…どんな顔して会いにいけるのよ…」

ファリスとロウは多分、時期魔王を作った後に私が送還されるのをわかっていたのだろう。

召喚したのもあの二人なんだから…。 消える直前に二人にありがとうって言われたのを覚えてる。

ファリスは泣いてたっけ…。

それに…ファリスとロウがこっちに居たのなら偽魔王なんかに好き勝手させる訳がない。


「別に難しく考えず、会えたら久しぶり! って言えばいいんじゃない?」

「…考えておくよ」

今はまだ気持ちの準備ができてない。知ってる子がいてもいなくても…。どちらにしても辛いから。


「…タイミングは任せるけどさ。行かないって選択肢は無いと思うけどね」

「そう…だね」


一度よく考えてみよう。


それに今は試験の真っ最中で、やらなきゃいけない事がある。

それが終わったらゆっくり考えてみようかな…。


明日はいよいよ試験最終日。

45階層へユウキや王妃様達が来るのが先か、アキナさん達が50階層へたどり着くのが先か…。








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