表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
召喚被害者の日常は常識なんかじゃ語れない  作者: 狐のボタン
第四章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

265/770

ボス戦 レウィ&ティー



20階層、ボス部屋。


私は隠れてレウィとティーを見守る。

レウィはいつものツナギじゃなく、黒を基調として赤のラインが入ったツナギを着てる。たしかにボスっぽい。

ティーもカラー配色は同じだけど、動きやすいハーフパンツに、ケモ耳フード付きパーカーを着てる。

二人ともかわいいわ…。 (〜♪)


扉を抜けて入ってきたのは…うん。だよね。


「マジかよ! ここでティーまでいるとか…」

「ん? ティーってそんなにヤバいのか?」

「父さん、侮ったらだめだよ。姉ちゃんの子供と言うか魔法なんだよ? うちで姉ちゃんの次にヤバいから! ちっこい魔王だと思わないと!」

私のかわいいティーへの暴言。マイナス評価。 (ママ厳しい!)

だって! (まぁまぁ…あれくらいならー。ね?)

わかったよ…。ティーがそう言うなら。


「ここは20階層! ここはボク達がお相手です!」

「いつでもかかってくるといいのー」


父さんとユウキは左右に別れた。ユウキがティーの相手をするのか。

いい判断だね。父さんにティーの相手はキツイだろうし。

まぁこの階層でなら加減するし、大丈夫だろうけど。


ユウキの攻撃を軽々と躱しつつ、ティーは魔法を放つ。

あからさまに加減をしてるのは見ててわかるけど、ユウキもそれを簡単に躱す。

「ティー、加減しすぎ!」

「だってーこの階層だとこれくらいだよー?」

「そういう事かっ!」

小さい身体のティーが動き回るからユウキは追いかける形で走り回る。

ユウキも加減してるティーを相手に本気を出す訳にも行かないから…。遊んでるように見えてくるな…。

ナンダコレ…。 (追いかけっこ!)

うん、そう見えてきた。 ティーが楽しそうだからいいや。

キャッキャ言いながら走り回ってるし。


と言うか、ある程度の実力者は低階層をパスしたほうが良くないかな?

戦闘力がはっきり数値でわかるようになったんだし…。

一応報告書に書いておこう。 そうすれば親衛隊の人たちの負担も減ると思うからね。

まぁ最終的な判断はアキナさんやギルドの人がするだろうけど。


父さんは…レウィに殴りかかられては躱し、剣で斬りつけ、それをレウィが躱す。

こっちも二人ともまだまだ余裕。


ティーとレウィの攻撃を躱して反撃もできている時点で、この階層で求められる戦闘力は満たしていると見ていい。

身内補正があるとはいえ、ユウキと父さんに人格的な問題がないのはよくわかってる。

そもそも、もし問題があったのなら親衛隊の隊長が通過させていないだろう。


そろそろかな。 (了解ー!)


「よく戦ったのー。二人とも合格ー!」

「軽いなぁ…」

「もういいのか?まったく攻撃が当たらなかったんだが…」

「ボクの攻撃を躱して反撃もできるのなら問題ないよ!」

「そうか! ありがとなレウィ」

父さんはレウィを撫ぜてる。 なんだろ…ボス戦だった筈なのにほのぼのするわ。


「ティー、姉ちゃんは?」

「ママならお部屋にいるよ?」

「え? 戦闘に参加してないの?」

「うん! 今は書類仕事のお手伝いしてるー」

確かに評価するために、この”部屋にいる“し、”今は“戦闘へ参加はしてない。そして評価するための書類を書いてる。

上手いな…。一切嘘はついてない。 (ドヤァ!)


「そんな…嘘だろ」

「やっぱりユウキの考えすぎだろ」

「うーん…」

ユウキはまだ納得してないようだけど。

レウィから階層突破の証をもらって、今日はここまでにするらしく二人は撤収していった。


明日は21階層から始めれるからいい判断だね。階層突破の証がある次の階層へしか転移させてもらえないから。

私達も待機部屋へ戻るために、ボス専用の扉を抜けた奥にある魔法陣へ向かう。

「二人ともお疲れ様」

「楽しかったのー。ユウキは強いー!」

「うん。主様の家族だし、二人は強いから突破は当然!」

二人にそう言われて嬉しくなる。


魔法陣を使って待機部屋へ戻るとちょっと騒がしい。

「治癒師の魔力が足りないな。 魔力回復薬もあるが、あまり無理をさせる訳にもいかん。 魔道具で致命傷にはならないとはいえ、このままでは次のボスは任せられんな」

「隊長、私が変わりますから、彼女は休ませてあげてください」

「いえ、今日は私も第1階層を任されている一人なんです…これくら…痛ぅ…」

親衛隊の人達に怪我人が増えてきたようで治癒師の人達もぐったりしてる。

これはまずいな…。


「あの…治癒なら出来ますから、よかったら」

「いいのか? 助かるが…魔力を残しておかなくていいのか?今も20階層を突破したのだろう?」

「ええ。でも、今日はここまでにすると、降りていきましたから」

「そうか…なら頼む。15階層を突破したのはまだ一組だけだからな」

「はい」

怪我をしている親衛隊の人達を魔力ドームで包んで、鑑定しつつ治療。

親衛隊の人達がびっくりしてたから簡単に説明はした。


あれ?毒を受けてる人が何人かいるな…弱毒だけど、みんな切り傷から入ってる。

「あの、このダンジョンは毒って使うんですか?」

「毒だと? いや、冒険者は当然使用が禁止されているし、罠にも毒の類はないぞ。毒罠を模した物はあるが、致命傷扱いで、ソレにかかったら一発アウトになる。 しかもその罠は上層のみだ」

