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召喚被害者の日常は常識なんかじゃ語れない  作者: 狐のボタン
第四章

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プレゼントはリンクする



今日はギルド試験日が通達される日。昨日からギルドには張り紙されてるらしい。

それが噂で瞬く間に広まって、街では毎回この日から結構な盛り上がりをみせるらしい。

試験を受ける冒険者はもちろん、お祭りらしく屋台もいっぱい出る。

だからお店を出す人たちも準備のために、この通達の日は集まるんだとか。



私達は街へは行けないから、後で聞くことになるけど、準備は終わってるし、みんなのんびりしてる。

私も昨日のうちにパーティー用の範囲測定魔道具は完成させたからね。

今はお祖母ちゃんとお祖父ちゃんに作ったアクセサリーを渡しに来てるくらいには時間に余裕がある。


「アスカちゃん、入っていいわよ」

部屋の前に来てノックする前に中から声をかけられてしまった。さすがお祖母ちゃん。

「おじゃましまーす」

「どうかしたのかい?忙しくしてるってアキナから聞いていたのだけど」

「あの子に無茶を言われたなら私に言いなさいね?お仕置きしてあげるから」

「ありがとう、でも大丈夫だよ。 今日はお祖母ちゃんとお祖父ちゃんに渡したいものがあって…」

お祖母ちゃんに手招きされて、部屋のソファーへ座る。

テーブルを挟んだ向かいにお祖母ちゃんが座ってて…

「紅茶でいいかな?」

「うん。 お祖父ちゃんありがとう」

お祖父ちゃんは紅茶を淹れてくれて、お祖母ちゃんの隣へ。


「渡したいものって何かしら?」

「これなんだけど…」

ネックレスとブレスレットをテーブルへ置く。


「これって魔道具よね?」

「うん、魔法防壁と、魔力の増幅、後は…いざという時の為に魔力を貯めておけるようにしてあるの」

「ナツハ達にも渡してるものね? ありがとう…素敵なデザインだわ」

「孫娘からのプレゼント…ありがとう、アスカちゃん」

喜んでくれたようで良かった。


「それと、二人のには母さん達のアクセサリーにはつけてない機能がつけてあるの」

「そうなの?」

「お祖母ちゃんもお祖父ちゃんも魔力が高いから街へ出かけられないでしょ?」

「そうだねぇ…アキナに家から出るなって言われてしまったよ」

「だから魔力の隠蔽ができるようになってるよ。任意でオンオフができるから」

隠蔽したままだと不便なこともあるからね。 ナメられる可能性もあるし。


「アスカちゃん、それってオンにしてたらお互いを認識できなくなったりするのかしら?」

お祖母ちゃんはお祖父ちゃんを見失わないかって心配なんだよね。それは想定済み。


「完全に消すわけじゃないから近ければ見失うことはないし、お祖母ちゃんとお祖父ちゃんのはリンクさせてあるから、隠蔽してても今まで通り変わらず認識できるようになってるよ」

「助かるわ。またフラフラ出歩かれて何かあったら困るもの」

「それはオンオフできないのかい?」

「無理だよー」

「そうか…」

それを出来るようにしたら間違いなくお祖母ちゃんが困る。

それくらいは私にもわかる。 お祖父ちゃんはこんな姿だし、心配するお祖母ちゃんの気持ちもわかるからね。


二人の魔力波長も刻んで完成。

お祖母ちゃんはありがとうってまたハグしてくれた。

お祖父ちゃんには頭を撫ぜてもらった。私がしゃがんで、お祖父ちゃんが背伸びしつつだけど…。


その後、少しお祖母ちゃん達とお茶を飲みながら雑談をして部屋へ戻ってきた。



「お姉ちゃん、おかえり。お祖母ちゃん達、喜んでくれた?」

「うん、受け取ってくれたよ」

「良かったじゃない! まぁアスカの魔道具なら当然よね」

「ママの魔道具は世界一なのー」

「ありがとね。 あれ?シエルとレウィは?」

部屋にいないよね?


「庭で遊んでるわよ。 レウィはホント庭がお気に入りよね」

「ティーもお庭好きだよー」

そういえば私は庭に出てないなぁ。ちょっと行ってみるか…。


掃き出し窓から外へ出るとテラスがあり、ひろい庭が広がっている。ちょうどレウィが走り回ってるのが見えた。

シエルはすでに疲れて座り込んでるな。 

「ティーも遊んできていい?」

「いいよー。 あ、じゃあこれ渡しておくよ」

手のひらサイズのボール。前にリアが魔力ドームのイメージに使ったやつ。

「ありがとー。  レウィー! いっくよー!」

ティーが振りかぶって投げたボールは意味のわからない速さで飛んでいった。


ちょ…大丈夫!?

私の心配をよそにレウィは見事にキャッチ。同じ様なスピードで投げ返してくる。


なんだろ…、思ってたんと違う…。 (え?ボールだよ?)

