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召喚被害者の日常は常識なんかじゃ語れない  作者: 狐のボタン
第四章

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不正



「みんな大丈夫!?」

ボス待機部屋へ駆け込んでくるなりそう叫ぶアキナさん。

当然だよね、大切な家族がいる訳だし。

親衛隊の人達とハグをしたりしつつアキナさんは話をしている。

体調の確認とかもしてるんだとおもう。


「アスカ達は大丈夫?」

アキナさんと一緒に部屋へ来た母さんに、私達も心配される。

「まだ、一度戦いに行っただけだし、相手はユウキ達だったからね」

「そっか。よかったよー。 それで…二人はどうだった…?」

「二人ともよゆーの通過なの!」

「うん。バッチリ通過したよ!」

実際に戦ったティーとレウィが答えてくれてる。それを聞いた母さんはホッとした様子。


「あ、そうだ! アスカ、王妃様と騎士のアリアさんも参加してたよ!」

「はい!?」

いや、何してんの?王妃様! 陛下の目が届かないからって、ハメを外し過ぎでは?


「久しぶりに冒険者の血が騒ぐーとか言ってたよ。 アキナも参加を許可してたし」

それは、アキナさん本人も参加するからだよね?多分明日から怒涛の追い上げをしてくる気がする…。

王国最強らしいし…。

今日は初日だから忙しかったとかかな? (やんちゃは血筋…)

確かに! でもそれを言ったら私達も少なからず同じ血が流れてるんだよなぁ…。 (ウケる)

笑えないわ! (だってママもヤンチャだよー?)

そんなことは… (魔王の時からティーはママを知ってるの!)

そうだった…。この話はやめよう。 (逃げた…)

 


ティーとそんな会話をしてたら隊長たちが戻ってきた。

隊長はさすがにかすり傷一つないけど、一人怪我人がいたから毒の確認と治療。

「どうだ?」

「毒が出ました。さっきのとまったく同じものです」

「敢えて攻撃を受けてみたのですが、当たりですね」

親衛隊の人がとんでもない事を言う。そんな危ない事したの?治療できるからいいものの…無茶しないで欲しいなぁ。

解毒と治癒をしっかりしておく。


案の定、アキナさんに叱られてる。

「ありがたいけど、どうしてそんな身体を張った無茶をするの! 何かあったらどうするつもりなの?」

「すみません…仲間をこんな目に合わせたヤツを早く特定したくて…」

「気持ちはわかるけど、無茶しないで! 大切な家族なんだから」

あぁ、あの人もお嫁さんか。 (うーん?あの人はいなかったから知らないー)

どれだけいるんだよ嫁…。 (両手でおさまらないくらい?)

さすが女王陛下。 (うらやましいー?)

ん?別にそんな気持ちは少しもないよ。私にはティーを始め大切な家族がいるからね。 (〜♪)

甘えてきたティーを抱き上げる。

私は今のままで充分に幸せだって言える。だから羨ましいとかそんな気持ちは全くない。



アキナさんのお説教も終わり、怪我をしていた奥さんらしき人とハグをしてる。

親衛隊の人は無茶したけど、おかげで相手は絞れたらしい。 ダンジョンから降りてきたら即御用だね。 (御用だ御用だー!)

「アスカちゃん、ありがとね。危うくこんな質の悪い出来事を見逃すとこだったよ」

アキナさんにお礼を言われて私もハグされてしまった。

包容力が凄い…。さすが女王様。 (奥さんがいっぱいいるからかも)

確かにそうかも?




そろそろ一日目のダンジョンアタックは終わるから、そうなると参加者は強制的に1階層へ飛ばされてくるらしい。 そこで待ち構えて捕まえるみたい。


アキナさんを筆頭に親衛隊の隊長が部下を引き連れて捕まえに行った。



これでうちの子達への心配がなくなったのは有り難いね。 (安心なのー!)

だね。親衛隊の人達には感謝しかない。 文字通り身体を張ってくれた訳だし。

リアとレウィは出番が無いから途中から個室でお昼寝してたし、その傍についててくれた未亜とシエルもこの話は知らないままで済む。

こんなくだらない事に巻き込みたくなかったから。 (ナイショにしとくー?)