「傷口から毒を受けてる人が数人いますよ?」

毒を受けてた親衛隊を全員、隊長に教える。一階層のボスをしてると言っていた人を含めて全部で八人。

本人達は気がついていなかったからびっくりしてるし、信じられないって顔をしてる。


「なに!? 治せるか?」

「それはもう解毒してます。 少量なので、使われた毒はこれだけしか集められませんでしたが…」

身体から排毒して取り出した物は小瓶に集めてある。みんなから集めてもごく少量だけど…。

それを隊長へ渡す。


「助かる。毒の効果はわかるか?」

「弱毒性で、徐々に体力を削られます。それと…」

「うん?」

「かなり検知しづらい毒です。細かく鑑定しないとわからないくらいに。本人も毒にかかってる事に気が付かないままゆっくりと衰弱します」

「……これはもらってもいいか?」

「ええ。大丈夫です」

「感謝する。 それぞれの毒を受けた傷がどれかわかったりは…?」

「はい。わかります」

全員の毒を受けてた傷のあった場所へ、ペンで印をつける。

治癒したからもう傷跡は無いからね。


「誰かそこへ傷をつけた相手がわかるものはいるか?」

毒を受けてた人達に隊長は尋ねるが…

「いえ…乱戦の中で受けていた傷なのでいつ、誰からかは…」

まぁ難しいよね。


「あの…ノディさんがその傷を受けたタイミングなら私がわかります」

そうか、治癒師の人なら確かに気がつくかもしれない。



「さっき戻ってきた時にそこに傷がありました。それより前に戻った時にはそこに傷はなかったので…」

「となると、今戦ったパーティーって事になるな。ノディ、直前の相手は?」

「それならAランクパーティーの通称ハウンドですね…」

「今日から潜ったAランクがまだそんな低階層にいるのか?」

「自分達なら余裕だからーと屋台などで随分とのんびりしてからダンジョンへ入ったようです。新人に先を譲ったんだと自慢げに話してました」

「ふむ…」

Aランクなのにルールを破るような事するの?

いや、使った毒から推測するなら…。 かなり姑息だな。 (うんー?)

致命傷の毒だと魔道具で防がれるから使えないし、即バレるでしょ? (ああー)

でも検知しにくくて弱毒性なら? (バレないし、少しずつダメージ?)

そう。親衛隊の人達が何度もボスとして出てくるのを知ってるのなら効果的だと思わない? (なるほど!)

しかも、遅れてダンジョンへ挑むことで、親衛隊の人達も少なからず疲弊するよね? (卑怯なの)

うん。多分低階層で楽をしたいとかそういう事でしょうね。 一階層毎にボスがいる訳だし。

それ以上に何か思惑があるとは思いたくない。



「ハウンドか…。多少人格に問題のあるメンバーはいたが、リーダーがしっかりしてて抑えてたはずだが?」

「えっと…今日、そのリーダーはいませんね。情報によると体調不良で不参加とあります」

資料を確認している親衛隊の人がそう話す。

人格に問題がある人がいても、パーティーとして纏まってるのなら見逃してるのか。

実力者が少ないと仕方ない面もあるんだろうけど…。その結果がこれかぁ。

私が口を出す事ではいけど、同じ冒険者をしてた身としては許せない。


「取り敢えずギルドの責任者へ報告を頼む。それと当然陛下へもだ」

「はい。私が行きます」

そう言った親衛隊の一人が部屋を駆け出ていった。

そのタイミングで隊長のボス戦への呼び出し。

「私達は行かねば。 すまないがアスカ殿は、我々が戻った時に毒の確認を頼めるか?」

「お任せください」



なんか不穏になってきたね。 (不届き者がまざってる!)

だね、私やティーは毒への耐性があるから平気だけど、レウィやリアはそうはいかない。


うちの家族は戦った後は元々、私が治療するつもりだったけど…、これは念入りにしないとだね。

本当はそんなヤツと戦わせたくもないけれど…今更そういう訳にもいかない。

ボスをするうちの子達も、魔道具の魔法防壁はオフにしてるか、その魔道具を外してる。

リアが絶対に外したくない! って言ったからアキナさんもオフにするならと許可してくれた。

当然、私が魔道具をオンオフできる様カスタムした訳なんだけど…。




アキナさんから予め聞いてた情報では、この国にAランクは今、5パーティー。

そのうち三組は遠征中で不参加。

ランクの更新は2年に一度ダンジョンへ挑めばいいらしいから、高ランクパーティーは毎回参加する事はないらしい。

仕事でいない事もあれば、単に参加を見送りしたりと様々。

今回は2パーティーだけが参加するって聞いたけど、その片方か。


全員が悪い訳ではないのなら、しっかり見極めて…それから潰さないと。 (うん!)











評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