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召喚被害者の日常は常識なんかじゃ語れない  作者: 狐のボタン
第四章

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女王様からの依頼



しばらくしたらアキナさんがメイドさんと部屋に。

あれ?ティー達は? (まだかかるのー)

そうなのね…。


「ごめんねーお待たせ。あの子達は盛り上がってるからもうしばらくかかると思うよ」

「すみません、うちの子がご迷惑おかけして…」

「いいよいいよ。固いなぁ、アスカちゃんは。 みんな家族なんだし、畏まらなくていいよ?」

「ありがとうございます」

気さくで話しやすい感じは、まんま母さんと同じなんだけどね。 それでも女王様だし…。


「お願いの事なんだけど、これはお姉ちゃん…アスカちゃんのお母さんからの頼みでもあるから」

「母さんのですか?」

「うん、さっきも少し話したのだけど、あの塔は本来ダンジョンなんだよー」

マジか!? タワータイプダンジョン?


「ふふー驚いたでしょ?」

「はい。かなり…」

「元々は私が最上階にいて、継承権のある子がそこまでたどり着いて私を倒せたら、その子に王位を継承する。その為に作ったんだけどね…」

女王様がダンジョンマスターみたいなもので、報酬は国その物…。規模が大きすぎる…。


「誰も挑みにさえ来なかったの!」

コケそうになった。

「ずっとですか?」

「うん、せっかく作ったのに。ひどいよね!」

「それって…アキナさんが慕われててずっと女王様でいてほしいっていうみんなの願いじゃないですか?」

「そうなら嬉しいのだけどねー。 まぁそれでね、使わないのは勿体ないから、今日みたいにパーティー会場にしたり、色々と使ってるんだよ」

「なるほど。 てことは、あの転移魔法陣も本来はダンジョンの移動用ですか」

「そういう事だね! まぁあれは比較的最近になってから増設したのだけど。そして本題はここからだよ」

まさか…


「ギルドの試験会場にもなってるの」

あぁ、そっちか…よかった。 挑め! とか言われたらどう断ろうかと思ったよ…。


「ほら、ユウキ君達が試験受けたいって言ってたでしょ?」

「はい、じゃあユウキと父さんはダンジョンアタックをする訳ですね」

「大正解! そんでもってアスカちゃんは上層の階層ボス兼ラスボスをお願いしたいの!」

…え?


「えっと…?それはアキナさんの役目では?」

「いやいや。ギルドの試験だからね?」

あ、そっか…。本来の用途でならアキナさんがラスボスになるけどあくまでギルドの試験だから…。


「年に四回、あの塔を使った試験があって、到達した階に応じてランクが決まるの。当然ランクダウンもあり得るからみんな必死だよ」

「それに、私がですか?」

「そう! お母さんには面倒くさいからヤダって言われちゃったし、お父さんは貸してくれなかった…」

お祖母ちゃん達は仕方ない気もするけど。


ちょうど、もうすぐその試験が開催されるらしい。

試験とはいいつつも国を上げた一種のお祭りみたいになってて、かなり盛り上がるんだとか。

「アスカちゃんにお願いしたいっていうのはお姉ちゃんの希望でもあってね?ユウキ君と、特にアスカちゃんのお父さんの実力を見てほしいんだって」

なるほどね。ちょっと恨むよ母さん…。 断れないじゃないそんなの。


うちの母さんも階層ボスとして参加するんだとか。

ティーやルナリア、レウィにも頼みたいから協力してほしいと…。


「部外者の私たちが参加して大丈夫なんですか?」

「問題ないよ。いつも私が指名したりと、誰かにお願いしてるものだからね。それにアスカちゃんがラスボスなら誰も文句は言えないよ!」

普段は交代でAランクパーティだったりがボス役をしたりもしてるらしい。



ダンジョンは全部で50階層、低階層だけは1階ずつ女王様直属の親衛隊がボスを務める。

上層に上がるほど強くなり人数も増える。まぁそれは当然だよね。

そして5階層に親衛隊の隊長。それからも5階毎に中ボスとしてアキナさん指名の人が配置されると…。


「アスカちゃんには40、45、50をお願いしたいの」

「三つも!?」

「そこまでたどり着けるパーティーなんてホントに極少数だからね。それにアスカちゃんなら階層に合わせて力加減くらいできるでしょ?」

簡単に言ってくれるなぁ。


「当然、安全対策は万全だし、命に関わる事はないように出来てるから心配いらないよ」

「そうですか…。わかりました」

「ありがとう! 助かるよー。毎回人選に苦労するからね」

それはそうだろうなぁ…。上層になったらかなりの強さの人が必要だろうし。


安全対策はダンジョン専用魔道具があって、一定以上のダメージを受けたって判断されたら、そこで終わり。1階層へ戻される。 もしくはギブアップすれば、同じく1階層へ戻れると。

