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召喚被害者の日常は常識なんかじゃ語れない  作者: 狐のボタン
第四章

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30階層 35階層



ユウキSide



30階層、ボス部屋。

多分だけど、ルナリアあたりが待ち構えてる気がする。


「父さん、気を抜かないようにね、多分相手はドラゴンだから」

「はぁ!?まだ30階層だぞ?」

「うん、でも多分あたってると思う」

「マジかよ…」

下手したら仲のいいティーが一緒にいる。


下の階層ではティーがかなり加減してたけど…あの時よりは手強いと思わないと…。

扉を開けると、とんでもない格好をしたルナリアと、相変わらずぽやーっとしたティーが待ち構えてた。


「おいおい…なんて格好してるんだ。風邪引くぞ?」

そういう問題じゃないと思うんだけどな。


「うるさいわね。 私は魔王軍幹部、ルナドラゴンのルナリアよ! 簡単にここを抜けられるとは思わないことね」

「でもー戦力は充分なのー」

「ティー、それは関係ないの! ちゃんと幹部として戦いなさい」

「はーい。 かんたんに抜けられると思うなよー?」

…気が抜ける。こんなゆるい魔王軍があってたまるかよ。

いや、強さで言うなら今まで倒してきたどの魔王軍より遥かにヤバい…。


二人のやり取りで油断を誘う気か?

「おーそうか! 俺は勇者だからな?魔王軍なら潰させてもらうぜ」

ノリノリかよ父さん。

「油断しないでよ?」

「当たり前だ…ユウキ、いくぞ」

「わかったよ」


今回はティー達のが早く僕らを囲むように動く。

周囲を回りながら魔法の十字砲火かよ! 飛んでくる氷や炎を避けたり切り落としたり…。

まだ相殺できるほどの魔法は僕には使えない。

「くっ…スキがないぞ! どうする?」

「取り敢えず崩すしかないから、離れるよ!」

このままじゃ、じりじりと削られてしまう。それなら…。


ティーに的を絞って、多少の魔法を食らう覚悟で飛び込む様に斬りつける。

「おー。いい判断ー」

そう言いながらあっさりかわされる。

「でもいいのー?あっちー」

「大丈夫だよ! 父さんなら凌ぐから」

背中を任せると決めたんだから信じる。


「二人とも合格なのー。連携も信頼もばっちしー」

「そうね。加減してるとはいえ、あの十字砲火をよく凌いだわね」

そういう事か…。 本当に試されてるんだな。

ピンチの状態でのとっさの判断力、パーティーの信頼関係は良好か。それらが一発でわかると。

やってくれるね全く…。


姉ちゃんが近くにいる気がするのだけど、魔力も気配もない。

おっかしいなぁ。あの魔力ならわかると思ってたんだけど…。

まぁいいや。どうせ戦うことになるんだから。

ルナリアが”魔王軍”って言った時点で姉ちゃんがいる事は確定した。迂闊すぎるよな…。



証を受け取り、ルナリア、ティーと別れ更に上層へ。

今日中に40階層はこえておきたい。



配置されてる魔獣の強さが上がってるし、罠が凶悪になってる。

一度なんて、父さんが魔獣に追いかけられて逃げてる時に、魔獣が罠を踏んだ。

まさかの一発アウトで消えていった。

「助かったが、何だったんだ?」

「多分即死級の罠、かかったら終わりだね」

「…マジか。 ナツハの妹は鬼かよ」

「いや、実際罠なんてかかったら、本来はアウトなんだし、気をつけろってことでしょ」

「そうだけどよ…」



罠をかいくぐり、時には利用して…35階層。ボス部屋前。

「はぁ…疲れた。少し休憩しようぜユウキ」

「うん、このままボス戦はちょっとしんどいね」

ボス部屋前で休憩と軽い昼食。


30分ほど休んだところで、アキナさんが三人の女性を引き連れて到着。

「あれ?まだここにいたの?」

「はい、お昼休憩です。 お先にどうぞ。まだもう少し休みたいので」

父さんがまだ休みたそうだし…。無理させたくない。


「そう?なら遠慮なくー。 じきにセルナたちも来ると思うから。私達は追い抜いてきたんだよ!」

「わかりました」

一瞬セルナが誰の事かわからなかったけど、王妃様か。無事みたいで何より。

ボス部屋へ入っていくアキナさん達を見送る。

待ってる間に父さんも休めるだろう。



「ふぅ、ようやく一息ついた。魔力も回復したし、そろそろ行けるぞ」

「わかったよ」

更に30分ほど休んだところで、ボス部屋へ。



「待ってたのー。ここを通過したかったら力を示して」

「ティー…。 今回は一人?」

「うん! だからちょっと本気出すのー」

そう言ってティーはマジックバッグから剣を取り出す。

あれって姉ちゃんの聖剣! マジかよ!

と言うかティーになんて剣を持たせてるんだよ、姉ちゃん!!


自分の背丈より長い聖剣を片手で軽々と振り回しててどう思ったらいいのか…。

「ママに借りてきた! いっくよー」

そう言ってティーが僕へ向かって魔法を放つ。

慌てて躱した先に、すでに待ち構えてたティーに斬りかかられて…

「くっ…重っ。 その体で何でこんな剣戟が重いんだよ!」

なんとか受け止めはしたけど、反動で随分と距離があいてしまった。


「ふふーん」

距離があけば当然魔法が飛んでくる。

父さんは…大丈夫なのか?

飛んでくる魔法の合間に、居場所を探したらティーと斬り結んでた。

ティーは父さんの相手をしつつこっちを牽制してるのか…。

これがちょっと本気を出したティー…。


飛んでくる魔法を躱しつつ、なんとか接近。

父さんの援護に回る。


「おせーぞユウキ!」

「言ってくれるね!」

二人がかりで斬りつけるが、ことごとく受けられ、躱され…。


「ママのスキルも借りてるからーこんな事もできるのー」

背後に気配を感じ、慌ててそっちを警戒するけど間に合わず、殴り飛ばされた。


「ユウキ!」

「大丈夫。 は…? ティーが二人?」

嘘だろ…。一人でもギリギリなのに!

でも、こっちは殴ってきた。

魔法を撃てば早いのに。

まさか、そういう事か?


ティーの本体へ斬り込み、自分へ攻撃を集中させる。

「父さんは二人目のティーの相手をして!」

「いいのか?」 

「多分あっちはできる事が限られてる! だから任せるよ!」

「わかった!」

そういう事だよね?

ティーがニコって笑う。


「正解! 判断力ばっちりー」

そう言って、ティーはバックステップで距離を取る。

「おめでとうなの。相手が二人なら、あっちのティーは弱っちぃ。それを見破れたなら合格!」

よかった…。これ以上は凌げるかギリギリだった。



ティーが言うには相手の人数で二人目のティーを出すタイミング、できることが違うらしい。

「女王様の時はどっちも魔法も剣も使ったよー」

そっちじゃなくてよかった…。


「一定時間凌ぐか、今回は見破れば合格だったの」

「なるほどな…アスカの魔法か…。やばいな」

「やっと姉ちゃんのヤバさがわかった?」

「いや、強いんだろうって事と、魔力の高さはわかってたが、トリッキーすぎるだろ…」

ティーみたいに、細かく考えて姉ちゃんが動くとは思えない。


そっちのがよほど怖い。一発魔法どーん! で終わらせられる気がする…。



ティーから階層突破の証を受け取り、更に上へ。

ここにティーがいた。そうなるとこの先は…








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