うん、今日中に片がつくのなら話さなくていいかなと。ダメかな? (ううん。いいと思う)

ティーもそう言ってくれるならそうしよう。




初日の試験が終了したってアナウンスを聞いてから、私達も普段着へ着替えて借りてるお屋敷へ帰ってきた。


ユウキと父さんも少し遅れて帰宅。ギルドから例の事について話があったのかもしれないね。

まぁそれは後でゆっくり聞こう。 (お腹空いたのー!)  

だね、家中にいい香りがしてるもの。お腹がなるのは仕方ないよね? (ぐーーー)


メイドさん達が豪華な夜ご飯を用意してくれてたからみんなで夕食。

やっぱり肉料理がメインだけど、煮込まれてトロトロになってたビーフシチューみたいなのが本当に美味しかった。


未亜はメイドさんにお料理を教えてもらうらしい。

私がこっちの料理は作れないって知って、それなら自分が覚えるって張り切ってた。

絶対にいいお嫁さんになるよ未亜は。 (ははっ)

今笑うところだった? (なんとなく?)

まぁいいけど…。


食後、ユウキに目配せされたから庭のテラスへ出る。

すぐにユウキも出てきた。 

「姉ちゃん、例の話だけど…」

「うん、実行犯はどうなったの?」

「被害者に女王陛下の奥さんがいたって事もあってかなり重い罪になるみたいだよ。前衛の二人が捕まったらしい」

「動機は、やっぱり低階層を少しでも楽したかったから?」

「今の所、聞いてる情報だとそうだね。 残りのメンバーも取調べがあるからって事で、今回は棄権扱いでワンランク降格らしい」

「厳しいね、無関係の人もいるかもなのに」

「その辺は連帯責任みたい。 ただ、リーダーにも同じ毒が盛られてたらしくてさ」

「そういえば…体調不良で休んでるとか言ってた」

「うん。 それもあってパーティーとしては、ワンランク降格ですんだらしいよ。普通ならランク取り消しとか…それくらい厳しいみたい。捕まった二人がどうなるかは、知らないけど」

リーダーはしっかりした人だったらしいし、邪魔だから前もって毒を盛ったのか、なんて姑息な。

実行犯の二人は女王陛下の奥さんへ弓を引いたんだから当然、厳しい処分になるだろうね。



「それにしても姉ちゃんはよく毒を見つけたね?使われた毒は、とある虫から取れるもので、検知しにくいものだったらしいじゃん」

毒の種類が判明したんだ。さすが仕事が早い。 それとも犯人が白状したのか…。


「たまたま治療の為に魔力ドームで鑑定したから見つけられただけだよ」

治療に手を貸さなかったら見つけられずに、うちの子達への被害が出ていたかもしれない。

それが避けられてよかった。

特に一度、毒でひどい目にあってるリアは、二度とそんな目に合わせたくはない。


「そういえば王妃様とアリアさんも見かけたよ。ドレス姿じゃなかったけど、まさかだよね?」

「…そのまさかだよ。参加してるらしい。私も母さんから聞いたから間違いないね」

「何してるの?一国の王妃様だよね?」

「私に言わないでよ」

「そうだけどさ…」

多分、ブランクもあるからゆっくり攻略してるんだと思う。

明日あたりレウィが遭遇しそうだね。


「それで、姉ちゃんは何層のボスなの?」

「なんの話よ」

「参加してないとは言わせないよ?ティーがいた時点でそれはありえないし」

ユウキにはバレるよなぁ…。


「……」

「言えないならいいけどね。楽しみにしとくよ。 それと…覚悟しといて」

ユウキはそう言って部屋へ戻っていった。


覚悟か…。ふふっ、私に喧嘩売る気? いいよ、買ってやろうじゃない! (ママがわっるい顔してるの)

失礼ね。ちょっと楽しみなだけだよ。 (ティーも一緒に戦うのー)

うん。じゃあよろしくね、相棒! (あいっ!)









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