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召喚被害者の日常は常識なんかじゃ語れない  作者: 狐のボタン
第四章

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王都邸



パーティーの後、王妃様は公務の終わったご家族に会いに行くからと別行動になった。

当然アリアさんも一緒。

今夜は実家で過ごすみたい。久しぶりの再会だもんね。


私達はまだしばらくテラスでのんびり。

何やら手配が済むまでは待ってほしいって事だからね。

その間にアキナさんが王国の事を話してくれた。


思った通り、塔の周りは王族というか、アキナさんと血のつながりのある直系、その本家にあたる人達が住んでいて、そのエリアと塔を含むエリアを城って呼んでいるらしい。

王妃様の実家もそこにあるんだって。

「私もそっちに家があって嫁もみんなその家にいるよー」

ん…? 嫁?みんな…?

なんかちょっと意味のわからないセリフが…。 (側室ー?)

よく知ってるね…。でもアキナさん女の人だよ? 


「みんな元気にしてるのー?」

「うん。子供もみんな手が離れたからね。自由にしてるよー」

母さんも当たり前のように話してる…。


「旦那様はいないのー?」

「うん?ティーちゃん気になる?」

「うん!」 

私も少し、それは気になるかも…。


「ほら、私は女王だから。妊娠するとドラゴンになれないとか、公務にも差し支えるじゃない?だから嫁しかいないよー」

なるほど…。お祖母ちゃんも言ってた、妊娠中はドラゴンになれないって。緊急時に困るのかもね。

まぁ、同性婚や一時的な性転換が当たり前にある世界だと問題ないのかも。

「お嫁さんいっぱいー?」

「まぁそうだね。 立場上、仕方なくってところもあるけど、みんな大切な家族だよ」

「ケンカしたりとかしないんですか?」

未亜まで興味を示したし…。 (〜♪)


「勿論そういう時もあるよ。でもそれは人が増えたら仕方ないんじゃないかな?」

「お嫁さんの中で嫉妬とかはしないのかしら…」

リアもその会話に参戦するの!? (…!)


「うーん。それは私にはわからないなぁ。興味があるなら会ってみる?」

「「お願いします」」

「わかったよー。 …ふ〜ん?なるほどね、なんとなく分かったよ」

そう言ってアキナさんは私を見てくる。 …なに?私また何かしちゃった? (ママは何もしてないの)

そうならいいのだけど…。


アキナさんと、未亜、リアで何やら盛り上がってるなぁ。

「アスカも大変ね?」

「なにが?」

「ううん、別にー」

何よ母さんまで…。


「(なぁユウキ、あれって…)」

「(うん、姉ちゃんが鈍すぎるんだよ。それにあの二人だけじゃないからね?最低でもあと数人はいる)」

「(マジかよ…。ハーレムじゃねぇか。…羨ましい)」

「(…母さんに言うね?)」

「待て待て待て! それは絶対にダメだ!」


「…!? どうしたの?父さん、急に大声出して…」

ビックリしたんだけど…。 ユウキが隣にいるし、なにか話してたのかな。 

揉め事じゃないよね?


「あ、いや…ちょっとな?アスカには関係ない事だぞ。 だよな、ユウキ」

「母さーん。父さんがねー」

「やめろユウキ! マジで洒落にならんから!」

「なぁに? …んー?まさか…」 

隣にいる母さんから見えちゃいけないオーラが見えるんだけど…。父さんは真っ青な顔して後退りしてる。


お祖母ちゃんは相変わらずお祖父ちゃんを膝に抱いてテラスに設置してあるソファーに座ってる。 

ただ…抱かれてるお祖父ちゃんの表情が変わった! 

怯えてる?母さんに?まさかね…。 (目が開いた!)


「お姉様、お母様がとっても怖いの…」

「きゃぅ…ぅぅ」

大人しく話を聞いてたシエルとレウィも怯えて私の後ろに隠れちゃった。

「大丈夫だよ」

二人を撫ぜてあげる。レウィは尻尾が丸まっちゃってるし。


「アキナ、ちょっと例の部屋借りるね?」

「いいよー」

「た、助けてくれー!」

父さんが母さんに引きずられてテラスを出ていった。 なんだったのよ…。 (ちーん)

ティーはなんか手を合わせてるし…。 



「よし、そろそろみんなの家の準備もできただろうから移動しよっか!」

「家ですか?」

「うん、ここの塔には居住空間はないからね。このホールも本来の使い方は違うんだよ」

防衛施設とかなのかな…。お城の天守みたいな?




