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召喚被害者の日常は常識なんかじゃ語れない  作者: 狐のボタン
第四章

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ダンジョンアタック



ユウキSide



試験のダンジョンアタックが始まった。

渡された番号の順番に塔へ入る転移魔法陣へ乗る。


ダンジョンは相当広いらしく、受付けにあれだけいた冒険者との遭遇も思ったほどではない。

下手したら入った所で大渋滞っていう可能性も考えてたから。

この感じだと一階層のランダムな場所へ飛ばされてるっぽいな。

入るときに使った転移魔法陣に仕掛けがしてありそう。


「ユウキ、そこ罠だ」

「うん、あっちもだね」

「あぁ、罠の数は多いが、わかりやすいのは、低階層だからか…」

「多分ね、初参加でも一階層でも突破すればギルドカードがもらえるらしいから」

「となると、本番は2階層目からか?」

まぁそうなるよな。おそらく一階層は初心者用のチュートリアル。

出てくる魔獣も小さいし、威嚇するだけで逃げてく。


途中、初心者らしい、僕よりも幼い年齢の冒険者が罠にかかってた。

ダンジョン内での冒険者同士のトラブルはご法度だが、手助けは特に禁止されていない。

冒険者同士、時には協力し合えって事なんだろう。

「助けはいる?」

「お願い! 弟が…」

「わかったよ」

こっちがお姉ちゃんなのか。

弟の方はトラバサミのような罠に足を取られている。ひどい怪我をさせない為かトゲとかはないけど…。


罠を開いて救出。

「ありがとうございます」

「兄ちゃんありがとう!」

「いいよ、罠が多いから気をつけてね」

「はい!」

元気に返事をして、心配する姉に足を見てもらってる。



二人と別れて僕も父さんと更に奥へ進む。

「小さい時のアスカとユウキみたいだったな…」

あぁ、父さんには姉ちゃんが兄だった記憶はないんだっけ。

「…そうかもね」

「すまないな、苦労したんだろ?召喚されて」

「まぁね。でも…楽しんでたのも確かだから…って父さんアレ」

「ん?扉? って事は…」

「多分ボスだね。閉まってるってことは今は誰かが戦ってるのかも」

「なるほど…、おっ開いたぞ!」


二人でボス部屋へ。

そこには鎧姿の騎士が一人。

「よく来たな。ここは第1層のボス部屋だ。私に強さを示せ! さすればギルドカードを授けよう」

「よし、行くかユウキ!」

「うん! よろしく!」




勝負は一瞬。

「良くやった。力を認めてこれを授ける」

父さんに任せて、ボスの気を引いてたんだけど、あっさり父さんが騎士の剣を弾き飛ばして降参させたことで、無事1階層のボスを突破。

2階層へ突入。


その後も罠が多少巧妙になったり、ボス役の騎士の人数が増えたけど、問題なく突破。

父さんとの連携もバッチリ決まって気分がいい。


10階層のボス部屋前で、父さんとおにぎりだけ食べてお昼を済ます。

扉が閉まっているしね。

「他の冒険者との遭遇も減ってきたな」

「だね」

階層を上がるにつれて、人が減ったのか出会わなくなってきた。

通路が細く複雑になったってのもありそうだけど…。


「父さん、扉が開くよ」

「おう、節目の10階層だ。ここからは強くなるかもしれん」

「わかってる。だけどやることは同じ。しっかり連携して戦い、降参させる!」

「おう!」


ボス部屋には一人の騎士を中心に左右に二人。

減ったな…。9階層なんて十人の騎士がいたからな。

てことは、あの真ん中の人が隊長クラスと見て間違いない。

「父さん、気をつけて」

「ああ」


「よく来たな。ここは10階層。 ここを突破できれば晴れてランカーとなる。 さぁ己の力を示せ!」

その言葉が終わるやいなや両脇の騎士から魔法が飛んでくる。 

それを躱しつつ真っ先に真ん中の騎士へ突っ込み、構える剣を弾き飛ばす。

「え?」

「「ええっ!」」


真ん中の騎士が隊長クラスなら真っ先にそれを無力化したらいい。

父さんもわかってるから、僕が突っ込む間、左右の騎士からの魔法を惹きつけててくれた。

「降参、してくれますよね?」

「あ、あぁ…。問題ない。 これが階層突破、ランカーの証になる証明カードだ。後日ギルドへ渡せば正式なランカーカードがもらえるぞ」

「ありがとうございます」


「よしっ、とりあえずランカーにはなれたな! ユウキ次へ行くぞ」

「うん。 では…僕らはこれで」

「あぁ、健闘を祈る」



11階層からはボスはいなくて、普通に階段を上がってきた。

「ボス部屋がないな」

「うん、多分この先はランカー専用だから次は多分15とかにボスがいそうだね」

「だろうな、ただ…」

「うん。罠は減ったけどっ! 魔獣が増えた」

会話しつつも、父さんと魔獣を片付けていく。死体が残らないから、魔獣にもダンジョン専用の魔道具がついてるっぽい。

だからか?同じ魔獣に出会ってる気がする。


「なぁ、アレ怯えてないか?」

「だね、多分何度も僕らにやられて強さをわかってるからだろうね」

「お、逃げてったぞ」

楽だからいいけど。



そんな感じで楽々と15階層。


「ボス部屋か、予想通りだな」

「うん」

そろそろ出てくるか?いや、まだだろうな…。


「ようこそ15階層へ。 ふっ、また会ったな。さぁ力を示せ!」

あぁ、10階層のボスをしてた騎士の人だ。

ただ両脇に控える騎士の数が増えた。


「父さん、飛んでくる魔法の数も増えるだろうし、物理もいるだろうから…」

「あぁ、動き回って翻弄しつつ、スキを見て気絶させる、だろ?」

「うん、騎士様に大きな怪我をさせたくないからね」

叔母でもある女王陛下の親衛隊をしている人達に不必要な怪我なんてさせたくない。


思った通り、飛んでくる魔法の切れ目を縫って斬りかかってくる騎士。

うまい連携だ。魔法の影に隠れて襲ってくるのか。 でも… 見えてるんだよ!


近接攻撃を躱しては当て身を当てて気絶させていく。

父さんも同じ。 魔法使いは遠いから放っておく。

魔法は躱せばいいだけだし。



「父さん!」

「あぁ!」

最後の近接騎士を無力化した時点で隊長っぽい人に近いのは父さんだった。だがら任せる。

僕はあえて魔法使いの前に身を晒して攻撃を誘い、走り回る。


父さんと騎士の戦う剣戟が聞こえてたけどそれもすぐに終わる。

「そこまでだ! よく戦った。実に見事だ」

飛んでくる魔法も止まる。


父さんが騎士の剣を落とさせたことで決着したらしい。

「流石だよ父さん」

「いや、まだまだだけどな。 囮役、助かった」

そう言いながらも笑顔な父さんは、ここ迄の戦いでだいぶ自信をつけたらしい。


「さぁ、これを持っていけ。おめでとう」

「ありがとうございます!」

「ありがとう、いい戦いだった!」

「この先も健闘を祈る」



さぁ、まだ先は長い。

頑張らないと。今日、行けるところまで行っておきたい。

もし、姉ちゃん達がいるならそこで確実に足止めを食うから…。






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