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召喚被害者の日常は常識なんかじゃ語れない  作者: 狐のボタン
第四章

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見た目で油断すると…



翌日も朝からボス待機部屋で着替えて待つ。今日も私は忍者姿。


相変わらず低階層を受け持つ親衛隊の人たちは忙しく行き来してる。

「今日からが本番だと思うように! もう一つのAランクパーティー、白銀の刃が本格的に動くからな」

「「はい!」」

やっぱり今日からか…。多分アキナさんも来ると思うし、私達も忙しくなりそう。


昨日は出番がなくて、暇を持て余してたリアも今日は出番があるかもって張り切ってる。

「アスカ、見て! これが用意したボス衣装よ」

「今回はちょっとセクシーなんだね?」

「そうよ? 魔王軍の幹部ってコンセプトでデザインしたのよ」

本当にそういうのどこで覚えてくるのよ…。 (ふふー)


結構露出があるから、見てるこっちがハラハラする…。

もう、服というより水着みたいだもん。

「ビキニアーマーって言うのよ!」

「アーマー要素どこにあるの!?防御力ないよねそれ…」

ドラゴンだから元々の防御力は強いからいいのか。

自分の魔力で、衣装も守ってるからポロリとかは無いらしいし。

それならいいけど、女の子なんだから気をつけてほしい。


「主様、ボクの出番きた!」

20階層への挑戦者がきたと知らせるランプがついてる。

「そう? じゃあ行こうか」

「ティー。今回は私が行ってもいい?」

「いいよー! 頑張ってー」

今回はレウィとリアね。

三人で転送魔法陣を使い、移動。


相手は三人組、女性一人と男性二人。 

「ここが20階層! ボクと戦って力を示して」

「あぁ? イヌ獣人にガキじゃねぇか…。ナメられたもんだよな。ケガしないうちにとっとと証を渡せよ」

はい、評価マイナス。それにアンタも獣人でしょう…。


「ちょっと、バカな事言ってると痛い目を見るっていい加減学習しなさいよ! 見た目で判断したらダメよ」

「だけどよ…」

「油断するなよ、何があるかわからんのだから」

「わぁったよ! リーダーに従えばいいんだろ」

女性とリーダーらしき人は大丈夫。 …って…あぁ…。


なめられてイラッてしたのはわかるよ?

でもさ、レウィはフェンリルになって唸ってるし、リアはドラゴン姿。

「だから言ったのに! バカー!」

「ひぃ…嘘だろ…」

「おい、逃げるな! 戦わないと…」

リーダー以外はパニックになっちゃった。

女性はすでに逃げ腰で、入ってきた扉をたたいてる。

舐めた口を聞いた人は…腰抜けてるなアレ。


「戦闘において、見た目で侮るとこうなるのよ?ほら、戦う気があるならかかってきなさいよ?はやく」

「ガルルルゥ…」

「無理無理無理! 私は棄権するわ!」

「おい! 聞いていただろ、今回は力を示せばいいんだぞ?倒す必要はないんだ!」

全くその通りなんだけど…。 一番イキがってた人はもう泡吹いてるよ?