アキナさんに連れられて塔を降り、庭園エリアを過ぎて二階建ての大きなお屋敷の前に到着する。

木造だけど、造りはシンプルでこっちもやっぱり過度な装飾はなく、丈夫そうな見た目。派手さは一切ない。


「王国に滞在する間はこの家を使ってね。部屋数も多いから好きに使っていいよ。メイドも数人いるから用事があったら、その子達に頼んでね」

「ありがとうございます…」

「ちなみに隣が私の家だから、うちの嫁に話を聞きたい子はおいでー」

お隣なんだ。こっちのお屋敷とそんなに変わらないよね?女王様の家だともっと大きいのかと…。


「私達はゆっくりさせてもらうわ」

「そ、そうだね、セイナ…」

「うん、お母さんもお父さんものんびりしてねー」

何故かテラスからの移動も、お祖父ちゃんを抱いたままここまできたお祖母ちゃんは、さっさとお屋敷の門を入って行っちゃった。

お屋敷の入り口に数人待機しているメイドさんが案内してくれるみたい。

そのメイドさん二人とお祖母ちゃん達はお屋敷の中へ入って行った。


「アスカ。私達はちょっとお隣へ行ってくるわ」

「うん、行ってくるよ」

「ティーもー!」

「私も行くよ?」

「あー…アスカちゃんには後でちょっとお願いしたい事もあるからごめんね。残る子達と一緒に家で待っててもらえるかな?」

「はい、そう言う事でしたら…」

お願いしたい事ってなんだろう?女王陛下から直接のお願いなんて断れる訳もないし。

まぁティーが向こうへ行くのなら任せておけばいっか。ちょっと寂しいけど…。 (うんっ! まかせてー)



「じゃあシエル、レウィ行こっか?」

「はーい主様」

「うん…」

アキナさんのお屋敷へ行くティー達と別れ、二人と手を繋いで門を抜けてお屋敷へ。

門のところで止まってるけど、ユウキはどうした?

「ユウキも行くよー!」

「あ、うん!」 

追いついてきたユウキも一緒に玄関へ向かう。

「姉ちゃんに用事ってなんだろうね?」

「わからないよ。心当たりもないし…」

「だよなぁ」

話していたらお屋敷の玄関扉に到着。


「い、いらっしゃいませ。お客様の滞在中、私達がお世話をさせて頂きます」

「お願いします」

一人のメイドさんが代表で挨拶してくれた。怯えられてるのは地味に傷つくけど…諦める。

だってみんな犬系獣人のメイドさんだから。魔力に敏感らしいし仕方ないよね。

レウィとは違って、人寄りだから特徴は耳と尻尾くらい?


メイドさん二人にお屋敷の中を一通り案内してもらって、間取りを把握。

その間に怯えてたメイドさん達の魔力の乱れも落ち着いた。 さすがプロ…。

「お部屋はご一緒のがよろしいですか?」

「シエルとレウィはどうしたい?」

「お姉様と一緒がいいの…」

「わぅ、主様と一緒!」

「そういう事ですので私達は一部屋で大丈夫です」

「僕だけは別の部屋に」

「わかりました。ではご案内いたします」


暫く廊下を歩き、1つ目の部屋の前で、メイドさん一人とユウキとは別れた。

私はシエル、レウィと一緒に、もう一人のメイドさんについていく。


案内されたのは一階の一番奥の部屋。

アクシリアス王国で借りてる部屋の何倍?ってくらいの広さがある。

あの部屋でも充分広いのに…。

床は落ち着いた色のフローリングで、ピカピカ。

左の壁際に大きなベッドがいくつもあるし、これならリア達も一緒がいいって言っても大丈夫そうだね。

真ん中は広くとってあって、ベッドの真向かいの壁際にはソファーとローテーブルが設置されてる。

正面は大きな掃き出し窓。一階だから外へ出れるっぽいね。


「何かありましたら、私達屋敷のメイドにお声掛けください」

「わかりました、ありがとうございます」

メイドさんはそれだけ言うと部屋を出ていった。


「二人とものんびりしていいよ。多分、暫く滞在しなきゃいけなくなると思うからね」

王妃様の事もあるからすぐに帰るって事は考えにくい。


「はいなの…」

「わうっ! 主様、お庭があるよ!」

掃き出し窓から外を見て、レウィは嬉しそうにしっぽを振ってる。

「ほんとだねー。でも、もうすぐ暗くなるし出るのは明日にしようね」

「はーい」

部屋は広いけど、シンプルでお城みたいにきらびやかでもないから落ち着ける。

室内の確認をしたらトイレや大きなお風呂も併設されてた。なんて便利な…。


レウィ用にいつものと同じラグとクッションをフローリングに出して敷いてあげる。

「ありがとう主様!」

嬉しそうにコロコロしてて可愛い。お気に入りだもんねそれ。


「シエルもここなら広いし、服を作ったりしたかったら好きにしていいからね」

「…いいの?」

「大丈夫だよ、散らかったら一緒に片付ければいいんだから。心配ならラグを敷いておくからその上でね?」

「ありがとう、お姉様」

大きめのラグを掃き出し窓の側に敷いてあげたら、さっそくマジックバッグから色々だしてる。

シエルはずっと緊張してたみたいだし、好きな事をしてれば落ち着くかなと思ってね。



それにしても、アキナさんの用事ってなんだろう?

なんかイヤーな予感がするなぁ…。











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