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召喚被害者の日常は常識なんかじゃ語れない  作者: 狐のボタン
第四章

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VS戦闘メイド



ユウキSide



35階層を越えてから罠は減った。 楽になるかと思うかもだけど、魔獣対策に利用できない訳で…。

更に魔獣が凶悪になったのもあって疲弊する。

よくこれだけ集めてきたと感心するレベル。この国の冒険者のレベルが高いって言うのは間違いないな。


アイテムなど薬類の持ち込みは許されてるから問題はないけど、精神的にくるものがある。

まともに相手をしていたら保たないと判断して、避けれる戦闘は避けつつ40階層のボス部屋前。

「はぁ…くったびれたぜ…。戦っても逃げても疲れるよな」

「ダメージを受けない分、逃げたほうがマシじゃない?」

「そうなんだけどよ…。 はぁ、ちょっと休ませてくれ」

「うん、僕も流石に休まないと…」

この先はおそらく、姉ちゃんがいるはず。 魔力は一切感じないんだけど…多分魔道具で細工したな?

あの姉ちゃんならそれくらいやるだろう。

つくづく規格外だよな。



しばらく休んだ後、気合を入れて扉を開けた。


「ようこそ40階層へ。 突破条件は、5分たっても意識を失わず立っている事、もしくは私に一撃でも入れる事が出来たなら、証をお渡しいたします」

「え?誰!? メイド?」

「うおっ、めっちゃ美人じゃねぇか!」

いやそこじゃないんだって父さん。ほんっと懲りないな…。また母さんにシメられても知らないからね?


「用意はよろしいでしょうか?」

「は、はい!」

「おう! 覚悟してもらおうか」

父さんがニヤニヤしてて、メイドさんがあからさまに嫌そうな顔してる。


「父さん、ちゃんと連携するんだからね」

「へへっ。そうだな。任せろ」

本当に大丈夫かよ…。


メイドさんが父さんへ、短剣を投げつけた。イラッてしたんだろうなぁ…。

父さんは慌てて剣で弾いたけど、同じ軌道で更に二本、短剣が飛んできてて、父さんは脇腹に怪我をした。

初めから致命傷は狙ってなかったな、あのメイドさん。 

うますぎるだろ…なんだよあの投げ短剣。真正面にいる父さんからは一本に見えただろうなぁ。


そんな分析をしつつもメイドさんへ踏み込み斬りつける。

ガキンッ! 硬い衝撃に腕がしびれる。 

ストレージ持ちかよ! 持ってなかったはずの剣で防がれて弾き飛ばされ、転がった。

起き上がろうとするところへ短剣が飛んでくる。マジかよっ!


弾いたら父さんと同じになりそうだから転がって避ける。

カカッカカッ…。

あっぶねぇ…。合計4本?同じ軌道で飛んでくるとか…。 何者だよあのメイドさん。


父さんも必死に斬りつけてはいるけど完全にあしらわれてる。

援護しないと…。 死角へ回り、一足飛び。このまま一撃いれれば…ってうぉぉ!

踏み込んだ先には、もう一本の剣がこっちに真っ直ぐ向けられてて危うく自分から刺さりに行くところだった。


二刀流かよ! 死角だったはずだよな? これは…下手に突っ込むのは悪手だな。

それなら…。 走りながらさっきメイドさんが投げた短剣を拾い集める。


近づけないのなら、こっちも投げればいい。 わざわざ武器もくれてるんだから。

まずは一本。狙いやすい身体を狙う。 父さんが攻撃して気を引いてくれてる今なら…。


…ウッソだろ。素手でキャッチされたんだけど…。 まぐれか?

いや、もう一度投げてみたらわかるか。

チラッとこっち見たからバレてるよなぁ。


僕がもう一度投げた短剣は、さっきメイドさんがキャッチした短剣を投げ返されて空中でぶつかり落とされた。

父さんと戦いながらだよ? マジかよ…。姉ちゃん以外にもヤバいのいた!


「父さん、真正面からじゃ絶対勝てない! 搦手でいくよ」

「っ…そんな余裕は……かはっ!」

僕が話しかけたせいでスキのできた父さんはメイドさんに蹴り飛ばされた。

「父さん! 大丈夫!?」

「…あぁ。 黒か…いい趣味だぜ」

またいらん事を言う! 明らかにイラってしたメイドさんに一瞬で間合いを詰められ、殴り飛ばされた父さんは地面を転がる。


「父さん?」

「……」

「父さん! 起きろって!」

走り回りながら父さんへ声をかけるが反応がない。

気を失ってるであろう父さんへ追撃しないのはメイドさんの温情としか思えない。


「…残り1分と少し。棄権しますか? それともまだ頑張ります?」

まだそんなにあるのかよ! 取り敢えず父さんが起きないのなら僕が一撃入れないと。


フェイントをかけつつ、壁も使い走り回る。

スキを、スキを見つけないと…。  って…ねぇよそんなもの! 


ただ立ってるだけなのに、打ち込めるスキが一切ない。

どうする?このまま父さんが起きなかったら失格だ…。

ん、あれ…? 父さん起きた? もぞもぞと這って移動してる。 まさか…。そんな搦手は求めてない!

メイドさんの足元へ移動した父さんは…まぁバレるよなぁ。

スカートをめくろうとして父さんは思い切り踏みつけられた。

でもおかげでスキができた! 一瞬だけど…。 持ってた短剣をメイドさんへ。

頼む…! 当たってくれ…!


ーーーーーーー 

ーーーー

ーー

結局投げた短剣は当たり前のようにキャッチされた。

でも父さんは起きたから! セーフだよな?


「セクハラと素行不良で失格です」

「………父さんの馬鹿野郎!!」

「すまん…」

「…と言いたいところですが、戦いの場でなんとかスキを作ろうとした、と言う事ならやむを得ませんね。

褒められた手段ではありませんが…。戦いの場にスカートで来た私にも落ち度はありますから」

「ありがとうございます!」

「すまない。感謝する。 でも、その長さのタイツを履くならガーターもつけないとダメだぜ?」

「っ…!」

見えない速度でメイドさんにぶん殴られた父さんは吹っ飛んで壁にめり込んだ。

ほんと一言多いんだよ…。


「…貴方へ証を渡しておきます。次はありませんからね?」

「はい! よく言い聞かせておきます」


父さんを壁から引っ張り出し、今日はここまで。

1階層へ戻る。明日は41階層から。 それにしても誰だったんだ?あのメイドさん。

魔法は使えないみたいだったし…。 そもそも魔力が一切なかった。

それであの強さとか…。姉ちゃんとお祖母ちゃん以外にもヤバい人っているんだな…。





アスカSide



あのバカ! 娘にどれだけセクハラしたら気が済むの? (気がついてないから…)

そうだけど! 娘じゃなくても問題だよ! (ならなんで通過させたのー?)

…頑張ってるユウキが可哀想じゃない。 (ママは甘い…チョコレートより甘い)

それに、スキを作るためだったのなら仕方ないかな?って…。ムカつくけど。 (お仕置き?)

壁にめり込ませたからもういいよ。 (やっぱり甘いのー)

だって、メンバーにマトモな人がいたら今までも通してたみたいだし? (そういうことにしとくのー)

まぁ、一応評価には書いておくから。母さんにバレてシメられたらいいんだよ。 (うんっ!)     


さて、次は誰かなぁ…。







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― 新着の感想 ―
思い出のある唯一看取った家族の姿に対してのセクハラなのにお優しい…… さすが魔王様でございます!!
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