「戦いにもならないわね? 貴方は通過して良いわよ。後の二人は出直してきなさい。聞こえてないでしょうけど」

「…いや、俺もこいつらと一緒じゃなきゃ先へ進みたくはない。ここで棄権する」

「そう。それもいいわ。 お疲れ様。 次、頑張りなさい」

リアが本当に、魔王軍の幹部みたいになってるよ…。

リーダーが泡を吹いて気を失った人を引きずり、女性冒険者と1階層へ転送されていった。



「まったく! 誰がガキよ。レディに向かって!」

人化したリアがご立腹です。

「二人ともお疲れ様。 リアがレディなのは、ちゃんと私がわかってるから。 ね?落ち着こう」

「…アスカがそう言ってくれるなら」

「レウィも、カッコよかったよ」

「ありがとー主様!」

確かに言動に問題がある人は叩き潰せとアキナさんから言われてる。

ただ、かなり私怨が混ざってたけど大丈夫かな…。 

まぁ、戦闘力面から判断したとしてもリーダー以外はここを通過させるのは危なかったけどね。 

あの二人はこの階層突破の規定戦闘力を満たしていない。 それでも果敢に戦うのなら、通過の可能性はあったけど。アレでは…。


評価レポートも纏めておく。


「よし戻ろう」

「ええ。次はちゃんと戦いたいわ」

「わう!」

三人でボス待機部屋へ戻ったんだけど…即出動だった。

今回もレウィとリア。


「今度はまともな相手だといいけど…」

「わぅ、楽しみ!」

誰かなーって思ったら。 そうだよね、そろそろ来る頃だと思ったよ。


「あら?ルナリアちゃんにレウィちゃんじゃない」

「王妃様ぁ!? 騎士のアリアさんまで! ちょっとどういう事よ!」

「わう? えっと、戦って力を示してください!」

「レウィも普通に進めてるんじゃないわよ!」

リアが王妃様相手だから取り乱してるな。話しておくべきだったか…。


「二人とも落ち着いて。 私は冒険者としてここに来ているから、そのつもりでお願い」

「私も、今は騎士ではなく、冒険者ですから」

「…わかったわ。 私達がここのボスよ! 戦って力を示しなさい!」

「わぅ!」

リアが切り替え早くて助かった。


王妃様が2種類の魔法を放つ。水と雷か…。 避けても下に溜まった水に触れただけで感電するなアレ。

リアはそれを余裕をもって躱し、炎を地面に溜まった水に放つ。しっかり危険性を把握してるね。

水が蒸発して蒸気が立ち込めた事でお互いを見失ったっぽいな。

私には見えてるけど、二人は相手が見えなくて、手が出せない様子。


一方、レウィとアリアさんは物理か…。

アリアさんが振るう剣には冷気が纏わせてあるみたい。

私の魔道具が無くても魔法剣使えてる!


レウィがフェンリルで炎を使ってたから氷が弱点と見たのかな? 

だけど、レウィはそれを左前足で払いのけて、右前足で殴りかかる。

「やはり、単純に氷なら効くという訳ではありませんか…」

ギリギリでレウィの攻撃を躱したアリアさんは、純粋な剣技に切り替えた。

剣技と無手。一見レウィが不利に見えるけど、あの子も器用だなぁ。

前足に魔力を纏わせて剣の攻撃を弾いてる。


王妃様と、リアも蒸気が晴れた事で、魔法の撃ち合いが始まる。

魔法同士がぶつかり、打ち消し合う。 これは、リアが上手い。

後手で魔法を撃ってるのに、同じ威力にして打ち消すにとどめてる。

かなり魔力操作が上達したねぇ。 あれだけ繊細な魔力操作を一瞬でこなしてるのだから。

少しでも王妃様の放つ魔法より強い魔法を使ったら、相殺できずに王妃様へダメージが入ってしまう。

そうさせないようにうまく加減してるのは流石だよ。



私もレポートをしっかり記入。

戦闘力面でも、王妃様もアリアさんもここを通過するのに問題はない。

ただ、二人とも止めるタイミングを失ってる。 気を抜けないものね。仕方ないな…。

「双方そこまで! 充分だ」

少し魔力を乗せ、声を変えて叫ぶ。


「っ! はぁ…疲れたわ」

「ふぅ〜。 ルナリアちゃん、ありがとね」

「ええ。無事通過よ。 この先も頑張って!」

「任せて。 アリアとどこまで行けるかやってみるわ!」

元気だなぁ、王妃様。


「レウィ殿、手合わせ感謝する」

「はい! 無事通過です。おめでとうございます」


「ところでルナリアちゃん、さっきの声って…」

「あぁ、評価するためにボス部屋には他にも人がいるのよ。きっちりレポート書かれてるわよ?」

「そうなの!? テストみたいね」

「わう、試験だし…」

「そう言えばそうだったわ。久しぶり過ぎて普通にダンジョン攻略してる気持ちでいたから…」

楽しんでるんだね。 立場上、普段はこんな事できないから。


「王妃様、お疲れでは?」

「大丈夫よ、アリア。今日はまだまだ行くわよー」

「はっ!」

リアとレウィにお礼を言って証を受け取り、お二人は上層へ上がっていった。


次のボス部屋は母さんか。 確か一人、評価役に誰かついてるとか言ってたけど…。

今頃、ユウキと父さんが戦ってるのかもね。



その後、Aランクパーティーを名乗る、アキナさんとお嫁さん三人のハーレムパーティーが、レウィとティーのコンビ相手に奮戦。

もう一つのAランクパーティーがアキナさんだったとは…。

白銀の刃か、納得だね。


レウィは獣人の姿のままだと押されるくらいに、エルフのお嫁さんは強かった。

獣人の後衛から放たれる魔法と、前衛エルフの素早い動きから繰り出される近接攻撃。

それを避け続けたレウィは流石としか言えない。


ティーは相変わらず楽しそうに駆け回り、アキナさんを翻弄しつつ魔法でレウィを援護。

アキナさんは片手間で相手されてるから悔しがってた。

攻撃が一切当たりもしないから…。 (まだまだよゆー!)


「力は見せてもらったのー! 通過していいよー」

「あぁもう! 素早すぎるよー追いかけるのだけで疲れたわ…。本当、どうなってるの」

「ふふー。ママの子ですから!」

「次はちゃんと相手してね?」

「はーい!」

ここだとティーは、時々魔法を撃つくらいで逃げ回ってるもんな。 (ティーの任されてる階層では頑張るよ!)

そうだね、数パーティはたどり着くでしょうし…。



それからも20階層で何組かのパーティーの通過を見送った。

最初のように見た目で侮ったパーティーはことごとく駆逐されたけどね…。










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