そうなんだけどね? イメージとしてはティーがぽーんって投げたボールをレウィが拾って咥えながら持って帰ってくる、みたいな? (それじゃあ犬なの…)

あー……うん。楽しそうだからいいや。 何も言うまい。


二人の超速キャッチボールを横目にながめつつシエルの傍へ。

「シエル、ありがとね。レウィに合わせて走ってたら体力持たないでしょ?」

「うん…元気すぎるの。 お姉様、あれは何をしてるの?」

「キャッチボール…かな?」

「見えないの…音だけは凄い」

確かに、ビュォン! スパァンッ! ってすごい音してるけど…。


「今回も衣装を任せちゃったから大変だったでしょ? ありがとね」

「ううん、とっても楽しかったの。お姉様のラスボス衣装はすごいから楽しみにしててほしいの」

「そっかぁ…。うん、わかったよ」

最近、シエルも撫ぜてあげると喜ぶから撫ぜてあげる。

「〜♪」


「お姉ちゃんー! 女王様がお姉ちゃんに用事ーってみえてるよ」

窓から顔を出した未亜が呼んでるな、アキナさんが用事ってことは試験の日を伝えに来たのかな?


「シエル、行こうか。 ティー、レウィも一度戻るよー」

「はい、お姉様」



部屋にはアキナさんと、それに母さんも来てた。

勿論試験日を伝えに来てくれたんだけど…。

「開催日は明後日! 明日だけがみんな準備期間になるよ」


早っ! 大丈夫なのかな…と、思ったんだけど。 いつもこれくらいの時期にあるのはみんな知ってるから大丈夫らしい。


ただ一つ問題が発生してるらしい。

「冒険者たちが、試験前の怪我を避けたいと、狩り依頼を避けてたみたいで肉が不足して高騰してるの!」

ランクって冒険者には死活問題だからなぁ。試験前に慎重になるのは仕方ないか。

「今までは大丈夫だったの? アキナの国って結構な頻度で試験してるよね?」

「うん。でも前回の試験前に怪我をしたパーティーがいて、しかも参加義務の期限と重なって、ペナルティを受けたパーティーがいたからそのせいかも」

「ギリギリまで試験を受けなかったのが悪いんじゃない?」

「そうなんだけどね…。 それで屋台のお肉が足りなくて商業ギルドが大騒ぎだよー。どうしよう…」

「私達がパッと行って狩ってくる?まだ時間あるよね?」

「あ…母さん! 私大量に持ってる」

普通の肉も、ミノウシって高級肉も山のように…。


「どういう事!?」

「ほら、母さんと父さんがお祖母ちゃんに連れられて、森の奥で一晩中戦ってたでしょ?」

「…あぁ。 思い出すと腹立つけど。 あっ…後処理してない!」

「お姉ちゃん! それ不味いよ。あの森でそんなの放置したら…」

「ちょっとお母さんに相談してくる!」

「待って。母さん」

「今は時間が…」

「それ、全部処理して埋めてくれたから!」

「え?誰が?」

「クッキーとチョコだよ」

「あぁ。 良かったぁ…感謝だよ。あの森は危険な魔獣が多いから餌が大量にあると、大繁殖が起こって溢れちゃうところだったよ」

マジかよ…。それを放置したの!? (クッキー達大活躍!)

だねぇ。またお礼言わないと…。


「ねぇ、そのクッキーとチョコってなに?」

「アスカの召喚獣。可愛かったよー」

「そんなのまで持ってるの!?」

このリアクションも毎度だなぁ。


「それは今は置いといてください。 肉ですよね?それならその時に山のように捌いて私が持ってます。ミノウシも大量に」

「「「ミノウシ!?」」」

うちの子達まで反応したな?美味しかったもんね? (じゅるり…)


「アスカ! あの美味しいのまだいっぱいあるの?」

「わふっ! 肉ー!」

「とびきり美味のお肉なの…」

今食べるわけじゃないから落ち着けー。 (えー…)


「アスカちゃん、それ譲ってもらえたり…」

「はい、そう思ってお話したんですが…元々は母さん達が狩ったものですし」

「お姉ちゃん、いい?ちゃんと商業ギルドから支払われるから」

「いいよー。お金はアスカに渡してあげてね。処理したのも捌いたのもアスカ達だから」

「わかったよ、じゃあ私のストレージへ受け取るね」


「お肉…」

「あぁ…ミノウシ。また食べたかったわ…」

「わぅ…」

みんな凹み過ぎ! バカみたいにあるから大丈夫だよ…。 (ほんと!?)

うん。ある程度は残しておくよ。みんなでまた食べたいし。 (わーい!)


アキナさんへ、肉とミノウシを譲渡。手持ちの7割ほどを渡そうとしたら…

「どれだけあるの!?多すぎるよ! もう少し減らしてー! 商業ギルドが破産するよ!」

結局手持ちの3割程を商業ギルドへ渡して、1割はアキナさんとお嫁さん達へプレゼントって事に。

それでも半分以上残ってしまった。


「ありがとう、本当に助かったよ! これで普通のお肉は安くできるね。 私はギルドへ行ってくるから」

アキナさんは部屋を飛び出していった。


「アスカ、改めてありがとね。危うく大変なことになる所だったよー」

「私じゃなくてチョコとクッキーがしてくれたんだけどね」

「またお礼いいたいから会わせてね」

「わかったよ」

また広いところがあればいいけどね…。







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