そんな魔道具知らないから、ちょっと見てみたいなぁ…。


試験期間は3日間で、参加者は毎回千人以上いるらしい。

初参加なら1階層でも突破できればギルドカードはもらえるんだとか。

「いつもなら50を突破してもAランクだけど、今年はSランクをあげてもいいかも! これは盛り上がるよー」

アキナさんはめちゃくちゃ楽しそうなんだけど、私は不安で仕方ない。

だって責任重大だよ!? 冒険者の人達にはランクって死活問題だからね。

高ランクなら仕事の難易度も高いけど、それに合わせて稼ぎも多い。


「それでしたら一つお願いが…」

「うん?何でも言って」

「ティーとユウキに数値として相手の戦闘力がわかる魔道具を渡してるんですが…」

「そんなのがあるの!?」

「私が作ったんです。それを私も使っていいですか?」

「私もそれほしい…」

「すぐ作れるので差し上げるのは構いません」

「ありがとう! 感謝するよー。 それで使うっていうのは?」


「上層の私はそれを使って相手の力量を見つつ、力のセーブをすれば間違いがないかな?と思いまして」

「なるほど、確かに。それなら公平だね。 でもそれならボスとして配置する人も数値で見て正確に配置できないかな? 今までは単純に魔力量で判断してたから、結構曖昧だったりするし…」

「そうですね…、多分できると思います」


魔力だけで判断できないものもあるもんね。アリアさんとか魔力は少ないけど強いし。

魔力が少ないのがイコール弱いという事はない。

ただ、一定以上魔力が多いと強いっていうのは間違いない。

まぁ未亜みたいに急激に魔力が増えて、戦闘経験もないっていう子は完全なイレギュラー。

平和な世界で育ってきた子が私のせいで魔力覚醒した、ある意味突然変異に近い。

だとしても、未亜も鍛えたら間違いなく魔法特化で強くなるのは間違いないからね。


「その魔道具ってすぐに用意できる?」

「はい、数も言って頂ければ用意します」

「ありがとう。 これは面白くなってきたよ!」



アキナさんと相談した結果、45階層でAランク、50階層ならSランクを渡すことに。

肝心の私の力のセーブは、今ギルドにいるAランクパーティーの戦闘力を数値で確認してからそれに合わせる事になった。

「Sランクは、今いないからね、アスカちゃんが好きにしていいよ!」

それはそれで判断に困るのだけど…。

「後、これは一番大切な事なんだけどね?」

「はい?」

「仮に強さがランク以上だと思っても、言動次第で落として欲しいの」

「あぁ…。仲間を見捨てるような事をしたり、暴言を吐いたりとか、そういう人と成りを見るんですね?」

「そういう事! 話が早くて助かるよ」

高ランクになればなる程そういうのは大切だもんね。


「そういう相手なら手加減せずに叩き潰していいから!」

「わかりました」

ギルドの信用問題だとか、他のギルドメンバーにとっても大切な事だからこっちも責任重大だね…。



とりあえず魔道具はアキナさんに渡すものはいつも通りアクセサリー。

ギルドで使うものは解りやすくするために、ある程度の大きさがほしいって事だから考えないと。

魔石と素材は後で部屋に届けてくれるらしい。


「それじゃあ、お願いね。 他の子達への説明はしておくから、説得してもらえると助かるよ」

「はい。 ボスは必ず一人じゃないとだめですか?」

「ううん。好きにしていいよー。アスカちゃんと組んでもいいし。相手もパーティーだからね! ただ、40階層より下にアスカちゃんが行くときは手出しをしないでね。その代わり冒険者の評価をお願い」

「わかりました。パーティー単位でですか?」

「ううん、一人ずつ。低階層だと、まだパーティーがはっきり決まってない子達もいるからね」

「了解しました」

「40階層とかにたどり着くのは多分三日目に入ってからなるから、それまでは評価する為に動いてくれると助かるよ」

「わかりました。ユウキや父に、この事は?」

「ナイショ!」

やっぱりそうだよね…。


リア達も一人きりじゃないのなら同意してくれるんじゃないかな。


「じゃあ私は準備もあるから、失礼するよ。 アスカちゃん達も寛いでね!」

「ありがとうございます」


話が終わったアキナさんは足早に部屋を後にした。



「お風呂の仕度をいたしますので、少々お待ちください」

アキナさんと部屋に来たメイドさんが残ったのはそういう理由だったのね。









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